信号機のない交差点での事故過失割合
自動車対自動車の事故です。
A車(私)南北に走行中(幅員6m)B車(相手)東西に走行中(幅員4m)で、
信号機のない交差点(住宅地)でぶつかりました。
A車は時速15kmでの走行、B車は15~20kmでの走行で
B車はブレーキをかける猶予がなかったと言いました。
保険屋からはB車の左方優先を基本にしており6(A):4(B)
の過失割合の話がありましたが納得できません。
当方の道路は広路とみなされないのでしょうか。
保険屋は同幅員であると言っています。
相談者(ID:)さん
弁護士の回答一覧
「6m 対 4m」という情報のみを前提として、結論から申し上げますと、 【裁判所が広路と認め...
【裁判所が広路と認める可能性はあるが、確実とはいえない】
と判断いたします。
その理由は以下のとおりです。
まず、最高裁判例によれば、道路交通法36条2項の「幅員が明らかに広い」道路(広路)とは、
『交差点を挟む前後を通じて、交差点を挟む左右の交差道路のいずれと比較しても明らかに幅員の広い道路をいい・・・』
『交差点の入口から、交差点の入口で徐行状態になるために必要な制動距離だけ手前の地点において、自動車を運転中の通常の自動車運転者が、その判断により、道路の幅員が客観的にかなり広いと一見して見分けられるものをいう』
とされています。
これをかなり噛み砕いてご説明すると、広路とは、
【誰が見ても、かつ、一目見ただけで、相手側の道路(交差道路)よりかなり広いと分かる道路】
であり、かつ、
【交差点を挟んだ両側の道路のどちらにもそのような広さがある場合(片方だけ広くてもダメ)】
であることになります。
このように、裁判所は、「○メートル差があれば広路」といった判断をせず、『客観的にかなり広いと一見して見分けられる』という基準を用いています。
また、『客観的にかなり広い』か否かについては、隅切りや歩道・側溝の有無、付近の建物との距離や建物の高さ、照明の状態、自動車の位置や運転席の高さなどの様々な事情が考慮されますので、やはり「○メートル差があれば」という形の一般的な基準をお示しすることは難しいといえます。
もっとも、そうであるからこそ、先に申し上げたとおり、質問者様の場合についても【広路と認められる可能性がある】と言えるわけです。
さて、裁判所が上記のような基準を用いている以上、裁判所がどのような場合を「広路」と認めるかについては、過去の裁判例を分析してみるしかありません。
この点、質問者様からは幅員に関する情報のみをいただいておりますので、幅員に注目しながら過去の裁判例を見てみます(文献等から私が参照できたものに限ります)。
■一方の道路が「明らかに広い」と認められた事例
9.6m 対 3m
8.9m 対 4.4m
7m 対 3.5m
8.7~6.8m 対 4.6m(広島高判平15・12・24)
6m 対 4.2m(福岡高判昭43・11・16)
6m 対 3.8m(松山地宇和島支判昭42・8・12)
5.6m 対 2m
■「明らかに広い」とはいえないとされた事例
9m 対 7.9~5.5m(最二小判昭47・1・21)
8.85m 対 6.55~6.2m(東京高判昭45・11・19)
8.5m 対 5.4m(東京高判昭44・3・19)
4.9~4.77m 対 2.9m(東京地判平22・3・1)
・・・以上のとおり、「6m 対 4m」という幅員の情報のみからしますと、質問者様のケースは、裁判所が広路と認める可能性がある事例の最下限のあたりに位置しています(さらに、1.5倍以上または2m以上の差があっても、広路とされていないケースがあります)。
したがいまして、幅員の差だけからしますと、質問者様のケースは、【広路と認められる可能性はあるが、確実ではない】ということになります。
仮にこの点を裁判で争うことになれば、幅員以外の事情(隅切り・歩道・側溝や建物・視界等々)も考慮しつつ、丁寧な主張立証を行わなければならないでしょう。
また、そもそも本当に幅員は6m対4mであるのか(実際に「車道」とされる部分はどこか)といった検証も必要になると思われます。
以上、ご参考になさってみてください。
弁護士回答の続きを読む
この質問に関連する法律相談
去年、私〔バイク〕と相手〔車〕で事故になりました。
過失の割合が1:9です。
今現在、示談金交渉をしてます。
今回60万円程の示談金が提示されてますが、20万円程過失相殺されてます。
保険会社に問い合わせたのですが、治療費などが120万円を超えて...
