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公開日:2020.5.1  更新日:2020.5.1

人身事故と物損事故|人身事故へ切り替えるメリットや方法を解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事

交通事故は人身事故物損事故の2つに大きく分類できます。両者の違いは「死傷者がいるかいないか」です。被害者の中に死傷者がいれば人身事故、死傷者がいなければ物損事故として扱われます。

 

しかし「実は怪我をしていたのに、物損事故として処理をされてしまった」という事例は珍しくありません。軽微な交通事故については、被害者が負傷しているかどうかが明確でないとして、とりあえず警察の事故処理として物損事故とすることは珍しくないことです。

 

民事的な損害賠償請求の問題と事故処理の問題は別であるため、物損事故で処理されても人身損害について賠償金を求めることは可能です。しかし物損事故のままとすることで、一定のリスクが有る場合もあります。

 

この記事では、人身事故と物損事故の違いや、物損事故から人身事故に切り替える方法、切り替えられなかった場合の対応などを解説します。

 

人身事故と物損事故の違い

はじめに、人身事故と物損事故はどのような点で異なるのかについて解説していきます。

人身事故とは

まず人身事故とは、「事故で脚を骨折した」「むちうちが残った」「被害者が死亡した」などのように、死傷者のいる事故のことを指します。人身事故では、加害者に対して免許停止・免許取消などの行政処分が科されたり、罰金・懲役などの刑事処分が下されたりします。

物損事故とは

次に物損事故とは、「事故で車体にかすり傷がついた」「バンパーがへこんだ」などのように、死傷者のいない事故のことを指します。物損事故では、交通事故そのものについては、運転者に上記で挙げた行政上の責任や刑事上の責任が生じることはありません。

交通事故の被害者が人身事故として処理するメリット

交通事故が軽微な事故である場合には、警察がとりあえず物損事故で処理することはよくあることです。ただ、これはあくまで上記のような行政上、刑事上の処理に関わる問題であり、民事的な処理には直接影響するものではありません。

 

そのため、たとえ警察が事故を物損で処理していたとしても、被害者が交通事故で負傷し、病院での治療を余儀なくされたような場合には、車の損傷などの物損についての損害だけでなく、当該負傷についての人身損害についても、加害者側に賠償金を求めることは可能です。

 

このような物的損害や人身損害としては、以下のような損害項目が考えられます。

 

 物的損害

項目

内容

車の修理費用

車などの傷を修理する際にかかった費用

代車費用

事故で車が利用できなくなり、代車を借りた際にかかった費用

車の評価損

事故で車の評価額が下がってしまった際、減額分について請求できる場合もある

休車損害

営業車(タクシーやバスなど)が破損した場合、事故がなければ獲得できたはずの収入分に生じた損害について請求できる

積荷損

トラックなどに載せていた荷物が事故により破損した場合、それに関する損害について請求できる(必ずしも全額分を請求できるわけではありません)

 

 人身損害

項目

内容

入通院慰謝料

入院や通院した際に請求できる慰謝料

後遺障害慰謝料

後遺障害が残った際に請求できる慰謝料

死亡慰謝料

被害者が死亡した際に請求できる慰謝料

治療費

怪我の治療にかかった費用

入院雑費

日用品雑貨費・通信費・文化費などにかかった費用

通院費用

通院のため公共交通機関を用いた際にかかった費用

付添看護費

介護や介助を要する場合に請求できる項目

将来の看護費

介護が必要な後遺症が残った際に請求できる項目

児童の学費等

事故で学習の遅れが生じたことでかかった授業料など

葬儀関係費

被害者に葬儀等のためにかかった費用

休業損害

事故によって休業して減収した際に請求できる項目

逸失利益

事故によって後遺障害が残った・死亡した際に請求できる項目

(後遺障害逸失利益・死亡逸失利益)

人身事故に切り替えるメリット

上記のように、物損事故で処理されていても、人身損害について加害者側に請求することは可能です。では、交通事故が物損事故ではなく、人身事故で処理されることについて、被害者側に何かしらメリットはあるのでしょうか。

 

結論として、当事者間が事故態様に対する認識で揉めていないのであれば、物損事故を敢えて人身事故に切り替えるメリットは少ないです。他方、このような認識の対立がある場合には、人身事故で処理することには一定のメリットがあります。

 

人身事故で処理される場合、警察は事故状況の詳細を明らかにする実況見分調書という書類を作成します。この書類には、事故時の信号機の色や道幅の広さ、天候や見通し状況といった現場の状況についての情報のほか、事故が起こるまでの車両の動き方や衝突の態様についての情報が記載されます。そのため、各当事者の事故態様に対する認識に対立がある場合、警察の作成した実況見分調書が事故状況を証明する有用な資料となり得ます。

 

物損事故の場合も警察は物損事故報告書という書類を作成しますが、この報告書は非常に簡素なものであり、車の損傷箇所や事故の発生場所などが簡単に記載される程度です。そのため、実況見分調書と比べると資料としての価値が乏しく、決定的な資料とはならないことが多いです。

 

事故態様がどのようなものであったのかは、事故当事者間の過失割合を判断する上で極めて重要です。そのため、当事者双方の事故認識に乖離があるような場合には、物損事故ではなく、人身事故として処理してもらうことも積極的に検討するべきでしょう。

物損事故から人身事故に切り替える方法

警察が当初は物損事故で処理した場合でも、被害者側が必要な資料を提供することで、人身事故に切り替えられることはあります。このような物損から人身に切り替える際の通常の流れをご紹介します。

