白タク営業の解禁を検討中|私たちの生活の何が変わるか

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白タク営業の解禁を検討中|私たちの生活の何が変わるか

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白タクとは、タクシー事業の許可を受けていない者がタクシーを運行することを言います。また、“ライドシェア”とは“相乗り”を指し、乗り合いバスのようなサービスをタクシーで実現しようというものです。

 

ICT技術を応用した配車サービスで注目が集まりつつある、白タクについて説明をしていきます。

 

白タク解禁へー“ライドシェア”解禁検討

身近になる輸送サービスと輸送の効率化 

『Uber』に代表される配車サービスにより、私たちの暮らしにおける移動は、より快適かつスムーズに行えるようになってきました。こうしたICT技術を応用した、新しい技術革新は私たちの生活に大きな変化をもたらしています。

 

政府は現在、規制改革推進会議で“利用者ニーズに応える新たなタクシーなどの移送サービス実現”について、継続的に検討をしています。

 

この議題の内容の中心は、“ライドシェア”事業についての検討や、その対象の枠を自家用車まで広げるという、いわゆる白タク事業の検討です。しかし、白タク解禁については、国土交通省やタクシー事業者などから異論が出ています。

 

規制緩和による経済の活性化

政府が検討する規制緩和の目的は、経済の活性化です。例えばタクシー事業のような人員輸送事業においては、近年、市場の拡大に伸び悩んでいます。

 

2000年代前半に、一度はタクシー事業の参入の要件として、需要と供給のバランスを考慮して調整をかける規制が廃止され、定められた安全基準を満たせば許可が出るようになるなど、規制緩和によってタクシー事業者数は増加しました。

 

一方でタクシー利用者の数についてはリーマンショック(2008年ごろ)を境に減少し、近年は横ばいよりやや減少している状況です。

参考:国土交通省HP 「ハイヤー・タクシー事業者数」「ハイヤー・タクシーの車両数と輸送人員」

 

こうした中、アメリカや中国では“ライドシェア”と呼ばれる、タクシーの相乗りサービスの提供、自家用車による人員輸送のマッチングアプリ等の新たなサービスが広がりをみせています。

 

アメリカや中国での取り組みは、人員輸送分野(日本での従来の“タクシー事業”分野)について、大きく需要を掘り起こし、市民と輸送サービスをいっそう近づけています。

 

 

白タクが交通事故を起こした場合の法的責任 

白タク解禁の検討により、私たちの移動における利便性が大きく向上するかもしれない一方で、2016(平成28)年度国土交通白書で指摘される白タク事業、運行管理や車両整備等について、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を消極的に捉える意見があります。

 

以下、こうした白タクにまつわる問題を説明していきます。

 

誰が損害の賠償をしてくれるのか

白タクを利用するときに気になるのは、手軽なサービスである反面、例えば交通事故が起きた場合に十分な補償を受けられるのかが不安な点です。

 

その要点は、タクシー事業者以外が白タクとして、人員輸送の市場に参入した場合、運行の安全の確保は誰がしてくれるのかということです。

 

先ほど挙げた例で考えると、もし事故が起きた場合、そのサービスを提供している事業者が十分な補償を行うために、最低限必要な保険に加入しているかどうかについて、誰が監視するのかという問題があります。

 

個人が白タク行為をした際に事故に遭遇すると、加害者の場合も被害者の場合も、自賠責保険のみの加入であった場合には、乗客の補償が十分でない可能性が高くなります。

 

一般のタクシーを利用した場合には、最終的にはタクシー会社より、乗客は十分な補償を請求することが可能です。しかし、一般のドライバーが運行することを前提とする白タクにおいては、その補償できる範囲が限定される可能性があります。

 

この点につき、白タク事業、ライドシェア解禁をにらみ、国土交通省自動車局が2017年8月に通達を出しています

参考:国土交通省HP

 

白タク事業の問題点

白タク事業の問題点としては、その運行の管理・車両の整備に始まり、事故が起きた場合の十分な補償の確保はどのように行うのかが問題です。

 

この点について、国土交通省による、過疎地での輸送(人員・貨物)を行うことを前提とした通達に、“原則として、被害者1名につき保険金の限度額が無制限であり、一般貨物自動車運送事業に適用される保険に加入していることを確認することとする。”と指針が示されています。

 

つまり、原則として対人・対物が無制限となるような保険に加入していることを確認しないと、運行許可は出さないということです。

 

しかし、車両の整備については道路運送車両法47条に使用者として保安基準を維持するように点検をする責任があることが明記されています(その他点検・整備責任について:同法47~50条参照)。

 

また、地方運輸局長を主体とする整備命令等の規定が道路運送車両法54条から54条の3に定められています。

 

第五十四条 地方運輸局長は、自動車が保安基準に適合しなくなるおそれがある状態又は適合しない状態にあるとき(次条第一項に規定するときを除く。)は、当該自動車の使用者に対し、保安基準に適合しなくなるおそれをなくするため、又は保安基準に適合させるために必要な整備を行うべきことを命ずることができる。

2 地方運輸局長は、自動車の使用者が前項の規定による命令又は指示に従わない場合において、当該自動車が保安基準に適合しない状態にあるときは、当該自動車の使用を停止することができる。

引用元:道路運送車両法第54条

第五十四条の二 地方運輸局長は、自動車(小型特殊自動車を除く。)が保安基準に適合しない状態にあり、かつ、その原因が自動車又はその部分の改造、装置の取付け又は取り外しその他これらに類する行為に起因するものと認められるときは、当該自動車の使用者に対し、保安基準に適合させるために必要な整備を行うべきことを命ずることができる。
引用元:道路運送車両法第54条の2

第五十四条の三 地方運輸局長は、前条の規定の施行に必要な限度において、自動車又はその部分の改造、装置の取付け又は取り外しその他これらに類する行為を行つた者に対し、その業務に関し報告をさせ、又はその職員に、当該者の事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
引用元:道路運送車両法第54条の3

 

 

まとめ

ICT技術の向上により、新しい技術、新しいサービスが次々と生まれてきていますが、他方で法律等制度面の整備がどうしても後追いとなってしまいます。

 

しかしながら、規制緩和による技術革新の推進は、地域の交通インフラの確保や交通経済の活性化へ寄与する可能性が高い重要な要素です。技術革新の確保とそのリスクや運用面など、バランスをとりながら議論を深めていくことが重要です。

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編集部

本記事は交通事故弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※交通事故弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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