交通事故や自転車事故など、事故はいつ起きてしまうか分からないものです。弁護士費用を用意できず泣き寝入りとなってしまうケースも少なくありません。
ベンナビ弁護士保険は、弁護士依頼で発生する着手金を補償する保険です。
交通事故だけでなく、自転車事故、労働問題、離婚、相続トラブルなど幅広い法的トラブルで利用することができます。
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後遺障害等級第11級と認定される症状の半分は眼や耳に関することですが、日常生活を送る上で重大な支障をきたす訳ではないものの、労働能力喪失率は20%であり、被害者が後遺障害として認定を求めるか、泣き寝入りしてしまうかの見極めが難しいところでもあります。
また、本来なら後遺障害等級が12級と判断されるものでも、併合で第11級と認定されるケースが多くありますので、まずは内容をご覧いただきまして、該当するものがあれば専門家に相談する価値があると言えます。
今回は、後遺障害11級と認定される症状や、後遺障害等級11級となった場合に、どの程度の損害賠償になるのかなどをご紹介します。
まずは後遺障害等級11級となる後遺症をまとめてみました。
表:後遺障害等級『第11級』と保険金限度額
等級 |
後 遺 障 害 |
自賠責保険 行為障害慰謝料 |
労働能力喪失率 |
第11級 |
1号:両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの |
136万円 (2020年3月31日以前に 発生した事故は135万円) |
20% |
2号:両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの |
|||
3号:1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの |
|||
4号:10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの |
|||
5号:両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの |
|||
6号:1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの |
|||
7号:脊柱に変形を残すもの |
|||
8号:1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの |
|||
9号:1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの |
|||
10号:胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの |
2分の1が具体的にどの程度の範囲かは年齢によって違っており、専門医の検査によって数値化する必要があります。もし交通事故後に目の異常を感じたらすぐに眼科医を受診されるのが良いでしょう。
具体的な病名で言うと、「Horner症候群」「動眼神経麻痺」「眼瞼外傷」「外転神経麻痺」が11級2号に当てはまると思われます。
目を閉じたとき目を覆いきれない場合に後遺障害等級第11級3号と認定されます。もし両眼の瞼が同じ症状であれば後遺障害等級は第9級4号に引き上げられますが、片目だけだは11級3号です。ちなみに、右目左目の区別はありません。
交通事故が原因で10本以上の歯を無くしたり、使用不能なほどの損傷を受けた場合は、後遺障害等級第11級の4級に認定されます。「歯科補綴(しかほてつ)を加えたもの」とは、歯の治療を意味し、クラウンやブリッジ、差し歯といった歯科治療を施せば一応の機能は回復するものの、10本の歯を失ったら、仮に治療をしても後遺障害として認定されます。
そのままの意味ですが、具体的な検査レベルでは、よく聴力テストでやらされた「ピー」といった音が40dB以上で聴こえるか否かが基準とされています。
これも後遺障害等級の説明の中では比較的わかりやすい部類ですね。具体的な数値でいうと、片方の耳が70dB ~ 80dB未満で、言葉を言葉として聴き取れる明瞭度が最高50%以下の場合です。
後述しますが、後遺障害の申請は保険会社に任せると危険がかなり多くなります。症状固定を行う前に耳が何かおかしいと思ったら、ぜひ耳鼻科で検査を受けることをお考えください。
後遺障害等級第11級7号の注意点としては、脊椎が変形しているのに神経麻痺などの運動障害が起きていないことです。運動機能に支障はないけど、レントゲンで見ると背骨の一部が潰れている場合などは認定されます。
これは片手の人差し指と中指または薬指のうちのどれか1本を失った場合に認定されます。後遺障害等級表における“指を失ったもの”という扱いは、親指以外の第2関節より先を切断してしまったケースとされています。(親指は第1関節)
後遺障害等級第11級9号は足指の後遺症になります。片足の親指を含む2本以上の指の用を廃した場合に11級9号が認定されます。「用を廃した」というのは、以下のような状態であると設定されています。
