事故の状況
バイクに乗って自車線を走行して交差点に進入したところ、対向車線を走行していた普通乗用自動車が前方を注視することなく交差点を右折したため、直進中のバイクと衝突しました。
【受傷部位・傷病名詳細】右上腕開放骨折、びまん性脳損傷、急性硬膜化血腫、頭蓋底骨折、頚椎横突起骨折
依頼内容
バイクの修理費用の交渉の際は、過失割が35:65(被害者:加害者)でしたが、怪我の賠償金が提示された際は、逆転して60:40になっていました。
これまで親身になっていた保険会社が打って変わって「過失は覆らない」と言い、根拠となる裁判例が送られてきたりしたため、困り果てて来所されるに至りました。
対応と結果
当初は過失割合について争いたいという意向をお持ちでしたが、持参してきた資料を弁護士がチェックした結果、後遺障害等級についても争う余地があると判断いたしました。
被害者本人と面談し、認定された後遺障害等級について異議を申立てる方針を固め、立証資料の作成に着手致しました。
その時点で後遺障害診断書が作成されてから既に1年が経過しておりましたが、医師面談を経て、何とか病院の協力を取り付け、異議申立を行うこととしました。
結果、高次脳機能障害については9級10号から7級4号へ変更され、全体では併合2級との結果を得ることが出来ました。
後遺障害等級が上がると示談交渉に際しても大きなアドバンテージを得ることができます。個々の損害項目について増額を求めることができる他、新たな損害項目についても請求することが可能になるためです。
今回の事例はまさにそのような事例で、高次脳機能障害が9級10号に留まる場合には付添介護費用や将来介護費用を認めた裁判例が皆無なのに対して、7級4号であれば介護費用を認めた裁判例も無いわけでは無かったため、被害者の生活状況を聴取したうえで、堂々と介護費用を請求致しました。
この介護費用がストレートに認められることは無かったのですが、将来の器具装具購入費用を一部認めてもらうだけでなく、これを一つの武器として過失割合について相手方の保険会社に対して譲歩を迫ることができました。
とはいえ、こちらの落ち度も無いわけでは無かったことから、訴訟に移行した場合のリスクも踏まえ、示談によって解決することとなりました。