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公開日:2020.7.15  更新日:2021.1.25

交通事故の示談ガイド|示談金の相場と手続きの流れ

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事

交通事故における示談とは、被害者が事故で受けた損害や事故の責任の所在を明確にして、トラブルを解決する条件(示談金の額)を決定する法律(和解)行為です。

被害者が「あなたはこれくらいの責任があったから、賠償金としていくら払ってくださいね」という請求をして、加害者が「はい、わかりました」と合意することで示談は成立します。

ただ、交通事故の示談金は損害についての考え方やその評価の方法によって、同じ事故でも損害の算定結果に差額が生じる場合もあります。

そのため、適切な額の示談金を請求したいのであれば、交通事故で賠償の対象となる損害とは何かという点について、ある程度理解を深めておいたほうがよいでしょう。

この記事では、示談金の相場や手続きの流れなど、交通事故示談に必要な事前知識をすべてご紹介します。交通事故の被害に遭ってしまった方は、ぜひ参考にしてみてください。

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交通事故発生から示談成立までの流れ

交通事故発生から示談成立までの大まかな流れは、以下の通りです。

示談成立までの流れ

  1. 交通事故発生
  2. 病院での検査
  3. 完治するまで治療
  4. 後遺障害申請
  5. 示談交渉
  6. 示談成立

交通事故被害では、物損であれば車の修理代が概ね確定した時点、人損であれば治療が終了して症状固定の状態になった時点など、事故の損害が確定してから、示談交渉に臨むことになります。

加害者が任意保険に加入している場合には、加害者側の保険会社に対して賠償を請求することになるでしょう。

なお、被害者側にも事故の責任があり、被害者も任意保険に加入をしている場合には、被害者側も契約している保険会社に示談の代行を依頼することができます。

そのため、この場合は、保険会社同士で示談に向けての協議・手続きが進められることになります。保険会社と相談しつつ、事故後の手続きに対応するようにしてください。

示談全体の大まかな流れを理解した上で、それぞれの段階について詳しく見ていきましょう。

交通事故発生

事故発生直後にやるべきことは以下の2点です。

  • 警察への通報
  • 保険会社への連絡
  • 警察への通報を行う理由

事故の種類問わず、道路交通法に基づき警察への報告が義務付けられています。

物損事故の場合には、その場で簡単な事故状況の確認が行われる程度ですが、人身事故のような場合には後日に詳細な実況見分が行われることが多いです。

なお、警察に事故について報告すれば、後日、事故証明書を発行してもらえます。事故証明書は保険会社に補償を求める際に必須ですので、警察への報告は必ず行いましょう。

病院を受診

交通事故で身体に何らかの症状や違和感がある場合、必ずすぐに病院を受診してください。可能であれば事故当日か翌日には病院を受診するべきですが、遅くとも1週間以内には受診しましょう。

事故後に速やかに病院を受診していないと、仮に後日何らかの症状があったとしても、事故と症状との因果関係に疑義があるとして補償されない可能性があります。

治療の継続

交通事故により何らかの傷病があると診断され、自身でも自覚する症状があるのであれば、医師の指示に従い、定期的な治療を続けましょう。

特にむちうちのような外傷がなく、他覚所見も認めにくい負傷の場合には、治療を要する状態なのかが外部的にはわかりにくいです。

そのため、治療の頻度が極端に少なかったり、治療が不定期であるような場合には、そもそも治療の必要性に疑義が生じる可能性があります。

もちろん、症状が軽く、通院治療を要しない傷病であれば無理に通院する必要はありません。しかし、そうでない場合に通院を怠っていると、症状はあるのに補償がされないという状態となり、トラブルとなってしまう可能性があります。

したがって、何らか症状がつづいいており、医師からも治療を勧められているのであれば、定期的な通院をある程度続けた方が良いと思われます。

なお、治療を継続する期間ですが、通常は、これ以上治療を続けても軽快しない状態(症状固定)となるまでとされています。そのため、治療の終了時期については、担当医に今後の治療効果の見通しを尋ねるなどして慎重に判断しましょう。

後遺障害申請

症状固定の時点で何らかの症状が残っているようであれば、加害者が強制加入する自賠責保険に対して、後遺障害認定の申請を行うことを検討しましょう。自賠責保険から、後遺障害と認定されれば、当該残存する症状についても、別途後遺障害としてスムーズな補償を受けることができます。

