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休業損害証明書の書き方を間違えると、適正な休業損害を保険会社から受け取れなくなる可能性があるので注意が必要です。
また、休業損害は収入状況や仕事の休業期間によって変動するので、基礎的な知識を押さえておいたほうが良いでしょう。
この記事では休業損害証明書の概要や書き方などを解説します。
この記事を参考に適正な休業損害を受け取るための準備をしましょう。
休業損害証明書とは、「給与所得者が事故によるケガが原因で休業した損害を証明するための書類」です。
そのため、主に交通事故による休業状況や収入状況を証明し、事故の加害者に休業損害を請求するために必要な書類となります。
なお、休業損害証明書の書式は、保険会社の担当から送付されるのが一般的なので、ご自身で用意したり作成したりする必要はありません。
サラリーマンやパート、アルバイトなどの給与所得者は、休業損害を請求する際にはしっかりと準備しましょう。
なお、自営業や専業主婦の方は給与所得者ではないので、休業損害証明書の提出は必要ありません。
専業主婦の方は家族がいることを証明する住民票の提出が必要となり、自営業の方は事故発生前の収入を証明するために前年分の確定申告書などを提出することになります。
休業損害証明書は、ご自身ではなく勤務先に記載してもらいます。
派遣社員やアルバイトの方は、雇用元の派遣会社に記載してもらいましょう。
もっとも、勤務先の担当が休業損害証明書を書いたことがない可能性があります。
そのような場合は、この記事などを参考に休業損害証明書を作成してもらいましょう。
通常、加害者が任意保険(自動車保険)に加入している場合は、相手方の保険会社に返送します。
もし、加害者が任意保険会社に加入していない場合は、相手方の自賠責保険(※)会社へ送付することになるでしょう。
(※自賠責保険とは、自動車やバイクを運転する際に法律で加入が義務付けられている強制保険です。)
休業損害の計算方法は職種や就業状況によって異なります。
職種ごとの計算方法を以下で解説しますので、ご自身の職種に合わせて休業損害の計算をしましょう。
サラリーマンやパートなどの給与所得者の場合は、事故発生前の3ヶ月分(90日)、もしくは1年分(365日)の給与合計をそれぞれの日数で割り、1日あたりの基礎収入を算出します。
そして、基礎収入に休業日数をかけることで休業損害額を算出できます。
計算式は以下の通りです。
【計算式】
・給与の合計額(事故前3ヶ月もしくは1年分)÷日数(90日もしくは365日)=1日あたりの基礎収入
※パート・アルバイトで連続勤務をしていなかった場合などは、実際の稼働日数で割って基礎収入を計算します。
・1日あたりの基礎収入×休業日数=休業損害額
サラリーマンの場合、有給休暇を利用し治療をしたなどの理由で収入が減少しなかったとしても休業損害として認められます。
なお、事故によるケガが原因で退職を余儀なくされた場合、退職から症状固定日までの間の休業損害が認められるケースもあります。詳しくは弁護士にご相談ください。
自営業の休業損害の計算式は以下の通りです。
【計算式】
①確定申告をしているケース
確定申告書に記載している所得金額(事故前1年分)÷365日=1日あたりの基礎収入
1日あたりの基礎収入×休業日数=休業損害額
②確定申告をしていないケース
通帳や帳簿、領収証などから算出した基礎収入×休業日数=休業損害額
なお、治療による休業期間中に代わりの従業員を雇用し、給料を支給した際の費用も損害として認められる可能性もあります。
専業主婦(主夫)の場合でも休業損害が認められます。
ただし、給与所得がないため、賃金センサス(※)の女性労働者の全年齢平均給与額をもとに基礎収入を算出します。
(※賃金センサスとは、政府が毎年実施している「賃金構造基本統計調査」の結果をもとに、労働者(年齢、性別などで分類)の平均収入をまとめた資料を指します。)
専業主夫の場合も、仕事内容は変わらないため女性基準で計算します。
賃金センサスによる全年齢平均給与額は以下の通りです。
年 | 平均給与額(年収) |
---|---|
2020 | 381万9200円 |
2019 | 388万100円 |
2018 | 382万6300円 |
2020年の平均給与額(年収)は、381万9200円となりますので、計算式は以下の通りです。
【計算式】 381万9200円÷365日=1万463円(小数点以下は切り捨て) 1万463円×休業日数=休業損害額
事故が原因で就職が遅れた場合は、就職すれば得られたはずの給与額が損害として認められる可能性があります。
実際の休業損害証明書は以下のようなひな形になります。
通常、休業損害証明書は加害者側の保険会社から送られてきますが、必要に応じてダウンロードしてください。
引用元:休業損害証明書|ソニー損保
前述のように休業損害証明書は勤務先の会社で作成してもらいます。
ただし、後々のトラブルを予防するためにご自身で不備がないかチェックできたほうが良いので、書き方についても説明します。
休業損害を請求する際は、前年度の源泉徴収票が必要なので同封しましょう。
源泉徴収票の同封が難しい場合は、賃金台帳の写し(コピー)や雇用契約書などの所得額を証明できる書類でも可能です。
画像①には、事故によるケガで休業した期間(遅刻、早退を含む)を記入します。
休業期間の記入を誤ると、休業損害の金額が減る可能性があるので注意しましょう。
画像②に①の内訳として、欠勤日数・有給休暇の取得日数・遅刻回数・早退回数などを記入します。
◆③休業状況を日毎で記入
画像③の表には、休業状況の詳細を日毎で記入します。
上記の書式では以下の記号を用いて休業状況を記入するよう求めています。
記号が違う書式をご利用の場合は、そちらの案内に従って記入しましょう。
画像4⃣には、休業期間中の給与支払いの詳細(全額支給した、一部支給・減給した、全額支給しなかった)を記入します。
こちらも該当箇所の記入を誤ると、休業損害の金額が減る可能性があるので正確に記入しましょう。
画像5⃣には、事故前3ヶ月の給与額の内訳(稼働日数・本給と付加給の金額・社会保険料・所得税・差引支給額など)を記入します。
パート・アルバイトの方は、②所定勤務時間、③給与計算基礎に記入しましょう。
休業損害証明書の最下部には、以下の項目について記入します。
本来であれば勤務先が休業損害証明書を作成してくれますが、どうしても応じてくれないことがあるかもしれません。
そのような場合は、弁護士への相談・依頼を検討しましょう。
弁護士が代理で作成の申し入れをすることで、会社が休業損害証明書の作成に応じてくれる可能性があります。
また、本人自身での解決を望むようでしたら休業損害証明書の代わりになる書類を提出する方法もあります。
休業損害証明書での重要項目は収入と休業期間なので、それぞれを証明できる給与明細書や通帳の写し、タイムカードなどを用意して事実を証明できれば休業損害を認めてくれる可能性はあります。
ただし、知識や経験がない方だと、書類を用意できてもスムーズに休業損害を請求できない可能性があるので、弁護士にサポートしてもらいながらの手続きをおすすめします。
給与所得者が休業損害を受け取るには、休業損害証明書が必要です。
また、書類作成の際に記入ミスがあると適切な休業損害をもらえない可能性があるので注意しましょう。
万が一、所属会社が休業損害証明書を作成してくれない場合は、弁護士のサポートを受けながらの手続きをおすすめします。
会社への書類作成の申し入れ以外にも、休業損害の計算や請求、損害賠償金の増額へ向けた対応なども期待できますので、ますは相談してみましょう。
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