行政書士に交通事故の相談をしてもいい?弁護士を頼るべきケースも解説

- 「交通事故に関する対応を行政書士に依頼することはできるのか」
- 「弁護士と行政書士はどう違うのか、自分のケースではどちらを選ぶべきなのか知りたい」
交通事故トラブルを抱えていて相談したくても、どこに依頼したらよいのかわからず悩んでいませんか。
交通事故トラブルでご自身の希望どおりの解決を目指すには、交通事故トラブルの内容に合った専門家を選ぶ必要があります。
書類に関する相談や作成依頼であれば行政書士でも問題ありませんが、行政書士にできない交通事故対応もある点に注意が必要です。
本記事では、相談先に悩んでいる方に向けて、行政書士が交通事故対応においてできることとできないこと、交通事故の対応を行政書士に依頼しても差し支えないケースを解説します。
行政書士と弁護士との費用面の違いなども解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
行政書士が交通事故対応においてできること
行政書士が交通事故対応においてできることは、主に以下の2点です。
- 後遺障害等級認定請求をはじめとした書類作成
- 交通事故の文書作成に関する相談
行政書士は書類作成のプロです。
交通事故対応においても書類を作成する機会は多いので、行政書士をうまく活用するとよいでしょう。
後遺障害等級認定請求をはじめとした書類作成
行政書士は、後遺障害等級認定請求をはじめとした書類作成に対応できます。
後遺障害等級とは、交通事故の後遺症を症状の重さによって1級~14級に分類したものです。
後遺障害等級に認定されると、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益などを請求できるようになるため、最終的に受け取れる賠償金が大幅に増加します。
しかし、適切な等級認定を受けるためには、症状を説明するための資料を揃えなければなりません。
その点、行政書士であれば等級認定のノウハウをもっているため、資料の作成・収集をスムーズに進めることができます。
ただし、行政書士が代理で申請することは認められておらず、対応範囲はあくまでも書類の作成・収集にとどまります。
交通事故の文書作成に関する相談 | 権限の範囲内に限る
交通事故の文書作成に関する相談を行政書士にすることは可能です。
行政書士は文書作成の権限を持ち、その範囲内での法律相談は弁護士法違反にはなりません。
例えば、以下のような書類に関することであれば、適切なアドバイスを受けることができるはずです。
- 交通事故の原因調査報告書
- 示談書
- 損害賠償請求時に送付する内容証明郵便
- 後遺障害等級認定の申請書や添付書類
- 自賠責保険に対する被害者請求で用いる書類
- 政府保証事業の申請手続きで使用する書類
行政書士に依頼すれば、費用を抑えつつ、交通事故対応をスムーズに進められる可能性があります。
権限が限定されている点に注意しながら、うまく活用することが大切です。
行政書士にできない交通事故対応
行政書士は、法的手続きや書類作成などの業務に対応できますが、業務範囲には制限があります。
ここでは、行政書士にできない交通事故対応を詳しく見ていきましょう。
示談交渉
行政書士は、交通事故の示談交渉に対応できません。
当事者の代理人として、示談交渉することを認められているのは、原則として弁護士と一定の条件下における司法書士だけです。
例えば、行政書士が示談書の作成を引き受けることは問題ありませんが、示談書をもとに交渉を進めることは法律に違反します。
そのため、当事者間で意見が折り合わず、示談交渉がうまくいかない場合などは、行政書士ではなく弁護士などに依頼したほうがよいでしょう。
訴訟の代理人
行政書士に対して、訴訟の代理人を依頼することはできません。
訴訟の代理人になることは、行政書士に与えられた権限の範囲外です。
訴訟にともなう裁判所とのやりとりや法廷での主張などに不安がある場合は、弁護士や司法書士への依頼を検討しましょう。
裁判では相手方も弁護士をつけてくることが予想されるうえ、法的な知識も求められるため、自分一人で対応するのは現実的ではありません。
弁護士などに依頼すれば、少しでも有利な条件で決着がつくように、訴訟への対応をサポートしてもらえるはずです。
調停・ADRの代理人
行政書士は、調停・ADRの代理人になることもできません。
- 調停:裁判官・調停委員の仲介のもとで話し合いによる解決を目指す手続き
- ADR:裁判によらず中立な立場の第三者が介入し、紛争の解決を目指す手続き
一方で弁護士に依頼すれば、申立書の作成から話し合い当日の同行まで一貫したサポートを受けられます。
なお、行政書士は代理人になるだけではなく、裁判所への提出書類を作成することも認められていません。
そのため、調停や訴訟において行政書士に依頼できることは、限定的であるといえるでしょう。
どんな手続きを選択すべきかのアドバイス
交通事故においてどのような手続きを選択すべきなのかのアドバイスは、行政書士の対応範囲外です。
交通事故では、示談が決裂した場合や後遺障害認定を受けられなかった場合などに、訴訟、調停、ADR、異議申立てなどの手続きを選択しなければなりません。
しかし、そのときの状況に合わせた適切な手続きを選択するには、十分な知識と経験が必要です。
代理権がなく、実践経験を持たない行政書士に依頼しても、納得のいくアドバイスを受けるのは難しいでしょう。
行政書士にできないことが多いのはなぜ?
