交通事故の損害賠償金の基礎知識|項目、計算方法、相場などを解説
交通事故の被害に遭った場合、その被害の程度や精神的苦痛に応じた損害賠償請求ができます。
しかし、損害賠償請求ができる項目や相場を知らないと、加害者側の保険会社の提示金額を鵜呑みにしてしまい適正な金額の賠償を受けられない恐れがあります。
本記事では、損害賠償額の相場や、請求方法、請求できる賠償項目など、交通事故の被害者が知っておくべき基礎知識を解説します。
交通事故の損害賠償請求の基礎知識
交通事故の被害者や遺族が加害者側に請求できる損害賠償項目は、人身事故か物損事故かといった事故の種類によって異なります。
慰謝料の支払基準には自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つがあり、適用される基準によって損害賠償額は大きく変わります。
ここでは、交通事故による損害賠償請求の基本について確認しますので、ぜひ参考にしてみてください。
交通事故の種類によって損害賠償項目は異なる
交通事故は大きく人身事故と物損事故にわけられ、人身事故は傷害事故、後遺傷害事故、死亡事故の3種類にわけられます。
事故の種類別の損害賠償項目は以下のとおりです。
【交通事故における損害賠償の内容】
事故の種類 |
加害者側に請求できる損害賠償項目 |
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人身事故 |
傷害事故 |
積極損害、休業損害、入通院慰謝料 |
後遺障害事故 |
積極損害、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、後遺障害の逸失利益 |
|
死亡事故 |
積極損害、休業損害、入通院慰謝料、死亡慰謝料、死亡による逸失利益 |
|
物損事故 |
物的損害 |
人身事故|積極損害や休業損害、慰謝料を請求できる
人身事故とは、人の身体や生命に損害が生じた事故のことをいいます。
人身事故の場合は治療費をはじめとする「積極損害」、交通事故で仕事ができなくなった場合の「休業損害」、事故による精神的苦痛に対する「慰謝料」を請求ができます。
また、一定の水準を超える後遺障害が認められた場合や亡くなった場合は「失われた労働能力を補填するための賠償金(専門用語で「後遺障害の逸失利益」といいます。)」も、請求することが可能です。
物損事故|損壊した物に関する損害を請求できる
損害賠償の場面での「物損事故」とは、人身・人命の損害のない、自動車などの物品が壊れただけの事故のことです。
たとえば、損害の対象が自動車の場合、損害賠償として加害者に請求できるのは「車の損傷により発生した費用(修理費、買い替え費など)」や「自動車の破損によって生じた評価損」といった物的損害だけとなっています。
この場合には、原則として慰謝料請求は認められません。
損害賠償金における3つの支払い基準
交通事故の慰謝料には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの算出基準があり、どの基準で計算するかによって慰謝料の金額が変わります。
- 自賠責基準:自賠責保険による最低限受け取れる基準
- 任意保険基準:任意保険会社が使用している基準
- 弁護士基準:裁判所の判例を基にした最高額の基準
支払い基準ごとの慰謝料額は「自賠責基準<任意保険基準<弁護士基準」という関係になっており、弁護士基準で請求するのが最も高額です。
実際、弁護士基準で請求することで、保険会社の提示する慰謝料額を2倍以上増額できるケースもあります。
被害者の立場に立っていえば、弁護士基準での回収を目指すことが重要です。
実際の損害賠償金額は損害額と過失割合で決まる
交通事故の損害賠償では、以下の合計額をそのまま請求できるわけではありません。
- 積極損害
- 消極損害
- 慰謝料
- 物的損害
なぜなら、交通事故の場合は被害者側にも過失(責任)があるケースが多く、過失割合に応じた分しか支払われないからです。
そのため、実際に受け取れる損害賠償金額は以下のように計算する必要があります。
【損害賠償金額の計算式】
- 損害賠償額=損害額×加害者の過失割合
損害賠償として何が請求できる?被害者が請求できる損害賠償金の種類
交通事故の損害賠償項目は、以下4つに分類できます。
- 積極損害
- 消極損害
- 慰謝料
- 物的損害
それぞれの損害賠償の内容や計算式などを紹介します。
積極損害
積極損害とは、交通事故によるけがで病院での治療や入院をした際、交通事故が原因で出費を余儀なくされた場合に発生した損害のことです。
主に治療費や通院交通費、被害者が死亡した場合の葬儀費用などが挙げられます。
【積極損害に該当される主な費用】
- 診察費
- 治療費
- リハビリ費用
- 手術費用
- 入通院費用
- 付添介護料
- 通院、通勤交通費
- 葬儀費用
- 針灸・マッサージ費用
- 義足や車椅子購入費 など
基本的に積極損害として請求できるものは決まっています。
しかし、具体的に何が請求できて、何が請求できないのか、判断が難しいものも多くあります。
また、治療関係費等は、いつまでの分が請求できるかで争いになるような場合もあります。
示談が成立するまでは、領収書などは全て取っておくとよいでしょう。
消極損害
