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ながらスマホの罰則|事故の発生件数と事例まとめ

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公開日:2020.7.31  更新日:2023.6.12
交通事故の責任 弁護士監修記事

ながらスマホの罰則|事故の発生件数と事例まとめ

日本では、年々スマホの利用率が増加しています。総務省が公表する『平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』によれば、2016年時点のスマホ利用率は71.3%にも上るそうです。

一方で、スマホの利用率が上がるにつれて、“ながらスマホ”による交通事故が問題視されるようになりました。ニュースで取り上げられる機会も多く、重大な社会問題の1つになっているといえるでしょう。

この記事では、日本で発生しているスマホ事故の現状と、それに関する法律についてご紹介します。スマホ事故の発生件数や罰則について確認したい場合は、参考にしてみてください。

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スマホ事故の発生件数

警察庁が公表するデータによると、2019年度はスマホ(携帯を含む)が原因で2,645件の交通事故が発生しています。その内の27件が死亡事故です。

 

携帯電話使用等による交通事故件数の推移参考:やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用 | 警察庁

 

事故の原因は、スマホ画面を見ていたり、操作していたりという『画像使用目的』の割合が最も大きいです。具体的には、運転中にスマホを注視したことによる事

故などが『画像使用目的』にあたります。

 

 

【参考】やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用|警察庁(2016年)

 

なお、上記のデータには自転車事故や歩行者同士の事故は含まれていません。それらを含めれば、スマホ事故の件数はさらに増加することでしょう。

 

前方の状況が確認できないだけでなく、ハンドル操作を誤ることもある、事故が発生しやすい非常に危険なものです。

非常に危険なものであるため、警察も取り締まりを強化しています。

 

警察による取り締まり全体のうちの12.5%がながらスマホ運転の取り締まりになっています。

 

携帯電話使用等による取り締まり件数と全体における割合参考:やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用 | 警察庁

ながらスマホによる事故の事例

 

道を間違えスマホで地図を確認中に追突事故発生

金沢市内を運転中に道を間違えた夜行バスの運転手が、スマホの地図アプリを見ていて前方の乗用車に気がつかず、追突してしまった事故です。

 

【詳細】ながらスマホで追突事故、「道間違え、地図を確認」 JRの夜行バス運転手(千葉日報)

 

ちなみに、スマホではなくカーナビを注視して事故を起こした場合でも前方不注視として事故の責任を問われます。スマホに限らず、運転中に前方から目線をそらすのは危険ですので、注意してください。

 

ポケモンGOを見ながら運転で女性死亡

愛知県西尾市を走行中の女性がスマホゲーム『ポケモンGO』を見ながら運転し、同市の85歳の女性をはねて死亡させてしまった事故です。

 

【詳細】ポケGO見ながら運転か、女性はねられ死亡(Yahoo!ニュース)

 

運転中のゲームという極めて悪質な事故原因から、加害者の女性は過失運転致死罪の疑いで検挙されたようです。

 

電動アシスト自転車のスマホ運転で女子大生を書類送検

川崎市の女子大生(20)がスマホを片手に電動自転車を運転し、77歳の女性に衝突して転倒させ、死亡させてしまった事故です。

 

【詳細】自転車スマホ事故で有罪 元女子大生に「自覚欠く」(LINEニュース)

 

大学生は左手にスマホ、右手に飲み物、両耳にイヤホンという極めて危険な状態で運転をしていたため、重過失致死容疑で書類送検されました。2018年8月に、禁錮2年執行猶予4年の判決が下されています。

 

スマホ事故を起こした場合の罰則

運転中にスマホが原因で事故を起こした場合の罰則は、『3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金』の刑事罰と『違反点数2点の加算』です(なお、事故を起こさなくても、ながらスマホをした場合、5万円以下の罰金刑と違反点数1点加算がされます)。

 

※令和元年12月以降に、スマホが原因の事故に対する罰則は厳罰化されています。

詳しくは以下の表をご覧ください。

 

スマホ事故の罰則は以下のとおりです。

 

取締り時の状況

違反点数

反則金

刑事罰

携帯電話の使用等違反

(交通の危険)

6点

なし

※刑事罰が適用

1年以下の懲役または30万円以下の罰金

携帯電話の使用等

(違反保持)

3点

  • 大型車:2万5,000円
  • 普通車:1万8,000円
  • 二輪車:1万5,000円
  • 小特等:1万2,000円

6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金

事故で死傷者がいると罰則はさらに重くなる

スマホ事故で死傷者を出してしまった場合には、過失運転致死傷罪が成立します。罰則の内容は以下のとおりです。

 

