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公開日:2020.3.6  更新日:2020.3.6

交通事故で死亡事故が起きた際の対応|加害者の責任と請求できる賠償金

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
交通死亡事故

交通事故で身内が死亡してしまった場合、示談交渉などの事故後の対応は被害者遺族が進めていかなければなりません。突然の事故で交渉どころではないという気持ちはもっともですが、避けては通れない道です。

 

なお死亡事故の場合は当事者である被害者が死亡しているため事故状況の認定などについて加害者側の言い分ばかりが認められるという側面が否定できません。このようなことで感情的になってしまい「とても示談交渉なんてできる状態にない」「これまで交通事故の対応がない」というようであれば、交通事故問題に注力する弁護士への依頼を検討することをおすすめします。

 

この記事では、死亡事故が起きた際の対応や請求できる賠償金、示談交渉のポイントなどについて解説します。

 

交通事故における死亡事故の現状

まずは、日本でどれほど死亡事故が起こっているのか、どのような事故原因があるのか解説していきます。

死亡者数の推移

警察庁が公表しているデータによると、交通事故の発生件数は全国で430,345件死者数は3,532人という結果となっています。事故件数・死者数ともに減少傾向にはありますが、まだまだ年間3,500人以上の方が交通事故によって死亡しているのが現状です。

 

年度

平成17年

平成18年

平成19年

平成20年

平成21年

平成22年

平成23年

発生件数

934,346

887,267

832,704

766,394

737,637

725,924

692,084

死者数

6,937

6,415

5,796

5,209

4,979

4,948

4,691

年度

平成24年

平成25年

平成26年

平成27年

平成28年

平成29年

平成30年

発生件数

665,157

629,033

573,842

536,899

499,201

472,069

430,345

死者数

4,438

4,388

4,113

4,117

3,904

3,694

3,532

参考元:平成30年中の交通事故死者数について|警察庁

死亡者の50%以上は高齢者

以下グラフ2018年のデータによると、死者数3,532人のうち1,966人が65歳以上の高齢者であり、死者数の約56%が高齢者となっています。また高齢者が占める割合は年々大きくなっており、大きな要因の一つとして高齢者人口の増加が考えられます。

 

引用元:平成30年における交通死亡事故の特徴等について|警察庁交通局

死亡事故の発生原因

このような死亡事故が起きるのには何らかの原因があります。警察庁によると、主に以下8つの法令違反によって多くの事故が発生しているとのことです。

 

引用元:平成30年中の交通事故の発生状況|警察庁

  • 安全不確認:左右確認や死角部の車両等の確認を怠ること。
  • 脇見運転:前を見ずに運転すること。
  • 動静不注視:「きっと歩行者は止まってくれるだろう」などと周囲の状況に注意を払わず運転すること。
  • 漫然運転:ぼんやりと集中せずに運転すること。
  • 運転操作不適:ペダルを踏み間違えたりハンドル操作を誤ったりすること。
  • 一時不停止:一時停止の標識や標示がある道路で停止しないこと。
  • 信号無視:信号を守らずに走行すること。
  • 最高速度違反:制限速度を超えて走行すること。

死亡事故加害者の3つの責任

死亡事故を起こした加害者に生じる責任としては、刑事責任・行政責任・民事責任の3つが挙げられます。以下でそれぞれ解説していきます。

刑事責任

刑事責任とは、懲役刑や罰金刑など、刑罰が科される法律上の責任のことを言います。事故の状況に応じて適用される罰則は異なりますが、主なものをまとめると以下のとおりです。

 

刑事責任

罰則

自動車運転死傷行為処罰法

過失運転致死傷罪
(自動車運転過失致死傷罪)

7年以下の懲役もしくは禁錮又は100万円以下の罰金

危険運転致死傷罪

負傷は15年以下の懲役、死亡は1年以上の有期懲役

道交法

緊急措置義務違反

人身

5年以下の懲役または50万円以上の罰金

酒酔い運転

5年以下の懲役又は100万円以下の罰金

酒気帯び運転

3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

無免許運転

1年以下の懲役又は30万円以下の罰金

行政責任

行政責任とは、免許取り消しや免許停止など、加害者の免許に関する処分のことを言います。信号無視の有無やスピード違反の程度など、過失の程度に応じて点数が付されるほか、死亡事故では以下の点数が加えられることになります。