消極損害とは、交通事故の被害に遭わなければ得られるはずだった将来的な利益が得られなくなってしまった損害をいいます。
典型例でいうと、次のようなものがあります。
- 休業損害:事故による休業で収入が低下したり不要に有給休暇を消化したりするような場合に適用できる
- 後遺障害逸失利益:後遺障害が残ってしまったせいで低下する将来の労働力を填補することを目的とする
- 死亡逸失利益:死亡によって得られなくなった将来の収入を填補する
休業損害
交通事故で負ったけがの治療やリハビリをするために仕事を休む必要が生じた場合には、休んだことによって得られなかった収入の埋め合わせとして、休業損害を請求できます。
休業損害は、過去の収入実績から被害者の1日あたりの収入額を計算し、これに休業日数や有休休暇利用日数を掛け合わせて算出します。
家事労働者のように、実際に休んだという事が客観的に証明できない場合でも、休業損害が認められる場合があります。
後遺障害逸失利益・死亡逸失利益
後遺障害や死亡により将来の収入が減少してしまう場合に、それを填補するための損害費目として、後遺障害逸失履歴や死亡逸失利益の請求が可能です。
たとえば、交通事故で片腕を切断した場合、片腕は将来的に失われてしまいます。
このような場合は後遺障害が認定され、一定の労働能力の喪失が認められます。
労働能力が喪失するということは、「本来得られるような将来の収入が減少した」といえます。
そこで、後遺障害事故の被害者は加害者に対して後遺障害逸失利益分の賠償を請求することができるのです。
慰謝料
慰謝料とは、交通事故によって被った精神的・肉体的苦痛に対して支払われるお金のことです。
入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3種類があるため、それぞれの内容や特徴を解説します。
傷害(入通院)慰謝料
傷害慰謝料とは、交通事故によって傷害(けが)を負ったことで受ける肉体的・精神的苦痛を填補するための慰謝料です。
交通事故の損害賠償の場面では、入通院日数に応じて算定されることが多いため、入通院慰謝料とも呼ばれます。
傷害(入通院)慰謝料は、基本的には入通院期間や実際の入通院日数などに応じて算定されます。
弁護士が請求する場合には、事案に応じて最も被害者の方に有利な算定方法(算定表)を用いて、さらに、過去の裁判例等を考慮して追加請求の可否を検討したうえで慰謝料額を算定します。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことで受ける肉体的・精神的苦痛に対する慰謝料のことをいいます。
後遺障害には1〜14級の等級が定められており、後遺障害の内容や程度などに応じて認定されます。
1級に近いほど後遺障害の程度は重いため、慰謝料も高額に設定されています。
重度後遺障害の場合には、被害者本人の慰謝料だけではなく、親族の慰謝料が認められることもあります。
【介護を要する後遺障害の場合】
等級 |
介護を要する後遺障害 |
第1級 |
・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの |
第2級 |
・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの |
【介護を要しない後遺障害の場合】
等級 |
介護を要する後遺障害 |
第1級 |
・両眼が失明したもの ・咀嚼及び言語の機能を廃したもの ・両上肢をひじ関節以上で失ったもの ・両上肢の用を全廃したもの ・両下肢をひざ関節以上で失ったもの ・両下肢の用を全廃したもの |
第2級 |
・一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの ・両眼の視力が0.02以下になったもの ・両上肢を手関節以上で失ったもの ・両下肢を足関節以上で失ったもの |
第3級 |
・一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの ・咀嚼又は言語の機能を廃したもの ・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの ・胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの ・両手の手指の全部を失ったもの |
第4級 |
・両眼の視力が0.06以下になったもの ・咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの ・両耳の聴力をまったく失ったもの ・一上肢をひじ関節以上で失ったもの ・一下肢をひざ関節以上で失ったもの ・両手手指の全部の用を廃したもの ・両足をリスフラン関節以上で失ったもの |
第5級 |
・一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの ・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの ・胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの ・一上肢を手関節以上で失ったもの ・一下肢を足関節以上で失ったもの ・一上肢の用を全廃したもの ・一下肢の用を全廃したもの ・両足の足指の全部を失ったもの |
