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使用者責任 | 社用車での交通事故に伴う責任問題とは?

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公開日:2020.7.7  更新日:2024.3.28
交通事故の責任 弁護士監修記事

使用者責任 | 社用車での交通事故に伴う責任問題とは?

使用者責任(しようしゃせきにん)とは、業務や通勤に際して自動車を使う際に、被用者が交通事故を起こして第三者に損害倍賞を請求された場合に、代わりに倍賞する責任のことを言います。

不法行為の特殊類型としてあがる「使用者責任」ですが、今回は使用者責任とはどのようなものなのかについて、ご説明します。

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使用者責任の概要

使用者責任とは不法行為責任の特殊な類型の1つです。不法行為責任とは、交通事故で他人に怪我を負わせてしまった、といった他人の権利や利益を違法に侵害する行為やその損害に対しての賠償責任のことを指します。

基本的には不法行為責任は、直接危害を加えた加害者が責任を負うことを想定していますが、使用者責任はその特殊ケースで直接の加害者ではなく、加害者を雇用している会社や企業、すなわち加害者の使用者が責任を負うケースなのです。

使用者責任の要件

使用者責任が認められるためには、以下の3つの点が必要です。

①被用者の行為に対して不法行為が成立すること
②使用者と被用者との間に使用関係が認められること
③被用者の行為が使用者の事業の執行に伴ってなされたものであること


以上の3つです。これらの条件が認められた場合、交通事故被害者は加害者の使用者に対して賠償責任を負担させることができるのです。

使用者責任の効果

使用者責任の効果は、原則として損害賠償責任です。そのため被害者は直接の加害者だけでなく、使用者に対しても損害賠償を請求できるということです。

また、使用者だけでなく事業を監督する者も使用者と同等の責任を負うとされています。では使用者責任の効果によって、使用者が賠償金を支払った場合、直接の加害者である被用者は一切支払義務は発生しないのでしょうか。

使用者が賠償をしたとしても被用者は全く支払義務を負わなくなるというものではありません。使用者責任に基づいて使用者や事業の監督者が被害者に対して損害賠償をした場合、使用者は行為者である被用者に対して求償することができるからです。

ただし、支払った損害賠償金額の全額を被用者に対して求償できるわけではなく、法律に基づいた公平な観点からある程度の割合に制限された金額が請求されるのが通常です。

無過失責任との関係

使用者責任は「報酬責任の原理」や「危険責任の原理」といった原理に基づいて運用されています。「報酬責任の原理」は他人を使用することで利益を得ている者はその損失も負担すべきという考え方です。

また「危険責任の原理」は他人を使用することにより危険を発生させたり増大させりした場合、生じた危険については使用者が責任を負うべきという考え方です。

これらの原理があるため、使用者責任は、使用者に対して直接的な過失がなくとも責任を負うこととなる「無過失責任」に近い制度となっています。

使用者は被用者の選任や監督に対して相当の注意を払ったことなどを立証すれば使用者責任を免責されますが、現実的にはかなりの困難を伴います。とはいえ、免責される場合もありますので、使用者となった場合には注意を促したことを立証できるものを用意するようにしつつ、被用者を監督するようにしましょう。

従業員が起こした交通事故における企業の使用者責任

従業員が交通事故を起こした場合には運行供用者責任と使用者責任の2つの責任が発生します。別々に見ていきましょう。

運行共用者責任

運行供用者責任とは会社が所有している自動車に対して発生する責任となります。これは加害者に対して運転する自動車を提供したことに対する責任となります。

そのため、従業員が業務時間外に私用で社用車を利用していた場合にも、会社は運行供用者責任を負うこととなります。

使用者責任

使用者責任については先ほどまで述べていたように、使用者は被用者が事業の執行を行っている際に他人に対して被害を与えた時に、損害賠償の責任を負担することとなる制度です。

こちらに関しては「事業の執行」が焦点となるため、社用車だけでなく業務に際して被用者がマイカーを利用していた場合でも発生する可能性があります。

加害者の使用者に対して損害賠償を請求する場合

運行供用者責任と使用者責任の選択をする

先ほど運行供用者責任と使用者責任の違いについてご説明しましたが、このうち、使用者責任には3つの要項が必要でした。

「被用者の行為に対して不法行為が成立すること」
「使用者と被用者との間に使用関係が認められること」
「被用者の行為が使用者の事業の執行に伴ってなされたものであること」


この3点が揃っていなければならないため使用者責任は運行供用者責任よりもハードルとしても高いものがあります。一方で運行供用者責任には人身事故だけにしか適用がありません。

これらの要素を満たしているかを確認した上で、使用者に対してどのような責任で賠償を行うのかを選択しましょう。

業務上の運転による事故の場合

業務上の運転によって事故が起きた場合ですと、その自動車は会社の事業の執行中ということになります。また、事業の執行中であるということから被用者と使用者の関係性を見ることもできることとなります。

そのため、業務上の運転によって事故が起きた場合は運行供用者責任や、運行供用者責任が認められなかった場合でも使用者責任を追求することが可能となる場合が多くあるのです。

業務外の運転による事故の場合

業務外の事故であった場合は、その自動車がマイカーなどであるか社用車であるかによって結果が異なってきます。加害者の車両がマイカーなどである場合、基本的に使用者が運行供用者責任や使用者責任を負うことはないと思われます。

他方、業務外の事故ではあるけれども、加害車両が会社の自動車であったという場合、仮にその社用車利用が会社に無断であっても、会社が運行供用者であると認められれば、やはり運行供用者責任を負うことになります。

マイカー通勤時に交通事故を起こした場合

社用車ではなくマイカーで交通事故を起こした場合はどうでしょうか。これは会社側がマイカー利用による業務を禁止していた場合など、使用者は運行供用者責任や使用者責任を負わないと考えられます。

ただし、業務におけるマイカー利用を認めていた場合や原則は禁止としているものの黙認していたというような場合、使用者が運行供用者責任や使用者責任を負う場合があり得るでしょう。

できるだけ多くの損賠賠償金を獲得するには

基本的に運行供用者責任は、自賠責保険と連動して被害者を保護するという特徴を持っています。そのため、運行供用者責任を負わせる形での請求は自賠責保険を基準とするケースが多くなります。

一方で、損害賠償の請求に際しては自賠責保険以外にも弁護士や裁判所が所持している「赤い本」と呼ばれる法律書に記載された基準も存在します。

基本的には弁護士を通した基準の方が損害賠償金額は高く設定されているため、運行供用者責任や使用者責任での請求金額に納得出来ない場合は弁護士に相談してみるとよいでしょう。

さいごに

企業などの業務に携わっている場合に発生した交通事故では、個人間だけでなく被用者の使用者もその責任の範疇に入ってきます。

被用者の支払い能力なども鑑みた上での請求や、使用者側としてもどこまで無過失責任を負う可能性があるのかを知っておくことで、交通事故が起きた場合に有利に動けるようになるでしょう。

【参考】東京の役員運転手派遣・請負『セントラルサービス株式会社』
この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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