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ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ) > 交通事故コラム > むちうち・頸椎捻挫 > 交通事故のむちうちの慰謝料相場はいくら?通院3か月・6か月別の計算方法
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公開日:2020.7.21  更新日:2023.4.25

交通事故のむちうちの慰謝料相場はいくら?通院3か月・6か月別の計算方法

松島 達弥 弁護士
監修記事
交通事故のむちうち 慰謝料はいくら?

交通事故被害でむちうちを負った場合に、請求できる慰謝料には『傷害慰謝料』と『後遺障害慰謝料』の2種類があります( 後遺障害慰謝料はむちうちの症状が後遺症として残った場合に請求可)。

むちうちの慰謝料
傷害慰謝料 入院や通院が必要になるほどの怪我を負わされたことによる精神的肉体的苦痛に対して支払われる慰謝料。入院・通院期間や日数を基礎に算定する。
後遺障害慰謝料 一定の水準の後遺症が残るほどの怪我を負わされたことによる精神的肉体的苦痛に対して支払われる慰謝料。後遺障害等級に該当すると判断された場合に請求可能。

慰謝料は、肉体的精神的苦痛に対する賠償額を金銭的に算定したものですが、損害額がハッキリしている治療費や車の修理費などの損害と異なり、肉体的精神的苦痛を金銭評価するのは大変困難です。

そのため、被害者の方から、「慰謝料はいくら請求できるかわからない」といった相談が多数寄せられます。

この記事では交通事故被害による慰謝料について、人身損害の中でもっとも件数の多いむちうちを負った場合を参考に、慰謝料の算定方法について解説していきます。

自分が請求できる慰謝料の相場や、慰謝料の増額方法などを確認したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

むちうちの慰謝料を請求したい方へ

自分での慰謝料請求することも可能ですが、弁護士に依頼することで以下のメリットがあります。

  1. 怪我の状態に応じた適切な慰謝料額が分かる
  2. もっとも高額な弁護士基準をもとに慰謝料請求をしてくれる
  3. 後遺障害等級の認定がされやすくなり、慰謝料の増額を期待できる

適切な慰謝料額を獲得するには交通事故の知識や交渉力が必要です。

自分での請求に不安のある方は、交通事故に精通している弁護士へ相談してください。

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むちうちで請求できる入通院慰謝料の相場

交通事故被害によるむちうちで請求できる慰謝料の相場は以下のとおりです。

<表:入通院慰謝料の相場>

通院期間

自賠責基準※

任意保険基準(推定)

弁護士基準

1か月間

8万6,000円

12万6,000円程度

19万円

2か月間

17万2,000円

25万2,000円程度

36万円

3か月間

25万8,000円

37万8,000円程度

53万円

4か月間

34万4,000円

47万8,000円程度

67万円

5か月間

43万円

56万8,000円程度

79万円

6か月間

51万6,000円

64万2,000円程度

89万円

自賠責基準は月の通院日数を10日間で計算

<表:後遺障害慰謝料の相場>

等級

自賠責基準

任意保険基準(推定)

弁護士基準

第12級

93万円

100万円程度

290万円

第14級

32万円

40万円程度

110万円

慰謝料を決定する3つの基準と計算方法

交通事故慰謝料を決定する3つの基準

慰謝料の算定方法については、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士(裁判)基準」という3つの基準があります。

このうち、裁判基準は過去の裁判例の集積から算定する方法であり、法的にみてもっとも合理性のある慰謝料の基準といえます。

そのため、弁護士が交渉をおこなう場合には、この基準を利用します。

ゆえに裁判基準は弁護士基準ともいわれます。

交通事故の慰謝料を決める3つの基準
自賠責基準 交通事故により負傷した被害者に対して、法令で決められた最低限の補償をおこなうことを目的とした基準。
任意保険基準 自動車保険会社が独自に設けている基準。自賠責基準よりも多くの保障が受けられる。
弁護士基準 裁判所の判例などを参考にした基準。自賠責基準や任意保険基準よりも高額な慰謝料が設定されることが多い