第6級 |
・両眼の視力が0.1以下になったもの ・咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの ・両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの ・一耳の聴力をまったく失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの ・脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの ・一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの ・一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの ・一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失ったもの |
第7級 |
・一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの ・両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの ・一耳の聴力をまったく失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの ・神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの ・胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの ・一手のおや指を含み三の手指を失ったもの又はおや指以外の四の手指を失ったもの ・一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの ・一足をリスフラン関節以上で失ったもの ・一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの ・一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの ・両足の足指の全部の用を廃したもの ・外貌に著しい醜状を残すもの ・両側の睾丸を失ったもの |
第8級 |
・一眼が失明し、又は一眼の視力が0.02以下になったもの ・脊柱に運動障害を残すもの ・一手のおや指を含み二の手指を失ったもの又はおや指以外の三の手指を失ったもの ・一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの ・一下肢を5センチメートル以上短縮したもの ・一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの ・一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの ・一上肢に偽関節を残すもの ・一下肢に偽関節を残すもの ・一足の足指の全部を失ったもの |
第9級 |
・両眼の視力が0.6以下になったもの ・一眼の視力が0.06以下になったもの ・両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの ・両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの ・鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの ・咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの ・両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの ・一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの ・一耳の聴力をまったく失ったもの ・神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの ・胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの ・一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失ったもの ・一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの ・一足の第一の足指を含み二以上の足指を失ったもの ・一足の足指の全部の用を廃したもの ・外貌に相当程度の醜状を残すもの ・生殖器に著しい障害を残すもの |
第10級 |
