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交通事故の被害者は、損害賠償という形で、加害者に賠償金を請求できます。そして、損害賠償とは、『違法な行為により損害を受けた者に対して、その原因を作った者が損害の埋め合わせをすること』です。
では、実際に交通事故の被害に遭った方は加害者に対してどのような請求ができるでしょうか。
損害賠償請求ができる項目や相場を知らないと、ご自身が請求できる金額がわからず、加害者側保険会社の提示金額を鵜呑みにしてしまい適正な金額の賠償を受けられない恐れがあります。そのため、交通事故の被害を受けられた場合には損害賠償の基礎知識を把握しておいた方がよいでしょう。
この記事では交通事故の被害者が知っておくべき損害賠償の7つの知識を解説します。
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損害賠償とは、『違法な行為により損害を受けた者に対して、その原因を作った者が損害の埋め合わせをすること』です。
交通事故の場合、損害賠償金として補償金を請求できるのは、原則として被害者本人となります。ただし、被害者が交通事故によって死亡してしまった場合、損害賠償金の請求権は、配偶者や子供、被害者の両親などの相続人に移動しますので、遺族から加害者に対して補償を求めていくことになります。
交通事故に遭った際に、被害者が加害者へ請求できる損害内容は、大きく区分すると、以下の4つに分かれます。
この4つの損害を合計した金額が、加害者へ請求できる損害賠償請求の金額となります。詳しくは後述の「②損害賠償金として支払われるお金は4種類」で解説します。
物損事故とは、車などが壊れただけで、被害者自身には怪我などがない事故のことをいいます。この場合、損害賠償として加害者に請求できるのは『車の損傷により発生した費用(修理費、買い替え費等)』と『車が壊れたことによって生じた評価損』だけであるのが通常です。
なお、評価損(修理によって下がった価値に対する損害)が認められるケースは少なく、特別なケースでないと認められないことが多いです。
つまり、それ以外の怪我や精神的苦痛に対する補償はされません。もし、物損事故の扱いだが実際は怪我などをしていた場合は、物損事故から人身事故への切り替えが必要になる場合もあるでしょう。
交通事故の慰謝料には『自賠責基準』『任意保険基準』『弁護士基準』の3つの算出基準があり、どの基準で計算するかによって慰謝料の金額が変わってきます。
慰謝料の金額は【弁護士基準>任意保険基準>自賠責基準】で、弁護士基準での計算が最も高額です。基本的には、任意保険基準が適用されるケースが多いですが、加害者が保険未加入の場合は自賠責基準、ご自身で弁護士を雇った場合は弁護士基準が適用されるのが一般的です。
そのため、交通事故の慰謝料を増額したい場合は弁護士への依頼が有効です。事故の内容や状況によっては弁護士の介入により、損害賠償が2倍以上に増額するケースもあります。加害者側から提示された損害賠償の金額に不満がある場合には、弁護士への依頼を検討した方がよいでしょう。
交通事故の損害賠償はおおまかに4つに分類されています
ここでは、それぞれの損害賠償の内容と相場額をご紹介します。
積極損害とは、交通事故による怪我で病院での治療や入院をした際や、交通事故が原因で出費を余儀なくされた場合に発生した損害のことです。主に治療費や通院交通費、被害者が死亡してしまった場合の葬祭費用などが挙げられます。
基本的に積極損害として請求できるものは決まっています。しかし、具体的に何が請求できて、何が請求できないのか、判断が難しいものも多くあります。したがって、示談が成立するまでは、領収書などはすべて取っておくとよいでしょう。
事故の治療等に関連して仕事を休む必要が生じた場合には、休んだことによって得られなかった収入の埋め合わせとして、休業損害を請求することができます。
この計算方法は、過去の収入実績から被害者の方の1日当たりの収入額を計算し、これに休業日数や有休休暇利用日数を掛け合わせるという計算方法です。
ここで見落としがちなのが、「家事従事者の休業損害」です。例えば専業主婦の方等は、給料をもらっているわけではありませんので、「収入の埋め合わせ」という印象が少ないと思います。しかし、家事従事者であっても休業損害を請求できます。
