交通事故や自転車事故など、事故はいつ起きてしまうか分からないものです。弁護士費用を用意できず泣き寝入りとなってしまうケースも少なくありません。
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交通事故の損害賠償を請求する際に、一体どうやって計算して加害者に対して請求すれば良いのでしょうか。
まず初めに知っておくべきことは、加害者に対してどんな項目の金額を請求できるのかですが、基本的には下記の項目を加害者に対して請求できます。
損害賠償の合計項目 |
||
精神的損害 |
財産的損害 |
|
・入通院慰謝料 |
消極損害 |
積極損害 |
・休業損害 |
医療費関係 |
この記事では、交通事故の損害賠償金を正しく計算し、できるだけ増額させるにはどうすればよいかをご紹介します。
損害賠償として請求できるものにはなにがあるのか、またどうやって算出するのかを確認することが、損害賠償請求の第1歩になります。
何かしらの違法行為が原因で精神的な苦痛を与えた者に対する損害賠償の事で、一般的には慰謝料と呼ばれるものですね。交通事故の場合の慰謝料は「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」の2つがあります。
入通院慰謝料は入院期間が長いほど、また通院期間が長ければ長いほど増額していきます。
表:自賠責基準の入通院慰謝料の相場
自賠責基準 |
|
①通院のみ3か月 |
25万8,000円 |
(実通院日数30日) |
|
②通院のみ6か月 |
51万6,000円 |
(実通院日数60日) |
|
③入院1か月・通院3か月 |
51万6,000円 |
(入院30日・実通院30日) |
|
④入院1か月・通院6か月 |
77万4,000円 |
(入院30日・実通院60日) |
|
⑤入院2か月・通院6か月 |
103万2,000円 |
(入院60日・実通院60日) |
後遺症のなかでも、等級が認定される重度の症状の場合に、「後遺障害」の認定が第1級から第14級までのなかで設定されていきます。等級が低いほど、後遺障害慰謝料の額は増大していきます。
表:後遺障害慰謝料の算出表
等級 |
自賠責基準 (2020年3月31日までに発生した事故) |
任意保険基準(推定) |
弁護士基準 |
1,150万円 (1,100万円) |
1,600万円程度 |
2,800万円 |
|
998万円 (958万円) |
1,300万円程度 |
2,370万円 |
|
861万円 (829万円) |
1,100万円程度 |
1,990万円 |
|
737万円 (712万円) |
900万円程度 |
1,670万円 |
|
618万円 (599万円) |
750万円程度 |
1,400万円 |
|
512万円 (498万円) |
600万円程度 |
1,180万円 |
|
419万円 (409万円) |
500万円程度 |
1,000万円 |
|
331万円 (324万円) |
400万円程度 |
830万円 |
|
249万円 (245万円) |
300万円程度 |
690万円 |
|
190万円 (187万円) |
200万円程度 |
550万円 |
|
136万円 (135万円) |
150万円程度 |
420万円 |
|
94万円 (93万円) |
100万円程度 |
290万円 |
|
57万円 |
60万円程度 |
180万円 |
|
32万円 |
40万円程度 |
110万円 |
表をご覧の通り、後遺障害の等級で金額にかなりの差が生まれますし、基準によってはさらに差が生まれますので、できるだけ弁護士基準で請求できるかどうかがカギになると言えます。
被害者が死亡した場合に遺族に支払われる慰謝料です。この死亡慰謝料は、亡くなった方ご本人に対する慰謝料と、ご遺族に対する慰謝料とに分かれています。
表:基準別の死亡慰謝料の相場
被害者の立場 |
自賠責基準 |
任意保険基準 |
弁護士基準 |
---|---|---|---|
一家の支柱 |
400万円 |
1,500万円〜 |
2,800万円程度 |
配偶者・母親 |
350万円 |
1,200万円〜 |
2,500万円程度 |
上記以外 |
350万円 |
1,300万円〜 |
2,000万円〜 |
休業損害とは、交通事故に遭い仕事を休んでしまった場合に、その期間の減った収入や利益の補償を目的としたものです。個々の職業により計算は異なりますが、被害者自身が収入額を証明する必要があるということは覚えておくと良いでしょう。算出式は以下の方法で算出します。
請求項目 |
内容 |
治療費 |
診療報酬明細書または領収書で立証する。 |
通院交通費 |
通院、入院にかかった費用。 |
付添看護費 |
職業看護人、家族が付添った場合の費用 |
入院雑費 |
1日当たり1,500円程度 |
器具等の購入費 |
車椅子、盲導犬、義足、義歯、義眼などの購入費 |
将来の手術費及び治療費 |
手術及び治療の費用は、現時点で請求出来る。 |
家屋等の改造費 |
障害や後遺症の程度により、浴場、便所、出入口、自動車などの改造費。 |