後遺障害等級第11級9号は最大で親指と3本分の障害までが対象で、片足の足指全てが用を廃したのであれば、後遺障害等級は第9級15号になります。覚えておきましょう。
労働損失率が20%ということは、健常者に比べると約8割程度の労働力しかないということになります。しかし、内臓器による後遺症は健常者と同じ労働能力を有するものと判断されるため、内臓障害がどの程度仕事に影響を及ぼすかによって等級は上下します。
実際、後遺障害等級が上がるのか下がるのか診断する医師の診察次第なところがあるのは事実ですので、医師の書く後遺障害診断書は「等級を取りやすい書き方」で作成するようお願いしておくことが大切です。
後遺障害等級11級が認定された場合の後遺障害慰謝料と、損害賠償の相場は以下の表のようになっています。
項目 |
金額 |
---|---|
自賠責保険の後遺障害慰謝料額 |
136万円 |
弁護士基準の後遺障害慰謝料額 |
420万円 |
労働能力喪失率 |
20/100 |
一般的によく言われる「慰謝料3,000万円」などの高額な金額は、交通事故被害における損害賠償額のことを指しており、【治療費用+入院雑費+休業損害+入通院慰謝料+後遺障害慰謝料】の総額である損害賠償額を慰謝料と呼んでいたりします。
慰謝料を計算する場合、損害賠償金に対して、慰謝料単体には以下の3つの項目があります。
請求項目 |
内容と慰謝料の相場 |
入通院慰謝料 |
自賠責保険で1日あたり4,300円(2020年3月31日以前に発生した事故の場合、4,200円) |
後遺障害慰謝料 |
後遺障害に対する慰謝料は後遺障害等級に応じて異なる。自賠責保険における後遺障害等級第11級では136万円。 |
死亡慰謝料 |
死亡事故の慰謝料の目安は、一家の大黒柱に対して2,600~3,000万円、これに準ずる者(配偶者など)に対して2,300~2,600万円、それ以外の者に対して2,000~2,400万円。 |
後遺障害等級の有無にかかわらず、交通事故の被害にあった際は病院による治療で発生する通院や入院が必要になるケースがあります。自賠責保険の入通院慰謝料には下記のような計算式で求めることができます。
この2つの計算式を比べて日数が少ない方を採用するとしています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
交通事故の治療で90日間入院し、
通院期間が150日間(実際は100日)だった場合
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・1:90+150=240日
・2:190×2=380日
となるので、240日×4,200円=1,032,000円
第1級 |
第2級 |
第3級 |
第4級 |
第5級 |
第6級 |
第7級 |
1,150万円 (1,100万円) |
998万円 (958万円) |
861万円 (829万円) |
737万円 (712万円) |
618万円 (599万円) |
512万円 (498万円) |
419万円 (409万円) |
第8級 |
第9級 |
第10級 |
第11級 |
第12級 |
第13級 |
第14級 |
331万円 (324万円) |
331万円 (245万円) |
190万円 (187万円) |
136万円 (135万円) |
94万円 (93万円) |
57万円 |
32万円 |
交通事故の場合に加害者側に請求できる費用については、以下にあるものを基本的に請求していくことになります。
治療関係費 |
後遺障害が認定された場合は「後遺障害診断書作成料」も請求可能。 |
看護料 |
通院付添費として2,050円/日 |
入通院慰謝料 |
1日あたり4,300円 |
入院雑費 |
1日につき1,500円 |
通院交通費 |
通院に要した交通費 |
その他 |
将来の介護費・装具購入費・学費・家庭教師代など |
休業損害 |
月給×休んだ期間(入院期間)で算定 |
傷害慰謝料 |
入通院期間に基づいて算定(あまりにも入院などが長い場合) |
逸失利益 |
後遺障害が残ったことで失われた利益 【逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×中間利息控除係数】 |
後遺障害慰謝料 |
後遺障害が認定された場合に請求します。 |
今回はモデルケースとして以下の人物を想定し、損害賠償金を計算していきます。
<<モデルケース>>
38歳の会社員が交通事故に遭遇。
入院90日。通院日数150日間(実際は100日)
事故前の年収650万円
後遺障害11級に該当
付添人は妻が担当したと仮定
妻は近親者となる為、
看護料=2,050×100(実際の通院日数)= 20万5000円
休業損害とは、交通事故で負傷した人が入院や通院で仕事を休んだ場合に受けた損害を請求するものです。今回のモデルケースでは、年収650万円ですので、月給に換算すると約54万円になり、入院期間は90日ですので約3ヶ月です。
休業損害=54万円×3ヶ月=162万円
