高齢者による交通事故の原因や実際の事例|未然に防ぐための対策とは?
高齢者の人口は年々増え続けており、今後も交通事故の件数は増加していくことが予想されます。
また、高齢者による事故が増えていると同時に、高齢者が巻き込まれる事故も増えています。少しでも事故件数を減らすために、どういった対策をとるべきなのでしょうか?
この記事では、高齢者が関係する交通事故の現状から今後の対策までご紹介します。
高齢者の交通事故の現状
まず初めに、高齢者による交通事故の現状をご紹介します。

参考:内閣府
こちらのグラフは、総人口の変化に伴う高齢者の人口推移を表したグラフです。赤いラインで示されているように、高齢者の人口割合は年々増え続けています。
再来年の2020年には65歳以上が28.9%を占めると予想されており、約3人に1人が65歳以上という超高齢化社会が訪れるといわれています。
そんな中で、高齢者による交通事故も今後さらに増え続けていくということが懸念されています。
高齢者の免許保有数

参考:内閣府
こちらは内閣府による、75歳以上の運転免許証保有者の割合を示したグラフです。
運転免許を持つ高齢者は年々増え続けていることがわかりますね。
今年2018(平成30)年には542万人に達し、再来年には600万人を超すことも、内閣府の調べにより予想されています。
高齢者の事故割合
上記のとおり、高齢者の人口は年々増えており、それに伴い運転免許証を保有する高齢者の数も増え続けています。

引用元:警視庁
こちらのグラフは、全国の交通事故の発生数と、その中で高齢者(65歳以上)が占める割合を示したものです。
2007年から2016年までの9年間で、交通事故の発生数は半分以下に減少していることがわかります。
しかし、高齢者が運転する車での交通事故の割合は、それと反比例するように増え続けており、高齢者による運転の安全性が問題視されています。
高齢者による事故の実例
ではここで、高齢者によって引き起こされた交通事故のニュースをいくつかご紹介します。
逆走ドライバーが女子高生を次々とはねた事故
1月9日午前8時20分ごろ、前橋市北代田町で85歳の男性が運転する乗用車が対向車線にはみ出し、斜め向かいの民家の塀に衝突した後、自転車で通学途中だった女子高生2人に衝突し、2人は意識不明の重体で病院に運ばれたというのです。
被害者にとっては、まさに不可抗力の出来事です。
引用元:Yahoo!ニュース
高齢者によって引き起こされた、人通りのある狭い道で起きた悲惨な事故です。
逆走と病院の玄関への激突事故
兵庫県の中国自動車道上り線で20日、70代の男性が運転する乗用車が約20キロ逆走した。福岡県では、77歳の女性が運転する軽乗用車が病院玄関に突っ込む事故も起きた。
引用元:産経ニュース
“20キロもの逆走”と“病院玄関への衝突”という、通常では考えにくい交通事故です。この事件後、「高齢者には免許証を自主返納させるべきだ!」という声が相次ぎました。
高齢者に多い交通事故
高齢者にはどんな交通事故が多いのか、以下の2つを考えていきたいと思います。
歩行中の事故
実は、高齢者が歩行中に車にはねられてしまうという事故も多く発生しています。
信号の表示が目に入らずに横断歩道を渡ってしまったり、横断中に信号が変わってしまい、交差点に入ってきた車と衝突したりするなどの事故です。
高齢者の歩行中の事故は自宅付近で起こることが多いということから、『いつもの道だから大丈夫』、『確認しなくても大丈夫』など、油断や不注意が事故の原因だと考えられます。
高齢者は慣れているからと安心せず、また、歩行中の高齢者を見かけた際には、よりいっそう注意を払い、譲る気持ちを持って運転をするようにしてください。
運転中の事故
高齢者自身が安全運転を心がけているつもりでも、反応が遅れたり、判断を誤ったりしてしまうのは仕方のないことかもしれません。
しかし、これが原因で事故になるケースが多いのは事実であり、『反応が遅れたから仕方ない。』などと、簡単に話を終わらせることはできません。被害者がいる場合はなおさらです。
高齢者はご自身の運転や判断能力を過信せず、基本に立ち返って運転に向き合うことが大切です。
高齢者の交通事故の原因

引用元:警視庁
警視庁の調べによると、高齢者による事故の主な原因は、こちらのグラフのとおりです。
反応や発見が遅れたり、とっさの判断を誤ったりすることは、高齢になれば誰もが向き合わなければならない問題です。
まずはご自身が高齢であること、事故を起こす可能性があるということを理解した上で、車を運転することが大切ですね。
高齢者の交通事故を防ぐために
高齢者の交通事故を防ぐための対策としてはどういったことが挙げられるのでしょうか?
ここでは3つの観点から考えていきたいと思います。
反射材を身に着ける
暗い道路を走る場合、ドライバーは歩行者を見つけるのが困難になります。
特に高齢者は反応が遅れることがあるため、気づいたときにはもう手遅れということも。高齢者が夜道を歩く場合は、必ず反射材をつけるようにしましょう。
また、高齢者が運転をした際の事故を防ぐためにも、反射材をつけることは効果的です。
免許証の返納を促す
警視庁は、高齢者の運転免許自主返納を促す取組みを行っています。
参考サイト:警視庁
免許証を返納することでさまざまな特典を用意するなど、交通事故を未然に防ぐための取組みが広がっています。
高齢になり、運転に自信がなくなってきた人は、運転免許証の返納を考えてみてはいかがでしょうか。
認知症と老化を切り離して考える
老化によって反応や判断が遅れることは避けられません。『認知症ではないから自分は大丈夫。』と考えるのではなく、高齢になるにつれて交通事故の危険性は確実に高まるということを自覚するようにしましょう。
まとめ
交通事故の件数は年々減っている傾向にありますが、それに反比例して高齢者の事故は増え続けています。
さまざまな原因が考えられますが、まずは1人ひとりがご自身の老化を自覚し、年齢に応じて運転免許証の自主返納をしていく流れになっていくのが望ましいでしょう。
高齢者だけでなく、すべての人が気をつけて譲り合いの気持ちを持つこともまた、交通事故を減らしていくために必要な心がけですね。
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