交通事故や自転車事故など、事故はいつ起きてしまうか分からないものです。弁護士費用を用意できず泣き寝入りとなってしまうケースも少なくありません。
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むちうちは、症状が遅れて発症しやすい怪我であるといわれています。
そもそも交通事故直後は興奮状態でアドレナリンが出ているため、怪我を負っていても痛みに気がつきにくく、事故から何日か経過してから「あれ?体が痛い…」と初めて負傷を自覚するケースは珍しくありません。
少しでもむちうちの自覚症状があるのであれば、すぐに病院で診察を受けましょう。そして、後から治療費面で損をしないためにも、損害賠償請求の手続きを進めた方がよいでしょう。
この記事では、むちうちの痛みが交通事故から時間差で感じられる理由や、事故後に発覚した場合の対処法についてくわしくご紹介します。もし事故後に首の痛みや肩こりなどの体調不良がある場合には、参考にしてみてください。
事故後に痛みが出た場合でも 慰謝料請求できる可能性があります! |
事故後に痛みが出た場合でも、病院などにしっかり通い診断書をもらうことで、後遺障害等級を獲得できる可能性があります。 ただし、事故との因果関係を説明する必要があるため、一人では難しいでしょう。 交通事故の問題解決が得意な弁護士のサポートを受けることで、後遺障害等級を獲得しやすくなり、慰謝料が増額する可能性があります 事故後に痛みが出たら我慢せずに、まずは最寄りの事務所へ無料相談してみましょう。 |
人によっては、交通事故から一ヶ月も経過してからむちうちの痛みが出てくることもあるようです。そもそも、なぜむちうちは交通事故に遭ったその瞬間ではなく、時間差で痛みや違和感が出てくるのでしょうか。まずはむちうちの症状について詳しく知っておきましょう。
むちうちについて解説してくれるのは… | |
氏名 :三輪考司(みわたかし) |
交通事故に遭った精神的ショックから、現実を受け入れることができず、「痛みはない」「怪我をしなくてよかった」と、自分の精神が痛みを否認してしまうことがあります。これは、交通事故という非日常的な出来事を「受け入れたくない」「拒絶したい」という人の防衛反応の一つと考えられています。
こうした防衛反応が出ているうちはむちうちの症状を感じにくいと言われていますが、事故から何日か経つと、防衛反応が落ち着き、今度は、むちうちで怪我したことに気づき始めます。
厳密には、むちうちの症状が時間差で出てくるわけではなく「気づきにくい」状態であるというわけです。
もちろんありますね。そして、多いように感じられます。事故当日は興奮状態にあり、痛みを感じる神経が麻痺しているため、直後は痛みや不調を感じない方は多いですね。
特徴や傾向として、明らかにコレだ!というようなものはありませんが、元々興奮しやすい方、事故時に興奮状態になられたり、いわゆるパニックのような状態になられた方などは感じにくいようです。
ですので、初めて事故に遭われた方や、社会に出てバリバリ働いているような方ではなく、どちらかというと社会的な対応に慣れていない専業主婦(主夫)の方などに多いように感じられます。
事故に慣れているというと語弊がありますが、何度も遭われている方などは、事故の状況も含めて、自分のカラダについても冷静に観察されているようで、痛いときは当日から痛いとおっしゃるので、後から相談を受けることは少ないように感じます。
専業主婦(主夫)の方は、社会的な対応に慣れておらず、事故の対応に関して、当日も含めて初期は特にどうしてよいのかわからなかったりなどで、あとから周囲のアドバイスなどを受け、相談をしてくることが多いように感じられます。
首が鞭(むち)のようにしなることによって、首に急激な過伸展、過屈曲運動が生じ、首や肩の痛み・凝り、頭痛などの症状が出ます。また、首周辺部分の症状のほか、手足・手足指のしびれ、めまい、吐き気、不眠、脱力感(だるさ)、嘔吐、食欲不振などの症状が出る場合もあります。
以下は、むちうちと呼ばれる負傷とその主な症状をまとめたものです。
むちうちの種類 |
主な症状 |
頸椎捻挫 |
首や肩の傷み、首の運動制限(前後左右に動かせる範囲が狭まるなど)、頭痛 |
バレ・リュー症候群 |
頭痛、後頭部、うなじ付近の痛み、めまい、耳鳴り、耳詰まり、食べ物が飲み込みにくくなる、息苦しさ、腕の痺れ、注意力の散漫 |
神経根症状型 |
首の痛み、腕の知覚異常、しびれ、脱力症状、顔の違和感、後頭部や顔面の痛み |
脊髄症状型 |
足のしびれ、頭痛、めまい、吐き気、集中力・思考力の低下、視力障害、尿や便が出にくくなる |
脳脊髄液減少症 |
頭痛、吐き気、めまい、耳鳴り、背中の痛み |
こうした自覚症状は、交通事故直後というよりかは交通事故から数日経って出始めるケースが多いのもむちうちの特徴です。交通事故後に上記のような体の変化が出始めた場合は、交通事故によるむちうちの症状であることを疑ってみる必要があります。
むちうちは首に強い衝撃が加わることにより、筋肉や神経が傷つき痛みを発症する怪我です。そのため、後方や側面から不意に強い衝撃を受ける追突事故では、むちうちを発症する可能性が特に高いといわれています。
