事故の状況
原付バイクを運転中に交差点で車と衝突し、過失割合は50%:50%。入院4か月・通院1年の重傷を負い、後遺障害10級11号が認定された。
依頼内容
後遺障害10級11号に認定されたことを受け、相手方保険会社から示談として1420万円を支払う提案がありました。
当初、相談者は高額な提示額に満足し、示談に応じようと考えていましたが、友人から「金額が適正かどうか一度弁護士に確認したほうがいい」と勧められたことで、当事務所に相談にいらっしゃいました。
相談を受けた弁護士が提示内容を精査したところ、賠償額に不適切な点が多く、裁判基準で算定されるべき金額には大きく届いていないことが判明。
これを相談者に説明し、最適な結果を目指すべく代理人として交渉をお引き受けすることになりました。
対応と結果
【休業損害:0円 → 960万円】
保険会社の提示額には、休業損害が一切含まれていませんでした。
相談者は当時、学生で就職活動中でしたが、事故の影響で十分な活動ができず、新卒としての就職が叶わず結果的に就職が2年遅れることとなりました。
通常、休業損害の請求には職場からの証明書が必要ですが、相談者は就職活動中のためこれを提出できませんでした。
保険会社はこれを理由に、就職の遅延を一切考慮せずに賠償額を提示していました。
弁護士が交渉に介入し、大学卒業男性の平均賃金を基準に算出した2年分の損害額960万円を認めさせることに成功しました。
【入通院慰謝料:200万円 → 260万円】
入通院慰謝料について、保険会社は独自の基準で金額を提示していましたが、裁判基準で算出される妥当な金額は260万円でした。
弁護士が保険会社と交渉を行った結果、裁判基準に基づいた260万円での解決に至りました。
【後遺障害慰謝料:300万円 → 460万円】
後遺障害等級10級における適正な慰謝料額は550万円とされています。
しかし、相手方は頑なに460万円以上の支払いを拒否しました。
通常であれば訴訟を検討する場面ですが、相手方が認めた960万円の休業損害は、訴訟となった場合に300万円程度に減額される可能性が高いことを考慮し、最終的に460万円で示談に応じました。
この判断により、相談者にとって全体の賠償額を最大化する結果となりました。
また、相談者は弁護士費用特約に加入していたため、弁護士費用の負担なくこれらの成果を得ることができました。
保険会社が提示する賠償額には、故意に低い金額を提示する場合と、担当者の知識不足が原因で適正額を示せない場合があります。
故意の場合、弁護士が介入し適切な根拠を示すことで、保険会社の態度を改めさせることができます。
一方で、担当者の知識不足が原因の場合でも、裁判基準に基づいた最大限の請求を行うことで、想定以上の賠償を得られるケースも少なくありません。
本件では、友人の勧めで弁護士に相談されたことで、大幅な増額が実現しました。
そのまま示談していた場合、大きな差額を見逃してしまっていた可能性があります。