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あおり運転は逮捕につながる重大違反!該当する罪と罰則を解説
長年車の運転をしている方であれば、あおり運転はそれほど珍しくない行為だと感じるのではないでしょうか。
しかし、あおり運転はれっきとした犯罪行為です。道路交通法違反に該当するので、罰金・免許取消の処罰、特に悪質だと認められる場合は逮捕されることも珍しくありません。
この記事ではあおり運転の罰則や逮捕との関連性についてご紹介します。あおり運転は具体的にどのような犯罪行為なのか確認したい場合に参考にしてみてください。
道路交通法では『あおり運転』自体に対する罰則は設けられていませんが、あおり運転をした者は以下の違反行為に該当する可能性が高く、状況に応じた罰則が与えられます。
あおり運転をした人が必ず逮捕されるわけではありません。しかし、懲役刑のある罪に該当する場合には逮捕につながる可能性は十分にあるでしょう。
車間距離保持義務違反とは、運転中に前方の車両と適切な距離を保っていなかった場合に該当する違反行為です。警視庁で発表されるあおり運転の検挙数は車間距離保持義務違反の数値が基になっているため、あおり運転をした際に最も適用される可能性が高い違反行為です。
車間距離保持義務違反の罰則は、一般道路だと『5万円以下の罰金』高速道路だと『3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金』です。
第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一の四 第二十六条(車間距離の保持)の規定の違反となるような行為(高速自動車国道等におけるものに限る。)をした者
第百二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、五万円以下の罰金に処する。
…第三項、第二十六条(車間距離の保持)…
【引用】道路交通法
どれだけ車間距離をとるべきかの明確な規準はありませんが、一般的には30~60キロ走行の場合は『運転速度からマイナス15メートル』60キロ以上の場合は『運転速度と同じメートル』と言われています。
過失運転致死傷罪とは、自動車の運転で必要な注意を怠った結果、人を死傷させた場合に成立する犯罪です。極端な幅寄せをしたり急ブレーキを踏んだりといったの悪質なあおり行為は必要な注意義務を怠る行為であり、結果事故を起こして相手を死傷させれば過失運転致死傷罪に該当します。
過失運転致死傷罪の罰則は、『7年以下の懲役、もしくは10万円以下の罰金』です。
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
なお、あおり運転から車を停止させてこちらに直接的に危害を加えてきた場合は、別途暴行罪や傷害罪が成立する可能性があります(車から無理やり下ろそうとしたり殴ってきたりなど)。
ただ、ケンカを売られたからといって自分も手を出してしまえば、こちらも罰せられる恐れもあるのでご注意ください。車からは決して降りずにすぐ警察へ通報しましょう。
危険運転致死傷罪とは、一定の危険な状態で車を運転して死傷事故を起こした場合に適用される違反行為です。他の車両の走行を妨害するような行為は、場合によっては危険運転致死罪に該当する可能性があります。結果、死傷事故を起こした場合にはこの罰が適用される可能性があります。
危険運転致死傷罪の罰則は、『相手を負傷させた場合は15年以下の懲役刑、相手を死亡させた場合は1年以上20年以下の懲役刑』です。
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
危険運転致死傷罪には懲役刑しか定められていないため、この罪に該当する場合は刑務所での拘束を免れることはできません。数ある交通違反行為で最も重い罰則であると言えるでしょう。
昨今のあおり運転の発生状況や危険性などを鑑み、2020年6月30日よりあおり運転を明確に規制する「妨害運転罪」が施行されます。
妨害運転罪では、妨害を目的に10種の違反運転を行う自転車・バイク・自転車を規制します。
これに該当する場合、刑罰・行政罰として以下のような罰則が科せられます。
自転車やバイクのあおり運転により、相手を轢いてしまった場合や妨害運転罪の創設で起こりうるトラブル、巻き込まれた場合の解決策について詳しく知りたい方は、「あおり運転の罰則とは? 「妨害運転罪」を徹底ガイド」も併せてごらんください。
あおり運転をして逮捕につながった事例は多くありますが、その中でも近年注目を浴びたあおり運転が原因となる事故を2つご紹介します。
パーキングエリアで注意を受けたことに腹を立てた男性が、高速道路上で車線変更を繰り返して走行の邪魔を繰り返して被害者の車を追い越し、車線側に無理やり停止させて恫喝している最中、後ろからトラックが突っ込んで夫婦2人が亡くなった事件です。
【詳細】東名高速夫婦死亡事故
車が停止しているときの事故で最初は過失運転致傷罪として扱われましたが、遺族からは危険運転致死傷罪の判決が求められて上訴されている最中です。
世間であおり運転が注目されるようになり、警察であおり運転の罰則化が進んでいるのもこの事故が大きく影響しています。高速道路の追い越し車線という危険地帯にもかかわらず、無理やり車を停止させて事故を引き起こしたあおり行為は極めて悪質であると言えるでしょう。
19歳の男子大学生が、高速道路の追い越し車線で必要のない急ブレーキを繰り返して後ろの車両を急停止させ、それが原因で5台の車両を含む事故が発生した事件です。幸いにも怪我人はいませんでしたが、4キロ以上にわたりあおり行為が繰り返される非常に危険性の高い状況でした。
男子大学生は容疑を否定しましたが、事故に関連する車両のドライブレコーダーの記録が決め手となり、暴行罪の容疑で逮捕されています。
あおり運転をされたが事故もなく相手が立ち去ったという場合でも、ドライブレコーダー等のあおり運転の様子を証明できる証拠があれば、それをもとに警察が捜査をしてくれるかもしれません。(※警察の判断しだいなので確実ではない)
上記で紹介した『東名高速夫婦死亡事件』をきっかけに、警察ではあおり運転の罰則化が検討されています。今後はあおり運転をした者には一発免停などかなり重たい処罰も考えられているので、特に悪質と判断されるあおり運転であれば、通報からでも逮捕につながる可能性もあるのではないかと思われます。
あおり運転を通報する場合には、車を安全な位置に停止した後で冷静に被害に遭った場所と被害内容を伝えてください。捜査をしてもらえる可能性を高めるにはなるべく早めの通報が好ましいでしょう。
あおり運転は状況によって罰せられ、違反内容によっては逮捕にも発展する可能性がある危険行為です。万が一、あおり運転とかかわってしまい自分だけでの対処が難しい場合には、すぐに警察への通報を検討されることをおすすめします。
この記事が少しでもあおり運転の抑制効果として役立てば幸いです。
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