葬祭費 |
不幸にも被害者が死亡した場合の葬祭費。 |
弁護士費用 |
裁判で獲得できた金額の15%〜30%程度が多い。 |
計:436万円
交通費にタクシーなどを利用した場合は、しっかり領収書を残しておきましょう。もし自家用車でもガソリン代が請求できます。診断書等の文書費用も付添看護費などは病院・医師が認めた場合には請求可能です。
休業損害とは、交通事故に遭い仕事を休んでしまった場合に、その期間の減った収入や利益の補償を目的としたものです。個々の職業により計算は異なりますが、被害者自身が収入額を証明する必要があるということは覚えておくと良いでしょう。算出式は以下の方法で算出します。
まず勤務先に事故前3ヶ月の収入を計算してもらい、3ヶ月間の収入を90日で割って、1日あたりの基礎収入額を算出します。最後に1日あたりの基礎収入額に休業日数をかけると休業損害を算定することができます。
給与所得者の場合、基礎収入額の計算が3ヶ月でなく、事故前6ヶ月間の賞与であったり1年間の賞与を使って、1日あたりの基礎収入額を計算することもあります。
まず確定申告書などで事故前年度の収入を調べ、365日で割って1日あたりの基礎収入額を算出します。最後に1日あたり収入に治療で病院に行ったり入院したりしていた日数をかけることで算定できます。
専業主婦も休業損害を請求でき、計算にはまず賃金センサスという賃金構造基本統計調査が出している統計資料から女性全年齢の平均賃金を調べます。そして、平均賃金の年収を365日で割り、1日あたりの基礎収入額を算出します。
最後に1日あたり収入に治療への病院・入院の日数をかけることで休業損害を算定することができます。
学生は実際には労働で利益を生んでいるわけではないので、基本的に休業損害は発生しません。しかし、継続的にアルバイトを続けている等就労に依る継続収入があるような場合は休業損害を請求することができます。
そのため、3ヶ月、6ヶ月、1年といったスパンでの給与証明を残しておくようにしましょう。
会社役員の休業損害には、労働に対して受け取る報酬と、労働していなくとも受け取ることができる報酬の2種類が含まれています。その中で、実際の労働に対して受け取る報酬に対する損失が休業損害として認められることとなります。
逸失利益とは、交通事故が原因の後遺障害で労働能力が減少し、交通事故に遭わなければ本来もらえたはずの将来の収入減による損害を言います。死亡して収入が得られなくなった場合も同様です。
交通事故による逸失利益を計算する際、被害者の知識不足をいいことに低い金額を提示してくる場合もありますので、しっかりと知識をつけておくことが重要です。
【逸失利益=基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数(ライプニッツ係数)】
40歳の会社員が交通事故に遭遇。
事故前の年収600万円
後遺障害等級10級に該当した場合
【逸失利益=基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数(ライプニッツ係数)】
600万円 × 27%(0.27)× 27年(18.327) = 2968万9740円
まず、どんな状況で過失割合が設定されるのか正確に把握し、加害者の主張に対して反論できるように弁護士に相談することで、過失割合を下げる余地が十分に生まれます。
別冊判例タイムズという交通事故判例に基づく過失割合の基準を掲載している資料があります。これは裁判所も重要視する書籍ですので、参考にし、引き合いに出すと良いでしょう。
例えば、車の損害賠償金を請求しない代わりに、過失割合を10対0にしてもらうなど、保険会社の支出が少なくなるような交渉であれば応じてくれることがあります。
ただ、専門知識がない場合は交渉が難しいので、交通事故の慰謝料問題に詳しい専門家へ相談することをおすすめします。
休業損害にも自賠責基準と弁護士基準がありますので、自賠責基準で計算されている場合には増額できる可能性が大いにあります。
交通事故の後遺障害認定は慰謝料増額にもっとも重要なポイントになり、後遺障害等級とセットで考えるべきものが「逸失利益」です。
入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料には全て自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準があり、弁護士基準が最も高額なものになります。
慰謝料を弁護士基準で獲得するには、弁護士に依頼し、裁判で争うことになります。多少時間もかかり、弁護士費用もかかりますが、それを加味してでも弁護士に依頼すべきであると強くおすすめします。
いかがでしたでしょうか?
損害賠償を請求する際は何が損害賠償として請求できるのかを把握することから始めてみてはいかがでしょうか。また、損害賠償に役立つ記事をご紹介しておきますので、参考にしていただければ幸いです。
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