①病院へ受診して診断書を受け取る

はじめに、病院へ受診して診断書を作成してもらいます。診断書は、事故により怪我を負っていることを証明するための資料として必須です。例えば、骨折や打撲であれば整形外科、鼻や耳に違和感があれば耳鼻咽喉科、頭を怪我した際は脳神経外科や神経内科などを受診して、診断書の作成を依頼しましょう。

 

なお、警察が、物損事故から人身事故に切り替えるかどうかを判断する上で重要となるのが、被害者が交通事故によって負傷したか否かです。病院を最初に受診した日が交通事故日から大きく離れてしまっている場合には、傷病と交通事故との因果関係が明確でないとして、警察から切替を拒否される可能性が高いです。

 

そのため、人身事故への切替を企図している場合、遅くとも交通事故から1週間以内には病院を受診しておくべきでしょう。

②事故現場を管轄する警察署に診断書を提出する

次に、警察の事故担当者に対し、病院に作成してもらった診断書を提出して人身事故への切替を依頼しましょう。この場合、診断書以外にも関係資料の提出を求められる可能性もありますが、その場合は警察の指示に従ってください。

 

事故を物損から人身に切り替えるかどうかは、最終的には警察が判断します。そのため、上記のように時間の経過などで、診断書によっても事故と傷病との因果関係が明確でない場合には、人身事故への切替を拒否されることもあります。この場合に、人身事故として対応してもらうことは基本的に難しいので、注意しましょう。

③人身事故として捜査が行われる

警察は物損事故から人身事故に切替が行われれば、人身事故として事件捜査を開始します。捜査の過程では、加害者、被害者から事故状況を聴取するための取り調べや当事者立ち会いの下で事故状況を明確にする実況見分などが行われます。

 

この捜査の過程で作成される実況見分調書が事故態様を立証するため有用な資料となることは上記のとおりです。そのため、立ち会いの際には、できるだけ詳細まで思い出して説明しましょう。

人身事故に切り替えられなかった場合の対応

上記のとおり、物損事故から人身事故への切替処理は警察の裁量的判断に委ねられますので、被害者側が要望しても、人身事故に切替処理が行われないことはあります。もっとも、警察が物損事故で処理していたとしても、被害者において交通事故と負傷との間の因果関係を的確に示すことができるのであれば、人身損害について加害者側に請求することは可能です。

 

もっとも、警察が人身事故への切替処理を拒否するようなケースでは、交通事故と負傷との間の因果関係に疑義があるとして、加害者側においても任意で人身損害の賠償金を支払うことに難色を示すことは十分あり得ます。このような場合には、交渉により賠償金が支払われる可能性は低いため、被害者は加害者を相手に民事訴訟を起こすことを検討せざるを得ないこともあると思われます。

 

このような場合は、法律知識のない素人では、満足に対応できない可能性も十分考えられますので、弁護士に依頼した方が安心でしょう。

交通事故に遭って弁護士に依頼する2つのメリット

事故の被害者は、弁護士に依頼することで以下に挙げたメリットが望めます。

人身損害の損害賠償請求をスムーズに行うことができる

物損事故で処理されても、交通事故と負傷との因果関係を的確に示すことができれば、加害者側に人身損害について賠償金を求めることは可能です。しかし、交通事故処理の知識や経験の乏しい素人が対応すると、この因果関係の証明が困難となってしまうこともあり得ます。

 

そのため、人身損害についても適正な賠償金を受け取りたいのであれば、全て素人判断で対応するのではなく、弁護士に相談・依頼して、的確な処理を行うことも検討するべきでしょう。

賠償金が増額する可能性がある

加害者に損害賠償請求するにあたっては「事故の過失割合は何対何か」「慰謝料はいくらが妥当か」など、さまざまな項目について交渉を重ねて決めていくことになります。弁護士に対応を任せることで被害者にとって利益となるように交渉を進めてもらうことが期待でき、結果、賠償金の増額につながることもあるでしょう。

 

一例として、以下は事故で通院した際の慰謝料相場を示したものですが、弁護士は弁護士基準という最も高額な計算基準を用いて請求処理を行うことが通常です。場合によっては、弁護士無しで請求した場合と比べて2倍近く増額する可能性もあります。

 

通院期間

自賠責基準(※1)

任意保険基準(推定)

弁護士基準(※2)

1ヶ月間

8万4,000円

12万6,000円

28(19)万円

2ヶ月間

16万8,000円

25万2,000円

52(36)万円

3ヶ月間

25万2,000円

37万8,000円

73(53)万円

4ヶ月間

33万6,000円

47万8,000円

90(67) 万円

5ヶ月間

42万円

56万8,000円

105(79) 万円

6ヶ月間

50万4,000円

64万2,000円

116(89) 万円

※1:1ヶ月あたりの通院日数を10日と仮定

※2:()内はむちうち等の他覚症状がない負傷の慰謝料

まとめ

民事的な賠償金を求める上で、人身事故と物損事故で大きな違いが生じることは基本的にはありません。しかし、事故態様の認識に乖離があるなどの事情がある場合は、人身事故で処理される方がメリットがある場合もあります。

 

なお、このような事故処理を進める上で分からないことや不安なことがある方は、まずは一度弁護士に相談するのがおすすめです。交通事故問題に注力する弁護士であれば、具体的に何をすればよいかアドバイスが望めるほか、損害賠償請求を依頼した場合には賠償金の増額なども期待できます。

 

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事は交通事故弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※交通事故弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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