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公開日:2020.10.19  更新日:2020.10.19

赤信号をうっかり見落としてしまうのはなぜ?

運転中、今まで気づかなかった赤信号が目に入り、急停車した経験はありませんか。

信号無視による交通事故は減少傾向にはあるものの、2020年8月の統計では、令和2年中で、信号無視による死亡事故は56件も発生しています (参考:交通事故統計月報|令和2年8月末)。

意図的に信号を無視するケースもありますが、うっかり信号を見落としてしまっていたケースなども考えられます。

最近のニュースでは「足がかゆくて足をかいており、下向き加減で運転していた。前をよくみていなかった(参考:北海道文化放送)」などの理由で信号を見落とし、人身事故が発生したケースも報道されました。

なぜ、運転で1番大切な信号を見落としてしまうのでしょうか。

赤信号を見落とす心理について、大阪大学の中井宏准教授にお話をお伺いしました。

インタビューしたのは…

中井宏准教授中井 宏(なかい ひろし)
大阪大学大学院人間科学研究科・准教授

2010年、大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了、博士(人間科学)。

その後、大阪大学大学院人間科学研究科・助教、東海学院大学人間関係学部・講師、准教授を経て、2018年より現職。専門は交通心理学。

現在、日本交通心理学会事務局長。主幹総合交通心理士。
警察庁第二種免許制度等の在り方に関する有識者会議委員、職業運転者に必要な免許制度の在り方に関する調査研究委員会委員の他、大阪府・京都府・滋賀県などで指定自動車教習所指導員講習の講師を歴任。


「運行管理の心理学―理論と実際―(分担執筆)」、「シリーズ人間科学 3巻 感じる(分担執筆)」、「シリーズ人間科学4巻学ぶ・教える(分担執筆)」、「運転中にイライラしないための20のアドバイス(監修)」など。

 

赤信号を見落としてしまう原因とは

交通事故弁護士ナビ編集部

運転中、一番注意すべき信号を見落としてしまうのはなぜでしょうか?

 

中井先生:

逆光などの関係で信号の色がわからなかったり、車体が大きな先行車の陰に隠れて信号が見えていなかったりするケースもあるでしょう。

それ以外で信号の見落としが発生してしまう理由としては、「運転に慣れてきてしまっている」からだと思います。

 

教習所にいた頃や免許取りたての頃は、ハンドル操作によってどのくらい曲がるかなど、操作ひとつひとつを自分自身で意識していたと思います。

しかし、ひとつの動作をずっと意識し続けるのは、人間にとって非常に負担のかかる行為です。例えば服を着る際、腕を右の袖から通すのか、左の袖から通すのかいちいち覚えていないでしょう。それと同じで、車の運転も経験を積むうちにあまり意識していなくても半ば自動でできるようになってきます。

 

あまり意識を向けなくても運転できるようになるため、目の前のことではなく別のことに意識が向いてしまい、見落としが発生すると考えられます。

 

交通事故弁護士ナビ編集部

なるほど。慣れることで注意散漫になってしまい、結果的に信号の見落としにつながるのですね。

中井先生:

そうですね。

注意」は目に映りませんが、心理学では重要な概念です。

注意をする能力には限度があるため、何に注意を割くか上手に振り分ける必要があります

 

人通りが多く見通しの悪い道路では、事故を起こさないよう運転に多くの注意を割きますが、逆に人通りがなく見通しのよい道路であれば、運転以外のことに注意を割きやすくなるため、目の前に信号があっても反応が遅れてしまう可能性があります

 

 

意図的な信号無視はなぜ起こるのか?

交通事故弁護士ナビ編集部

うっかりではなく意図的に赤信号を無視してしまう人もいると思うのですが、そのような信号無視はなぜ起こるのでしょうか?

