事故の状況
交差点内停止中の巻き込み事故
依頼内容
私は、T字路交差点内で、東西道路に突き当たる南北道路から、東西道路に左折進入しようと、停車している最中に事故に遭いました。T字路交差点といってもこの交差点は形状が若干特殊で、交差点内で停車しなければ、東西道路から交差点に接近する車両を見通すことができません。そのため、圧倒的に多くの車両がその場所で一時停止して左右の安全を確保するのです。
事故当時も私はその場所で停車して安全確認をしていたのですが、東西道路の西側から異常な内回り右折で一台の車両が私に衝突してきました。私の停車位置は目立つ場所でしたから明らかに見落としだと思います。
その後、私は6か月以上治療を続け、治療終了後加害者側と交渉が始まりました。
ところが、その交渉で加害者側は、「交差点内で停車していた私に落ち度がある。」として私に過失があることを前提に賠償額を提示してきました。
対応と結果
1 受任前の相談
当職は、まず相手方が提示してきた損害賠償額を確認しました。その額は案の定、いわゆる保険会社基準であり、それ自体裁判基準には程遠いものでした。
そして、依頼者様から事情を聴取してまずは、インターネットで現場状況を確認し、依頼者様の主張が正当であることを確認しました。
幸い相談者様は、弁護士費用特約に加入されていましたので、自費負担なく弁護士を利用することができます。そこで、弁護士に依頼することを勧め、同時にセカンドオピオンを取得することを推奨しました。しかし、相談者様は、当事務所に依頼することを即座に決められました。
2 交渉のための準備
当職は、まず現地に赴き、現場写真の撮影を行いました。過失割合が問題となる事案では弁護士自ら現場の状況を目視確認することで大変大きな収穫が得られるからです。
その後、刑事記録などを取り寄せ、最終的に、当職も被害者に過失は皆無であると判断しました。
また、いわゆる裁判基準での損害賠償額の算定を行い、加害者の全面的な過失を前提とする算定を行いました。
3 交渉後の状況
交渉は難航しました。保険会社側も交渉段階から顧問弁護士を投入し、当方の過失を主張してきました。具体的には、双方の過失を考慮して、互いに請求すると、結果的に相殺処理が相当となり当方の請求額は0という内容でした。
しかし、事故状況に照らしそのような主張は絶対に受け入れらないと考えました。
4 訴訟提起以降
こうした事案では、交渉を続けることに意味はありません。
当職は、依頼者様の了承を得て、訴訟を提起しました。
訴訟になると加害者側も弁護士が登場します。その弁護士もまた、加害者側の主張をもとに依頼者様の過失を主張しました。また、依頼者様の通院が必要以上に過剰であるといった主張なども行われました。
当職は、この二つの争点について逐一反論しました。
そして、最終的に裁判所は和解案を示しました。その内容は、やはり依頼者様の過失がないとの前提でした。
相手方は、裁判所が正式に示した和解案を受けて、それ以上争うことを断念しました。そして、当方も、和解案の内容が十分に納得できる水準であったため、和解に応じることを決めました。