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物損事故の違反点数はゼロ|罰金や処罰に対する知識まとめ

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公開日:2020.7.31  更新日:2022.3.15
交通事故の責任 弁護士監修記事

物損事故の違反点数はゼロ|罰金や処罰に対する知識まとめ

人の死傷が無く器物の損壊のみの場合」を物損事故として扱っており、この物損事故の場合は刑事処分及び行政処分の扱いは受けないとされていて、違反点数もつきません。
 
つまり、刑事処分や行政処分として記録されるのは人身事故だけで、免許の取消し(ゴール後免許剥奪)や停止処分の対象となって点数が惹かれるのは人身事故及び建造物損壊事故の場合になります。

つまり、物損事故では違反の対象となる点数は加算されないというのが結論ですが、物損事故の場合は自賠責保険が使えないといった注意点もありますので、今回は物損事故が起きた場合の注意点などをご紹介していきます。

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物損事故に違反点数の加算はないが人身事故はある

冒頭でもお伝えしましたが、物損事故の場合は違反点数がつきません。では「人身事故の場合はどうなの?」と思うかもしれませんが、人身事故の場合に関しては「交通違反の違反点数と反則金について」で解説していますので、ここでは割愛させていただきます。まずは物損事故の基本的な知識をご紹介します。
 

物損事故には刑事処分はほとんどない

物損事故と建造物損壊の違いについて

物損事故の場合、基本的に罰金はありませんが、物を壊したものに対する損害賠償金は発生しますので、任意保険に入っていなければ、修理代を支払わなければならないという問題はあります。

 

ほとんどの場合において刑事罰は発生しません。

ただし、他人の所有する建造物を損壊させた場合には、運転過失建造物損壊罪が適用されることがあります。

建造物の効用を失わせる程度の被害である場合には、上記の刑罰が適用される可能性があります。

 

物損事故の場合は自賠責保険が使えない

 

物損事故は人に対する事故ではないので、自賠責保険の対象外になります。つまり、損害賠償は任意保険で支払うか、加入していない場合は自腹で払わなければなりません。

物損事故でも賠償金が1億円を超えるケースもまったくないとは言い切れませんので、対物保険の補償額は無制限にして加入しておいた方が良いでしょう。
 

ゴールド免許の方が物損事故を起こしてもブルーに戻ったりはしない

過去5年間の間に交通違反や交通事故をしていない人に交付される「ゴールド免許」ですが、前述したとおり、物損事故には点数加算をされませんので、ゴールド免許でなくなる心配は全くありません。
 

建造物を損壊させた場合は行政処分及び刑事処分の対象

人に損害を与えていなくても、家屋やビルといった建造物に損害を与えた場合は、行政処分と刑事処分が下される可能性は少なからずあります。

下記表のような罰則や行政処分が下されることがあります。

 

違反行為

違反点数

刑事罰

運転過失建造物損壊罪

6ヶ月以下の禁錮

または10万円以下の罰金

建造物損壊事故

 

3点

建造物損壊事故

(相手にも非がある)

2点


刑事罰などはありませんが、けがをさせていないというだけでのことであって、被害者に対して車が壊れたことなどに対する損害賠償請求は発生します。

建造物を損壊した際の点数と刑罰

他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
引用元:道路交通法

 

第一一六条 車両等の運転者が業務上必要な注意を怠り、又は重大な過失により他人の建造物を損壊したときは、六月以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処する。
引用元:道路交通法第116条

 
ちなみに、道路または道路上に設置されたガードレール(標識)などは建造物とはみなされません。

 

物損事故の場合に気をつけるべき注意点

物損事故での注意点

次に物損事故の場合の注意点などを確認していきましょう。
 

警察は人身事故でも物損事故にしたがることがある

保険会社は物損事故だと自賠責保険が使えないため、人身事故にしたいという意向がありますが、警察は人身事故だと刑事事件として立件する必要があるため、面倒だと思っている節があります。

しかし、交通事故で怪我を負ったのに物損事故扱いをされると、被害者には以下のような問題がおきます。
 

  • 後遺障害慰謝料・逸失利益・休業損害が支払われない

  • 治療が長引くと治療費などが請求できない

  • 保険会社から治療費を打ち切られる可能性が高い

  • 警察が事故記録だけ書き込んでしまい調査がされない など


警察は民事不介入といって、「当事者間で解決をしてください」というスタンスを基本としていますので、放っておくと泣き寝入りするのは被害者の方です。従って、もし物損事故の扱いを受けた場合は速やかに「人身事故に切り替える作業」を行ってください。
 

当て逃げをした場合は物損事故でも行政処分の対象になる

物損事故が事故扱いにならず、行政処分や刑事処分の対象にならないからといって、警察に連絡しなくて良いわけではありません。しかるべき届出をしなかった場合は「当て逃げ」という罪に問われてしまいます。
 

当て逃げをした場合の刑罰

  • 当て逃げによる違反点数:5点
  • 安全運転義務違反:2点
  • 当て逃げの刑事罰:懲役1年以下又は罰金10万円以下の罰金

※道路交通法第117条の五一号
 

物損事故でも民事責任は発生する

交通事故で発生する責任には「行政責任」「刑事責任」そして「民事責任」があります。物損事故の場合には「行政責任」と「刑事責任」は基本的に発生しない事はすでにお伝えした通りですが、加害者には損害賠償責任が課される事になり、これを「民事責任」と呼びます。

物損事故で対人専用の自賠責保険は使えませんので、この場合は任意保険の「対物賠償保険」を利用する事になります。

損害賠償を支払う手順は、「損害賠償や慰謝料の算出方法と損害賠償金請求・増額の全手順」「交通事故の示談をする時に必ず知っておきたい流れと注意点」を参考に、無駄な責任を負わないためにも、警察への連絡はするようにしましょう。

まとめ

物損事故に違反点数がないことや、ゴールド免許の剥奪が起きないことはご理解いただけたかと思いますが、物損事故だからといって、安心はできませんので、今回の内容が今後のカーライフの参考になれば幸いです。

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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