 

 

違反者の不注意による事故の場合

左記以外の場合

付加点数

20点

13点

民事責任

民事責任とは、加害者から被害者に対して生じる損害賠償責任のことを言います。主な損害としては死亡慰謝料・死亡逸失利益・葬儀関係費用などがあり、詳しくは「交通事故で死亡事故が起きた際の遺族の対応」にて後述しますが、死亡事故では被害者の代わりに遺族が請求対応を行うことになります。

交通事故で死亡事故が起きた際の遺族の対応

死亡事故が起きた場合、遺族としては以下のような流れで対応を進めていくことになります。あくまで一例ではありますが、参考の一つとしていただければ幸いです。

1:死亡者の検死・遺体の確認

まずは死亡者について、警察による検死が行われます。検死では何が原因で亡くなったのか調査が行われ、早ければ半日程度で終わることもあるようです。検死が済んだら、遺体安置所にて遺体を確認することになります。

 

なお、もし検死にて事件性の可能性がある場合は司法解剖が行われますので、その際はさらに日数を要します。1日程度で終わることもあれば1ヶ月以上を要することもあるようで、遺体の状況によってケースバイケースです。

2:遺体の引き渡し

1の手続きを終えたら、遺体が引き渡されます。この時、警察医より「死体検案書」という書類が交付されますので失くさないよう保管しておきましょう。

 

なお遺体の搬送や損傷箇所の処置など、主な対応については葬儀会社が代行してくれます。もし生前気に入っていた洋服などがあれば、依頼時に用意しておきましょう。

3:通夜・葬儀の準備

戸籍法第86条にて、人が死亡した際は、死亡日の7日以内に「死亡届」という書類を提出しなければなりません。引き渡しが済んだら、死亡診断書・死体検案書・届出人の印鑑などを準備して、速やかに役場へ提出しましょう。

 

書類内容に問題がなければ火災許可証が交付され、これで火葬を行うことができるようになります。火災許可証は火葬時に提出し、火葬場にて火葬終了日時を記入してもらって再度受け取ります。受取後、火災許可証は埋葬許可証となり、納骨時に寺院などに提出するという流れになります。

4:通夜・葬儀の執行

各宗派に則って通夜・葬儀などが行われます。

5:加害者との示談交渉

ここまでの手続きを終えたら、加害者との示談交渉です。多くの場合、加害者側の保険会社から示談の提案が来ますので、基本的にはその提案に従うことになります。

 

一度示談すれば、後日に気が変わっても内容について争うことは原則できません。したがって、この段階で示談に応じるか否かは慎重に検討しましょう。場合によっては弁護士と相談しながら進めるのが良いでしょう。

6:裁判での交渉

もし相手方と賠償金について妥結できないのであれば、裁判で争うことになります。訴訟手続は専門的な知識・経験がないとスムーズに進めることが難しいため、交通事故問題に注力する弁護士に依頼することをおすすめします。

交通事故で死亡事故の加害者に請求できる賠償金

死亡事故においては、被害者の遺族が加害者に対して損害賠償請求を行うことになります。その際に請求できる損害の種類と相場は以下のようになります。

死亡慰謝料

死亡慰謝料とは、被害者が交通事故で死亡した際に請求できる慰謝料のことです。慰謝料には下記3つの計算基準があり、各計算基準によって金額は変わります。詳しくは以下で解説しますが、計算基準のなかでも弁護士基準が最も高額となる傾向にあります。

 

交通事故慰謝料の計算基準

自賠責基準

自賠責保険で用いる計算基準

任意保険基準

各保険会社が定める計算基準

弁護士基準

裁判所の過去の裁判例などをもとにした計算基準

 

自賠責基準

自動車の運転者であれば、誰でも自賠責保険への加入が義務付けられています。したがって、ほかの計算基準の中でも低額ではありますが、すべてのケースにおいて自賠責基準で請求することができます。

 

自賠責基準では、死亡者による扶養の有無や、慰謝料の請求人数などによって金額が決められます。

 

請求する要項

慰謝料額

死者本人に対する慰謝料

350万円

死亡者に扶養されていた場合(※)

