交通事故で弁護士を雇うデメリットは?慰謝料増額のメリットとの比較

交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼すると、示談交渉の手続きを一任できるだけでなく、慰謝料の増額が望めるという大きなメリットを得られます。

そのため、基本的に交通事故の被害者は弁護士を雇うことが推奨されています。

しかし、どんな状況でも弁護士を雇えば必ず得になるとは限りません。

当然、弁護士へ依頼するには費用が必要ですし、弁護士を探すのにも手間がかかります。

もし弁護士への依頼を検討するのであれば、そのメリットとデメリットの両方を正確に把握しておいたほうがよいでしょう。

そこで、本記事では交通事故の慰謝料問題を弁護士に依頼するメリット・デメリットについて解説します。

弁護士を雇うべきかの判断基準を確認したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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交通事故の慰謝料問題を弁護士に依頼するデメリットとメリット

交通事故の慰謝料問題を弁護士に依頼する具体的なデメリットとメリットは、以下のとおりです。

弁護士に依頼するデメリット

  • 依頼するには費用が必要
  • 依頼先の選定のために時間を費やす必要がある
  • 依頼を受けてもらえない可能性もある

交通事故の依頼の際には弁護士費用倒れに注意

弁護士へ依頼して慰謝料が増額できたとしても、その増額分が弁護士費用よりも少ないと費用倒れになってしまいます。

その場合は、弁護士に依頼しても金銭的には損になってしまうので注意が必要です。

ただし、通常は依頼前の相談時に弁護士から指摘してもらえます。

<弁護士に示談交渉を依頼する際の費用相場>

料金形態 着手金 報酬金
着手金あり 10万円~20万円程度 回収額の10%~20%程度
着手金なし 無料 10万円~20万円+回収額の15%~20%程度

また、弁護士だからといって全ての分野の法律問題を解決した経験があるとは限りません。

なぜなら、弁護士にはそれぞれ注力している分野があるからです。

交通事故の慰謝料請求を依頼しても、その弁護士が交通事故問題を扱っていなければ、「うちではできない」と断られてしまうケースもあり得るでしょう。

そのため、依頼先の選定で手間がかかることも、慰謝料請求を弁護士に依頼する際のデメリットであるといえます。

弁護士に依頼するメリット

  • 面倒な交渉手続きを弁護士に一任できる
  • 保険金が大幅に増額(妥当な額に)できる可能性が高い

和解の条件(保険金の額など)を決める示談交渉は、お互いが条件に納得できないと、難航して大きな手間がかかります

平日の日中に、加害者側の保険会社とのやり取りに時間を割いて何度も交渉をするのは、被害者にとってかなり重い負担となるでしょう。

その手間が一切なくなるのは、弁護士に依頼する大きなメリットです。

また、弁護士に依頼すれば、相手方の任意保険会社の基準ではなく、判例(過去の裁判結果)を参考にした適正な額の慰謝料を請求できます。

基本的には、弁護士に慰謝料請求を依頼すれば、慰謝料が増額するケースがほとんどです。

そのため、保険会社の提示する保険金が少ないと感じているのであれば、弁護士に相談をしたほうがよいでしょう。

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交通事故の慰謝料を左右する3つの基準

交通事故慰謝料を左右する3つの基準

次に、交通事故の慰謝料の計算方法を紹介します。

慰謝料とは、被害者の精神的苦痛を金銭に換算したものです。

この精神的な苦痛を数値化するというのはなかなか難しい問題です。

そのため、慰謝料の数値化の指標として、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つの基準が存在します。