パートを兼業している場合にも請求できる場合はあります。しかし、加害者側保険会社から家事従事者としての休業損害が積極的に提示されることはめったにありません。そのため、多くの主婦の方が無知に付け込まれ、休業損害を回収せずに示談してしまっています。この点はくれぐれも注意してください。
この休業損害は被害者の職業によって計算が異なり、算出される休業損害額も変わってきますので、詳しい計算は以下の記事をご覧ください。
逸失利益(いっしつりえき)とは、将来の収入が減少したことに対する損害を指します。
例えば、交通事故で片腕を切断した場合、片腕は将来的に失われてしまいます。このような場合は、後遺障害として認められ、一定の労働能力の喪失が認められます。このように労働能力が一定の割合で喪失された場合、当該割合に応じて『交通事故に遭わなければ本来もらえたであろう将来の収入』が減少したと考えられます。
また、死亡事故の場合も被害者が生きていれば得られたであろう収入分が得られなくなりますので、同様に考えられます。これが逸失利益の考え方です。後遺障害の残った事故や死亡事故の場合、被害者の逸失利益を損害として賠償を求めることができるのです。
まとめると、次のの2種類があります。
後遺障害による労働能力の喪失に関しては、もともとの労働能力の水準が1年あたりでどの程度低下するかを計算し、その状態が何年続くのかという視点で計算します。
具体的には、下記の①×②×③となります。
表:労働能力喪失率表
後遺障害等級 |
労働能力喪失率 |
後遺障害等級 |
労働能力喪失率 |
第1級 |
100/100 |
第8級 |
45/100 |
第2級 |
100/100 |
第9級 |
35/100 |
第3級 |
100/100 |
第10級 |
27/100 |
第4級 |
92/100 |
第11級 |
20/100 |
第5級 |
79/100 |
第12級 |
14/100 |
第6級 |
67/100 |
第13級 |
9/100 |
第7級 |
56/100 |
第14級 |
5/100 |
それぞれに「一般的には」と記載しておりますが、案件においては、例外的な処理が取られる場合も多々あります。そこで、あなたにとって最も有利な計算方法や最も現実的な計算方法を知りたい場合には、必ず弁護士に相談してください。
死亡事故の場合には、後遺障害の逸失利益での計算方法と同様に①×②×③をしますが、ここにさらに、④生活費控除率を乗じます。
これは、死亡結果が発生していなければ、収入に対応する支出も発生しているはずため、その点を精算する必要があるという考えによるものです。
このように、加害者に対して適正な損害賠償を求めるのであれば、失われた労働能力に対応する損害(=逸失利益)を正しく計算しなければなりません。しかし、通常この計算は大変複雑なものとなります。そこで、加害者側から提示された金額を鵜呑みにせず、適正な金額を知るために弁護士の助言を受けることをお勧めします。
交通事故によって被った精神的・肉体的苦痛に対して支払われるお金で、『入通院慰謝料』『後遺障害慰謝料』『死亡慰謝料』の3種類があります。慰謝料は害賠賠償金の中でも最も大きな割合を占める場合もあります。特に軽微な事故の場合は、賠償項目の中で慰謝料がメインとなることも多いでしょう。
入通院慰謝料の計算は下記の計算式を利用します。
しかし、これはあくまで自賠責保険の基準による計算であり、慰謝料の最低水準を意味する事が多いです。実際の賠償実務では入通院期間とこれに対応する慰謝料相場の表に基づいて、実際の入通院期間に応じて適正な慰謝料額を算定するのが通常です。
後遺障害慰謝料とは、交通事故が原因で後遺症を負った際に請求できる慰謝料です。後遺障害慰謝料の金額は、後遺症の等級(症状の種類や重さ)によって相場が決まってきます。後遺障害慰謝料の相場は以下のとおりです。
<後遺障害の等級別慰謝料の基準>
等級 |
自賠責基準 (2020年3月31日までに発生した事故) |
任意保険基準(推定) |
弁護士基準 |
1,150万円 (1,100万円) |
1,600万円程度 |
2,800万円 |
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998万円 (958万円) |
1,300万円程度 |
2,370万円 |
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861万円 (829万円) |