まずは労働能力喪失率を以下の表を参考に算定していきます。
表:労働能力喪失率表
後遺障害等級 |
労働能力喪失率 |
後遺障害等級 |
労働能力喪失率 |
第1級 |
100/100 |
第8級 |
45/100 |
第2級 |
100/100 |
第9級 |
35/100 |
第3級 |
100/100 |
第10級 |
27/100 |
第4級 |
92/100 |
第11級 |
20/100 |
第5級 |
79/100 |
第12級 |
14/100 |
第6級 |
67/100 |
第13級 |
9/100 |
第7級 |
56/100 |
第14級 |
5/100 |
今回は後遺障害等級第11級ですので、労働能力喪失率は20%です。次に中間利息控除係数(ライプニッツ係数)を下記の表を参考に算定していきます。
これは、67歳で定年退職をすると仮定して、現在の年齢から算定していきます。
喪失期間(年) |
ライプニ |
喪失期間 |
ライプニ |
喪失期間 |
ライプニ |
喪失期間 |
ライプニ |
1 |
0.9524 |
18 |
11.6896 |
35 |
16.3742 |
52 |
18.4181 |
2 |
1.8594 |
19 |
12.0853 |
36 |
16.5469 |
53 |
18.4934 |
3 |
2.7232 |
20 |
12.4622 |
37 |
16.7113 |
54 |
18.5651 |
4 |
3.546 |
21 |
12.8212 |
38 |
16.8679 |
55 |
18.6335 |
5 |
4.3295 |
22 |
13.163 |
39 |
17.017 |
56 |
18.6985 |
6 |
5.0757 |
23 |
13.4886 |
40 |
17.1591 |
57 |
18.7605 |
7 |
5.7864 |
24 |
13.7986 |
41 |
17.2944 |
58 |
18.8195 |
8 |
6.4632 |
25 |
14.0939 |
42 |
17.4232 |
59 |
18.8758 |
9 |
7.1078 |
26 |
14.3752 |
43 |
17.5459 |
60 |
18.9293 |
10 |
7.7217 |
27 |
14.643 |
44 |
17.6628 |
61 |
18.9803 |
11 |
8.3064 |
28 |
14.8981 |
45 |
17.7741 |
62 |
19.0288 |
12 |
8.8633 |
29 |
15.1411 |
46 |
17.8801 |
63 |
19.0751 |
13 |
9.3936 |
30 |
15.3725 |
47 |
17.981 |
64 |
19.1191 |
14 |
9.8986 |
31 |
15.5928 |
48 |
18.0772 |
65 |
19.1611 |
15 |
10.3797 |
32 |
15.8027 |
49 |
18.1687 |
66 |
19.201 |
16 |
10.8378 |
33 |
16.0025 |
50 |
18.2559 |
67 |
19.2391 |
17 |
11.2741 |
34 |
16.1929 |
51 |
18.339 |
|
|
逸失利益=
基礎年収650万円×0.2×15.1411=1968万3430円
合計:2,605万1,430円
もっとも有効な方法は、後遺障害の申請を「被害者請求で行う」ことです。通常は相手方の保険会社が手続きなどを行ってくれますが、冷静に考えてみると、相手の保険会社はあなたに支払う保険金をできるだけ低くしたいと考えているので、あなたの望む結果が出やすいはずがありません。
大事なことは自分でやるのが良いということですね。
慰謝料と損害賠償の計算を先ほど行いましたが、それはあくまでも自賠責保険基準で算定した結果であり、最低限の保証しか得られない基準となっています。これを弁護士基準で計算するだけで、慰謝料や損害賠償金は大幅にアップします。
表:基準別の後遺障害慰謝料の違い(上:自賠責、下:弁護士)
第1級 |
第2級 |
第3級 |
第4級 |
第5級 |
第6級 |
第7級 |
1,150万円 (1,100万円) |
998万円 (958万円) |
861万円 (829万円) |
737万円 (712万円) |
618万円 (599万円) |
512万円 (498万円) |
419万円 (409万円) |
2,800万円 |
2,370万円 |
1,990万円 |
1,670万円 |
1,400万円 |
1,180万円 |
1,000万円 |
第8級 |
第9級 |
第10級 |
第11級 |
第12級 |
第13級 |
第14級 |
331万円 (324万円) |
331万円 (245万円) |
190万円 (187万円) |
136万円 (135万円) |
94万円 (93万円) |
57万円 |
32万円 |
830万円 |
690万円 |
550万円 |
420万円 |
290万円 |