200万円

慰謝料を請求する遺族が1人の場合

550万円

慰謝料を請求する遺族が2人の場合

650万円

慰謝料を請求する遺族が3人の場合

750万円

※死亡者が遺族を扶養していた場合200万円が加算されます。(遺族が1人かつ扶養されていた場合:350万円+200万円+550万円=1,100万円)

 

任意保険基準・弁護士基準

任意保険基準は各保険会社が独自で定める基準です。したがって相場というのはありません。以下に示しているのはあくまで推定値です。

 

弁護士基準は裁判例に基づいて統計的に数値化された基準です。「弁護士に依頼しなければ請求できない」というルールがあるものでもありませんので、弁護士に依頼しない場合でも弁護士基準での算定を要求することは可能です。しかし弁護士無しで行った場合、保険会社が対応を渋ることは多々あるようですので、基本的には弁護士の助けを得たほうがスムーズでしょう。

 

任意保険基準・弁護士基準では、死亡者が生前、家庭内でどの立場にあったのかにより金額が決められます。

 

死亡者の立場

任意保険基準(推定)

弁護士基準

一家の支柱

1,500~2,000万円

2,800万円

配偶者、母親

1,500~2,000万円

2,500万円

上記以外

1,200~1,500万円

2,000~2,500万円

死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、もし被害者が事故に遭わなかった場合、本来獲得できていたはずの収入のことです。こちらは収入額や年齢などに応じて変動するため、相場というものはありません。

 

基礎収入額×(1―生活費控除率)×就労可能年数に対応する中間利息控除

葬儀関係費用

葬儀関係費用とは、被害者の葬儀や埋葬などにかかった費用のことです。しかし必ずしも実費すべて請求できるというわけではなく、以下のように各計算基準で限度額がありますので、これを超えるような場合は自費で賄うことになります。

 

請求できる葬儀代の限度額

自賠責基準

60万円(原則)

任意保険基準

保険会社ごとで異なるが、自賠責基準と弁護士基準の間というケースが多い

弁護士基準

150万円

計算例

ここでは「被害者:37歳の男性会社員(一家の大黒柱)、事故直前の年収:700万円」というケースで弁護士に依頼した際の計算例を紹介します。あくまでモデルケースですので必ずしも同金額が請求できるということではありませんが、参考程度にご覧ください。

 

①死亡慰謝料

・2,800万円

 

②死亡逸失利益

・本人生活費控除率:年収の35%

・稼働可能年数:67歳までの30年間

・就労可能年数に対応する中間利息控除:15.3725

=700×(1-0.35)×15.3725=6,994万円4,875円

 

③葬儀関係費用

・150万円

 

⇒賠償金(①+②+③)=9,944万4,875円

死亡事故の加害者と示談交渉する際の3つのポイント

遺族の方々は、初めての示談交渉でわからないことも多々あるかと思います。ここでは、示談交渉時に注意すべきポイントを3つ紹介します。

示談を急がれても安易に示談に応じない

損害賠償について示談が成立したということは「問題が解決したこと」を意味しますので、原則その後に取り消すことはできませんし、追加で請求することもできません。

 

保険会社からの提示額がいつも妥当とは限りませんし、増額できる要素が見逃されている可能性もゼロではありません。示談に応じるかどうかは、これが適正かどうかを慎重に見極めてからにするべきです。

 

もし自分で判断しきれないような場合は、事故問題に注力する弁護士にアドバイスを求めることも積極的に検討するべきです。

死亡事故では過失相殺の争いが多い

死亡事故では過失相殺について争われることが多くあります。過失相殺とは、被害者側にも事故の過失(責任)がある場合、被害者側に認められる過失割合分を損害賠償額から減額することを言います。

 

特に死亡事故では、賠償金が1億円を超えるようなケースも珍しくありません。このようなケースでは、過失割合が5%変わるだけで500万円以上も金額が変動しますので、適切な過失割合で賠償金を算定することの重要性は相対的に高いです。

 

10対0では保険会社に示談交渉を依頼できない

もし自動車保険会社に加入していれば、相手方との交渉対応の一切を代行してもらえますので、大変便利です。しかし弁護士法第72条との関係で被害者が自身の過失割合を0と主張する場合は、保険会社は交渉対応を代行することができません。