1,100万円程度 |
1,990万円 |
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737万円 (712万円) |
900万円程度 |
1,670万円 |
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618万円 (599万円) |
750万円程度 |
1,400万円 |
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512万円 (498万円) |
600万円程度 |
1,180万円 |
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419万円 (409万円) |
500万円程度 |
1,000万円 |
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331万円 (324万円) |
400万円程度 |
830万円 |
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249万円 (245万円) |
300万円程度 |
690万円 |
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190万円 (187万円) |
200万円程度 |
550万円 |
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136万円 (135万円) |
150万円程度 |
420万円 |
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94万円 (93万円) |
100万円程度 |
290万円 |
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57万円 |
60万円程度 |
180万円 |
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32万円 |
40万円程度 |
110万円 |
なお、後遺障害に関する損害賠償を請求する場合、通常、被害者側の自賠責保険会社(損害保険料率算出機構)に後遺障害等級の認定申請を行い、後遺障害認定を受けてから、補償の請求をします。
死亡慰謝料は、交通事故で被害者が死亡した場合、被害者本人の死亡したことに対する精神的苦痛、および被害者の親族が被った固有の精神的苦痛を慰謝するための補償金です。被害者は事故で死亡しているため、実際には相続人となる遺族が加害者に対して補償を求めていくことになります。
死亡された方の立場によって下記水準が一つの目安とされているようです。
<基準別の死亡慰謝料の相場>
死亡者の立場 |
任意保険基準 |
弁護士基準 |
---|---|---|
一家の支柱 |
1,500〜2,000万円程度 |
2,800万円程度 |
配偶者、母親 |
1,500〜2,000万円程度 |
2,500万円程度 |
上記以外 |
1,200〜1,500万円程度 |
2,000~2,500万円程度 |
なお、上記には自賠責保険の基準がありませんが、自賠責保険は被害者が死亡した場合の遺族の固有の慰謝料額を遺族の数に応じて定めています。しかし、その金額はあくまで遺族固有の慰謝料額であって、被害者自身の慰謝料額ではありません。
被害者死亡の場合の慰謝料額は、自賠責保険を参考にして算定するということはなく、通常は、任意保険会社の内部基準や弁護士基準によって算定されているのが実情です。また、上記表はあくまで目安であるため、事情によってはこれより高額になることも低額になることもあり得ます。
死亡事故の場合は、金額も多額となりがちであるため、弁護士等の専門家のサポートを受けながら適正な補償を請求するべきでしょう。
物的損害とは、事故による自動車等の損害、積載品や携行品の損害、それに付随する損害を言います。
⑴修理不能なほどに損壊した場合
自動車が修理不能なほどに損壊した場合には、事故直前の車両の状態と同等の車両を入手するのに必要な金額を請求することができます。
⑵修理費用
