事故の状況
公務員であるご依頼者様が、事故により仕事が困難になるほどの重症を負った事例です。
依頼内容
ご依頼者様は後遺障害等級4級の認定を受けたにもかかわらず、公務員であることを理由に、相手方保険会社が逸失利益をほとんど認めないという対応を取ったことから、当職にご依頼いただきました。
対応と結果
公務員であっても将来の昇給に不利益が生じることは間違いなく、その点を理由に相手方保険会社と交渉を開始しました。何度か交渉を重ねた結果、こちらの主張する逸失利益の8割を認め、総額7,000万円を支払うとの提案がありました。しかし、将来の治療費が認められないなど不十分な点があったため、ご依頼者様の希望により提訴を選択しました。
訴訟移行後、保険会社は交渉時に認めていた逸失利益の主張を撤回し、さらに交渉段階では問題にならなかった過失割合についても、15%から30%に増やすなど、全面的に争う姿勢を見せました。
現在までの治療状況や就労状況を前提に、昇給の遅れや将来の治療の必要性を主張した結果、裁判所から和解案が提示されました。裁判所の和解案は、逸失利益6,554万円、将来治療費1,000万円を含む総額1億1,190万円から、15%の被害者過失を控除し、調整金1,450万円を加えた9,740万円というものでした。
相手方からは、裁判所の和解案から120万円を減額すれば和解に応じるとの回答がありましたが、和解期日の前にご依頼者様が逝去されました。その後、相続人の皆様のご希望により早期解決を優先し、将来治療費を控除した8,700万円での和解が成立しました。
今回のケースで、公務員であっても逸失利益が否定されることはないという点が明確に示されたことは非常に良かったと思います。ただし、裁判時には以前よりも収入が増加していたこともあり、後遺障害等級4級の所定の労働能力喪失率92%という当方の主張は認められませんでしたが、それでも75%の喪失が認められたことは大きな成果でした。また、最終的には控除となりましたが、将来の治療費として1,000万円が認められていた点も評価できる結果でした。