行政書士は、主に行政手続きに関わる書類の作成や提出を代行する専門家です。
具体的な業務としては、各種許認可申請、契約書作成、遺言書作成のサポートなどが挙げられます。
行政書士は文書作成のプロですが、法律全般の専門家ではないため、対応できる範囲は限定的です。
また、行政書士には代理権が認められていないので、依頼者の代わりに交渉したり、訴訟を提起したりすることもできません。
一方で弁護士は、法律問題全般のエキスパートです。
文書作成はもちろん、依頼者の代理人として法律事務を進めることもできます。
このように対応範囲が広い弁護士と比較すると、行政書士にできることが少なく感じられるのは当然といえるかもしれません。
交通事故の対応を行政書士でなく弁護士へ依頼すべき理由
交通事故の対応は行政書士ではなく、弁護士に依頼することをおすすめします。
なぜなら、以下のような手続きは交通事故トラブルの解決にあたって重要な役割を果たしますが、行政書士では十分に対応できないためです。
- 相手方との示談交渉を進める
- 過失割合を適切に算定する
- 弁護士基準で慰謝料を算定し、賠償金の増額を図る
- 調停や訴訟などの裁判手続きに対応する
結果として、行政書士ではなく弁護士に依頼したほうが、交通事故トラブルを円滑に解決できるほか、賠償金の大幅な増額も期待できるでしょう。
唯一、費用面がネックになりますが、弁護士費用特約に加入していれば、最大300万円程度までは自己負担なしで弁護士に依頼できます。
家族の特約を利用できる場合もあるので、保険会社に問い合わせてみることをおすすめします。
交通事故の対応を行政書士に依頼しても差し支えないケース
交通事故の対応を行政書士に依頼しても差し支えないケースとしては、まず物損事故が挙げられます。
物損事故は損害賠償額が小さいことが多く、弁護士に依頼すると費用倒れになるおそれがあります。
そのため、請求書の作成などを行政書士に依頼して、費用負担を抑えながら、損害賠償請求を進めていくのが良いでしょう。
また、加害者が任意保険に加入していない場合も、行政書士に相談してみるのがよいかもしれません。
自賠責保険に提出する書類の作成であれば、行政書士の対応範囲内です。
慰謝料や過失割合について当事者間で合意できている場合も、行政書士に依頼することをおすすめします。
代理で交渉する必要がなく、依頼内容が示談書の作成などに限定されていれば、行政書士でも対応可能です。
一方で、加害者と争っている案件に関しては、行政書士ではなく弁護士に相談・依頼しましょう。
行政書士には、交渉や裁判手続きの代理権がありません。
円滑にトラブルを解決するには、交通事故問題が得意な弁護士に各種手続きを任せることが大切です。
依頼する士業の選定は、その専門性と業務範囲に基づいて慎重におこなう必要があります。
依頼の内容に合わせて適切な専門家を選ぶことで、より効率的かつ効果的な解決が目指せるでしょう。
初めての依頼で不安がある場合や、どの専門家に依頼すべきか迷った場合には、複数の専門家に相談してみるのもひとつの方法です。
交通事故の対応を依頼した場合の報酬は行政書士のほうが弁護士より安い?
交通事故の対応を依頼した場合の報酬は、行政書士のほうが弁護士よりも安い傾向にあります。
行政書士は弁護士に比べて対応範囲が限定されているため、その分、費用も安く抑えられているものと考えられます。
とはいえ、弁護士に示談交渉や訴訟などを依頼すれば、賠償金の大幅な増額も期待できるため、高額な弁護士費用を支払っても結果的に得をすることがあります。
また、交通事故トラブルに関しては、相談料・着手金が無料の完全成功報酬としている法律事務所も多く、手元にお金がなくても依頼できる点は、弁護士に依頼する大きなメリットといえるでしょう。
行政書士と弁護士のどちらに依頼するべきかは、そのときどきの状況によって異なるため、迷ったときは双方に相談してみることをおすすめします。
さいごに
本記事では、行政書士が交通事故対応においてできることとできないことのポイントを解説しました。
行政書士による交通事故対応の特徴は、主に以下のとおりです。
- 行政書士は書類作成業務が中心
- 物損事故で少額の請求、慰謝料や過失割合で概ね合意している場合、自賠責保険会社への請求手続きのみ依頼したい場合には、行政書士が適任
- 一般的に行政書士の費用は安い
行政書士は、直接的な示談交渉や訴訟の代理ができない点に注意してください。
弁護士と行政書士の違いを理解したうえで、依頼内容に合わせて適切な専門家を選ぶようにしましょう。
なお、弁護士ポータルサイト「ベンナビ交通事故」では、交通事故トラブルに関して無料相談ができる弁護士を多数掲載しています。
地域や相談内容から、自身の希望に合った弁護士を探せるのでぜひ活用してください。
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- 過去の解決事例を確認する
- 料金体系が明確である弁護士を選ぶ
- 交通事故問題が得意な弁護士から選ぶ
等です。
詳しくは以下の記事を読んで、正しい弁護士の選び方を理解した上で弁護士に相談しましょう。
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