交通事故による自動車が損壊した場合には、原則として修理費用を請求することになります。修理費用は当然のことながら、適切な見積もりにより算定する必要があります。
もっとも、損害賠償は、「金銭賠償により、事故前の経済水準に回復させる」という考え方です。そのため、例えば、事故直前の価値が10万円の車両に100万円の修理費用がかかるような場合には、基本的には、10万円の同等車両を入手するために必要な金額の賠償しか受けることができません。これを経済的全損といいます。
事故時に車に積載していた物品や、身に着けていたり、運んでいたりする携行品が損壊した場合にも、自動車の損害と同じ考え方で損害額を算定して請求することができます。
その他、車両が使用できない期間の代車費用や代替交通費を請求することもできます。また、事業用車両が損壊することで、その間、営業損害が生じた場合には、休車損害を請求することも可能です。
なお、自動車の損害に関する項目として、事故歴・修理歴に伴う自動車価値の低下を評価損害として請求する場合もあります。
こうした特殊な損害項目に関しては、請求できるかどうか、請求するためにどのような準備をすればよいかをしっかりと弁護士と相談して情報を集めるようにしてください。
4つの損害賠償の計算は、損害額と過失割合の2で決定されます。
『損害賠償額』=『損害額』×(1-自身の過失割合) |
上記の計算方法を利用して、過失割合が0%なら損害額の100%を損害賠償金として請求できますが、ご自身にも過失がある場合にはその過失分が減額されます。
交通事故では加害者が支払うべき補償金は、まず加害者加入の自動車保険で賄うべきものです。1つは自動車を運転する人が全員強制加入している自賠責保険です。しかし、自賠責保険の補償範囲は一定の範囲に限定されており、すべての損害がカバーされるわけではありません。
このように自賠責保険でカバーされない損害については、別途、任意で加入している民間の自動車保険会社により補償されることになります。2つの保険の違いを解説します。
自賠責保険とは、法律で加入が義務付けられている自動車保険です。加入していない場合には車検も通りませんし、公道を車で走ることも許可されません。自賠責保険は『交通事故による被害者の最低限の救済』を目的とした保険で、人身事故の場合のみ利用することができます。
そのため、物損事故と呼ばれる、被害者に怪我はないが車に傷がついてしまったという場合は、自賠責保険を利用することはできません。また、人身事故の場合でも自賠責保険の補償金額は任意の自動車保険と比較すると低額に抑えられています。
さらに、自賠責保険の担当者が相手との示談交渉を行ってくれるわけではないので、交渉は各自で行わなくてはなりません。一般的に自賠責保険だけでは、交通事故の補償のすべてを賄うことは非常に困難と考えられています。そのため、民間会社の任意保険にも加入している人がほとんどです。
民間の保険会社が行っている自動車保険は、自賠責保険では補償ができない物損の補償や、自賠責保険では賄えない補償金をカバーする目的があります。あくまで加入は任意(運転する人の自由)ですが、いざというときの備えでほとんどの人が加入しています。
なお、任意保険は保険会社との契約によりカバー範囲を変更できるため、特約を締結したり、加入する保険の種類を変えることで、自分の車や壊してしまったガードレール等、補償の範囲拡大も可能です。
交通事故が発生してから損害賠償金が支払われるまでのおおまかな流れを解説します。
警察と自動車保険会社に届け出を行います。保険会社が事故を受けつけると、契約している内容や保険金の入金が正しく行われているかなどを確認します。
契約保険会社は契約している事故当事者からそれぞれ事故の状況を聴き取ります。加害者側は事故状況を聞き取った後は、基本的に保険会社が対応を変わることになります。他方、被害者側は事故状況から被害者にも過失があるようであれば、保険会社が交渉を変わります。
しかし、被害者の過失割合が認められないような事故(追突事故など)であれば、保険会社は交渉を変わることはできません。この場合は、被害者本人が加害者側の保険会社と交渉しなければなりません。
被害者側と加害者側の交渉により、被害者の損害をどのように賠償すべきか(和解の条件)が協議します。基本的には、加害者側の保険会社に示談条件を提示されてからの交渉になるでしょう。