後遺障害申請の大まかな手順

後遺障害認定等級申請の大まかな手順

1:負傷の治療を担当する医師(主治医)に所定のフォームを提出して後遺障害診書の作成を依頼します。
2:後遺障害診断書と他の必要書類を併せて相手自賠責保険に対して申請を行います。

申請の方法には相手の任意保険会社に処理を一任する事前認定と、被害者が自ら申請を行う被害者請求の2通りがあります。いずれも一長一短であり、どちらを採るべきかはケース・バイ・ケースです。 

3:加害者側自賠責保険が提出された書類から、後遺症が後遺障害に該当するかどうかを審査し、該当・非該当の別、該当する場合の等級の別を決定して通知します。審査期間は概ね1~3ヶ月程度です。

示談交渉

加害者側の任意保険会社と示談交渉をする場合は、相手保険会社と損害額について協議することとなります。物損・人身の損害としては以下のような項目が想定されます。

物損事故

  • 車の修理代(修理代が時価額を超える場合は時価額)
  • 買換費用、代車費用
  • 荷物の破損に対する弁償

人身事故

  • 人的損害
  • 消極損害
  • 積極損害
  • 精神的損害
  •  

交通事故で支払われる示談金の相場

交通事故の示談金は、修理代や治療費に慰謝料など、被害者が被った損害の合計額です。つまり、同じ事故でも被害状況によって金額は変わるので、明確な相場はありません。

ただ、被害の状態からおおよその目安を算出することは可能です。ご自身が請求できる示談金の目安を確認したい場合は、以下の計算ツールをご活用ください。

事例1:受傷事故の場合

15歳の女子中学生が、入院35日と通院日数4ヶ月の怪我を負い349万2,000円を請求した事例。示談金の内訳は以下の通りです。

示談金内訳

金額

入通院治療費

120万円

付添看護料

25万円

通院付き添い費

10万8,000円

入院雑費

4万9.000円

家庭教師代

25万円

入通院交通費

1万5,000円

衣料損害費

2万円

慰謝料

160万円

合計

349万2,000円

他にも以下のような事例があります。

依頼者 10代男性
事故状況 車対バイク
受傷部位 下肢
後遺障害等級 10級
弁護士依頼前 約1,300万円
弁護士依頼後 約2,900万円
増額した金額 約1,600万円

 

依頼者 10代女性
事故状況 車対人
受傷部位 頭部
後遺障害等級 7級
弁護士依頼前 約3,800万円
弁護士依頼後 約4,900万円
増額した金額 約1,100万円

事例2:後遺障害事故の場合

34歳の男性会社員(平均月収40万円)が、入院300日と通院300日を要し後遺障害第9級が残る怪我を負い4,554万4,200円を請求した事例。示談金の内訳は以下の通りです。

示談金内訳

金額

入通院治療費

210万円

付添看護料

184万円

入院雑費

42万円

休業損害

440万円

逸失利益

2,688万4,200円

慰謝料

990万円

合計

4,554万4,200円

他にも後遺障害等級9級に関する示談金請求事例は以下のような事例があります。

 

依頼者 30代女性
事故状況 車対人
受傷部位
後遺障害等級 9級
弁護士依頼前 約990万円
弁護士依頼後 約3,210万円
増額した金額 約2,220万円

 

依頼者 40代女性
事故状況 車対車
受傷部位 頭部
後遺障害等級 9級
弁護士依頼前 約110万円
弁護士依頼後 約2,550万円
増額した金額 約2,440万円

事例3:死亡事故の場合

37歳の男性会社員(事故直前の年収700万円)が、交通事故で亡くなり、遺族が1億325万5,820円を請求した事例。各基準の内訳は以下の通りです。

示談金内訳

金額

葬儀費用

150万円

逸失利益

7,375万5,820円

慰謝料

2,800万円

合計

1億325万5,820円

他にも後遺障害等級9級に関する示談金請求事例は以下のような事例があります。

依頼者 40代女性
事故状況 車対人
受傷部位 死亡事故
後遺障害等級  
弁護士依頼前 約5,000万円
弁護士依頼後 約9,475万円
増額した金額 約4,475万円

 