交通事故の処理は多くの場合、保険会社同士の協議でおこなわれています。

そのため、任意保険基準で処理されるケースが多いと思われます。

しかし、加害者が任意保険未加入の場合は自賠責基準に従って自賠責に請求することになるでしょうし、被害者が弁護士を雇った場合には弁護士基準に基づいて交渉するのが通常です。

以下では、各基準の通院慰謝料の算出方法を紹介します。

(※後遺障害慰謝料に関しては、各基準で相場が定められているので省略)

自賠責基準の慰謝料

自賠責基準における入通院慰謝料の計算方法

自賠責基準の通院慰謝料の算出方法は以下の両方の式で計算をして金額が少ない方の慰謝料が適用されます。

入通院慰謝料の計算方法
  1. 4,300円×治療期間(病院で通っていた期間)
  2. 4,300円×実通院日数(実際に病院に通った日数)×2

※2020年3月31日以前に発生した事故では、4,200円が適用されます。

<例:月に10日間の通院を3か月間継続した場合>
  1. 4,300円×90日=38万7,000円
  2. 4,300円×30日×2=25万8,000円

上記の例では①の式よりも②の式の金額が低いので、被害者が請求できる通院慰謝料の金額は25万8,000円です。

任意保険基準の慰謝料

保険会社の賠償金支払いに関する実態

任意保険基準というのは、加害者側の任意保険会社が、被害者に対し提示する慰謝料の基準をいいます。

そもそも、任意保険の自動車保険というのは、「良識ある運転者が事故を起こしてしまい、被害者を生んでしまった場合に、被害者に対する多額な賠償を実現できるように加入する保険」です。

その意味でいえば、加害者側の保険会社は、裁判基準での賠償金額を自発的に支払うべきところでしょう。

しかし実際にはそうでなく、保険会社は保険金の支払いをできる限り抑えるために「裁判になる可能性の低い個人の被害者」や「損害賠償に関する十分な知識がない被害者の方」に対して、裁判(弁護士)基準以下の金額しか提示してこないのが一般です。

「裁判(弁護士)基準以下」といいましたが、より実情に即していえば、「任意保険基準」は「自賠責基準に若干色が付けた程度の基準」でしかありません。

任意保険基準の通院慰謝料の大体の目安は以下のとおりです。

<任意保険基準の入通院慰謝料(単位:万円)>

任意保険基準の入通院慰謝料

弁護士基準の慰謝料

3つの基準の中で、弁護士基準の慰謝料がもっとも高額です。

保険会社の基準でなく、過去の判例(裁判結果)を参考に算出されるので、正確にはもっとも適正な額の慰謝料を算出できる基準であるといえるでしょう。

弁護士基準の通院慰謝料の相場は以下のとおりです。

<むちうち症で他覚症状がない場合に適用される入通院慰謝料表(単位:万円)>

むちうち症で他覚症状がない場合に適用される入通院慰謝料表

<むちうち症で他覚症状がある場合に適用される入通院慰謝料表(単位:万円)>

むちうち症で他覚症状がある場合に適用される入通院慰謝料表

相場や基準金額だけでは損になる場合もある

一般には、前項目を基準に傷害慰謝料を計算するのですが、基準額以上・以外にお金がかかってくる場合があります。

たとえば「入院を待機するための自宅安静を入院期間として計算する」など、より被害者が有利になるよう特別な主張が必要になる場合があります。

また、赤信号無視や飲酒運転事故等、事故内容自体が極めて悪質な事案の場合には、上記表以上に慰謝料を請求しなければならない場合もあります。

そのため、請求できる適切な金額を把握しておきたいという場合や、最大限損害賠償が請求できるよう今から準備しておきたいという場合には、一日でも早く弁護士による法律相談を受けることをおすすめします。

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通院日数は我慢をせず適切に

これは各基準に当てはまる注意点なのですが、通院頻度が少ない場合(たとえば、通院が週1回未満などの場合)や通院期間が短い場合には請求できる慰謝料の金額自体が少額になります。