慰謝料の額は「弁護士基準>任意保険基準>自賠責基準」で、弁護士基準が最も高額になりやすい傾向にあります

1.自賠責基準

自賠責保険とは、自動車を運転する人が必ず加入する強制加入保険です。

交通事故が起こった場合、まずは自賠責保険から保険金の支払いがおこなわれます。

そのため、自賠責基準は交通事故が起きた場合の最低限の補償基準に過ぎず、3つの中でも最も慰謝料の額が低い計算基準です。

2.任意保険基準

任意保険とは、自賠責保険でカバーされない損害部分を補償するために任意で加入する保険です。

一般的に広く自動車保険といわれているのが、この任意保険だと考えて問題ないでしょう。

自賠責保険で補填されない部分を全額補償することを目的とした保険のため、自賠責基準よりは補償が手厚い算出基準といえます。

ただし、各保険会社で基準が異なるうえ非公開であるため、外部からは確認できないという難点があります。

3.弁護士基準

弁護士基準は裁判所基準とも呼ばれており、裁判所の考え方や判例などを参考に東京三弁護士会の交通事故処理委員会が公表しているものです。

裁判実務上の慰謝料額の算定基準として運用されています。

判例に基づいて慰謝料が算出されるので、最も適正な基準であるといえるでしょう。

弁護士基準での請求には法律の知識が必要になります。

そのため、弁護士基準は弁護士に依頼した際に適用されるのが一般的です。

なお、慰謝料の額は3つの基準の中で最も高額になりやすい傾向にあります。

交通事故の慰謝料における各基準の比較

慰謝料の支払いには基準があります。

この項目では、基準ごとの金額にどの程度の差があるのか解説します。

入通院慰謝料の比較

自賠責基準における入通院慰謝料の計算方法

入通院慰謝料とは、交通事故が原因で入院や通院が必要になったことで生じる精神的な損害に対して支払われる慰謝料のことです。

原則としては、入通院期間によって定められた慰謝料額が査定されますが、各基準や症状によって金額に差があります。

各基準ごとの慰謝料は、以下のとおりです。

自賠責基準の計算式

入通院にかかった実治療日数を2倍した期間治療期間(治療開始から症状固定までの期間)を比べ、短い期間のほうが適用されます。

慰謝料は1日4,300円(2020年3月31日以前に発生した事故に関しては4,200円/日)と決まっています。

  1. 実通院日数×2
  2. 入通院期間

上記いずれかの少ないほうに4,300円/日をかけて計算します。

<入通院期間90日、実通院日数42日の場合>
  • 42×2<90 となるので、実通院日数の2倍である「84日」を採用
  • 84×4,300円=36万1,200円
<入通院期間90日、実通院日数48日の場合>
  • 48×2>90 となるので、治療期間である「90日」を採用
  • 90×4,300円=38万7,000円

任意保険基準の計算式

任意保険基準では明確な基準額は決まっていません。

ただし、一般的には、自賠責基準と同様に1日の慰謝料額を4,300円としたうえで、実治療日数や入通院期間に応じて保険会社が妥当とする金額が提示されることが多いです。

弁護士基準の計算式

では最後に、弁護士基準で計算した場合はいくらになるのかを計算してみましょう。

弁護士基準の場合は明確にその金額が決まっています

条件は同様に入通院期間90日、実通院日数42日の場合ですが、入院期間と通院期間にどの程度の差があるのかで金額は分かれます。

<弁護士基準の慰謝料>

被害状況 慰謝料(※)
通院なし、入院3ヵ月 145(92)万円
通院1ヵ月、入院2ヵ月 122(83)万円
通院2ヵ月、入院1ヵ月 98(69)万円
通院3ヵ月 73(53)万円

※( )の金額は、むちうちなどの他人から見てわかりにくい傷害を負った場合に適用

いずれにしても、ここでの自賠責基準の入通院慰謝料が38万7,000円を超えることはなく、弁護士基準のほうが高額になることがわかります。

この弁護士基準を用いる際は、下表のような基準額を基に入通院期間に応じた慰謝料額を算定するのが通常です。

<通常の弁護士基準による入通院慰謝料の表(単位:万円)>弁護士基準_入通院慰謝料

<むち打ち症で他覚症状がない場合に適用される入通院慰謝料表(単位:万円)>むち打ち症で他覚症状がない場合に適用される入通院慰謝料表

通院に対する一応の基準として、「1週間に少なくとも2日程度は通っていることが必要」「この表に記載がないほど治療期間が長引いた場合は前の月数の該当額との差額を考慮する」「症状が特に重い場合は2割増額する」などの考え方もあります。

詳しい内容を知りたい場合は、弁護士に相談してみることをおすすめします。

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後遺障害慰謝料の比較

後遺障害とは、交通事故の受傷により治癒しないまま残ってしまった機能障害・神経症状などのことです。

このような後遺障害には、むちうちの痛みや手足の痺れといった比較的軽微なものから、足が動かなくなってしまったといった重度のものまで、幅広い症状が含まれます。

後遺障害には症状の重さ別に等級が設定されており、この等級ごとに慰謝料の金額が変わってきます。

各基準での等級別の慰謝料は以下のとおりです。

<計算基準ごとの等級別の後遺障害慰謝料>
等級 自賠責基準
(2020年3月31日までに発生した事故)
任意保険基準(推定) 弁護士基準
第1級 1,150万円
(1,100万円)
1,600万円程度 2,800万円
第2級 998万円
(958万円)
1,300万円程度 2,370万円
第3級 861万円
(829万円)
1,100万円程度 1,990万円
第4級 737万円
(712万円)
900万円程度 1,670万円
第5級 618万円
(599万円)
750万円程度 1,400万円
第6級 512万円
(498万円)
600万円程度 1,180万円
第7級 419万円
(409万円)
500万円程度 1,000万円
第8級 331万円
(324万円)
400万円程度 830万円
第9級 249万円
(245万円)
300万円程度 690万円
第10級 190万円
(187万円)
200万円程度 550万円
第11級 136万円
(135万円)
150万円程度 420万円
第12級 94万円
(93万円)
100万円程度 290万円
第13級 57万円 60万円程度 180万円
第14級 32万円 40万円程度 110万円