被害者側がその条件を受諾すれば示談はそこで終了ですが、納得いかない場合は根拠とともに増額を求めていくことにあります。保険会社が増額に応じなかったり、対応に問題があるような場合には、訴訟対応も視野に入れて、弁護士に相談するという選択肢が出てきます。
示談交渉がまとまった場合、保険会社から示談が完了した旨の書類が送られますので、これに署名して返送します。返送した後は、もう金額について争うことはできませんので、慎重に対応しましょう。
相手の保険会社は上記書類を受領した場合に、保険金支払いの処理に移りますので、その後、損害賠償金が指定口座に振り込まれます。訴訟手続を利用しない場合、このようなステップで交通事故の補償金は支払われます。
なお、交通事故が原因で怪我をしてしまい、治療が必要な場合は、症状固定(これ以上の回復は見込めないという診断まで)まで、示談交渉は待ってもらうことが適切でしょう。
損害賠償の請求には交通事故の発生日から3年の時効があります(ひき逃げで加害者が不明の場合は20年)。後遺障害が認定されるような事故の場合で後遺障害について補償の請求をする権利は症状固定を受けてから時効のカウントが開始されます。
交通事故の損害賠償請求で時効が過ぎるケースは少ないですが、損害賠償の金額で揉めて示談交渉が長引けば、絶対にないとも言い切れません。ですから、示談まで手間取っている状況であれば、なるべく早めに弁護士に相談されることをおすすめします。
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損害賠償金を請求する以上、加害者に対してできるだけ増額請求をしたいと考えるのが普通でしょう。続いて、損害賠償金を増額する方法を解説します。
交通事故の損害賠償は、損害額と過失割合(事故の責任の割合)の2つで決定されます。
『損害賠償額』=『損害額』×(1-自身の過失割合) |
ご自身の過失割合が0%なら損害額の100%を損害賠償金として請求できますが、ご自身にも過失がある場合にはその過失分が減額されます。ですから、過失割合を下げることができれば、損害賠償の金額は増額されるでしょう。
例えば、車の損害賠償金を請求しない代わりに、過失割合を10対0にしてもらうことで、保険会社の支出が少なくなるため、保険会社もこの条件に応じてくれやすい傾向があります。
ただ、専門知識がない場合は交渉が難しいので、交通事故の慰謝料問題に詳しい専門家へ相談することをおすすめします。
交通事故に関する過去の判例をすべて掲載している『交通事故判例タイムズ』という資料があります。これは裁判でも最重要視する書籍ですので、参考にし、引き合いに出すとよいでしょう。
交通事故の入通院慰謝料や後遺障害慰謝料は、弁護士基準で算定すると最も高額となる傾向にあります。そのため、保険会社へ確実・簡単に増額を求めるなら、慰謝料を弁護士基準で算定してもらうよう交渉しましょう。
ただし、保険会社の中には、弁護士に依頼しない場合は弁護士基準での算定を嫌がることもあります。
なお、弁護士を雇うには費用が必要ですが、弁護士費用よりも弁護士基準での増額分の方が大きくなるケースもたくさんあります。ですから、まずは弁護士に相談をして見積もりを出してもらい、依頼するべきかアドバイスを受けることをおすすめします。
交通事故の補償額は、後遺障害の有無で全く異なります。これは後遺障害がある場合、慰謝料額が高額となるだけでなく、労働能力喪失の割合に応じた多額の逸失利益が支払われるためです。
そのため、交通事故で負傷し、症状がなかなか軽快しないという場合は後遺障害として補償を受けることも視野に入れた対応をするべきでしょう。具体的には治療をいつまで続けるのか、どのような検査を受けるのか、後遺障害等級の認定を申請する上でどのような書類を準備すべきであるのかなど、多角的な検討が必要となります。
後遺障害について補償を求めることを検討しているのであれば、できる限り早期に専門家に相談をして、しかるべきサポートを受けることを強くおすすめします。
損害賠償トラブルがよく起こる4つの事例をご紹介します。
損害賠償金のトラブルで最も多いのは、被害者が納得できない、低い損害賠償金が提示されるケースです。相手の保険会社から「これが一般的な上限です」と、上限まで支払っていることを伝えられ、これ以上は損害賠償を請求できないと泣き寝入りしてしまうことがあります。ここで問題となるのが『上限額』です。
損害賠償で『足りない』といった問題が発生するのは、損害額の基準が原因です。損害額の算出基準は3つあります。