通院は慰謝料請求のためにするわけではないですが、たとえば相手方保険会社が治療費を払ってくれているような場合には、痛みなどの症状があるような場合は、通院を我慢することにメリットはありません。

そのため、無理することなく、適度な頻度で通院することが重要といえるでしょう。

過失割合でむちうちの慰謝料額が変わることもある

ここまで、むちうちによる慰謝料の相場についてお伝えしてきましたが、慰謝料の算定方法の中で「過失割合」の存在を忘れてはいけません。

過失割合によって交通事故の慰謝料は大きく変動する場合があるので、しっかり確認しておく必要があります。

過失相殺による減額

過失割合とは、交通事故の際に被害者と加害者で過失がそれぞれどのくらいあるのかを割合にしたもので、8対2や10対0などで表されます。

この過失割合に応じて慰謝料などの金額が決まるため、被害者に過失割合が付くと、その分の慰謝料や損害賠償金が減額されることになります。

これを「過失相殺」と呼びます。

過失割合は、相手側の保険会社との示談交渉の中で決められるのが一般的ですが、このときに注意しておきたいことがあります。

それは、相手側の保険会社が提示した過失割合を鵜呑みにし過ぎないことです。

相手側の保険会社は、過失相殺による減額を大きくするため、被害者側の過失を多く付けている可能性もあります。

専門知識がないと難しく思えるかもしれませんが、過失割合は慰謝料などの金額が決まる重要な要素といえます。

しっかりと確認して、相手側の主張がおかしい場合は、意見するようにしましょう。

過失割合の算出方法

過失割合は、基本的に過去の裁判例をもとに保険会社が決めるものです。

過去の似ている事故から「基本の過失割合」を決め、そこから事故内容に合わせて修正が加わるという流れになります。
(参考:東京地裁民事交通訴訟研究会編「別冊判例タイムズ38号 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂5版))

よく警察が過失割合を決めていると勘違いしている方もいますが、基本的に警察は民事事件には介入しません。

そのため、保険会社との交渉になりますが、保険会社の提示する過失割合が必ず正しいとは限りません。

参考にした事故判例は正しいのか、どのように修正が加わったのかなど、しっかりと確認するようにしましょう。

示談金相場|むちうちで多い10対0のもらい事故

むちうちで多いのが追突などのもらい事故です。

もらい事故の場合、基本的には過失割合が10対0になり、示談金も増えると思っている方も多いでしょう。

しかし、慰謝料などの示談金の相場は、もともと過失割合が10対0と仮定して算出されています。

そのため、もらい事故で、過失割合が10対0だからといって示談金の相場が変動することはありません。

また、被害者側の過失が0であれば示談交渉も被害者に有利に進むと思われがちですが、そうとは言い切れないので注意が必要です。

過失割合が10対0の際に注意すべきことを次でお伝えしていきます。

10対0のもらい事故による示談は注意が必要

交通事故の場合、一般的に保険会社が示談交渉の代行をしてくれるものですが、これは自分に過失がある場合に限ります。

そのため、もらい事故で過失割合が10対0の場合は、保険会社を通さず自分自身で相手側と示談交渉する必要があるということです。

また、過失相殺が適用されないとなると、相手側の保険会社は厳しい態度で接してくることもあります。

相手側の保険会社の態度に納得いかない場合や専門知識がなく示談交渉が不安な方は、弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。

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むちうちの後遺障害認定を受ける方法

むちうちの後遺障害認定を受けるためには、まずは通院先の担当医から症状固定の診断(これ以上の症状改善は見込めないという診断)を受けた後に、後遺障害診断書を発行してもらい、関係資料とともに損害保険料率算出機構に提出する必要があります。

