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急ブレーキでの怪我は誰の責任?バスの運転手に損害賠償請求は可能か

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公開日:2020.6.26  更新日:2022.3.15
交通事故の責任 弁護士監修記事

急ブレーキでの怪我は誰の責任?バスの運転手に損害賠償請求は可能か

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「バスに乗っていたら急ブレーキで転んで怪我をした…」このような状況は運転手と搭乗者どちらの責任になるか判断が難しいですよね。

急に子供が飛び出してきたり、前の車が急停止をしたりと、急ブレーキをかけざるを得ない場面はどうしても出てきます。そのような状況でも搭乗者は運転手に対して損害賠償の請求ができるのでしょうか。

この記事ではバスの急ブレーキで搭乗者が怪我を負った場合、その責任は誰が負うのかについて解説していきます。

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運転手が怪我の責任を問われる可能性が高い

急ブレーキによって何らかの負傷をしたという事案では、運転手の急ブレーキに対する注意義務違反があり、これと怪我の間に因果関係が認められる場合には、搭乗者が運転手に対して損害賠償の請求が可能です。

 

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。(財産以外の損害の賠償)

【引用】民法709条

 

例えば、子供の飛び出しが急ブレーキの原因であったとしても、住宅街や交差点付近など歩行者が多い場所の場合、運転手に一定の注意義務違反があったとされる場合もあります。そして、その急ブレーキによって負傷したことが法的に認められる場合には、その範囲内で損害賠償の請求が認められます。

 

もっとも、急ブレーキがあれば必ず運転手に注意義務があるというわけでもありませんし、急ブレーキの程度によっては負傷との因果関係が否定されるケースも多いでしょう。したがって、急ブレーキに端を発する負傷であっても、賠償を求めることができないケースもあります。

 

急ブレーキ時の状況によっては搭乗者にも過失あり

仮に、急ブレーキ行為に対して損害賠償請求ができるとしても損害を全額請求できるとは限りません。バスの搭乗者にはあらかじめ急ブレーキや大きな揺れがあることを予測して、自身の身の安全を確保するように努める義務があります。

 

乗客も、乗合バスに乗車するにあたり、たとえば発進することが予想される状況においては、可能な限り速やかに手すりを持ち、または空席に着席するなどして、バスの発進による揺れ等から自らを守る努力をすることも必要である

【引用】大阪地裁平成22年6月21日判決(交民43巻3号782頁)

 

そのため、急ブレーキの前に運転手から「急停止にご注意ください」と注意があったり、シートベルトの装着を怠っていたりした状況だと、搭乗者にも過失があると判断されて損害賠償が減額されるケースもあります。

 

過失割合は急ブレーキ時の状況によってさまざまですが、大体1~2割程度の過失が搭乗者に問われることが多いようです。

 

損害賠償の請求は運転手側に行う

急に飛び出しをしてきた人を避けるために急ブレーキを踏んだ状況だと、運転手だけでなく飛び出しをした人にも過失があると判断される場合もあります。

 

法律上では被害者は運転手と飛び出した個人の両者に対して損害賠償を全額請求できます。しかし、個人に請求するより企業に請求する方が回収できる可能性が高いため、バスの車内事故の場合にはバスの運転手・運営会社に対して請求を行うのが一般的です。

 

バス会社側は全額支払いを済ませてから、その後、飛び出した人の負担分について求償する流れになるかと思われますが、被害者にはあまり関係がありませんね。

 

怪我をした場合はすぐに警察へ報告を

急ブレーキで怪我をした場合は、すぐにその場で運転手にそのことを伝え、警察に連絡してもらってください。これを怠ってしまうと怪我と急ブレーキの因果関係が証明できず、損害賠償請求が認められなくなる恐れがあるので注意しましょう。

 

搭乗者も注意してバスを利用する必要はあります。万が一、バスの不適切な運行で負傷したということがあれば、運転手にすぐ伝えてください。

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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