入通院慰謝料と同様に、弁護士基準が最も高額であることがわかります。

ただし、後遺障害慰謝料を受け取るためには後遺障害等級の認定を受けることが必要です。

後遺障害の認定には、交通事故の被害者自らが申し立てる「被害者請求」と保険会社が申し立てる「事前認定」があります。

弁護士基準の慰謝料は高額であることから、認定を受けることができれば費用倒れになる可能性は低くなるでしょう。

弁護士に依頼すべきかの判断基準

交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼すべきかの判断基準は「弁護士基準での増額分>弁護士費用」になるかどうかです。

そのため、被害が大きいほど弁護士に依頼したほうがよいといえるでしょう。

特に、以下のいずれかの状況に該当する場合は、依頼をしたほうが得になる可能性が高いです。

  • 入通院期間が3ヵ月以上長引いている
  • 完治せずに後遺症が残った、または残る可能性がある
  • 交通事故で被害者が亡くなっている
  • 交通事故の過失が「被害者0:加害者10」である
  • 弁護士費用特約に加入している
用語解説
弁護士費用特約とは
保険会社が弁護士費用を立て替えてくれる保険サービスです。自身または同居している家族などの保険にこの特約が付属している場合は、ほぼ自己負担なく弁護士を雇うことが可能です。

また、上記の条件に該当していなくても、保険会社の提示する慰謝料が適正な額かわからない場合は、法律相談だけでも受けておくことをおすすめします。

弁護士に相談をすれば、適正な慰謝料の見積もりを出してもらえます

そこで、自分は依頼するべきかどうかアドバイスを受けるのが最も確実な判断方法です。

交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼すると250%の増額も夢ではない!

保険会社は営利企業なので、できることなら多額の支出(保険金の支払い)をしたくありません。

そのため、保険会社から最初に提示される保険金は、法律に基づいた適正な金額よりも低くなっているケースが多いです。

しかし、弁護士を通して公正な視点から(過去の事例や裁判所の考えを基に)増額を求めれば、当初提示された金額から大幅に増額した慰謝料の請求が可能です。

ここでは、保険会社が当初提示した金額が、弁護士を通して請求したことにより増額した事例を紹介します。

弁護士介入後の交通事故慰謝料増額事例

このように、弁護士に依頼して慰謝料が2倍以上に増額するケースもあるようです。

なお、交通事故で負わされた傷害が重いほど、慰謝料の増額幅は大きくなりやすいです。

そのため、交通事故で通院期間が長引いている状態であれば、弁護士に相談をして、自身が請求できる適正な慰謝料の額を確認しておいたほうがよいでしょう。

交通事故の慰謝料請求を得意とする弁護士を探すコツ

交通事故の慰謝料請求は、交通事故問題の解決経験が豊富な弁護士に依頼すべきです。

そのため、ベンナビ交通事故のような「交通事故問題を得意とする弁護士だけを紹介するサービス」を利用して、依頼先を探すのが最も効率がよいでしょう。

また、お住まいの地域にいる弁護士を探したい場合も、アクセス面だけで即決せず、法律事務所のホームページにて過去に解決した法律問題の事例を確認しておくことをおすすめします。

そこで、交通事故問題の解決例が多いようなら、依頼を検討しても問題ないでしょう。

ただし、いくら交通事故問題の対応経験が豊富だとしても、必ずしもあなたと相性がよい弁護士であるとは限りません。

話がわかりやすいか」「全ての質問にちゃんと答えてくれているか」などの点も考慮して依頼先を決めましょう。

さいごに|示談が成立する前に必ず弁護士に相談しよう

交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット
  • 慰謝料の大幅な増額が見込める
  • 示談交渉などの面倒な手続きを一任できる
デメリット
  • 依頼するには費用がかかる
  • 依頼先を探す手間がかかる
  • 必ずしも依頼を受けてもらえるとは限らない

基本的には、慰謝料の増額分と弁護士費用のどちらが大きくなるかが判断基準になります。

ただし、個人での判断は難しいので、法律相談で弁護士からアドバイスを受けたうえで判断するとよいでしょう。

交通事故の慰謝料については、基本的に示談が成立してしまうとやり直しができません

判断を誤って後悔することがないよう、まずは弁護士との法律相談の利用をおすすめします。