損害保険料率算出機構の審査の結果、後遺障害等級に該当するとの判断が得られれば、後遺障害があることを前提とする補償の請求が容易となります。

なお、後遺障害の申請方法は、加害者の保険会社に手続きを一任する『事前認定』と、被害者自らが手続きを進める『被害者請求』の2パターンです。

事前認定は加害者側保険会社にすべてお任せできるので手間がかかない点がメリットです。

しかし、被害者請求のほうが自分で症状に対する証拠を集められる分、後遺障害が認定されやすくなるといわれています。

ですので、後遺障害の認定が難しいといわれるむちうちの場合は、被害者請求での申請を検討したほうがよいでしょう。

むちうちが後遺障害に認定される基準

他覚症状のないむちうちは、1~3か月程度で回復する場合も多く、ある程度の症状が持続する場合でも、民事裁判で6~8か月程度が必要な治療として認められる(逆に、それ以上の長期の通院は被害者負担と判断される)ことが少なくありません。

そのため、このような期間を過ぎても症状が軽快せず、特に有効な治療方法もないということであれば、治療を終了して後遺障害の認定を受けるステップに進むことを検討してください。

後遺障害認定の手続きで、加害者側自賠責保険から後遺障害等級に該当すると認定されれば、その等級に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益の補償を受けられます。

後遺障害には1級から14級までの14段階あります。

ただ、基本的にはむちうちの場合だと14級もしくは12級が認定されるケースがほとんどです。

以下では、むちうちが後遺障害として認定される基準を紹介します。

むち打ちが後遺障害認定される基準

後遺障害12級

後遺障害12級のむちうちは、むち打ち症状の原因となるような筋肉や神経の損傷等が画像診断等で認められること(これを他覚症状といいます)が大きなポイントです。

このような場合に、むちうちの疼痛やしびれの症状が後遺症として残っていれば、『頑固な神経症状』として12級の等級が認定される可能性があります。

ポイントはレントゲン、CT、MRIなどの画像検査で痛みの原因となる損傷がハッキリ見られるかどうかです。

後遺障害12級が認定される可能性が高い状態
  • 初診で骨折・脱臼など傷病名の診断を受けている
  • 画像診断により痛みの原因が確認できる

この2点を押さえているかどうかが、むちうちが12等級として認定されるかの重要な判断基準となります。

後遺障害14級

画像検査ではむちうちの痛みの原因がわかない状態でも、以下のような観点からむちうちの症状(疼痛・しびれ等)が一貫して存在しており、また軽快可能性がないと評価されるような場合は、後遺障害14級認定される可能性があります。

後遺障害の認定条件
  • 事故の状況と、「患者(被害者)が医師に申告する症状」と程度が一致していること
  • 事故当初から、医療機関への定期的な通院を続けていること
  • 事故当初から、患者(被害者)の訴える症状が続いており、かつその症状には一貫性がある(痛みの回復、再発ではない)こと
  • 症状が重たいと認められ、かつ日常生活において継続している(日常で慢性的に症状が出ている)と認められ、労働(家事労働を含む)に支障が生じていること

画像検査で異常が発見できない分、後遺障害認定を受ける難易度は高くなります。

近時、他覚所見のないむちうち症状が後遺障害と認められる可能性は決して高くありませんし、認定の基準も明確ではありません。

しかし、後遺障害診断書の作成に関し弁護士の助言を受け、医師と相談しながらさまざまな神経検査を受けることで障害の存在を証明できて、後遺障害等級の認定を受けられる場合もあります。

長期間の治療を続けてもむちうちの症状が治らないという場合、担当医に相談し、後遺障害診断書の作成を依頼してみましょう。

担当医が診断書の作成に協力的でない場合には、弁護士と相談しながら作成してもらうことをおすすめします。

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むちうちの症状と治療の流れ

むちうちの症状

むちうちとは、外部から首に何らかの衝撃が加わることによって首がむちのようにしなる現象のことです。

むちうちの症状は、首・肩の痛み、肩こり、頭痛などをはじめとする首やその周辺部分に関する症状のほか、手足のしびれ、めまい、吐き気、脱力感(だるさ)、不眠、嘔吐、食欲不振などさまざまです。

交通事故直後からむちうちの症状が現れることもありますが、自覚症状がないまま経過し、交通事故から数日、数週間程度経過してから症状が現れることが多いのもむちうちの特徴です。