 

中井先生:

意図的な違反は、「違反」という点では先ほど紹介したような、注意散漫や逆光などによる事故(ヒューマンエラーによる事故)と同じですが、発生する心のメカニズムが異なります。

意図的な違反は「リスクテイキング」と呼ばれ、危ないことだと理解しているものの実行してしまう行為を指します。

 

赤信号無視だけではなく、投資や就職、結婚も広い意味ではリスクテイキングに当てはまります。

このようにリスクを理解していながら実行してしまうのは、リスクを小さく見積もっていたりリスクを冒すメリットが大きかったりするからです。

事故であれば「まだ横から出てこないだろう」「間に合えば商談で大きな利益が手に入る」などと思い信号無視してしまうケースが挙げられます。

 

これらは、運転手を取り巻く状況によって変わってきますので、同じ人でも信号無視をしてしまったり、しなかったりとバラバラです。

 

 

赤信号を見落とさないための予防策とは

交通事故弁護士ナビ編集部

ヒューマンエラーによる赤信号の見落としを回避するためにできることはありますか?

 

中井先生:

事故につながるヒューマンエラーを減らすためには、初心者の頃のように自分がどのような運転をしているのか監視することや、日頃の運転を振り返ってもらえればと思います。

 

また、交通事故を起こした人の話をよくよく聞いてみると、実は借金問題や夫婦関係で悩んでいたという話も耳にします。

日常の悩みは、頭を離れなくなってしまうこともあるため、注意をそちらに割かないためにも、まずは日常的な悩みを解決することが重要です

 

この他にも、最近では自動車の位置や走行速度に合わせ信号が変わる・変わらないなどを知らせてくれる装置(信号情報活用運転支援システム(TSPS))もありますので、受信装置を設置することで予防策につながるかもしれません。

 

光ビーコン信号情報活用運転支援システム(TSPS)

引用:光ビーコン信号情報活用運転支援システム(TSPS)|VICSセンター

ただ、まだ新しい装置なので、装置と連動できる信号機が国道にしかなかったり、装置を後付けする手間や費用がかかってしまったりなどの問題もあります。

 

 

赤信号を見落とさないためには「平常心」が重要

中井先生:

赤信号を見落とさないためには平常心でいることも大切です

割り込まれてカッとなり相手を怒る「あおり運転」の加害者・被害者も、注意が運転から逸れてしまうため、信号見落としの原因になると思われます。

 

ネガティブな感情や嫌なことがあるのにそれを我慢するのは、エネルギーがかかり、そこに注意が取られてしまうため、運転に集中できなくなってしまいます。

常に平常心でいるためにも、短気な性格を見つめ直すとともに、怒りや焦りを鎮める解消方法は複数持つことがおすすめです。

 

交通事故弁護士ナビ編集部

よく、怒りが沸いたときは「6秒我慢するとよい」といった話も耳にしていますが、効果はありますか?

 

中井先生:

運転中であれば、一般的に6秒経過すると相手がいなくなってしまうので、有効な手段のひとつかもしれません。

ただ、嫌なことが起こったきっかけや程度、過程が1人1人違うため、解消方法も異なってくるのかな、と思います。

 

例えば同じ嫌なことでも、風呂にゆっくり入ってリラックスする人やカラオケで大声を出したい人、散歩に行きたい人など解消方法は人それぞれです。なので、個人的な意見ですが、「万人に共通する絶対に平常心を取り戻せる方法」はないと思っています。

怒り・焦りなどのネガティブな感情を解消する方法

あおり運転の被害に遭って、6秒我慢することで落ち着けるのであればそれでもよいですし、「あおってきた車は、陣痛の知らせを聞いて急いでいるんだ」「次のサービスエリアのトイレに急いでいるのかな」と思うことで落ち着けるのであれば、その解釈が正解でも不正解でもよいと思います。

どのような方法が合うかは1人1人違うため、自分に合う解消法や対処法があるとよいと思います

 

 

まとめ

運転に慣れてくるとちょっとくらい大丈夫とカーナビを見てしまったり、よそ見してしまったり、注意力散漫になりがちです。

もし、日常に悩みを抱えているのであれば、運転する前に解決するか、運転に集中して気持ちを切り替えることが重要です。

 

また、怒りや焦りによって注意力がそがれてしまうため、運転中は平常心を心がけましょう。

ストレス解消方法は1つではないため、できるだけ多く自分に合う解決方法をもっておくことをおすすめします。

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