私は片側2車線の幹線道路T字交差点を青信号で直進しようとしていました。速度超過はしていません。
あいてはT字交差点に面している、ガソリンスタンドから飛び出してきて、気が付いた時には目の前にいた状態です。急ブレーキを踏みましたが止まられない状況で、あ...
駐車場内で当方は出口に向かい直進(T字路)しておりました。もう少しで出口というところで、右側から加害車両(相手)が合流のためだと思われますが突然当方の車両右側面後方(リアタイヤの後ろ)に接触してきました。
駐車場内ではありますが相手の方に一時停止の...
相手側が14歳の少年3人で、自転車を信号機の無い交差点を走ってきました。そちら側には一時停止の標識があります。僕側は一時停止はありません。優先道路です。そして、少年3人はノンブレーキで走ってきて、僕がブレーキをかけたからギリギリでぶつからずに済みました。...
先日、右折車両同士の接触事故を起こしました。
相手の前方不注意の為、当初相手7:私3の過失割合でしたが、相手が優先道路であったようで、相手3:私7に逆転。
私は脇道から国道へ、相手は自分の職場敷地から国道への進入でお互い一時停止の標識で停止。
国道...
私は自転車で、自転車、歩行者道路を直進中、右の横道から出てきた軽自動車にはねられました。自動車側には一旦停止線があり、自転車側にはありません。お互いスピードがなくて、物損はないです。見通しは良いところです。
不幸なことに、わたしのアキレス腱が断裂しまだ...
交通事故に関する法律ガイドを見る
後遺障害8級の慰謝料|適正な慰謝料を受け取るためにできること
後遺障害等級第8級(「脊柱に運動障害を残すもの」などの症状)に認定された場合、被害者にはどのくらいの慰謝料が支払われるのでしょうか。慰謝料の相場には自賠責・任意保険・弁護士と3つの基準があり、金額が変化します。過去の判例を交えつつ紹介したいと思います。続きを読む
後遺障診断書を作成する際のポイントと弁護士に依頼するメリット
後遺障害に認定されると逸失利益や後遺障害慰謝料を請求することができ、損害賠償額の増額が見込まれます。今回は後遺障害診断書を作成する際のポイントと、その時に弁護士に作成サポートを依頼するメリットを紹介します。続きを読む
後遺障害13級の症状には、11号「内蔵の機能障害」や5号「5本以上の歯の欠損」、9号「片足の指の欠損」などがあります。症状の詳細や、等級認定を受けるためのポイントや手順、認定を受けた場合にもらえる慰謝料の相場や金額を紹介していきます。続きを読む
症状固定で治療費の打ち切りを打診された際の対策と自身で交渉する方法
症状固定前の保険会社の治療費打ち切りには妥当性があるのでしょうか。また症状固定前に保険会社から治療費の打ち切りを通告された場合にはどのような対応をするべきなのでしょうか。今回は症状固定前に治療費を打ち切られた際の対策について記載していきます。続きを読む
後遺障害等級は全部で14段階ありますが、後遺障害等級第8級は後遺障害等級の中では8番目に重い症状とされています。中間の等級ではありますが日常的な生活に戻ることが難しく、それまでの仕事も続けられないような重い後遺障害だとされています。後遺障...続きを読む
交通事故を弁護士に相談する際の流れ|事故発生~解決までの流れを解説
2020.3.27交通事故問題については、弁護士に対応依頼すると迅速な解決が望めます。ただし状況によって対応の流れは異なるため、速やかに手続きを済ませるためにも、解決までの流れを知っておきましょう。この記事では、交通事故を弁護士へ相談する際の流れや、解決までの流れを解説します。続きを読む