治療の流れ

むちうちの治療のためには、まず病院の「整形外科」を受診しましょう。

仮にむちうちの場合、自覚症状がない場合でも後日、症状が現れることがありますので、交通事故から時間をあけずに受診することが大切です。

また、損害賠償請求という観点からいえば、事故から初心までに時間を空けすぎると、「事故との因果関係がない」としていかなる賠償もおこなわないという対応をされることもあります。

異変を感じたら至急病院に行くようにしてください。

病院に行き、窓口で交通事故による受診であることを伝えます。

加害者が任意保険に加入しているときは多くの事案で自己負担なく(加害者側の保険会社が治療費を払う形で)受診できますし、加害者が任意保険に未加入の場合は、いったん自分の健康保険を利用し、各回の治療費は一旦立替え、後日、加害者に請求するという形となります。

診察では、医師から交通事故状況、自覚症状の有無、受傷状況などを聞かれます。

その後、触診・視診で筋肉の張りや姿勢の異常など、X線検査(レントゲン)、超音波検査(エコー)で可動域制限の有無などを検査します。

場合によっては、MRIなどの画像検査や血液検査を受けることもあるでしょう。

その後は、湿布や消炎鎮痛薬、コルセットなどを使用しながら、2週間~4週間ほど首の安静を図ります。

そして、症状が治まったころを見計らって、症状に応じて、マッサージ、ストレッチ、温熱治療、電気治療、リハビリを受け徐々に症状を改善させていきます。

通院頻度

通院頻度は、主治医と相談しながら決定します。

ただし、結果的に通院回数が少なければ、自賠責保険基準でも任意保険基準でも弁護士基準でも慰謝料額が減少します。

そのため、「自分としては治療のためにもう少し頻繁に通院したいのに、医師の考えでそんなに通院させてもらえない。」という場合、病院を変えることも検討いただく必要があります。

症状固定までの期間

症状固定とは、怪我の治療を継続しても症状が改善する見込みがなくなった状態のことをいいます。

むち打ちの場合、保険会社から打診される症状固定の時期は、早くて交通事故から「1か月」、遅くて「6カ月」が一般的です。

保険会社からの症状固定の打診は、すなわち、「治療費支払いの打ち切り」を意味しています。

しかし、一言でむちうちといっても症状には個人差があります。

比較的軽傷であれば1か月程度で治る方もいれば、重症の場合は1年以上もかかる方もいます。

また、医学的に症状固定かどうかを判断するのは保険会社ではなく医師であり、「損害賠償の対象となる症状固定までの期間」を最終的に決定(認定)するのは裁判所です。

したがって、保険会社から症状固定を打診されたからといって、それをそのまま鵜呑みにせず、症状が改善しない場合は医師や弁護士とよく相談しながら治療継続を検討することが必要です。

なお、むちうちで後遺障害慰謝料(後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する賠償)を獲得するためには、最低でも「6か月」の継続した通院が必要です。

現在の後遺障害等級実務において、治療が6か月未満で終了しているにも関わらず、後遺障害慰謝料の前提となる後遺障害等級の認定を受けられる事案は皆無に近いといわれています。

整骨院or整形外科、どちらがおすすめか

交通事故直後は、まずは整形外科を受診してください。

何より医療行為をおこなえるのは医師のみですし、医師がむちうちの症状の有無、程度(治療期間)を判断します。

そして、医師は診察の結果を踏まえて診断書やカルテを作成します。

この診断書やカルテが、交通事故とむちうちとの因果関係を証明する上で大切な書類となります。

仮に、交通事故直後に診断書やカルテが作成されていないと、万が一、加害者側から交通事故とむちうちとの因果関係を疑われた場合に因果関係を証明することができず、損賠賠償金を獲得できないという結果にもつながりかねません。