強制加入の自賠責保険の保険金支払いを基準とした算出方法です。自賠責保険は人身事故のみに最低限の補償を行う保険です。そのため、交通事故で出た物損などのカバーは行わないほか、保険会社基準、裁判所基準の2つの基準と比較しても、補償額は低く抑えられています。
例えば、傷害事故の場合、保険金の支払総額の上限も120万円と定められています。
自賠責基準で入通院慰謝料を計算する |
150日の治療期間のうち実治療日数は120日(入院90日・通院30日)の場合 【150日】と【120日(実治療日数)×2=240日】の少ない方、150日を採用。 4,300円(2020年3月31日以前に発生した事故の場合は4,200円)×150日=64万5,000円が支払い上限金額となる。 |
裁判所で過去に行われた判例を元に算出している基準です。一般的には最も高い基準とされています。日弁連交通事故相談センターが発行する『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準』(通称・赤い本)に記載がありますが、同基準は従前の判例の集積によるものとして一般的な基準となっています(ただし、この本は一般販売がされていません)。
むちうち症などで他に大きな怪我がない場合は『損害賠償額算定基準Ⅱ』、その他の怪我の場合は『損害賠償額算定基準Ⅰ』を使い、入通院にかかった期間で計算を行います。ですが、細かい計算には専門知識が必要になります。
裁判所基準で入通院慰謝料を計算する |
150日の治療期間のうち、実治療日数は120日(入院90日・通院30日)の場合 むちうち症などで他に大きな怪我がない場合:『損害賠償額算定基準Ⅱ』参照=118万円その他の怪我の場合:『損害賠償額算定基準Ⅰ』参照=177万円 |
加害者の加入している保険会社が、示談交渉のときに利用する基準です。基準は各保険会社で変わり、基準は公開されていません。そのため、どのような基準で上限が決まっているのか、どのような明細でその金額が算出されたのか、被害者は知ることができません。
保険会社基準は一般的に、裁判所基準と、自賠責基準の間くらいの金額が相場といわれています。
保険会社基準で計算する |
150日の治療期間のうち、実治療日数は120日(入院90日・通院30日)の場合 (自賠責基準と弁護士基準の間と言われるため、両者の平均額を算出) むちうち症などで他に大きな怪我がない場合=90万5000円 その他の怪我の場合=120万円 |
※民間の保険会社は基準額の公開を行っていないので、裁判所基準と自賠責基準の平均と仮定します。任意保険会社の基準は会社ごとに異なるため、すべての会社がこのような計算を行っているわけではありません。
このように、損害金を計算する基準は3つあります。保険会社はこの3つの基準のうち、どの基準額を使って損害金の算出を行っても構いません。一般的に金額の上限が低いとされる自賠責基準の上限額で計算されている場合、保険会社に「上限額です」と言われても、これは内部基準での上限であって、必ずしも適正な金額であるとは限らないのです。
弁護士は、裁判所基準という高い補償金基準で計算を行い、正当な損害賠償請求を行ってくれます。弁護士にお願いするメリットは、補償金の上限なく、あらゆる手続きを委任できることです。
物損事故、人身事故では補償される範囲が違います。人身事故では先ほどご紹介したとおり、積極障害、消極障害、慰謝料、物損の4つの項目に被害者が請求を行うことができます。しかし物損事故は負傷者がいないので物損以外補償されません。請求できるお金は、壊れてしまった車や荷物などです。
しかし、当初は怪我がなくて物損事故だと思っていても、1~2日後に体の痛みが出始めて、物損事故ではなく人身事故であったことがわかるということもあります(例えばむち打ち症などは事故が起きて数日後に症状が出てくることもあるそうです)。
このような場合には、病院から診断書を発行してもらい警察署に持ち込めば人身事故への切り替えが可能です。人身事故扱いなら傷害に対する損害賠償請求が認められやすくなるので、後から負傷が発覚した場合は必ず通院をして切り替え手続きをしてください。
いつまでに病院を受診しなければならないというルールはありませんが、一般的には事故後1週間以内が限界であるといわれています。そのため、事故が起きた時に少しでも症状、違和感を覚えるのであれば、必ず1週間以内に病院を受診して、負傷している旨の診断書を作成してもらいましょう。
