交通事故や自転車事故など、事故はいつ起きてしまうか分からないものです。弁護士費用を用意できず泣き寝入りとなってしまうケースも少なくありません。
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交通事故に遭い。医師から頸椎捻挫(けいついねんざ)と診断され、その後治療を続けても改善が見込めないと判断された場合、『症状固定』を告げられます。
このケースでは、交通事故による医学的な判断と損害賠償の視点が混在するため、非常にデリケートな問題といえるでしょう。当人としても混乱してしまうような事態ですが、こういったときこそしっかりと先のことを考えて行動する必要があります。
症状固定は治療のいったんの終わりでもありますが、後遺障害の損害賠償手続きのはじまりでもあります。少しでも前向きな考え方ができるように、経緯からその後取るべき手段をまとめてみました。
交通事故でのむちうち症はよく聞く症状ですが、むちうち治療協会のデータによれば、実はそのうちの7~8割が頸椎捻挫に分類されています。
もともと、むちうち症自体は正しい医学用語ではなく、頸椎捻挫、頸部挫傷、外傷性頸部症候群という首の筋肉や骨などが損傷することを総括して呼んでいるのです。平たく言えばむちうち=頸椎捻挫ともいえます。
頸椎捻挫についてより特徴的な症状としては首の可動による痛みや痺れなどが挙げられ、場合によっては治療に長い期間がかかります。
頭を支える首に異常が生じ、そこから肩や背中の凝りなどにもつながるため、日常生活にも支障が出てしまうこともあります。
事故直後は重かった症状が、通院を繰り返すことで軽減されていき、ある一定のところまで回復すると横ばいとなります。
これを症状固定といい、頸椎捻挫における症状固定は、通院先の整形外科医など担当の医師が、これ以上の治療は改善の見込みがないと告げるような場合をイメージしてください。
治る見込みがないというとよいイメージが浮かばないかもしれませんが、症状固定は損害賠償請求の重要なタイミングです。
症状固定後の展開は、後述する後遺障害について重要な役割を持っているため、しっかりと今後について考えていきましょう。
交通事故で頸椎捻挫と診断され、通院後に症状固定と診断された時点で何らかの後遺症が生じているような場合、次に検討すべきは後遺障害等級の認定です。
症状固定時に何らかの後遺症(疼痛やしびれ等)があり、これが将来的にも改善しないということであれば、後遺障害として認められる可能性があります。
この場合、当該後遺障害についての負傷とは別に補償の対象となりますので、後遺症が後遺障害と認められるかどうかは、被害者にとっては重要と言えます。
頸椎捻挫から症状固定への期間は決まっていません。前提として、被害者を含め医師、加害者、保険会社は怪我が完治することを最優先として考えなければいけません。
そのため、医師以外の当人や第三者が症状固定だと判断したり、一定の期間が過ぎれば自動的に移行したりするような仕組みにはなっていません。
積極的な通院やリハビリを受けて、それでも治癒の見込みがないと担当医師が診断して初めて症状固定が決定されます。症状固定の診断をしてもらうためにも、まずは病院などで医師による適切な治療を受ける必要があります。
交通事故の頸椎捻挫で症状固定と言われるまでの期間は被害者の状況や症状により異なります。では、一般的にはどれくらいの期間がかかるのでしょうか。
行政などの客観的なデータはありませんが、ほとんどのケースでは3ヶ月~6ヶ月、特別な事情があり長くなるとしても1年程度で症状固定に至るといわれています。
頸椎捻挫の症状は、骨折のように診断画像に客観的に写されることはまれであり、被害者自身の痛みの原因もすぐにはわからないことから、客観的な証明が困難な場合がほとんどです。
それは、誰もが納得するような診断を行うことが難しいともいえるため、しばしばトラブルに発展することもありえます。
例えば、保険会社から症状固定を催促する連絡が被害者もしくは担当医師にかかってくるケースが挙げられます。双方ともに完治に向けて取り組んでいるのに、保険会社の都合で通院費のストップをかけてこられるのは心理的にもよいものではありません。
また、痛みが残っている状態でまだ通院を続けたいとしても、保険会社が症状固定と判断して保険対応を打ち切れば、今後の治療が困難になる可能性も否定できません。
このような状況になってしまったら、場合によっては裁判になる可能性もあります。症状固定についての判断は慎重に進めていきましょう。
頸椎捻挫で症状固定となったとき、その後の治療費の支払いは個人での負担となってしまいます。まだ十分に治療を施してもらえていないと感じている被害者にとっては納得できませんよね。
特に多い例として、交通事故による治療では健康保険が使えないという説明を窓口でされ、自由診療で高額な医療費を支払うことになる…というケースが挙げられます。
結論から言えば、交通事故による治療に健康保険を適用することは可能です。その際、本来なら加害者が支払うべき費用だという証明として、第三者行為による傷病届けを提出しましょう。健康保険組合が加害者に対し後日求償する仕組みとなっています。
少しでも負担を抑えたい場合には、窓口や保険会社の言い分のみを信じず、できることがないか調べてみることが大切ですね。
頸椎捻挫での症状固定後は、保険会社との示談交渉が待っています。
症状固定となった場合、まず被害者自身がこれ以上の治療を必要としているかどうかを考えてみましょう。
前述のとおり、治療を望んでいるにもかかわらず治療費の打ち切りにあってしまった場合、基本的に保険会社が治療費負担を再開する可能性は低いといえます。
しかし、自己負担で通院を続けた場合、請求する段階において未払い治療費という名目で損害賠償の1つとして計上できる可能性もあります。
症状固定後に伴う金銭的な負担は軽いものではありませんが、決して損をするだけではないので、諦めずに交渉することがポイントです。
交通事故に遭い、ただでさえ心身が弱っているときにこのような交渉はとても気が滅入るものです。
交渉に長けた弁護士に依頼することも検討してみましょう。
頸椎捻挫の症状固定後、通院を続けようと考えている場合、同じ治療先にすべきかどうか悩むところでしょう。
主治医との関係が良好であれば問題ありませんが、そうでない場合もあるため一概には言えませんね。
もし、転院したいと思ったら担当医師に紹介状を書いてもらいましょう。一緒に治療してきた仲なので、理由を説明すれば問題なく用意してくれるはずです。
もちろん、被害者には治療先を自由に選ぶ権利があるので、そういった手続きが煩わしいのであれば準備をせずに転院することは可能です。しかし、その場合治療の継続性や一貫性が否定される可能性があるので、できる限り紹介状は書いてもらいましょう。
頸椎捻挫による症状固定は担当医師が判断するのが一般的ですが、保険会社の判断で症状固定と評価されて対応が打ち切られることもあります。
その内容や状況が自分にとって適切であり、納得のいくものかどうかを真剣に考えましょう。
負傷に伴う痛みを我慢する必要はなく、治療を受けたいという気持ちは尊重されるべきです。しかし、ずるずると効果のない治療を続けても無意味であることもそのとおりです。したがって、ある程度の段階で治療を終了し、後遺障害として処理することを検討するのも大切です。治療期間や損害賠償請求で交渉がうまくいかないときは、弁護士に依頼することも検討してみましょう。
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