また、警察に交通事故を人身事故扱いとしてもらうためにも診断書が必要となります。

もっとも、整骨院は、整形外科ではおこなっていない独自の施術をおこなっていたりや病院よりも長い時間営業をおこなっていたりします。

そのため、整骨院への通院を希望される方も中にはおられると思います。

その場合は、医師に無断で通院するのではなく、一度相談してから通院することをおすすめします。

本記事を作成している令和2年現在、加害者側保険会社も整骨院での施術を全く無視するという対応はとっていません。

しかしながら、年々「整骨院での施術は医療行為ではなく医療類似行為にすぎないため、施術にかかった費用は自己負担とすべきだ。」という主張がおこなわれることが増えているというのが実態であり、「整骨院への通院について、一部あるいは全部を慰謝料算定のための通院回数、通院期間にカウントしない」と主張される事案も多くなっている印象です。

他方で、一度、医師の指示での整骨院への通院ということが医師作成のカルテ等に記載されていれば、「医師の指示のもとでおこなった施術」として医療行為の一環として、施術費などの費用が損害賠償の対象となり、またその通院を慰謝料算定上の通院日数に含めるという主張が認められやすくなります。

なお、整骨院への通院に関しては、医師に断りを入れておくと同時に、加害者の保険会社にもあらかじめ伝えておきましょう。

保険会社が整骨院への通院を渋る場合は、医師に保険会社提出用の同意書を作成してもらう等、別途の対策をとる必要があります。

なお、整骨院へ通院を始めてからも当然、整形外科へも定期的かつある程度の頻度での通院は必要です。

医師に、定期的に症状を診察してもらうことは適切な治療、早期改善のためにも必要です。

また、仮に後遺症が発症した場合は、医師に後遺障害診断書を作成してもらい、後遺障害慰謝料を請求する手続きに入る必要がありますが、途中から整骨院にしか通院しておらず、整形外科に通院していない場合には、後遺障害診断書を作成も難航します。

治療打ち切りの連絡が来た場合の対応方法

保険会社から症状固定(=治療費支払いの打ち切り)の打診を受けても、それをそのまま受け入れる必要はありません。

確かに、保険会社はあなたの担当医師に、むちうちの症状や治療状況などを照会するなどしたうえで、適当と判断したタイミングで症状固定の打診をおこなっています。

しかし、保険会社はあくまで営利企業であり、少しでも治療費支払いの負担を抑えたいという意図が働き、打診のタイミングを前倒ししている可能性も否定はできません。

そのため、保険会社から症状固定の打診を受けても、それがそのまま治療の終了を意味するわけではなく、自分で治療が必要と判断した場合は担当医師とよく相談の上で、医師から保険会社を説得してもらう等しながら、治療を継続すべきでしょう。

ただ、医師の説明を無視して保険会社が治療費の支払い打ち切りを断行する場合もあります。

この場合には、自分の健康保険を使ってでも通院を継続すべきかどうかを検討することになりますが、この判断は、個人でおこなうのは難しいと思いますので、交通事故無料相談をおこなっている弁護士に相談するようにしてください。

状況によっては、いったん自己負担しておいた治療費を、後で加害者から回収できる場合もあります。

そのため、通院を継続する場合には、診療明細書や領収書は必ず保管しておきましょう。

むち打ち慰謝料が増額した事例

保険会社から数十万の示談金を提示されていても、症状や的確な交渉をおこなうことで数百万の増額も期待できます。

実際に令和2年にベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載している弁護士が担当した事案で、保険会社の提示金額が数百万以上増額した事例を2件ご紹介いたします。