・一眼の視力が0.1以下になったもの ・正面を見た場合に複視の症状を残すもの ・咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの ・十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの ・両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの ・一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの ・一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの ・一下肢を3センチメートル以上短縮したもの ・一足の第一の足指又は他の四の足指を失ったもの ・一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの ・一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの |
第11級 |
・両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの ・両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの ・一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの ・十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの ・両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの ・一耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの ・脊柱に変形を残すもの ・一手の人差し指、なか指又はくすり指を失ったもの ・一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの ・胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの |
第12級 |
・一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの ・一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの ・七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの ・一耳の耳殻の大部分を欠損したもの ・鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの ・一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの ・一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの ・長管骨に変形を残すもの ・一手のこ指を失ったもの ・一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの ・一足の第二の足指を失ったもの、第二の足指を含み二の足指を失ったもの又は第三の足指以下の三の足指を失ったもの ・一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの ・局部に頑固な神経症状を残すもの ・外貌に醜状を残すもの |
第13級 |
・一眼の視力が0.6以下になったもの ・正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの ・一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの ・両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの ・五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの ・一手のこ指の用を廃したもの ・一手のおや指の指骨の一部を失ったもの ・一下肢を1センチメートル以上短縮したもの ・一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失ったもの ・一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの ・胸腹部臓器の機能に障害を残すもの |
第14級 |
・一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの ・三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの ・一耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの ・上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの ・下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの ・一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの ・一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの ・一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの ・局部に神経症状を残すもの |
