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公開日:2021.9.28  更新日:2021.8.27

通院慰謝料の計算手順と高額な慰謝料を請求する為に知っておくべきこと

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事

交通事故における通院慰謝料とは、交通事故に遭った被害者が通院をした際に加害者に対して請求できるお金のことをいい、自賠責基準弁護士基準という2つの基準で算定する金額が違ってきます。

交通事故の慰謝料においては、入院により生じた慰謝料と通院により生じた慰謝料を併せて入通院慰謝料とすることが一般的で、慰謝料も細かく分けると下記の3つがあります。

請求項目

内容

入通院慰謝料

交通事故が原因で通院または入院した場合に請求できる慰謝料

後遺障害慰謝料

交通事故が原因で後遺症が発生した場合に請求できる慰謝料

死亡慰謝料

交通事故が原因で被害者が死亡した場合に遺族が請求できる慰謝料

今回は、入通院による慰謝料に焦点をあてて、交通事故の入通院慰謝料の計算方法と、被害者が損をしないために適正な慰謝料を請求するための手順をご紹介していきます。

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交通事故で通院慰謝料額が決まる要素

まずは通院慰謝料が決まる要素からご紹介していこうと思いますが、主な要素としては下記の3点があります。

  1. 通院期間
  2. 実際に通院した日数
  3. 通院の頻度

下記ではこの3つについて詳しく解説していきます。

通院期間が長いほど高額になる

交通事故によって発生する慰謝料とは、「被害者が加害者から受けた精神的苦痛の分はしっかり払ってください」という請求権であり、慰謝料はその精神的苦痛を金額で表したものですので、当然ながら、通院期間が長くなればそれだけ請求できる金額は高額になっていきます。

 

表:期間別・基準別の通院慰謝料の額(単位:万円)

通院のみ

むち打ち症など場合

(自賠責)

弁護士基準

任意保険基準
(推定)

1月

8万6,000円

(4万3,000円)

28(19)万円

12.6

2月

17万2,000円

(16万8,000円)

52(36)万円

25.2

3月

25万8,000円

(25万2,000円)

73(53)万円

37.8

4月

34万4,000円

(33万6,000円)

90(67) 万円

47.8

5月

43万円

(42万円)

105(79) 万円

56.8

6月

51万6,000円

(50万4,000円)

116(89) 万円

64.2

※1:初診から治療終了日を21日とし実際の通入院は10日間だったと仮定し、2020年3月31日までは4,200円、2020年4月1日より後に発生した事故に関しては4,300円で計算しています。

※2:弁護士基準の()内はむちうち等の他覚症状がない負傷の慰謝料

冒頭で、自賠責基準と弁護士基準については触れましたが、実は保険会社が独自で持つ「任意保険基準」と呼ばれるものもあります。公には公表されていないものですので説明は省略しますが、自賠責基準以上、弁護士基準以下だと思っていただければと思います。

この通院慰謝料は通院に対してかかった金額だけで、治療費などはまた別途、「休業損害」として計算します。

休業損害とは

交通事故に遭い仕事を休んでしまうとその期間の収入や利益が減ってしまいます。この仕事を休業した期間の補償を目的としたものを休業損害と言います

引用元:休業損害とは|職業別の計算方法や請求時の流れを解説

自賠責基準では実通院日数が重要

先ほどご紹介した、「表:期間別・基準別の通院慰謝料の額」は、簡単に算出するために日弁連という機関が算出したものですが、厳密に通院慰謝料を計算する際は、「実際に何日間通院したのか」が重要になってきます。後ほど詳しく計算例などを踏まえて説明しますが、

  1. 入院期間+通院期間
  2. 実通院日数(入院期間+通院期間の中で実際に病院に通った日数)×2

この二つを比べて、少ない方に4,300円/日をかけて計算しますので、実際に何日間通院したのかは正確に把握しておくことが大事です。

通院頻度が少ないと慰謝料の減額に繋がる

通院に対する一応の基準として、

  1. 1週間に少なくとも2日程度は通っていること
  2. 表に記載がないほど治療期間が長引いた場合は前の月数の該当額との差額を考慮する
  3. 症状が特に重い場合は2割増程度の金額まで加算する

などの規定がありますので、詳しい内容は、弁護士に相談してみることをおすすめします。

一般的には入院期間とセットで計算することが多い

今通院だけを見てきましたが、日弁連が公表している「赤い本」にでは、下記のように入院と通院をセットにした算定表が公開されていますので、基本的にはこの表を見ながら、どこに該当するのかを見ていただくのが確実かと思います。

表:通常の弁護士基準による入通院慰謝料の表(単位:万円)

 

入院

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

通院

 

53

101

145

184

217

244

266

284

1月

28

77

122

162

199

228

252

274

191

2月

52

98

139

177

210

236

260

281

297

3月

73

115

154

188

218

244

267

287

302

4月

90

130

165

196

226

251

273

292

306

5月

105

141

173

204

233

257

278

296

310

6月

116

149

181

211

239

262

282

300

314

7月

124

157

188

217

244

266

286

304

316

8月

139

170

199

226

252

252

274

292

308

9月

139

170

199

226

252

274

292

308

320

10月

145

175

203

230

256

276

294

310

322

11月

150

179

207

234

258

278

296

312

324

12月

154

183

211

236

260

280

298

314

326

13月

158

187

213

232

262

282

300

316

 

14月

162

189

215

240

264

284

302

   

15月

164

191

217

242

266

288

     

表:むち打ち症で他覚症状がない場合に適用される入通院慰謝料表(単位:万円)

 