180万円 |
110万円 |
表:通常の弁護士基準による入通院慰謝料の表(単位:万円)
|
入院 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
通院 |
|
53 |
101 |
145 |
184 |
1月 |
28 |
77 |
122 |
162 |
199 |
2月 |
52 |
98 |
139 |
177 |
210 |
3月 |
73 |
115 |
154 |
188 |
218 |
4月 |
90 |
130 |
165 |
196 |
226 |
5月 |
105 |
141 |
173 |
204 |
233 |
6月 |
116 |
149 |
181 |
211 |
239 |
7月 |
124 |
157 |
188 |
217 |
244 |
8月 |
132 |
164 |
194 |
222 |
248 |
9月 |
139 |
170 |
199 |
226 |
252 |
10月 |
145 |
175 |
203 |
230 |
256 |
11月 |
150 |
179 |
207 |
234 |
258 |
12月 |
154 |
183 |
211 |
236 |
260 |
13月 |
158 |
187 |
213 |
232 |
262 |
14月 |
162 |
189 |
215 |
240 |
264 |
15月 |
164 |
191 |
217 |
242 |
266 |
表:むち打ち症で他覚症状がない場合に適用される入通院慰謝料表(単位:万円)
|
入院 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
通院 |
|
35 |
66 |
92 |
116 |
1月 |
19 |
52 |
83 |
106 |
128 |
2月 |
36 |
69 |
97 |
118 |
138 |
3月 |
53 |
83 |
109 |
128 |
146 |
4月 |
67 |
95 |
119 |
136 |
152 |
5月 |
79 |
105 |
127 |
142 |
158 |
6月 |
89 |
113 |
133 |
148 |
162 |
7月 |
97 |
119 |
139 |
152 |
166 |
8月 |
103 |
125 |
143 |
156 |
168 |
9月 |
109 |
129 |
147 |
158 |
169 |
10月 |
113 |
133 |
149 |
159 |
170 |
11月 |
117 |
135 |
150 |
160 |
171 |
12月 |
119 |
136 |
151 |
161 |
172 |
13月 |
120 |
137 |
152 |
162 |
173 |
14月 |
121 |
138 |
153 |
163 |
174 |
15月 |
122 |
139 |
154 |
164 |
175 |
・後遺障害慰謝料:135万円 → 420万円
・入通院慰謝料 :100万8000円 → 204万円
これだけでも、400万円以上の増額が見込めます。さらに、後遺障害等級が不当に下げられたりしていた場合や、保険会社との交渉も行ってくれますので、適切な後遺障害等級の獲得や、交通事故のあらゆる被害で損をしないためには、弁護士に依頼されることをご検討ください。
いかがでしたでしょうか?
後遺障害等級が一つ下がるたびに、慰謝料は40万円以上、保険金額は130万円以上も低くなり、適切な等級認定がされないばかりか、被害者なのに払いきれない治療費が負債となってあなたを襲う可能性も考えられます。
後遺障害等級の問題に限らず保険金などに不満がある場合は、弁護士などの専門家に相談することを検討していただければ幸いです。
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後遺障害等級9級に認定される症状の特長と被害者が請求できる慰謝料の相場をご紹介します。後遺障害が関わる事故では手続きの進め方によって慰謝料が100万円以上増額す...
今回お伝えする内容は、後遺障害等級12級に該当する症状と認定の方法、そして、後遺障害等級12級の適切な慰謝料を獲得する7つの知識をご紹介します。
【弁護士監修】交通事故で後遺障害となり第14級と認定された場合、後遺障害慰謝料の相場がいくらになるのか、計算方法や示談金額、第14級の認定基準などを徹底解説。正...
後遺障害10級には、肩・腕・手や股関節・膝・足を骨折して可動域が2分の1以下に制限された場合が含まれます。本記事では、後遺障害10級の具体的な症状や認定基準、後...
交通事故で発症した手や足のしびれは、症状が後遺症として残るケースがあります。そのような場合は後遺症に関する損害賠償を請求するため、後遺障害認定を受けなければいけ...
後遺障害の慰謝料とは、交通事故に被害で負った後遺症が、後遺障害等級認定をされた際に請求できる慰謝料のことで、交通事故の損害賠償の中でも相場を引き上げる要因にもな...