【参考元】
自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準|金融庁・国土交通省
死亡慰謝料
死亡慰謝料とは、被害者本人が死亡したことに対する精神的苦痛と、被害者の遺族が被った精神的苦痛に対する慰謝料のことです。
被害者は事故で死亡しているため、実際には被害者固有の慰謝料分については、これを相続することになる遺族が加害者に対して請求することになります。
受け取れる死亡慰謝料は、死亡した被害者の立場や家族構成、扶養人数などによって変わります。
物的損害
物的損害とは、事故による自動車などの損害、積載品や携行品の損害、それに付随する損害をいいます。
自動車などの損害
損壊した自動車が修理できるかどうかによって請求できる賠償金額は異なります。
自動車が修理できない場合は、事故直前の車両と同等の自動車を入手するのに必要な金額を請求できます。
一方、自動車が修理できる場合は、原則として修理費用を請求することになります。
ただし「経済的全損」という考え方があるため、修理費が100万円かかる場合でも、事故直前の車両と同等の車両を入手するためのコストが10万円で足りるのであれば、10万円までしか請求できません。
積載品・携行品損害
交通事故時に自動車に積載していた物品や、身に着けていた携行品などが損壊した場合にも、その損害額を請求できます。
自動車の修理のときと同じで、修理不能な場合は事故当時の評価額に相当する金額を請求でき、修理できる場合は修理費用を請求することが可能です。
ただし、ここでも「経済的全損」という考え方が用いられます。
その他の損害
その他、以下のような損害を請求することも可能です。
- レッカー費用
- 代車費用
- 代替交通費
- 休車損害(事業用車両の場合)
- 車両評価損(事故歴・修理歴に伴う自動車価値が低下した場合)
その賠償金は妥当?損害賠償金の正しい計算方法と相場
損害賠償のうち各種慰謝料、休業損害、後遺障害逸失利益・死亡逸失利益などは高額になりますが、計算方法や支払い基準などによって請求できる金額が異なります。
ここでは、それぞれの損害賠償金の正しい計算方法と相場について確認しましょう。
各種慰謝料の計算方法
入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料のそれぞれの計算方法を確認しましょう。
入通院慰謝料の計算方法
入通院慰謝料の計算方法は、自賠責基準の場合と、任意保険基準や弁護士基準の場合で異なります。
自賠責基準で計算する場合、以下のいずれかのうち「低い金額」が適用されます。
【自賠責基準での入通院慰謝料の計算方法】
- 4,300円×入通院期間
- 4,300円×(実入通院日数×2)
※ただし、自賠責保険の場合、治療費、休業損害と併せて120万円が上限となります(過失があまりに大きい場合には上限額が下がります。)。
一方、任意保険基準と弁護士基準では入通院期間に応じて慰謝料額を計算します。
また、弁護士基準では「通常のけがの場合」と「むちうちなどの場合」で別の基準が設けられています。
以下の表を参考に慰謝料額を計算しましょう。下記の表で任意保険会社基準について(推定)とあるのは、あくまでも、多くの任意保険会社がこの数字を提示してくることが多いという意味だと理解してください。
【任意保険基準による入通院慰謝料額(推定)単位は万円】
【弁護士基準による通常の入通院慰謝料額(万円)】
【弁護士基準によるむちうちなどの場合の入通院慰謝料額(万円)】
後遺障害慰謝料の計算方法
後遺障害慰謝料の場合は、入通院慰謝料のような複雑な計算は不要です。
後遺障害の等級(症状の種類や重さ)によって慰謝料額が決められているため、認定された等級に応じて後遺障害慰謝料を請求すればよいでしょう。
後遺障害等級ごとの自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の慰謝料額は以下のとおりです。
下記の表で任意保険会社基準について(推定)とあるのは、あくまでも、多くの任意保険会社がこの数字を提示してくることが多いという意味だと理解してください。
【等級別の後遺障害慰謝料の目安額】
等級 |
自賠責基準 (2020年3月31日までに発生した事故) |
任意保険基準(推定) |
弁護士基準 |
第1級 |
1,150万円(1,100万円) |
1,600万円程度 |
2,800万円 |
第2級 |
998万円(958万円) |
1,300万円程度 |
2,370万円 |
第3級 |
861万円(829万円) |
1,100万円程度 |
1,990万円 |
第4級 |
737万円(712万円) |
900万円程度 |
1,670万円 |
第5級 |
618万円(599万円) |
750万円程度 |
1,400万円 |
第6級 |
512万円(498万円) |
600万円程度 |
1,180万円 |
第7級 |
419万円(409万円) |
500万円程度 |
1,000万円 |
第8級 |
331万円(324万円) |
400万円程度 |
830万円 |
第9級 |
249万円(245万円) |
300万円程度 |
690万円 |