物損事故から人身事故に切り替える場合、あまり長い時間が経過してしまうと「事故と怪我の関連性が不明」という理由で人身事故への切り替えが却下されてしまうことがあります。この場合、人身事故の交通事故証明所を警察から入手できなくなってしまいます。
この場合、相手の加入している保険会社に問い合わせて所定の『人身事故証明入手不可能理由書』を提出しましょう。この書類に関しては保険会社ごとに違います。まずは保険会社に問い合わせを行いましょう。なお、交通事故を得意とする弁護士に依頼すれば、警察への届け出や保険会社などもすべて代行してもらうことができます。
交通事故で治療を継続したものの、症状が軽快せず、これ以上治療してもこれがよくなる見込みがないと判断されることを『症状固定』といいます。交通事故で被害者が通院している場合に、加害者側の保険会社から「そろそろ症状固定としてはどうでしょうか」とか「こちらとしては症状固定と考えますので、治療費の支払いを打ち切ります」という連絡がくることもあります。
しかし、症状固定かどうかの判断は保険会社ではなく、一時的には担当医がするべきものといえます。ですから、保険会社が「症状固定である」と主張してきても、それを受け入れる義務はありません。
もしも保険会社から症状固定を主張された場合は、まず担当医の意見を参考にしてください。万が一、治療中に治療費の支払いを打ち切られても、治療の必要性を証明できれば、示談交渉時にその分の治療費の賠償を要求できます。
交通事故の損害賠償額は事故当事者の過失割合(自分の過失分)によって変化します。過失割合は事故態様から客観的に評価されるものですが、任意交渉では、当事者の代わりに示談交渉を行う保険会社同士の話合いで過失割合について決定されているのが実情です。
なお、被害者側は『自分の過失は0です。100%の補償金を支払ってほしい』と主張する場合、被害者契約の保険会社は、被害者に代わって示談交渉を行うことができません。これはこの場合、被害者側に負担すべき費用がなく、被害者契約保険会社が当事者となり得る場面がないからです。
したがって、自身の過失は0であると主張する被害者は、自ら加害者契約保険会社と交渉する必要があります。
ご自身の過失割合が大きい場合、その分損害賠償額は減額されることになります。例えば発生した全損害額が100万円で相手の過失が8割、自分の過失が2割だったと仮定しましょう。
この場合、相手に請求できる金額は、【100万円 × (1-0.2)=80万円】となります。
要するに、交通事故について自分にも過失がある場合、過失割合分の損害は自分で負担しなければならないということです。このような過失相当分の損害の分担を『過失相殺』といいます。
人身事故の場合、損害額自体が多額となりがちですので、双方の過失割合によってかなり大きな金額が変動することになると考えていいでしょう。
過失割合は、一般的に、判例タイムズ社が発行している『民事交通事故訴訟における過失相殺率の認定』(通称判例タイムズ)で公表されている基準を基に判断されます。
これは先例に基づいて、交通事故をいくつかの事故態様に区分し、事故態様毎に適正な過失割合について定めた基準です。裁判所も交通事故の過失割合を認定する際に用いる資料であるため、過失割合の判断には最適の基準といえるでしょう。
また、警察に人身事故として処理されていれば、事故態様を証明する最適な証拠として、警察作成の実況見分調書を使用することが可能です。したがって、交通事故に遭って怪我をしたらどんなに軽傷でも必ず警察を呼んで実況見分を行ってもらうことが、被害者の身を守ることになると覚えておきましょう。
交通事故の損害賠償には3つの基準があることはお伝えしました。保険会社が提示した補償金がどの基準なのかを、被害者が知ることは非常に困難です。自分一人ではどうしようもないという場合、相談できる専門家がいます。各専門家の特徴を解説します。
何か困ったことがあったときに頭に浮かぶ人も多いではないでしょうか?法律の専門家で、被害者の代わりに交渉や裁判を行うこともできます。示談交渉はもちろん、妥当な損害賠償金の算出なども行ってくれます。弁護士を介入させることで、被害者が行うべき交渉を一任できる、裁判になっても変わらずに交渉をしてもらえます。
ただし、その分だけ費用の負担が大きい、相談するには敷居が高いといったデメリットが考えられます。
