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交通事故で加害者となった人の法的責任と示談交渉の進め方

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公開日:2020.7.7  更新日:2022.3.15
交通事故の責任 弁護士監修記事

交通事故で加害者となった人の法的責任と示談交渉の進め方

交通事故を起こした加害者は、主に3つの法的責任を負うことになります。交通事故を起こしてしまった直後は、「損害賠償はいくらになるのか?」「示談でなんとか解決できないものか?」といった考えが先行してしまい、自分がどのような罪に問われるのかということはあまり詳しく知らないと思います。

しかし、交通事故を起こしてしまった加害者は、被害者に対する損害賠償のことはもちろんですが、加害者が負う法的責任も知っておく必要があります。そこで今回は、交通事故を起こした加害者が知っておくべき3つの法的責任をご紹介します。

なお、今回の記事はあくまでも加害者向けの内容になりますので、交通事故の被害に遭われた方は「交通事故に遭った被害者が知っておくべき5つのこと」の記事をご覧ください。

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交通事故を起こした加害者が問われる法的責任とは

加害者は以下の3つの法的責任を負うことになります。
 
1:刑事上の責任
2:民事上の責任
3:行政上の責任

 
被害者に直結する責任や、自分に対する責任などがありますが、詳しい内容は次項で説明していきます。
 

交通事故の加害者が負う刑事責任

もし、交通事故が車の破損だけではく、人に危害を与えるような人身事故であった場合に負うのが刑事責任になります。基本的な手続きは強盗や殺人を犯した加害者と同じで、逮捕や起訴される事態になるのは被害者が死亡した場合、加害者が飲酒、無免許であった場合など悪質な交通事故の場合です。
 
被害者の怪我が軽度の場合、加害者の身体拘束はされないことが多いです(「在宅捜査」といいます。)。この場合、従前の生活を続けた状態で刑事手続を受けます。具体的には事故の状況を事情聴取したり、場合によっては裁判に証人として召喚されるケースがこれです。
 
では、具体的にどういった罪に問われるのか、詳しく見ていきましょう。

 

過失運転致死傷罪(自動車運転処罰法5条)

これは、交通事故で加害者が被害者を死傷された際に問われます。もし業務上過失致死傷害罪が適応された場合・・・
 
・実刑判決
・執行猶予付き懲役刑
・罰金刑
・証拠不十分による無罪
・不起訴処分
 
のいずれかが適応されます。しかし、加害者と被害者の間で示談が成立している場合は、検察による起訴が行われることもありませんので、早期解決を図るなら早めに示談に持ち込むのが良いでしょう。
 
交通事故の加害者ができるだけ早い段階で示談を持ち込んでくるのはこういう理由があります。また、幸運にも死者がでなかった場合でも「業務上過失致傷害罪」の責任が問われることになります。業務上過失致傷害罪は業務上過失致死傷害罪に比べるとそこまで重い罪にはならないので、不起訴処分となることが多いようです。
 

過失運転致死傷罪(自動車運転処罰法5条)

飲酒運転など、悪質な運転をした加害者に対して適応されます。自動車事故の被害が傷害であれば過失運転傷害罪、死亡であれば過失運転致死罪が科されるのが通常です。過失運転致死傷罪は7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金が科されることになるでしょう。
 

危険運転致死傷罪(自動車運転処罰法2条)

加害者があまりにもひどい運転をした場合、過失運転致死傷罪ではなくより重い危険運転致死傷罪という刑罰が科されることになります。例えば極度の飲酒運転、薬物使用運転、無茶な高速運転、連続した信号無視などの場合、危険運転致死傷罪が適用されることになります。
 
危険運転傷害罪に問われた場合、15年以下の懲役が科され、危険運転致死罪の場合には1年以上20年以下の懲役が科されられます。

 

過失建造物損壊罪(道路交通法第116条)

車両等の運転者が業務上必要な注意を怠り、又は重大な過失により他人の建造物を損壊したときは、六月以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処する。

通常の交通事故とは少し違いますが、駐停車中の車両等が運転者の過失により暴走したり、炎上したりして、建造物を損壊したときには適応される損賠賠償です。
 

交通事故の加害者が負う民事責任

交通事故の加害者が問われる民事責任とは、直接的に有罪や無罪を確定するものではなく、加害者から被害者に対して、損賠を金銭で補填する責任になります。つまり慰謝料などのお金を払う義務が生じるとお考えください。
 
被害者に対して、加害者が被害に見合った金額(損害賠償・慰謝料)を支払うことで解決を図りますが、被害の金額や慰謝料の相場などで意見が分かれるようであれば、調停や訴訟、裁判といった民事事件という法的な手続きにまで事態は発展します。
 
もし、加害者に反省の色が見えなければ、被害者は加害者に対して慰謝料の金額を相場より高く請求することも可能です。ただし、民事訴訟で訴えることが出来るのは、原則として金銭的な補償に限られ、「刑務所に入れろ」などの刑罰を要求することは出来ません。

 

不正行為責任(損害賠償責任)(民法709条)

民法709条に定められた不正行為責任とは、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」とされているものです。
 
不法行為責任が成立する要件は・・・

他人の権利または法律上保護される利益を侵害する行為をしたこと(権利等侵害行為)
その権利等侵害行為が故意または過失に基づくこと(故意・過失)
損害が生じたこと(損害の発生)
損害の発生が権利等侵害行為によるものであること(因果関係)

 
上記の3つがあります。交通事故の場合で言えば、他人の命・身体または財産を侵害する事故を起こしたことが、この権利等侵害行為に当たります。この要件に当てはまる時、交通事故の加害者は、被害者に対して「損害賠償金の支払い」を行う損害賠償責任を負うことになります。
 