14級を獲得し50万円を370万円まで増額した事例

依頼前 依頼後
損害賠償 50万円 370万円
後遺障害等級 なし 14級

依頼者の状況

信号待ちで停車中に、後続車から追突されたことにより、首がむち打ち状態になってしまった。

半年治療したものの痛みが治らず、保険会社に任せた手続きでは後遺障害の等級も認定されず、提示された示談金が50万円だった。

弁護士の対応

担当弁護士が医師の意見書案を作成し、主治医に意見書の作成を依頼しました。

また、後遺障害の実情を詳細に記載した陳述書を作成しました。

これらの資料を揃え、異議の申したてをおこなった結果、後遺障害14級が認定されました。

これにより、後遺障害慰謝料(110万円)や労働能力喪失の補償分の賠償(約80万円)の請求が認めらました。

さらに、当初提示された慰謝料は保険会社基準であったため、弁護士基準で請求をおこなった結果、約90万円の請求が認められました。

さらに、主婦であるという理由で、当初全く計上されていなかった休業損害に関して家事労働者としての休業損害として90万円の請求が認められました。

こうした対応の結果、最終的に回収額は約370万円まで増額しました。

75万円から325万円まで増額した事例

依頼前 依頼後
損害賠償 75万円 325万円
後遺障害等級 なし 14級

依頼者の状況

追突事故にあい、その衝撃により首から腰にかけて痛みを感じるようになりました。

示談交渉では、症状固定を視野に入れたころ、保険会社に賠償金はどの程度かと聞いたところ「75万円程度ではないか」と説明され、これで応じてよいかわからないため弁護士に相談しました。

弁護士の対応

後遺障害認定の制度について説明し、症状等から後遺障害等級認定を受けるべきではないかと考えたため、後遺障害等級認定手続を受けることをおすすめし、加害者側保険会社に任せる方式ではなく、被害者請求の代理という形で担当弁護士が後遺障害等級認定手続をおこないました。

その結果、後遺障害等級認定を受けました。

認定後は、110万円の後遺障害慰謝料と後遺障害による労働能力の喪失分の賠償として120万円を回収しました。

さらに、通院慰謝料について95万円、休業損害について27万円を回収しました。

このようにして結果的に、325万円を回収しました。

上述のとおり、保険会社からの示談金よりも多くの金額を回収することは現実的に可能です。

まずは、交通事故の慰謝料増額が得意な弁護士に相談してみましょう。

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まとめ:弁護士に相談する3つのメリット

弁護士に相談する3つのメリット
  • 請求できる適切な慰謝料金額が知れる
  • もっとも高額な弁護士基準で慰謝料請求可
  • 自賠責しか頼れない場合の対処法も知れる

事故で怪我を負い、むちうち等治療に時間を要する症状が発症した場合にはできる限り早い時期に弁護士に相談してください。

その理由は大きく分けて3つあります。

あなたが請求できる正しい慰謝料「裁判基準」を知ることができる

このページでも裁判(弁護士)基準の慰謝料計算の概要を説明しましたが、一人ひとりの受傷状況や通院状況によって、慰謝料の計算方法には差が生じます。

事案の特殊性に応じて、特別に主張可能な慰謝料計算の考え方に基づく請求できる場合もあります。

そこで、自分の適切な入通院慰謝料を知りたいという場合には、交通事故を専門的に扱う弁護士による法律相談を受けることをおすすめします。

また、事故直後に相談を受けることで、裁判基準で最大限に慰謝料請求をするための通院方法の指導や病院の選び方の指導等も受けることができます。

裁判基準と自賠責保険や任意保険基準の差額回収方法を知ることができる 

自賠責基準や任意保険基準の慰謝料と弁護士基準の慰謝料の差額は、加害者との交渉や裁判によって回収を目指すことになります。

弁護士に相談することで、この差額回収に向けたベストな一手を知ることができます。

自賠責保険しか頼りにできない事案の対処法を知ることができる

弁護士基準の慰謝料は、どのような案件でも確実に請求できるわけではありません。

自賠責保険しか頼りにできない事故もあります。

自分の事故がそのような部類の事故であるのか、仮にそうである場合にどうすることで慰謝料を最大限回収できるのかを把握するためには、事故からできるだけ早い時期に弁護士による法律相談を受けることをおすすめします。

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この記事の監修者
松島 達弥 弁護士 (京都弁護士会)
弁護士登録後、企業側の弁護士としてキャリアを積むも「地域で暮らす方々により添える弁護士でありたい」という思いから、いろどり法律事務所を設立。ご相談者様の話にじっくり耳を傾け、適切な助言を心掛ける。
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本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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