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交通事故で被害者が死亡した場合の責任と慰謝料相場

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公開日:2020.7.7  更新日:2022.3.15
交通事故の責任 弁護士監修記事

交通事故で被害者が死亡した場合の責任と慰謝料相場

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いつ起こるかわからない交通事故。その中でも死亡事故という取り返しのつかない事故は最悪のケースといえるでしょう。相手が死亡してしまった場合の、遺族の悲しみや自責の念は計り知れないものですし、法令的にも責任を背負うこととなります。

今回は死亡事故を起こしてしまった責任や慰謝料といった誠意の見せ方を知ることで、万一に備えていきます。

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交通事故で被害者が亡くなった場合、その精神的苦痛として『死亡慰謝料』が支払われます。

死亡慰謝料には『自賠責基準』と『弁護士基準』があり、下記の表の通り、請求できる金額に大きな差があります。
交通事故死亡慰謝料の自賠責と弁護士基準の比較
弁護士基準の方が2,000万円近く金額が高くなりますが、弁護士基準での請求は弁護士にしかできません

被害者が亡くなった場合には、迷わず弁護士に相談しましょう。

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交通事故の慰謝料相場|最も慰謝料を高額にする方法とは

交通事故で被害者を死亡させた場合の法的責任

交通事故を起こしてしまい、相手を死亡させてしまった場合、以下の4つの責任をとらなければなりません。
 
・刑事責任
・民事責任
・行政責任
・道義的責任

 
これらの責任はそれぞれ別のものとなっていますので、個々に詳しく見ていくことにしましょう。
 

刑事責任

事故で他人を死亡させた場合には、刑法に定められた懲役刑・禁固刑・罰金刑に処せられることになります。前科がなければ一般的には、罰金や執行猶予付きの懲役刑となるパターンが多いです。
 
ただし、無免許運転や酒気帯び運転、30キロ(高速道路は40キロ)を超えるスピード違反など道路交通法に違反をしつつ事故を起こした場合には、執行猶予なしの懲役刑・禁固刑に処せられることもあります。
 
また、懲役刑・禁固刑で、刑務所に入る場合、交通刑務所に入る確率は3割ほどで、その他は一般刑務所に入ることが多く、一般刑務所は他の犯罪(傷害・恐喝・詐欺・窃盗・暴行等)を犯した人達と一緒に収監されることになります。
 
交通事故で入所した人物は一般犯罪より扱いが悪くなることが多いと言われていますし、出所後にも同じ刑務所にいた人間に恐喝をされるなど、その後の生活が脅かされる危険性が出てくることも追記しておきます。
 

■主な刑罰

  • 業務上過失致死傷害罪(刑法211条)

  • 過失運転致死傷罪(自動車運転処罰法5条)

  • 危険運転致死傷罪(自動車運転処罰法2条)

  • 過失建造物損壊罪(道路交通法第116条)

 

民事責任

民事責任は、被害者に対しての慰謝料支払い額などを決めたり、そのための示談を行ったりしなければなりません。示談については自動車保険に加入していれば、交渉・示談の締結・金銭の支払いなどの全てを行います。
 
ただし、交通事故に限っては刑事事件と民事事件が連動し、慣習的に49日の法要が終わるまで、被害者からの請求が無いと示談交渉を行うことができないことが一般的です。

刑事裁判は交通事故発生から約180日後に始まりますから、それまでには示談交渉などの全てを行う必要があります。
 
示談をするということは、加害者側の誠意に対して納得できるかどうかですから、当事者間で示談書を作って裁判所に提出できれば、加害者側も情状酌量の余地があるということになりますね。
 
情状酌量が行われると、実刑が執行猶予に、執行猶予が罰金刑に軽減されることが多くなります。例えば、執行猶予5年という判決が下された場合、5年間は再度刑事事件を起こさない限り、問題なく通常の生活が送れるようになります。

 

主な罰則

  • 不正行為責任(損害賠償責任)(民法709条)

 

行政責任

これは公安委員会による道路交通法違反に対しての処分となります。人身事故の場合は責任を問われ、スピード違反や一時停止違反などをしていると、交通違反の常習者と見られ、情状酌量を受けることが難しくなります。
 
また、10年以上無事故・無違反の方は優良運転手の表彰を受けておくと、万が一の大事故の際、罪が軽減される場合がありますので、よりベターといえるでしょう。
 

主な罰則

  • 交通反則金(道路交通法違反)

 

道徳的責任

これは法的な責任というわけではありませんが、人間としての道徳的な側面として重要です。人身事故を起こした後、保険会社に全てを任せ、お見舞いにも行かない人がいますが、それでは示談がうまく立ち行かない可能性が非常に高いです。

自らが被害者となった際に、加害者に対しての感情を想像してみましょう。相手に対して不愉快な思いを抱いていることと容易に想像がつくかと思います。
 
特に死亡事故の場合、先にも述べました通り、日本の慣習的に事故発生から49日間は法要の期間となります。この間にどのような行動をとるかで、相手の心象が大きく変わります。実際には警察からの事情聴取で拘留される期間など、すぐにはお見舞いに向かえないかもしれませんが、拘留が解けたら、被害者宅までご焼香に行くなどのお見舞いをするほうがよいでしょう。
 
ご遺族から断られることが多いかもしれませんが、誠意を持って訪問しましょう。本人が拘留中であったり、大ケガをしたりと、どうしても本人が出向けない状況にならばご身内の方が代わってでも行くべきだと思われます。
 
刑事裁判での情状酌量とは「加害者が心から本当に悔いて反省しているか」を判断しての、道徳的な減刑のことです。
 
反省の色を見せるためにも被害者の方への配慮を行う方がよいでしょう。そうした誠意を持った行いに被害者の側も感じてくれるものがあるでしょう。

 