ちなみに、債務不履行責任というものも、交通事故をおこした加害者に求められます。これは慰謝料の支払いなどが遅れた場合などに発生する、広義の意味では「損害賠償責任」と同じようなものですので、詳しく説明しているサイトもありますが、あまり気にしないで良いでしょう。
 

交通事故の加害者が負う行政上の責任

交通事故の被害者にとっては全く関係ありませんが、事故をおこした加害者にとってはかなり重大な責任です。
 
・運転免許の取り消しまたは停止
・減点処分
・交通反則金の支払い

 
など、加害者の免許に関する処分が主な内容になります。加害者が犯した過失の程度に変動して、免停100日や免許取り消しといった、運転免許資格に関する処罰が下ります。
 

交通反則金(道路交通法違反)

交通反則通告制度に基づいて行われる、行政処分としての過料です。道路交通法に違反した(交通事故をおこした)と判断された者が、刑事手続を免れるかわりに納付するものとして知られています。刑事罰である科料・罰金とは少し異なり、通告に応じない場合は刑事手続きに移行する特殊な制度です。
 
いくら程度の反則金を取られるのかは警視庁のHPに掲載されていますが、一部をご紹介します。
 

交通反則金の一覧

 

交通事故を起こした加害者側の態度が許せない場合

交通事故を起こしておいて、謝罪どころか顔ひとつ見せない加害者がいるケースがあります。交通事故発生件数のうち、約9割は示談交渉によって解決されたと言われています。
 
加害者側の保険会社と特に揉めることもせず、スムーズに進むのであれば問題もないのですが、事故後に加害者が全く謝罪にも来ないということに怒りを覚える被害者も少なくありません。
 

加害者に誠意が見られないと示談も進まない

加害者に誠意ある態度が見られない場合、それなりの示談金を持って来れば許してやろうと思うものですが、あまりにも加害者の態度が悪過ぎると被害に遭われた方はご立腹です。
 
保険会社の担当者も気を利かせて、加害者のお詫び状の一本でも持ってくれば話は違いますが、示談交渉を保険会社に丸投げし、自分は我関せずという場合もあります。
 

態度の悪い加害者に何か報復を与える方法

仮に示談に合意したとしても、やはり加害者が許せないという方もいるでしょう。「やっぱり加害者は許せない!」「訴えて刑務所に入れてやりたい」 と思う被害者もいいます。
 

できないこともないが望み通りにはならないケースが多い

加害者に対して罰を当てる方法があるか。というと答えに対する回答は「ない事もないが難しい」という曖昧なものになってしまいます。
 
被害者が負う刑事や民事のペナルティは上位でご紹介したようなものですが、実際は個々のケースによって使える方法と使えない方法が出てきます。また、報復を訴え出たところで、100%被害者の望み通りの結果に終わる保証がないことが多くなります。
 

法的な手順を踏んで制裁を加えるのが良い

一番手っ取り早い方法は、示談交渉で慰謝料の金額を引き上げることでしょう。加害者としても刑事罰に問われて前科などがつくのは嫌なはずです。だからこそ示談で決着をつけようとしているわけですから。
 
お怒りの気持ちはわかりますが、示談すらもつれて一向に進まないのでは本末転倒です。そうなった場合、調停や訴訟に発展する確率も考慮して、弁護士に相談することも検討しなければいけません。
 
法的手続きを利用すれば、かなりの精神的、経済的なダメージを加害者に与えることが可能になります。そのためにも、交通事故の法手続きは加害者に関する手続きも学んでおくと、役に立つときくるかもしれませんね。
 

交通事故の加害者が示談を成立させるポイント

さて、交通事故の法的責任などをご紹介してきましたが、やはり気になるのは示談で解決させて、刑事事件として起訴されるのをどうやって避けるかということではないでしょうか。
 

任意保険への加入をしておく

人身・死亡事故事件で被害者側と示談をするには、ケガの程度、通院期間、被害者の年齢や職業等によって客観的に算出された損害金額ベースに交渉(示談交渉)をすることになり、示談金は原則として保険によって補填されます。
 
まれに自賠責保険のみで任意保険には加入していない方がいますが、物損事故の場合、自賠責保険は対象になりませんし、後遺障害等がない事故については最大120万円しか保険金は支払われないため補償として極めて不十分と言えます。もし、自賠責で支払われない損害については、加害者自身が負担しなければなりません。
 

被害者への対応は慎重に

被害者側との示談交渉は、基本的には加害者の任意保険会社が行ってくれますが、任意保険に加入していない加害者の場合、示談交渉は弁護士に頼むか自分で行うしかありません。しかし、示談交渉を保険会社任せになってしまうことにもリスクが伴います。
 
加害者が交通事故後の被害者側への対応を保険会社に任せっきりにした結果、被害者側の怒りを買って刑事裁判で厳罰を求められてしまったという事例もあるようです。適正な和解金額はいくらなのか、どうのタイミングで和解に向かえばいいのかなど、わからないことが多々あると思いますので、そのときは弁護士にご相談下さい。
 

被害者との関係がこじれる前に弁護士に相談

もし任意保険に加入していない場合は、加入していても保険会社による賠償・示談交渉がこじれてしまっている場合には、示談交渉は弁護士に依頼するのがベストな選択です。
 
交通事故の示談交渉に優れた弁護士に依頼することで、安全確実に示談の成功率を上げることが期待できます。被害者や遺族の不安・不満を払拭できるような交渉(示談交渉)をして、加害者側と被害者側が互いに納得できる和解を目指すなら、ご検討いただくのが良いと思います。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?
 
交通事故を起こすと様々な法的責任と今後の人生に大きなマイナスを及ぼす結果となりかねませんので、くれぐれも運転には注意していただければと思います。
 

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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