依頼者 70代男性
事故状況 車対人
受傷部位 死亡事故
後遺障害等級  
弁護士依頼前 約3,500万円
弁護士依頼後 約7,000万円
増額した金額 約3,500万円

示談金が支払われるタイミング

交通事故の示談金の支払いは、通常は加害者側の保険会社の会計処理を経て行われますので、示談成立後の2〜3週間後程度となるのが一般的です。

なお、治療費や休業損害(休業中の補償)など、示談前に必要性が高い損害項目に関しては、示談前でも仮払いが認められるケースもあります。仮払いが必要な場合は、保険会社に相談をしてみてください。

被害が物損だけの場合

交通事故の被害が物損だけの場合には、壊れた物の修理代を把握したらすぐ示談の手続きを進めることができます。

ただし、交通事故では後から負傷が発覚するケースが多々あります。事故直後は体に異常を感じなくても、病院で検査を受けて問題ないことを確認してから、示談をするようにしましょう。

怪我や後遺症を負った場合

交通事故で怪我を負った場合は治療が終了してから、後遺症が残った場合には後遺障害認定を受けてから、示談の手続きを進めるのが一般的です。

なお、治療期間が長引くと保険会社から示談を催促される場合もあります。ただ、いったん示談について合意してしまうと、合意した時点以降の治療費などは請求できなくなるので注意してください。

保険会社から治療費の補償について対応を打ち切る旨を告げられることがあります。しかし、この場合でも、自己負担で治療を継続し、後日、その必要性が証明できれば、保険会社の対応が打ち切られた後の治療期間についても補償を求めることは可能です。

死亡事故の場合

死亡事故の場合は、被害者が死亡した時点で損害は確定するのが通常です。そのため、死亡後ただちに示談処理を進めることも可能です。

しかし、実際には、ある程度の期間をおいてから開始されるケースが一般的です。

多くの場合は、葬儀後49日が経過してから手続きが進められることになるかと思われます。

交通事故の示談を進める際の注意点

交通事故の示談で被害者が注意すべき事項を3点ご紹介します。

示談を進める際の注意点

  • 一度成立したら条件の変更はできない
  • 示談金の請求には時効(期限)がある
  • 過失ゼロだと示談代行サービスが使えない

一度成立したら条件の変更はできない

一度成立した示談の内容を変更することは、原則として認められません(※示談後に思わぬ後遺症が発覚したケースなどは例外的に追加の補償が認められることもなくはないですが、あくまで特別なケースです)。

示談金の支払いを受けた後に、その金額が相場よりも低いことが発覚しても、示談書にサインをして合意した以上、その内容の変更を主張することはできません。

交通事故の示談交渉が事故の損害が確定した後に行われるのは、示談を早まってしまい請求漏れが生じるのを防ぐためです。示談金を早く受け取りたいからという理由で手続きを急いでしまうと、損をする可能性があるので要注意です。

示談金の請求には時効(期限)がある

交通事故の損害賠償は、自身の損害と加害者を知ったときから3年間が請求の期限とされています。具体的には下表の通りです。

被害状況

時効の期間

事故で加害者がわかる場合

交通事故の発生日より3年間

加害者が後からわかった場合

加害者発覚から3年間

ひき逃げで加害者がわからない場合

交通事故の発生より20年間

事故で後遺症が残った場合

症状固定(治療をしても回復の見込みがない状態)の診断より3年間

事故発生から示談まで3年もかかるケースはまれです。とはいえ、示談交渉が難航して手続きが長引いている場合には、あり得ない話ではないので、念のため損害賠償請求の時効について認識しておきましょう。

万が一、時効が迫っている場合には、すぐに弁護士に相談をしてください。

過失ゼロだと示談代行サービスを使えない

被害者である自身にも過失があるような事故の場合は、ご自身の加入する任意(自動車)保険の担当者に示談の手続きを代行してもらえます。

しかし、被害者の過失割合(事故の責任の割合)がゼロであると主張する場合、保険会社は、理論上、損害を補填する義務を負わず、事故とは無関係な立場になります。この場合、保険会社は、被害者の代わりに示談交渉を行うことができなくなるのです。

したがって、被害者側で自身の過失をゼロと主張する場合には、被害者が自ら示談交渉に臨まなければいけません。そのため、被害者は示談交渉のポイントを確認しておいたほうがよいでしょう。