刑事罰

罰則

過失運転致死傷罪

7年以下の懲役・禁錮又は100万円以下の罰金

 

ながらスマホに対する罰則は厳罰化された

スマホ事故の増加に伴い、2018年に、ながらスマホの厳罰化が提案されました。道路交通法改正によって厳罰化が認められ、罰則は以下のように変わりました。

 

携帯電話の使用等違反(交通の危険)

 

違反点数

反則金

刑事罰

改正前

2点

  • 大型車:12,000円
  • 普通車:9,000円
  • 二輪車:7,000円
  • 小特等:6,000円

3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金

改正後

6点

なし

刑事罰が適用

1年以下の懲役または30万円以下の罰金

 

携帯電話の使用等違反(違反保持)

 

違反点数

反則金

刑事罰

改正前

1点

  • 大型車:7,000円
  • 普通車:6,000円
  • 二輪車:6,000円
  • 小特等:5,000円

5万円以下の罰金

改正後

3点

  • 大型車:2万5,000円
  • 普通車:1万8,000円
  • 二輪車:1万5,000円
  • 小特等:1万2,000円

6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金

 

また、罰則が厳しくなるだけでなく、反則金制度の対象外になるのも大きな変更点です。現在は反則金を支払えば上記の刑事罰を免れますが、改正後は反則金制度がなくなるため、取締まりをされれば罰則が確定してしまいます。

被害者への損害賠償を支払う義務もある

ながらスマホ事故の加害者が負うのは、刑事罰だけではありません。事故によって被害者が被った損害に対する賠償を支払う義務もあります。

 

ここでは、スマホ事故の損害賠償について解説します。

 

ながらスマホ事故の損害賠償請求事例

ながらスマホ事故の損害賠償請求事例をご紹介します。

 

<損害賠償:約5,000万円>

事故当時16歳の女子高生が無灯火で携帯を触りながら自転車に乗り、57歳の看護師と衝突した事故の請求例です。被害者は歩行困難となって職を失い、生活保護受給者になったため、その賠償として加害者側に約5,000万円の支払いが命じられました。

 

【詳細】ケータイに夢中での自転車事故で、5,000万円賠償を命じる(レスポンス)

 

このように被害者が後遺症を負ったり亡くなったりすると、数千万円単位の損害賠償を請求されるケースは珍しくありません。

 

被害者が請求できる損害賠償とは

一口に損害賠償と言っても、治療費や慰謝料などその種類は多岐に渡ります。交通事故被害で請求できる、代表的な損害賠償は以下のとおりです。

 

請求項目

内容

治療費等

診察代、薬代、通院費など、治療に関する費用

修理代

事故で壊れた物に対する修理・弁償費用

休業損害

事故が原因で休業した場合の収入に対する補償

逸失利益

事故に遭わなければ将来的に得られていたはずの収入に対する補償(後遺障害が残るか死亡した場合に請求可)

入通院慰謝料

入院または通院が必要になる負傷を負わされた精神的苦痛について請求できる慰謝料

後遺障害慰謝料

後遺症を負わされた精神的苦痛について請求できる慰謝料

死亡慰謝料

被害者が死亡した場合、被害者本人とその遺族の精神的苦痛について請求できる慰謝料

 

 

歩きスマホしながら事故に遭うと自分の責任が重くなる

歩きスマホをしていて事故に遭った場合には、通常の事故よりも歩行者の過失割合(事故の責任)が10~20%ほど増加する可能性があります。

 

交通事故の裁判では、歩行者に過失がある場合は10%程度の過失の増加、歩行者に重過失がある場合には20%程度の過失の増加が認められるケースがあるといわれています。

 

基本的には車側の過失の方が大きくなる場合がほとんどです。しかし、通常の事故と比べると、歩行者が歩きスマホをしていた場合、歩行者の過失も大きくなりやすいです。歩きスマホをしていたから事故が起きたと認められる状況なら、過失修正(過失割合の見直し)をされる可能性があります。

 

まとめ

日本で起きているスマホ事故の件数は、2016年度では1,999件です。スマホ事故の罰則は、『3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金』の刑事罰と『違反点数2点の加算』です。事故の内容次第では、さらに重い罰則が科されるケースもあります。

 

特に、運転中のながらスマホは重大な危険行為です。運転では少しの油断が大事故を引き起こすきっかけになるので、運転中はスマホには決して触れず、安全運転を心がけましょう。

 

参照元一覧

警視庁

国土交通省

道路交通法

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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