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無免許事故被害への対策と補償|無免許運転の罰則まとめ

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公開日:2020.7.7  更新日:2023.6.12
交通事故の責任 弁護士監修記事

無免許事故被害への対策と補償|無免許運転の罰則まとめ

無免許事故(むめんきょじこ)とは、運転免許証を取得していない、あるいは有効期限の切れた免許証で自動車を運転し、交通事故を起こすことをさします。

ニュースや新聞でよく、交通事故を起こした加害者が無免許運転をしていたと報じられることがあります。もちろん、交通事故そのものは軽くない罪でありますが、これが無免許事故になると、より深刻な罪として見なされてしまいます。

特に無免許運転における加害者が未成年であるケースも多く、責任の問われ方も左右されます。年代層別における無免許事故の割合を参考までに確認しますと、19歳以下は80歳以上に次ぐ多さであることが分かります。

無免許での重大事故発生において、全体のおよそ3割が未成年者になっております。

年齢層別の重大事故発生割合
引用元:交通事故総合分析センター イタルダインフォメーション№99

また、無免許事故による被害者や加害者自身の補償についても通常の事故と比較して、取り扱われ方が変わりますので注意が必要です。

無免許事故における要点は多く、被害者側が知っておくべきことはあります。 加害者側の免許有無に関わらず被害者側には保険が適用されることや、加害者が未成年者である場合の示談交渉について、予め把握しておくべきです。

更には無免許で運転していた車の同乗者にも責任が問われますので、補償や罰則処分について一通り知っておく必要があるでしょう。

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無免許事故の被害に逢った場合の補償

最初に、無免許事故に遭ってしまった場合の補償について確認していきましょう。無免許運転の車にぶつけられたことで怪我をして、自分の車を壊されてしまった場合、もしかして保険は適用されないのではと心配に思う人もいるかもしれませんが、被害者救済を考慮した規則がありますのでご安心ください。

相手側への損害賠償は無免許でも保険は適用される

加害者側が無免許でも、自賠責保険と対人賠償保険は有効です。被害者側の所有物となる自動車や家屋なども壊された場合、対物賠償保険が適用されることになっています。保険金により被害者側の救済はなされますが、一方で被害者側の損害は違う扱いになります。

無免許運転をした自分自身が受けた損害は保険適用外

加害者側は無免許の過失がありますので、例えば、人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険、加えて自損事故保険などは一通り認められず、加害者側への保険金は支給されません。

同様に、車両保険の適用も不可でありますので、車の修理代を任意保険で賄うこともできなくなってしまいます。このとおり、加害者が無免許であっても被害者には損害賠償を請求する権利を持っていますので、正当性を訴えて対応するべきでしょう。

ただし、損害賠償を請求する権利は無免許運転者側にも平等にあります。

つまりは無免許運転での罪は別として、無免許事故による相手側(無免許ではない方)に事故発生の過失があると判明した時は、相手側が加入している自動車保険によって無免許運転者側の怪我や車の損傷に対する賠償がなされます。

無免許運転の4つの種類

加害者側である無免許運転者の観点より、無免許に関する補足をもう少ししていきます。

そもそも無免許運転とは免許を所持していない状態での運転を意味しますが、『免許証不携帯』とは異なります。免許を受けた人が運転免許証を忘れて運転することが免許証不携帯に該当しまして、対して無免許運転は免許自体を全く所持していない状態のことです。

純無免

一度も運転免許証を交付されたことのない人が運転することです。

取り消し無免

免許の取り消し処分を受けた後、運転することです。

停止中無免

免許の停止処分中であるにもかかわらず、運転することです。

免許外運転

一部の免許はあるものの、実際に運転した車種に応じた免許ではなかった際は免許外運転に該当します。普通自動車免許だけで大型バイクを運転した場合などです。

無免許運転が発覚した際の罰則

無免許運転が発覚した場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

第117条の2の2

次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

一 法令の規定による運転の免許を受けている者(第107条の2の規定により国際運転免許証等で自動車等を運転することができることとされている者を含む。)でなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は国際運転免許証等を所持しないで(第88条第1項第2号から第4号までのいずれかに該当している場合又は本邦に上陸をした日から起算して滞在期間が1年を超えている場合を含む。)運転した者

引用元:道路交通法第177条の2の2

また、上記で解説しました無免許運転車両提供の場合と同等の罰則になっております。無免許者の運転とその車を貸すことには同レベルの過失があるとも言えます。

無免許運転『だけ』の場合であれば、逮捕の可能性は少ない。

無免許事故を前提して今まで補償や罰則について説明しましたが、前科がなく、交通事故も起きていない場合には罰金刑で済まされるケースが通常だとされています。また、単なる無免許運転だけであれば、必ずしも逮捕されて身体拘束を受けるものではありません。

不誠実な行動を取ったら逮捕される可能性はある

ただし、逃走を試みたなど不誠実な行動を取った場合、逮捕される可能性は高くなります。重過失に繋がる行為をしたり無免許運転の前科があったりすれば、逮捕される可能性は高くなるでしょう。

無免許運転中に同乗者がいた場合

上記では無免許運転者と被害者側の観点で補償条件を説明しましたが、加えて同乗者に関する責任問題があります。

無免許運転の車に同乗していた人物も、場合によっては過失があるとされてしまいます。また、同乗していなくても無免許事故を起こした車を貸した場合も罪に問われることがあります。運転者ではないから関係ない、という問題ではありません。