第10級 |
190万円(187万円) |
200万円程度 |
550万円 |
第11級 |
136万円(135万円) |
150万円程度 |
420万円 |
第12級 |
94万円(93万円) |
100万円程度 |
290万円 |
第13級 |
57万円 |
60万円程度 |
180万円 |
第14級 |
32万円 |
40万円程度 |
110万円 |
死亡慰謝料の計算方法
死亡慰謝料の計算方法は、自賠責基準の場合と、任意保険基準や弁護士基準の場合で異なります。
自賠責基準では死亡した本人に対して一律400万円が支払われます。
また、被害者の父母(養父母も含む)、配偶者、子ども(養子・認知した子ども・胎児も含む)がいる場合は、人数や扶養の有無に応じて死亡慰謝料を請求できます。
遺族の人数 |
慰謝料額 |
被害者に扶養されていた場合 |
1人 |
550万円 |
750万円 |
2人 |
650万円 |
850万円 |
3人 |
750万円 |
950万円 |
一方、任意保険基準と弁護士基準では遺族の人数や扶養の有無などはあまり関係なく、死亡された方の立場によって慰謝料額の目安が設けられています。
死亡者の立場ごとの死亡慰謝料目安は以下のとおりです。
【任意保険基準と弁護士基準の死亡慰謝料の目安】
死亡者の立場 |
任意保険基準 |
弁護士基準 |
一家の支柱 |
1,500万〜2,000万円程度 |
2,800万円程度 |
配偶者、母親 |
1,500万〜2,000万円程度 |
2,500万円程度 |
上記以外 |
1,200万〜1,500万円程度 |
2,000万~2,500万円程度 |
なお、上記で弁護士基準を示しましたが、実際に弁護士が請求する場合には、この基準に拘束されるわけではありません。
過去の裁判例等を参考に、増額の可能性を探り、被害者の方にとって最も有利な計算方法を採用します。
休業損害の計算方法
休業損害の計算方法は、いずれの支払い基準でも「認定休業日数×収入額」で計算するのが基本です。
ただし、支払い基準によって「収入額」は異なります。
まず自賠責基準の場合は基本的に日額6,100円ですが、給与の日額が6,100円を超えることが資料などで明らかな場合は、最高で19,000円までの範囲で増額されます。
【自賠責基準での休業損害の計算方法】
- 認定休業日数(+有給休暇日数)×6,100円
- ※ただし、自賠責保険で実際に受領できる金額は①治療費②慰謝料等と合計して120万円が上限となります。
一方、弁護士基準では「1日あたりの基礎収入」を基に休業損害を計算します。
1日あたりの基礎収入額は被害者の職業によって異なり、給与所得者であれば「事故前3ヵ月間の給与」を基準として日当を計算します。
そして、算出された1日あたりの基礎収入額と認定休業日数を乗じることで、休業損害を算出することができるのです。
【弁護士基準での休業損害の計算方法】
- 認定休業日数(+有給休暇日数)×1日あたりの基礎収入額
各種逸失利益の計算方法
後遺障害逸失利益と死亡事故逸失利益のそれぞれの計算方法を確認しましょう。
後遺障害逸失利益の計算方法
後遺障害逸失利益は、もともとの労働能力の水準が1年あたりでどの程度低下するか、その状態が何年続くのかという視点で算出します。
具体的には、下記の【①×②×③】で計算します。
- 被害者の方の年収の基準値(一般的には、事故前年収)
- 労働能力の喪失率(一般的には下記の表)
- 労働能力喪失期間(一般的には67歳-症状固定時年齢)に対応する一定の係数(ライプニッツ係数等)
【後遺障害等級ごとの労働能力喪失率表】
後遺障害等級 |
労働能力逸失率 |
後遺障害等級 |
労働能力逸失率 |
第1級 |
100/100 |
第8級 |
45/100 |
第2級 |
100/100 |
第9級 |
35/100 |
第3級 |
100/100 |
第10級 |
27/100 |
第4級 |
92/100 |
第11級 |
20/100 |
第5級 |
79/100 |
第12級 |
14/100 |
第6級 |
67/100 |
第13級 |
9/100 |
第7級 |
56/100 |
第14級 |
5/100 |
それぞれに「一般的には」と記載していますが、事案によっては例外的な処理が取られる場合も多々あります。
たとえば、「①被害者の方の年収の基準値」であれば、被害者が給与所得者の場合は事故前年度の年収額を基準としますが、主婦(主夫)や子どもの場合は「賃金センサスの男女別全年齢平均賃金」を参考にするなどがあるでしょう。
また、むち打ちでの14級の事案では、労働能力喪失期間が67歳までの年齢にかかわらず5年程度と限定されてしまうことが一般的です。
死亡逸失利益の計算方法
死亡事故の場合は、後遺障害の逸失利益と同様に【①×②×③】と計算しますが、ここにさらに④生活費控除率を乗じます。
- 被害者の方の年収の基準値(一般的には、事故前年収)
- 労働能力喪失率(被害者が死亡しているため、喪失率は100%)
- 労働能力喪失期間に対する一定の係数
- 生活費控除率
生活費控除率を乗じる理由は、被害者が死亡していなければ「支出」も発生しているはずなので、その点を精算する必要があるからです。
生活費控除率は被害者の性別、被扶養者の人数によって異なります。