 

保険会社に依頼できない以上、自力で交渉するしかありませんが、交渉対応に慣れた相手先保険会社を相手にするのは厳しいものがあります。このような場合、唯一弁護士であれば交渉対応を依頼できますので、より良い結果を得るためにも依頼することをおすすめします。

損害賠償請求には時効がある

損害賠償請求できる期間には限りがあり、3年(ひき逃げのように加害者不明の場合は事故から20年)を超えると時効となり権利が消滅してしまいます。

 

なお以下の通り、時効を数えるタイミングは事故の状況に応じて異なり、死亡事故の場合は被害者死亡の翌日から数えて3年が時効となりますので覚えておきましょう。

 

なお人身事故については、民法が改正されたことに伴い、2020年4月1日以降に発生した交通事故については、加害者を知ったときから5年(知らない場合は事故から20年)で権利消滅することになりますので、この点も留意してください。

 

時効までのカウントダウンが始まるタイミング

物損事故

交通事故発生の翌日より起算

人身事故

交通事故発生の翌日より起算

後遺障害

症状固定の翌日より起算

死亡事故

被害者死亡の翌日より起算

交通事故で死亡事故が起きた際は弁護士への依頼がおすすめ

少しでも有利に交渉を進めたいのであれば、弁護士への依頼が有効です。ここでは、弁護士に事故対応を依頼するメリットや費用相場を解説します。

賠償金の増額が見込める

事故状況に見合った賠償金を受け取るためには、事故で負った各損害について漏れなく適正に算定したり、過失割合について裁判例などを用いたりしながら交渉する必要があります。しかし死亡事故のように金額が高額になりやすいケースでは、一つの計算ミスで大きな損失につながる恐れもあります。

 

弁護士であれば、損害額の算定も漏れなく対応してもらえますし、豊富な法律知識をもとに過失割合の交渉も適切に対応してくれるでしょう。さらに慰謝料については、最も高額な弁護士基準での請求も望めますので、弁護士に依頼することで慰謝料が相当程度増額される可能性があります。

面倒な事故後の対応を一任できる

身内を亡くしたショックも大きいなか、不慣れな示談交渉に大きなストレスを感じる方も多いかと思います。また相手方の対応に怒りを感じて、いらぬトラブルへと発展してしまうこともあるかもしれません。

 

弁護士であれば、遺族に代わって必要な対応をすべて代わりに行ってくれますので、依頼者は事故処理の負担から解放され、生活の立て直しに専念できます。事故対応のストレスから解放されるというのも、遺族にとっては特に大きなメリットの一つでしょう。

弁護士費用の相場

弁護士費用は何を依頼するかによって大きく変わります。費用目安を紹介しますが、相談費用は事務所それぞれですので、詳しくは事務所に直接確認してください。

 

相手の支払い金額

着手金

報酬金

300万円以下

請求額の8%

回収額の16%

300~3,000万円

請求額の5%

18万円+回収額の10%

3,000~3億円

請求額の3%

138万円+回収額の6%

3億円を超える場合

請求額2% 

738万円+回収額の4%

 

弁護士費用に不安がある方は「弁護士費用特約」を利用しよう

弁護士に依頼するメリットを踏まえても、一番のネックとなるのが弁護士費用かと思います。そのような方は、弁護士費用を補償してもらえる弁護士費用特約が利用できないか確認しましょう。

 

保険会社により補償内容は異なりますが、最大300万円まで代わりに負担してもらえるのは非常に大きなメリットです。被害者本人が加入していなかったとしても、ご家族などが加入している場合には適用対象となることもありますので、周囲の加入状況も含めて一度ご確認ください。

まとめ

死亡事故では損害賠償金が数千万円を超えるケースもあります。それだけ大きな事故ということですので、損や手違いがないように特に注意して進めていただければと思います。

 

しかし遺族としては、被害者を亡くしたショックが大きく、満足に事故対応する余裕がないこともあるかと思います。その際弁護士であれば、遺族の代わりに手続きを済ませてくれますのでおすすめです。事務所によっては無料相談なども対応しておりますので、気負わずに一度相談してみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事は交通事故弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※交通事故弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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