事故の状況
被害者は、横断歩道を自転車を押しながら歩いている際に、側道を直進してきた自動車と衝突し、頚椎捻挫と腰部捻挫の怪我を負いました。事故後、整形外科での治療を続け、症状が固定されるまでに実際に通院した日数は143日、通院総日数は233日となりました。
依頼内容
交通事故による怪我のため、日常の家事が十分に行えず、専業主夫としての休業損害を請求したいとの依頼がありました。被害者側は実際の通院日数143日分を休業損害として主張するために、当事務所に来所されました。
対応と結果
弁護士は、家事従事者としての休業損害を立証するために、基礎収入として平成22年の女性の平均賃金(1日9478円)を基準に請求しました。
一方で、保険会社は自賠責基準に基づく1日5700円を主張してくることが多いため、休業損害の認定を巡って争いました。
裁判所は、基礎収入については被害者側の主張を認めたものの、休業期間については、むち打ちの回復過程を考慮し、症状固定までの233日間のうち平均して約4割の家事労働が制限されたと認定しました。
その結果、
1日9477円 × 233日 × 0.4 = 88万3256円
の休業損害が認められました。
専業主夫であっても、家事という労働に対する賠償請求が可能です。
今回は平均賃金を基に、適正な基礎収入を算定することで、家事労働の影響を考慮し、症状固定までの期間の一部について損害が認定することができました。
この事例は、家事を担う男性であっても適正な休業損害を請求できる可能性を示した重要な判例です。
交通事故で家事労働に影響が出た場合には、専業主婦・専業主夫を問わず、弁護士に相談することで適正な補償を受けられる可能性があります。