事故の状況
事故によりご依頼者様が肋骨を骨折する負傷をされた事例です。
依頼内容
ご依頼者様は以前に別の弁護士へご依頼され、症状固定後に後遺障害等級認定申請を行ったものの、非該当という結果になっていました。
その後、異議申立てについても依頼されていたそうですが、進展が見られなかったことから、その弁護士を解任し、当職へご依頼いただきました。
対応と結果
当職はまず異議申立てについて検討し、肋骨の変形障害(12級)の認定が可能と判断しました。写真撮影などの準備を進め、異議申立てを行った結果、後遺障害等級12級が認定され、自賠責保険から224万円の支払いを受けました。
次に、この等級を前提に相手方保険会社に賠償案の提示を依頼しました。しかし、保険会社の提示した賠償案は、入通院慰謝料および後遺障害慰謝料が裁判基準を大幅に下回る約750万円程度であったため、提訴に踏み切りました。
一審判決では、入通院慰謝料および後遺障害慰謝料については増額が認められたものの、逸失利益が当初の保険会社の提案を大幅に下回る判断となり、約780万円の支払いしか認められませんでした。このため控訴し、一審の問題点を指摘した結果、控訴審で和解が成立しました。
最終的には950万円の支払いで和解が成立し、自賠責保険からの支払いを含めると総額1,174万円の解決となりました。和解のため詳細な内訳は不明ですが、おおよそ休業損害300万円、入通院慰謝料200万円、後遺障害慰謝料290万円、逸失利益200万円、その他(弁護士費用、遅延利息等)184万円程度と推測されます。
異議申立てが認められ、後遺障害等級12級が認定されたことは大変良かったと考えております。裁判に移行すると、保険会社は従来の提案を撤回し、逸失利益を認めないなど、当初案をかなり減額して争ってくることが多々あります。
確かに、12級の認定が肋骨の変形障害によるものであり、これが醜状障害とも解釈されうるため、逸失利益が認められないケースも存在します。そのため、裁判ではご本人に肋骨の変形による仕事への支障を具体的に述べていただくなど、立証には苦労しました。
一方で、物損についてはすでに95対5で示談が成立していましたが(これは当職の前の弁護士が担当)、私たちは無過失を主張し、最終的にその主張を勝ち取ることができました。ただし、物損の過失割合が後の人身損害に影響を及ぼすこともあるため、安易に物損先行で過失を認める示談をすることは避けるべきだと強く思います。
最終的に、控訴審で納得のいく形での和解ができたことは、大変喜ばしい結果でした。