運転者が無免許であることを知っていた場合は罰せられる

送迎等の依頼及び同乗

運転者が免許を持っていないと認識した上で同乗すると、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。

車を提供

相手が免許をもっていないと認知していた上で車を提供した場合、無免許運転車両提供の罪で、車の所有者には3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。

上記は無免許運転者と同じくらい重い罰則です。

無免許だと知っていながら犯罪に加担した、という意味合いで制定されています。常識的な話ですが、免許を持っていない相手の車には絶対に同乗しないようにしましょう。運転者本人のみならず、同乗者としての責任が問われてしまいます。

助長の内容

処罰行為

罰則

車両の提供者

車両提供罪

3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

車両の同乗者

要求・依頼同乗罪

2年以下の懲役又は30万円以下の罰金

原則として同乗者にも保険は適用されるが減額や適用外の場合もあり

無免許運転者の車で事故を起こし、同乗者が怪我をした場合も言及します。

『原則』として、自賠責保険と対人賠償保険など、一連の保険について補償の対象にはなります。しかし『例外』として、仮に同乗者が運転者の無免許を認知していた場合は過失有りとされてしまいますので、保険金の減額や保険自体の適用外も考えられます。

無免許の被害者に対する補償と同じく、同乗者にも法律的に反していると判断されてしまえば、それ相応の罰を受けることになります。

それと、罪の重さを見極める上でもう一つ重要な点があります。加害者が未成年であるかどうかで考え方がまた変わってくることを次項にて取り上げます。

無免許事故を起こした運転者が未成年であった場合 

無免許事故を起こした加害者が20歳未満の際は、経済的な支払い能力と刑事的責任の観点から、成人の場合と扱われ方が大きく異なります。

未成年でも損害賠償額は変わらない

ただし、損害賠償の責任は変わらず、成人であるかどうかに関わらず被害者へ支払うべき賠償金は同じです。ですので、被害者側は未成年の加害者へ損害賠償を請求することになります。無免許事故の加害者が未成年であるからといって、保険金や賠償金が下がることはありません。

本人には補償する能力が無いので親権者との示談交渉になる

殆どの場合、未成年の加害者は高額な賠償金を支払う能力はありませんので、親が未成年者本人に代わって補償をすることになります。なので、被害者は加害者側が任意保険に加入していれば保険会社と、未加入であれば未成年者本人の親権者と示談交渉して対応を進めます。

刑事的責任については少年法が適用されるため20歳以上の場合と異なる 

未成年者が無免許事故の加害者であった際の法律的な処罰の流れについても説明します。少年法と刑事訴訟法で区別されておりますので、処罰的には成人よりも軽くなるのが一般的ですが、重罪だと見なされた場合は成人と同等の刑事手続きをされることもあります。

家庭裁判所での調査

少年法によって未成年者の処分を検討するのは家庭裁判所の役割です。家庭裁判所の調査官が未成年者の処分を決まることになります。処分内容は大きく分けて4つあります。

未成年に対する4種類の処分

・不処分

一番軽い内容であり、保護観察無しでの更生が可能であると判断されるケースです。

・保護観察処分

少年院に送致するほどではないが多少の更生が必要だと判断され、保護観察官による指導で対応するケースです。

・少年院送致

より厳しい更生が必要だと判断され、少年院への指導で対応するケースです。

・検察官への事件送致

罪の重さから刑事処分が妥当だと判断され、検察官への送致がなされます。4つの中では最も厳しい処罰です。また、満16歳以上の未成年が故意の犯罪行為により被害者を死亡させた場合は、原則して検察官への事件送致が定められております。

以上が、未成年者が無免許事故を起こした際に関する要点になります。刑罰的な軽減はありますが、損害賠償の程度は成年と同じでありますので、被害者は加害者側の親権者と示談交渉し、正当に主張立証するように心掛けるべきといえますね。

実際に発生した無免許事故の例

無免許事故は実際にも多数発生しております。無免許ということから未成年の加害者も多く、物損事故と同乗者への怪我で捕まるケースがあります。具体的なニュースを見ていきましょう。
 

免許取り消し処分後も再取得せず無免許のまま運転 人身事故で逮捕

こちらは取り消し無免の例です。免許を長年再取得しないまま運転していたところ、軽トラックと出合い頭に衝突し、相手側に軽傷を負わせた人身事故です。

未成年者が歩道に乗り上げて塀や電柱に衝突 同乗者にケガをさせる

運転の経験が全くない純無免の少年が速度超過状態で歩道に乗り上げ、塀や電柱に衝突した事例です。同乗していた少女4人が重傷を負いました。その同乗者の1人である少女は、少年が無免許であることを知りながら車両を提供したとされており、道路交通違反の容疑で書類送検されています。

同じく未成年者が無免許運転で電柱に衝突 同乗者にケガをさせる

無免許でワゴン車を運転していた少年が電柱に衝突し、2人の同乗者にケガをさせただけでなく、その負傷者を置き去りにして逃走した事例です。現場から逃げたという不誠実な行動が、今後の処分に悪く影響されると思われます。

まとめ

無免許事故につきまして補償と罰則の双方より解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
 
無免許運転絡みになりますと、免許を取得したことのない未成年者による事故が多くなりますが、賠償責任は成人と同等であると定められています。

加えて、無免許者の事故でも被害者救済は約束されていますので、被害者は加害者あるいはその親権者と丁寧に交渉して補償してもらうようにしましょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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