ただし「夫婦が共働きの場合は控除率が高くなる」など、生活控除率にも例外があるため注意しましょう。
交通事故被害者が損害賠償を請求できる相手とは?
損害賠償の請求相手は、交通事故の被害について責任を負う人物です。
直接的な加害者が責任を負うのはもちろんですが、状況によってはほかの関係者に対する損害賠償請求が認められる場合もあります。
運転者(加害者)
実際に事故を起こした運転手は、交通事故の第一当事者となるため民法第709条に基づく「不法行為による損害賠償」の責任を負います。
つまり、損害賠償の場面では、加害運転手自身を相手方とするのが基本になります。
使用者
運転手が勤務先での業務中に事故を起こしたような場合には、「使用者責任」として雇用主に対する損害賠償請求が可能となります。
民法第715条によると、ある事業のために他人を使用する人を使用者、使用される人を被用者とし、「被用者が使用者の事業の執行について第三者に損害を与えた場合には使用者も賠償責任を負う」と規定しています。
つまり、運送会社のドライバーが配達中に事故を起こした場合は、ドライバーだけでなく運送会社の使用者にも損害賠償請求できる可能性があるのです。
(使用者等の責任)
第七百十五条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
運行供用者
人身事故に限っては、自動車損害賠償保障法第3条に基づき、「自己のために自動車を運行の用に供する者」も責任を負うことになります。
どのような立場の者が「自己のために自動車を運行の用に供する者」に当たるかは複雑な議論がありますので、弁護士による正式な法律相談を受けて正しい情報を集めるようにしてください。
第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。
同乗していた車の運転手
知人や友人の車に同乗しているときに、その車を運転している知人が第三者との間で事故を起こしたような場合、知人と事故の相手方の共同の不法行為による自己として、同乗車両の運転手に対しての賠償請求が認められる場合もあります。
ただし、これは同乗していた自動車を運転していた運転手にも事故についての過失がある場合に限られます。
損害賠償金が支払われるまでの流れとタイミング
交通事故が発生してから損害賠償金が支払われるまでのおおまかな流れを解説します。
また、損害賠償請求を始めるタイミングについても確認しましょう。
損害賠償金が支払われるまでの大まかな流れ
損害賠償金が支払われるまでの大まかな流れは以下のようになっています。
1.事故発生
一般的には、加害者が、警察に届け出をおこない、自動車保険会社にも連絡を入れます。
事故報告を受けた保険会社は、事故を受け付けると、保険契約内容や保険料支払い状況などを確認し、保険が使える場合であれば保険会社対応が始まります。
2.損害・事故原因の聴き取り
保険会社は、事故当事者からそれぞれ事故の状況を聞き取ります。
加害者側の保険会社が保険対応可能と判断した場合には、基本的に加害者側の保険会社がその後の対応をおこないます。
被害者側にも過失がある事故で、相手方への賠償のために被害者側も保険を使うような場合には、被害者側も保険会社がその後の対応をしてくれる場合があります。
しかし、被害者の過失が認められない事故(もらい事故)など、被害者側が保険を使う必要のない事故の場合は、被害者本人が加害者側の保険会社と交渉しなければなりません。
3.示談交渉
被害者側と加害者側の交渉により、被害者の損害をどのように賠償すべきか(和解の条件)を協議します。
示談交渉のタイミングは、基本的には加害者側の保険会社が被害者側に示談条件を提示されてからになります。
被害者側がその条件を受諾すれば示談はそこで終了ですが、納得いかない場合は増額交渉をおこないます。
この時、保険会社が提示する金額は圧倒的多数の事案で弁護士基準を下回るものです。そのため、交通事故問題に詳しい弁護士に相談し、「保険会社の提示額が本当に妥当であるか」のチェックを受けることが極めて重要です。
保険会社の提示額が適正額に比べて少額であるにも関わらず、加害者保険会社側が増額に応じなかったり、対応に問題があったりする場合には、訴訟(裁判)も視野に入れる必要があるでしょう。
4.保険金請求書の提出・保険金の支払い
示談交渉がまとまった場合、保険会社から示談が完了した旨の書類が送られるため、これに署名して返送します。
書類を受領した保険会社は、保険金支払いの処理に移り、その後、損害賠償金が指定口座に振り込まれます。
訴訟手続きを利用しない場合は、このようなステップで交通事故の損害賠償金が支払われます。
この時、杜撰な書類に安易に署名してしまうことで、たとえば後遺障害の請求ができなくなってしまうような場合もありますので、くれぐれも注意してください。
損害賠償請求を始めるタイミング
損害賠償請求を始めることができるのは、「損害額が確定してから」が基本です。
損害が確定するタイミングは損害の種類によって異なりますが、一般的には以下のようなタイミングを目安にするとよいでしょう。
損害の種類 |
損害賠償請求を始めるタイミング |
事故による傷害(完治できるけがの場合) |
医師が完治を宣告して治療が終了したとき |
事故による傷害(後遺症が残った場合) |
