事故の状況
被害者は自転車に乗り、車道の右端を走行していました。その時、前方から進行してきた普通貨物自動車とすれ違う際、自転車がバランスを崩して転倒し、被害者と貨物自動車が衝突しました。
この事故により、被害者は外傷性くも膜下出血、脳幹挫傷、頚椎損傷などの重大な傷害を負い、その結果、遷延性意識障害をはじめとする重篤な後遺障害が残りました。現在、被害者は常に介護が必要な状態となってしまいました。
依頼内容
本件について、相手方の保険会社は、運転者は被害者の転倒を予測できず、衝突を回避することもできなかったため、運転者は無責である(責任を負わない)と主張しました。しかし、ご家族はこの主張を到底受け入れられないとして、当事務所へご相談されました。
対応と結果
この事案では、被害者が自転車で走行中に事故に遭い、重大な後遺障害を負いました。被害者の高次脳機能障害や醜状障害などが見落とされていたため、診断書を精査し、高次脳機能障害の後遺障害等級が適切でないこと、醜状障害の存在が見落とされていることを指摘しました。後遺障害診断書の内容について異議申し立てを行いました。
最終的に、高次脳機能障害の等級が5級から3級に変更され、醜状障害が7級に認定されました。さらに、嗅覚障害(12級)と併合し、併合1級の認定を得ることができました。
裁判では以下の3点が争われました。
① 後遺障害等級
被告は軽度であると主張しましたが、被害者の重篤な症状を裏付ける証拠を提示し、3級という妥当な等級を認定させました。
② 将来介護費の額
被害者は高次脳機能障害が重度であり、日常生活で見守りや声掛けが必要だったため、将来介護費を日額3,000円として認めさせました。
③逸失利益の有無・金額
被害者は当時、高校生でしたが、事故後には就労予定があり、逸失利益の算定を主張しました。被告は年齢や就労状況を考慮して認めるべきでないとしましたが、就業予定だった会社の関係者の陳述書などを準備し、裁判所は賃金センサスを基に逸失利益を認定しました。
慰謝料については以下の内容で認定されました。
入通院慰謝料:350万円
後遺障害慰謝料:2,800万円
合計:3,150万円
和解により、最終的に以下の金額を受け取ることができました。
自賠責保険金:4,000万円
人身傷害保険金:6,000万円
和解金:1,500万円
合計:1億1,500万円
また、被害者が成人となったため、成年後見手続きを行い、今後の生活支援に関してもサポートを提供しました。
このように、十分な準備と主張により、被害者とご家族にとって納得のいく結果を得ることができました。