入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月
通院   35 66 92 116 135 152 165 176
1月 19 52 83 106 128 145 160 171 182
2月 36 69 97 118 138 153 166 177 186
3月 53 83 109 128 146 159 172 181 190
4月 67 95 119 136 152 165 176 185 192
5月 79 105 127 142 158 169 180 187 193
6月 89 113 133 148 162 173 182 188 194
7月 97 119 139 152 166 175 183 189 195
8月 103 125 143 156 168 176 184 190 196
9月 109 129 147 158 169 177 185 191 197
10月 113 133 149 159 170 178 186 192 198
11月 117 135 150 160 171 179 187 193 199
12月 119 136 151 161 172 180 188 194 200
13月 120 137 152 162 173 181 189 195  
14月 121 138 153 163 174 182 190    
15月 122 139 154 164 175 183      

通院慰謝料の計算例

では実際に通院慰謝料を計算してみましょう。

通院期間を定める

3月1日に事故に遭い、3月28日までを通院期間とし、治療期間は28日(1日~28日)、実際に通院した実治療日数を12日とした場合は、下記のようになりますね。

実際の計算例

自賠責基準の場合

  1. 治療期間 :28日
  2. 実通院期間:12日 × 2=24
  3. 24日×4,300円=103,200円

もし、28日間の治療期間中に15回の通院をした場合は・・・

  1. 治療期間:28日
  2. 実通院期間:15日 × 2=30
  3. 28日 × 4,300円 = 120,400円

となるため、通院期間が多い方が慰謝料は高く請求できそうですが、自賠責保険の上限額は126,000円ですので、通院日数を増やせばそれだけ慰謝料が増額するわけではないことに注意しましょう。

もし被害者側の過失が大きい場合や、加害者が任意保険に加入していないといった場合、自己負担分の費用(特に治療費)がこの枠を圧迫する可能性があります。
 

いずれにしても、状況によってもどのタイミングで打ち切るべきかの判断はなかなか難しいと思いますので、損をしたくない場合は、なるべく早く弁護士などに相談されるのが良いでしょう。

弁護士基準の場合

弁護士基準の場合は「表:通常の裁判所基準による入通院慰謝料の表(単位:万円)」を参照して、下記に該当する金額を算出していくという流れになります。

 

入院

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

13月

14月

15月

通院

 

53

101

145

184

217

244

266

284

297

306

314

321

328

334

340

できるだけ高額な通院慰謝料を獲得するには弁護士基準で計算する

最後に、通院慰謝料をできるだけ多く請求する為に、弁護士基準で請求するうえで必要なことをご紹介していきます。

  • 通院期間が28日の場合
  • 自賠責基準:12.04万円
  • 弁護士基準:53万円

このように約5倍の差が生まれますので、交通事故に遭ったら弁護士に相談するのが最も賢い選択と言えますね。

闇雲に弁護士基準を主張しても相手にされない

弁護士基準で慰謝料を請求することで増額するという表現を使いましたが、厳密に言えば「被害者が損をしない為の適正な金額になった」と言った方が正しいかもしれません。

自賠責保険や保険会社の基準は最低限保障を主軸にしていますので、どうしても自賠責の金額ではまかないきれないと言った問題は残ります。

しかし、被害者がただ弁護士基準を主張しても保険会社の担当者からは相手にされないことも多いので、やはり弁護士に相談し、「どうして弁護士基準の慰謝料が必要なのか」という部分を詰めていくのが理想と言えます。

慰謝料請求が得意な弁護士に依頼

では、弁護士に相談する場合は誰でも良いのかというとそういうわけでもありません。交通事故の問題は複雑になりますから、交通事故について詳しい弁護士に相談・依頼しないと保険会社との示談などでマイナスに働く可能性もあるでしょう。

弁護士の選び方

そこでまず注目すべきは下記の3つです。

交通事故案件を多く扱っていること

過去に交通事故の示談交渉をどの程度解決しているのかを聞いてみましょう。

わかりやすい説明をしてくれること

交通事故では、後遺症と後遺障害のように、法律で使われる難しい専門用語がたくさんあります。経験が豊富な弁護士は、これらを正確にわかりやすく説明してくれます。

訴訟経験の有無

実際に支払われる慰謝料に差が出る可能性があります。実際に訴訟を起こした経験はあるのか、聞いてみましょう。

費用

弁護士に依頼した際の費用も気になる部分だと思いますので、簡単にご紹介させていただくと、最もウェイトが高いのが成功報酬金で、経済的利益の20%が相場と言われています。

  • 相談料:10,000円/時(無料の事務所も多い)
  • 着手金:20万円から30万円前後が相場
  • 報酬金:経済的利益の20%前後

例えば、慰謝料を50万円請求していて、それが300万円に増額した場合、増額分250万円の10%ですから、25万円が報酬金になります。この場合の弁護士費用の総額は45万円から55万円程度になりますね。

費用が心配なら弁護士費用特約を利用

もし着手金が支払えないとなった場合、まずは自分の加入する自動車保険に「弁護士費用特約」がないかを確認しましょう。弁護士費用特約とは、自動車保険につける特約のことで、加害者側に対して損害賠償請求を行うときに生じる相談料や依頼時の費用を保険会社が負担するというものです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は通院慰謝料を中心にご紹介してきましたが、慰謝料はこの他にも「後遺障害慰謝料」と「死亡慰謝料」があり、さらに「休業損害」「逸失利益」など、すべてを合わせた損害賠償として計算し、請求していくものですので、請求漏れをして損をしないように、確実に請求していきましょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事は交通事故弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※交通事故弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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