損害保険料算出機構などから後遺障害等級の認定通知を受けたとき |
死亡事故 |
葬儀や四十九日が終わり、相続放棄しないことが確定した時。 |
物的損害(自動車の修理費用など) |
修理見積が完了すれば随時 |
なお、物損と人身損害が同時発生する事故の場合には、人身に関する交渉が始まる前に、人身損害と切り分けて物損に関する交渉が先行するのが一般的です。
それは、傷害・死亡による損害の確定を待っていると自動車の修理や買い替えができないためです。
交通事故の損害賠償金をできるだけ増額させる方法
損害賠償金は、損害を確実に填補するために請求するものです。
そこで、損害を確実に填補するためのいくつかの注意点を解説します。
ただし、実際に、専門知識がない方が示談交渉を行おうとしても、加害者保険会社のほうが一枚も二枚も上手ですので、可能な限り「交通事故の慰謝料問題に詳しい弁護士」に相談することをおすすめします。
過失割合を可能な限り下げる
交通事故で受け取れる損害賠償額は過失割合によって大きく変わります。
そこで、できる限り過失割合が有利になるように交渉しましょう。
たとえば、「自動車の損害賠償金を請求しない代わりに過失割合を10対0にしてもらう」、「片側賠償を提案して、9対1の過失割合を9対0にしてもらう」などがあります。
弁護士基準で慰謝料や逸失利益を計算する
交通事故の慰謝料や逸失利益の金額は、弁護士基準で計算すると最も高額となります。
そのため、損害賠償金の増額を求めるなら、弁護士基準で交渉しましょう。
実際、弁護士基準で示談を成立できれば、慰謝料額や逸失利益を2〜3倍程度増額できる場合もあります。
ただし、保険会社の一般的な対応姿勢は、「弁護士や裁判手続を利用せずに、個人の方が弁護士基準で交渉を持ち掛けてきたとしても、まったくそれに応じる気配を見せない」というのが通常です。
そのような場合、自力で裁判をするか、弁護士に依頼するといった方法を検討する必要があります。
適切な後遺障害等級の認定を受ける
後遺障害等級は慰謝料や逸失利益の金額に大きく影響しますが、認定された等級に納得がいかないケースもあるでしょう。
そういう事態に備えて、被害者自ら資料を揃えて、自賠責保険に後遺障害等級認定と後遺障害給付を請求する被害者請求という制度があります。
また、一度認定された等級について再審査を求める「異議申し立て」をします。
異議申立の際には、納得いく等級が得られなかった理由を理解し、異議申立書や補充の医療資料を準備して、適切な後遺障害等級の認定を目指すことになります。
交通事故で損害賠償を受け取る際の注意点
交通事故の損害賠償を受ける際の注意点についても確認しましょう。
家事従事者でも休業損害は請求できる
専業主婦(主夫)の方などは、給料を受け取っているわけではないため「収入の埋め合わせ」という印象は少ないかもしれません。
しかし、家事従事者や家事とパートを兼業をしている方でも休業損害を請求できる場合はあります。
ただし、加害者側保険会社から家事従事者としての休業損害が積極的に提示されることはめったにありません。
示談の際、加害者の保険会社側から休業損害の賠償についての提示がない場合は、こちらから損害賠償請求をおこないましょう。
交通事故の損害賠償請求には時効がある
損害賠償の請求には権利の消滅時効があります。
権利の消滅時効は、基本的には、物的損害の場合は3年、人身傷害に関しては事故日から5年、後遺障害に関しては、症状固定から5年で時効が成立します(ただし、これを経過していても事案によって例外的に請求が可能な場合がありますので、必ず自分で勝手に判断せず、弁護士に相談して少しでも請求できる余地がないかを確認してください。)。
交通事故の損害賠償請求の場合、加害者側保険会社との交渉が継続するため、時効が成立するケースは少ないものの、保険会社との交渉がおっくうになるなどして無視したり放置したりすると時効が成立してしまいます。
なによりも、事故から時間が経てばたつほど重要な証拠が失われ、請求が難しくなります。
そのため、できる限り迅速に回収にむけた行動をとるようにしてください。
保険会社の提示金額が正しいとは限らない
一般的に交通事故の示談交渉は、保険会社から示談条件が提示されてスタートします。
しかし、「治療費が全額含まれていない」、「過失割合が本来のものと異なる」、「慰謝料が想定より低い」などの可能性が高いといえます。
それを知らずに、安易に保険会社を信用して示談してしまうと、不利な条件での解決に陥ってしまいます。
そのため、示談交渉が始まった時点で一度、交通事故問題を注力分野としている弁護士に「示談内容が適切かどうか」を相談するのがおすすめです。
交通事故の問題であれば、無料で相談対応をしている弁護士も数多く見つけられるでしょう。
まとめ
交通事故の損害賠償金として請求できるもの、損害賠償金額の計算方法、支払いまでの流れなどを紹介しました。
交通事故の損害賠償に関する知識を正しく理解することで、自分の損害賠償金額が妥当かどうかの判断ができるようになります。
ただ、交通事故の損害賠償の問題は奥が深く複雑な問題です。
そのため、このページを読んで少しでも理解できない部分があれば、直接弁護士に相談してみてください。
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