もし追突事故の被害に遭った場合には、事故直後に痛みを感じなくても、念のため病院で検査を受けておいた方がよいでしょう。
人間の頭部は体重の10%前後くらいあり、常にこの重さを首だけで支えています。そのため、何も身構えてない状態で不意に衝撃を受けた場合、首に強い負荷がかかり、筋肉や神経を痛めてしまうことは十分にあり得ます。
軽い事故だったからといって、痛みの原因が事故ではないと決めつけてしまうのは危険です。交通事故被害に遭った場合は、事故の大小にかかわらず、病院で検査を受けておくことを強くおすすめします。
痛みの程度に限らず、むちうちの症状に気がついたらすみやかに整形外科を受診しましょう。放置しておくと重症化するリスクがあります。
また、交通事故と病院の受診の間隔が空けば空くほど、交通事故と怪我(怪我による損害)との因果関係を証明することが難しくなり、満足のいく賠償金を受け取ることが難しくなってしまいます。
病院の受付窓口では「交通事故で受診します。」といって、健康保険証を提示して(健康保険)を使って受診しましょう。
この場合、治療費(診察代など)は自己負担となりますが、後日、負担分を加害者に請求できる可能性がありますので、領収書は捨てずに必ず保管しておきます。
診察を終えたら医師に「診断書」を作成してもらいましょう。
交通事故には人身事故と物損事故という区分があります。
事故時にあなたが身体的な怪我を負っている場合は人身事故として扱われているはずですが、当時はむちうちの痛みや違和感などもなかったために怪我はないことを伝えているのであれば、物損事故として扱われているでしょう。
もしも物損事故として扱われている場合は、人身事故へ切り替えるのがおすすめです。
※物損事故のままだと示談金がもらえないというわけではありません。
物損事故から人身事故に切り替える方法(流れ)は以下のとおりです。
物損事故から人身事故へ切り替えるのは警察ですが、警察は医師の診断書を証拠に物損事故から人身事故へ切り替えを行います。
医師に診断書を作成してもらったら、交通事故の日に対応した警察官が所属する警察署(交通課)へ電話します。
人身事故へ切り変えてもらうには、警察官の事情聴取、実況見分等を受けなければなりませんから、電話せずにいきなり警察署へ行くと対応してもらえない可能性があります。
電話では、警察署へ行く日時を調整し、持参すべき物(「診断書」は必須。その他、「印鑑」、「身分証明書」など)を確認しましょう。その後、警察官から指定された日時に警察署へ行きます。
警察では警察官から事情聴取や実況見分などを受けます。警察官は、診断書や事情聴取、実況見分の結果などを踏まえて人身事故に切り替えるかどうかを判断します。
警察に人身事故に切り替えてもらった場合は「交通事故証明書」発行のための申請手続きを行います。交通事故証明書は、加害者の任意保険会社、自賠責保険会社に対して賠償金(保険金)を請求する際などに必要となる書類です。
他方で、人身事故に切り替えてもらえなかった場合は、保険会社から「人身事故証明書入手不能理由書」を取り寄せましょう。必要事項を記入し、保険会社に提出すれば保険会社から保険金の支払いを受けることができることがあります。
交通事故証明書の発行の申請は警察署ではなく、各都道府県の自動車安全運転センターに対して行います。
申請方法は以下の3通りです。
交通事故時に警察に事故の届出を行っていなければ交通事故証明書の発行を受けることができません。加害者が届出を行わない場合は、ご自身で届出を行いましょう。
事故現場で示談をしてしまった場合や、物損について示談が成立してしまった場合であっても、人身事故に切り替えて、治療費等を請求できる場合があります。
事故現場での示談や物損での示談では、人身損害(怪我に関する損害)について、請求を放棄する同意をしていることは少ないです。放棄していない場合は、示談に関係なく、怪我が事故との間に因果関係があると認められれば、人身損害について請求していくこともできます。また、事故現場で人身損害について請求を放棄しているように見えても争える場合がありますので、速やかに弁護士に相談しましょう。
そもそも交通事故現場で、加害者と金銭面に関する約束はしては絶対にしてはいけません。なぜなら、交通事故直後は損害の内容・程度、過失割合などが明らかになっておらず、正式な賠償金額が確定しておらず、仮に、正式な賠償金額よりも低い金額で約束した場合はあなたが損をする可能性があり、紛争の火種ともなりかねないからです。
万が一、加害者と金銭的な約束をしてしまった場合は、速やかに弁護士に相談しましょう。
また、物損の示談も安易にすべきではありません。物損の示談で決めた過失割合が、裁判所の認定に影響することはありませんが、保険会社は人身損害の過失割合も同様の割合にして対応をしてきます。そうすると、過失割合を訴訟外で争うことが難しくなることがあります。物損で金額が少なくても、過失割合に疑問があるときは、弁護士に相談するようにしてください。
交通事故被害でむちうちを負った場合に請求できる損害賠償を2つご紹介します。事故後に上記の手続きを踏めば、下記の損害賠償を請求することが可能です。