なお、交通事故の示談は弁護士に依頼することが可能です。ご自身での対応が不安な場合には、弁護士への依頼も検討してみてください。

示談でトラブルが生じた場合の対処法

示談金の額や過失割合(事故の責任の割合)など、交通事故の示談では揉め事が生じるケースが多々あります。ここでは、示談でトラブルになった場合の対処法を2つご紹介します。

示談でのトラブルへの対処法

  • 保険会社と交渉をする
  • 弁護士を雇って対応する

保険会社と交渉をする

示談の条件に不満がある場合は、その内容を訂正する証拠を提示して交渉することで、条件が見直される可能性はあります。

他方、このような証拠の提示もせず、法的な根拠も不明なまま感情的な主張をしても、思うように交渉が進むことはなかなかありません。

加害者側の保険会社から納得いかない条件を提示された場合は、なぜそのような内容なのかを確認して、冷静に対応していきましょう。

弁護士を雇って対応する

お互いの主張が平行線で示談が成立しない、または加害者が示談金の支払いに応じる気がない場合には、民事裁判での解決を視野に入れる必要があります。その場合は、弁護士を雇う必要があるでしょう。

なお、弁護士に依頼した場合に必ず訴訟手続となるとか、保険会社の態度が硬化するということはありません。弁護士に依頼した場合でも、民事裁判まで発展せずに示談で解決となるケースはいくらでもあります

弁護士は法的根拠を示しつつ交渉ができるので、今まで通らなかった主張が認められることも珍しくありません。ご自身だけではトラブルの解決が難しい場合には、弁護士への依頼を検討してみることをおすすめします。

交通事故の示談を弁護士に依頼するメリット

交通事故の示談を弁護士に依頼する主なメリットは、以下の2点です。

示談でのトラブルへの対処法

  • 慰謝料が増額できる可能性が高い
  • 交通事故の手続きを一任できる

慰謝料が増額できる可能性が高い

大半の交通事故では、慰謝料は保険会社が定めた独自の基準(任意保険基準)を参考に算出されます。

しかし、弁護士に示談交渉を依頼すれば、保険会社の基準ではなく過去の裁判結果を参考にした弁護士基準で慰謝料を算出できるので、普通に請求するよりも慰謝料が大幅に増額されることもあります

通院期間

任意保険基準(推定)

弁護士基準※

1ヶ月間

12万6,000円

28(19)万円

2ヶ月間

25万2,000円

52(36)万円

3ヶ月間

37万8,000円

73(53)万円

4ヶ月間

47万8,000円

90(67)万円

5ヶ月間

56万8,000円

105(79)万円

6ヶ月間

64万2,000円

116(89)万円

※( )内は、むちうちなどの他覚症状がない負傷をした際の慰謝料

特に、通院期間が半年近くまで長引く重症や後遺症を負ったりしている場合には、慰謝料の増額幅が大きくなるので、弁護士費用を差し引いても収支がプラスになる可能性が高いです。

交通事故の慰謝料は、通院期間を参考にして算出することができます。示談をする前に弁護士に相談して、ご自身が請求できる額の見積もりを確認してみてください。

なお、ご自身または同居するご家族の保険に弁護士費用特約が付帯している場合には、保険会社に弁護士費用を負担してもらえるので、積極的に活用していきましょう。

交通事故の手続きを一任できる

弁護士を雇った場合には、示談だけでなく交通事故に関する手続きをすべて弁護士に一任できます。依頼後は弁護士からの報告を待つだけで済むので、精神的にも肉体的にも事故対応の負担を大きく減らせるでしょう。

弁護士への依頼は、事故発生から示談成立前までであればいつでも可能です。ただ、早く雇ったほうが任せられる手続きも増えるので、怪我の治療が終了したらなるべく早めに相談されることをおすすめします。

まとめ

交通事故の示談は、ご自身の請求する損害賠償の額を決定する手続きです。

基本的には、ご自身の加入する保険会社の担当者が代行してくれますが、こちらの事故の責任がゼロまたは保険に未加入の場合は、被害者自ら手続きに臨まなければいけません。

示談は一度成立したらやり直しがきかない、交通事故の事故対応のなかで最も重要な手続きです。わからないことがある場合は一人で悩むのではなく、弁護士の法律相談を利用してみましょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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編集部

本記事は交通事故弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※交通事故弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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