司法書士と交通事故は無関係に見えるかもしれません。認定司法書士という資格を持っている場合、訴訟額が140万円未満の裁判(簡易裁判)や交渉に限り、弁護士と同じように被害者の代理人を担ってくれます。弁護士よりも費用が安く済むというのも、大きな特徴です。
ただし控訴されて地方裁判所へ場所が移動してしまうと、司法書士は代理人となることができません。この場合、上限金額なく、代理人を務めることのできる弁護士へ、委任し直す必要があります。
行政書士は紛争性のある事案について代理行為のみならず、助言行為をすることも一切できません。行政書士がこのような行為をすることは弁護士法に違反するからです。
交通事故で専門家の力を借りる必要がある場合とは、通常、相手当事者と事故補償について何かしらの紛争・トラブルが生じている場合でしょう。したがって、交通事故の処理を行政書士に依頼するという選択肢はありません。
行政書士は、弁護士や司法書士に比べて安いから使いやすいなどと記載しているインターネットの記事もあるようですが、安いのはそれが許されない違法行為であるからです。まともな行政書士はそのような違法行為を行うことはなく、「交通事故の処理もできますよ」と説明する行政書士はまともな行政書士ではない可能性が高いので注意してください。
交通事故の損害賠償請求は、弁護士をはじめとした専門家に助けてもらうことができます。この時に大切なのは、交通事故に関する専門知識を持っているかどうかです。これは弁護士、司法書士、行政書士、誰に相談する場合も同じと考えていいでしょう。
また、過去にどのくらいの案件数をこなしたのか、相談のときに質問してみることもおすすめです。お願いしたい専門家が決まったら、まずは実際に話してみましょう。お互いに人間としての相性は、非常に大切です。
ご自身の加入する任意保険に『弁護士費用特約』というオプションが付属している場合、弁護士にかかる費用の一部を自分が加入している自動車保険でまかなうことができます。
加入している場合、弁護士費用は約300万円、法律相談費用は約10万円程度まで、自分の自動車保険のお金を使って相談することが可能です。
法律相談のみは補償の対象外になる会社、弁護士費用の300万円に法律相談費用の10万円が含まれている会社など、保険会社によって、賄える金額や、特約を利用できる条件には違いがあります。まずは保険会社に問い合わせてみましょう。
損害賠償の支払いまでの流れや、補償金として請求できるお金をご紹介してきました。交通事故における損害賠償では、知らないことで損を被害者が損をしてしまうことがたくさんあります。
正しく知ることで、自分が受け取ることのできる妥当な損害賠償かどうかの判断ができるようになるのです。このサイトでは、損害賠償請求が得意な弁護士を掲載しています。住んでいる地域などからも検索できますから、交通事故に巻き込まれたら、まずは相談してみてください。
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等です。
詳しくは以下の記事を読んで、正しい弁護士の選び方を理解した上で弁護士に相談しましょう。
弁護士の選び方について詳しくみる交通事故や自転車事故など、事故はいつ起きてしまうか分からないものです。弁護士費用を用意できず泣き寝入りとなってしまうケースも少なくありません。
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交通事故の慰謝料は弁護士が交渉する事で増額できる可能性があります
交通事故の損害賠償には3つの基準があり、最も高額な裁判所基準での慰謝料獲得は弁護士への依頼が必須であることをご理解いただけたかと思います。
今現在、あなたが置かれている状況はどのようなものでしょうか?
・保険会社との示談交渉の真っ最中
・慰謝料の増額をしたいが保険会社が聞く耳を持たない
・提示された慰謝料が本当に適正か分からない
・保険会社とのやり取りが負担になっている
・過失割合に納得がいかない
一つでも上記に当てはまるようであれば、弁護士へのご相談を強くオススメします。繰り返しになりますが、裁判所が認める最も高額な慰謝料を獲得するためには弁護士への依頼が必要不可欠です。
適正な慰謝料を獲得するためにも、いち早く弁護士へご相談ください。
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