事故の状況
横断歩道を渡っている最中に自動車に追突
依頼内容
主婦のご依頼者様が横断歩道を渡っている最中に自動車に追突され、緊急搬送されたという重大な事故の事案です。相当大きな事故であったため、ご依頼者様の親族様が今後のサポート全般に対して大きな不安を抱えていらっしゃいました。そこで当職が出張相談を行い、詳しくお話をお伺いしました。
対応と結果
事故により緊急搬送されたご依頼者様は、奇跡的に整形外科の治療は順調に進みました。しかし、嗅覚が失われていることに気づき、残念ながら回復には至りませんでした。そこで、嗅覚脱失の後遺障害認定を申請することになりました。意識回復後、今後のサポート全般に不安を感じていらっしゃったため、弁護士が依頼を引き受けました。
嗅覚障害については、頭部外傷に基づく嗅覚の脱失(においが全く感じられない)が12級相当、嗅覚の減退(においの感じ方が鈍くなる)が14級相当とされています。問題となるのは、その立証です。これには、診療記録などの医療経過に加え、アリナミンテストやT&Tオルファクトメータの検査結果などによる立証が必要です。
本件では、ご依頼者様に別の病院で専門的な検査を受けていただいた結果、後遺障害12級に該当するとの認定を受けることができました。
本件における最大の論点は、ご依頼者様の嗅覚障害によって逸失利益が認められるのか、という点でした。つまり、嗅覚に障害が残ることで、ご依頼者様が得られたであろう利益がどのように失われるのか、という点が問われました。
この点について、ご依頼者様が主婦であること、そして嗅覚喪失による家事労働への支障が著しいことを強く主張しました。具体的には、嗅覚がなくなったことでお味噌汁の味にも影響が出たり、料理が怖くてできなくなってしまった等の事実を複数挙げていきました。このように、嗅覚脱失が家事労働に与える深刻な影響を具体的に主張することで、神経症状の後遺障害と合わせて、1050万円ほどの示談金を獲得することができました。
嗅覚障害や味覚障害などの後遺障害を認定してもらうためには、専門的な検査が不可欠です。これを怠り、自覚症状だけで主張しても良い結果が得られない場合が多いため、その際には医師や弁護士に相談されることをお勧めします。
また、嗅覚障害や味覚障害は、一般的に事務作業や肉体労働に直接的な影響を与えないとされ、後遺障害による逸失利益が認められなかったり、認められても減額される傾向にあります。これに対しては、現実の労働や日常生活にどのような影響が生じているのかを具体的に主張していくことが極めて重要です。
最後に、この方は病院から直接事務所にご連絡をいただき、来所が難しかったため出張相談をさせていただきました。出張相談につきましても、場合によっては無料で対応させていただいている事例も多数ございますので、まずはお気軽にご連絡いただければと思います。