死亡事故の場合の慰謝料額

慰謝料は精神的苦痛を金銭で償うものですので、交通事故で被害者が亡くなった場合の遺族が受け取れる慰謝料には以下の2つがあります。
 

  • 亡くった被害者固有の慰謝料
  • 被害者の近親者の慰謝料

 
また、慰謝料には3つの基準があります。
 

  • ・弁護士(裁判所)基準裁|判所の採用する基準
  • ・任意保険基準|任意保険の採用する基準
  • ・自賠責保険基準|自賠責保険の採用する基準

 
これら3つの基準について詳しくは、「交通事故の慰謝料を左右する3つの基準」で詳しく開設していますが、簡単に言うと、自賠責保険よりも高額なのが任意保険基準、でもっとも高額な慰謝料となるのが、弁護士基準です。

 

被害者固有の慰謝料

被害者固有の慰謝料とは、亡くなった被害者の精神的苦痛を金銭で償うものですが、被害者自身はすでに亡くなってしまっているので、相続人が相続することになります。
 
下記の金額は「近親者の慰謝料」を含む金額とされています。なお、この金額は、あくまで一応の目安であることに注意しましょう。
 
表:基準別の死亡慰謝料の相場

本人の立場

自賠責基準

任意保険基準(推定)

弁護士基準

一家の支柱

350万円

1,500万円〜
2,000万円

2,800万円〜
3,600万円程度

子ども

350万円

1,200万円〜
1,500万円

1,800万円〜
2,600万円程度

高齢者

350万円

1,100万円〜
1,400万円

1,800万円〜
2,400万円程度

上記以外
(配偶者など)

350万円

1,300万円〜
1,600万円

2,000万円〜
3,200万円程度

 

近親者の慰謝料

交通事故で被害者が死亡した場合、被害者の親族も精神的苦痛を負いますから、死亡した被害者の近親者にも慰謝料が支払われます。
 
表:自賠責保険で遺族がもらえる慰謝料の相場

自賠責

本人の慰謝料

350万

遺族の慰謝料

被害者に被扶養者
がいる場合

被害者に被扶養者
がいない場合

請求権者1人の場合

750万

550万

請求権者2人の場合

850万

650万

請求権者3人以上の場合

950万

750万

 

被害者家族と示談する際のポイント

死亡事故で一番のポイントになるのは、交通事故がどのようにして発生してしまったのかということです。

交通事故の責任を表す数値を「過失割合」と言いますが、死亡事故では事故状況を被害者本人に聞くことができないため、被害者側が損をするような証言されてしまえば、過失が無かった場合でも、加害者が有利な条件となってしまう可能性は十分になります。
 
もちろん、被害者が100%悪いという可能性もゼロではありませんが、それは遺族もわからないことですし、余計な疑いをかけられる事態を避ける意味でも、できるだけ詳細な証拠を集められるよう、初期対応が大切であると言えます。
 

もし示談がまとまらなかった場合は弁護士に相談しよう

示談の話し合いがこじれて相手が損害賠償請求に応じない時は、交通事故が得意な弁護士に相談することを強くおすすめします。
 

弁護士に依頼するメリット

個人でも内容証明郵便などを利用して催促を行うこともできますが、内容証明郵便には法的な拘束力などがないため、無視をされる可能性もあります。

弁護士がついていれば、自分1人で示談交渉を行うよりも、深い専門知識を持っているため、示談交渉もスムーズになり示談金の増額も比較的容易になるでしょう。
 

弁護士基準が使える

裁判などの強制力を伴う手続きを取らない限り、法的に正しい賠償を任意に行う義務は保険会社にはありません。また、金額的にも弁護士に委任して裁判での解決を図ることを前提とした場合、保険会社も「弁護士基準(裁判基準)」での金額が請求できます。

つまり、交渉の速さ、示談金の額共に弁護士に相談した方がよりよい結果になりやすいのです。
 
ちなみに、弁護士を介した場合、「裁判を前提とする」のであって、実際に裁判をすることはそれほど多くはありません。毎年、膨大な数の交通事故が起きているため、過去の判例をもとにどのような判決結果になるかがおおよそ決まっています。
 
弁護士はこの知識をもとに保険会社と交渉をしてくれますし、ほとんどの場合は、これで話がまとまって終わることとなります。そのため、「裁判を前提とする」というのがポイントになります。そのためにも、まずは弁護士に一度相談されるのが一番いいでしょう。

 

まとめ

死亡事故には大きな責任を伴うことがお分かりいただけましたでしょうか。民事責任、刑事責任が連動するという特殊なケースであることからも、死亡事故の事態の大きさがお分かりいただけるかと思います。
 
また、慰謝料についてもかなりの額が動くこととなります。これらの全てに対しての知識を備えているのが弁護士ですので、万が一、死亡事故を起こしてしまったら、自身のパターンにあった適切な処置を知るためにも弁護士に相談をされることをおすすめします。
 

 

交通事故の慰謝料は

弁護士が交渉する事で

増額できる可能性があります

慰謝料には弁護士基準というものがあり、示談交渉で弁護士が介入することで 慰謝料額が大幅に増額する可能性があります。

 

一般の方が加害者側に対して弁護士基準で請求をしても、根拠を示すのが難しくなかなか聞き入れてくれないというのが現状ですので、増額請求には弁護士への依頼がおすすめです。

 

弁護士基準による増額事例

 

まずは、弁護士への依頼でどれくらいの増加が見込めるのか、具体的に相談されるのをオススメします。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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