負傷をしたのに病院に行かないと、これらの損害賠償は支払われません。むちうちを負った場合は、必ず病院で治療を受けましょう。
交通事故が原因で負傷した場合には、治療を受ける際に発生した費用や、仕事を休んだときの収入に対する補償を損害賠償として請求できます。
損害賠償の種類は多岐に渡りますが、代表例としては、以下の項目が挙げられます。
請求項目 |
内容 |
治療費 |
応急手当費、診察料、入院料、投薬料、手術料等の費用 |
付添看護費 |
近親者が付き添った場合や付添人を雇った場合の費用 |
通院交通費 |
通院に要した交通費 |
諸雑費 |
入院中の諸雑費 |
休業損害 |
事故による傷害のために発生した収入の減少・損害 |
交通事故の慰謝料は、通院期間・日数と3種類の基準を組み合わせて算出されます。以下は1〜6ヶ月間の通院慰謝料の相場です。
<通院慰謝料の相場>
通院期間 |
自賠責基準※1 |
任意保険基準(推定) |
弁護士基準※2 |
1ヶ月間 |
8万6,000円 (8万4,000円) |
12万6,000円 |
28(19)万円 |
2ヶ月間 |
17万2,000円 (16万8,000円) |
25万2,000円 |
52(36)万円 |
3ヶ月間 |
25万8,000円 (25万2,000円) |
37万8,000円 |
73(53)万円 |
4ヶ月間 |
34万4,000円 (33万6,000円) |
47万8,000円 |
90(67) 万円 |
5ヶ月間 |
43万円 (42万円) |
56万8,000円 |
105(79) 万円 |
6ヶ月間 |
51万6,000円 (50万4,000円) |
64万2,000円 |
116(89) 万円 |
※1初診から治療終了日を21日とし実際の通入院は10日間だったと仮定し、2020年3月31日までは4,200円、2020年4月1日より後に発生した事故に関しては4,300円で計算しています。
※2 ()内はむちうち等の他覚症状がない負傷の慰謝料
大半の事故では、加害者側の保険会社が定めた内部基準で金額を提示してきますが、自賠責基準に近い金額が提示され、弁護士基準との差が大きいことが一般的です。最も慰謝料が高額である弁護士基準で請求するには、弁護士への依頼が有効です。
むちうちは外傷がなく、レントゲンでも異常を視覚化しにくい負傷です。そのため治療の必要性の判断は容易ではなく「もう治療は必要ないのでは?」と、加害者側から主張される可能性もあります。このような場合、揉め事に発展してしまうかもしれません。
そこで、むちうちについて適正な治療を受けるためのポイントを、3つご紹介します。治療を受ける際には、以下の3点を意識してみてください。
通院頻度が月1回と極端に少なかったり、予約をしていた日に通院をキャンセルしたりなど、通院を怠っていると「本当はもう治療を受ける必要はないのでは?」と判断されて、治療の終了を催促されてしまう恐れがあります。
交通事故の損害賠償請求において、通院実績は重要な判断要素です。通院頻度を積極的に増やした方がいいというわけではありませんが、最低でも、医師から指定された日の通院は絶対に怠らないようにしてください。
むちうちは、他者から症状がわかりにくいため、症状の判断には診察時の負傷者の主張が重視されます。そのため、診察を受ける度に痛みの箇所や症状が変わるような一貫性のない主張をしてしまうと、医師が正確な判断を下せません。その結果、医師からも負傷の有無を疑われるかもしれません。
ですから、診察を受ける前には自覚症状をしっかり把握して、医師に正確に伝えることを意識しましょう。
むちうちは症状が重い場合には、MRI画像に原因が映っていることがあります。そこで、むちうちの症状があるときは、MRI画像を撮影してもらうことが有用です。また、神経学検査を受けることで、検査結果によっては症状を証明する証拠として扱える場合があります。むちうちを加害者側から疑われた場合には、以下の検査を受けることを検討してみてください。
神経学検査は、担当医に相談すれば、受けることが可能です。
検査 |
内容 |
ジャクソンテスト |
患者の頭部を後ろに曲げて圧迫し痛みの有無を確認する検査 |
スパーリングテスト |
患者の頭部を痛みのある方向に曲げて反応を確認する検査 |
ショルダーデプレッションテスト |
患者の肩を押し上げて頭を逆側に倒すことで痛みの有無を確認する検査 |
事故直後は何ともなくても、何日か経過してから負傷が発覚するケースは珍しくありません。特にむちうちは時間差で痛みが出やすい怪我ですので、事故後に自覚症状がある場合には、すぐ病院で検査を受けましょう。
交通事故は病院での治療の有無によって、請求できる損害賠償の額は大きく変わります。事故から時間が経ち過ぎてむちうちが認められないと、損害賠償を請求し損なってしまう恐れがあるので、ご注意ください。
また、むちうちは他者から症状がわかりにくく、そのせいで揉め事に発展することも多々あります。ご自身での解決が難しい場合には、弁護士の法律相談を利用して解決策を確認してみましょう。
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