交通事故や自転車事故など、事故はいつ起きてしまうか分からないものです。弁護士費用を用意できず泣き寝入りとなってしまうケースも少なくありません。
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交通事故でけがをして仕事を休むことになった場合は、「休業損害」を請求することが可能な場合があります。
休業損害は、交通事故によるけがが原因で生じた減収分のことで、事故前の平均収入や休業日数に応じて支払われます。
しかし、休業損害を請求しようと考えている方のなかには「休業日数の数え方がわからない」「有給休暇や半休を取得した場合も休業日数に含まれる?」などの疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか?
そこで本記事では、休業損害を請求する場合の休業日数の数え方を職業別に解説します。
休業損害を計算する際に使われる基準とそれぞれの計算方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
休業日数の数え方は、職業によって異なります。
まずは、休業日数の数え方を給与所得者・専業主婦・個人事業主の3つのケースに分けて解説します。
会社員などの給与所得者の場合は、治療のために会社を休んだ日が休業日数となります。
後遺障害が残った場合は、治療を開始した日から症状固定した日まで、死亡事故の場合は治療を開始した日から死亡した日までに会社を休んだ日数が休業日数に含まれます。
ただし、自己判断で仕事を休んだ日は休業日数に含められない場合があるので注意しましょう。
休業日数にカウントされるのは、あくまで医師が「仕事を休むべきだ」と判断した日のみです。
けがが痛くて仕事に行けない場合は、必ず医師の指示を仰いでから休むようにしましょう。
専業主婦は、治療のために家事ができなかった日数が休業日数となります。
ただし、家事をしなかった全ての日が必ず休業日数に含まれるわけではありません。
休業日数の対象となるのは、症状の程度や治療の経過などを踏まえ、医師が「家事ができない」と判断した日のみであることが多いです。
自己判断で休んだ場合は、休業日数にカウントされないことがあるので注意しましょう。
個人事業主の場合は、給与所得者と同様に治療のために仕事を休んだ日数が休業日数としてカウントされます。
自己判断で仕事を休んだ場合は、休業日数に含まれない可能性があるので注意してください。
休業損害を計算する方法には、自賠責保険基準・任意保険基準・弁護士基準の3つがあります。
どの基準で計算するかによって休業損害額が大きく異なるので、違いをしっかりと理解しておきましょう。
ここでは、それぞれの基準の概要と計算方法を解説します。
自賠責保険基準とは、自賠責保険から支払われる金額を計算する基準であり、3つの基準のなかで最も低額です。
自賠責保険基準による休業損害は、以下の計算式で求められます。
休業損害=1日あたり6,100円×休業日数 |
上記のとおり、1日あたりの休業損害額は原則6,100円です。
ただし、休業損害証明書や源泉徴収票などから、事故前3ヵ月間の1日あたりの平均収入が6,100円を明らかに超えると判断された場合は、1日あたり最高で19,000円まで引き上げることもできます。
ただし、上限を引き上げるには収入を証明する書類が別途必要になるので注意しましょう。
任意保険基準は、加害者側の任意保険会社が使用する算定基準です。
各保険会社が独自に定めており、一般に公表されていないため、具体的な計算式を知ることはできません。
しかし、自賠責基準よりもやや高額になる傾向があります。
弁護士基準は、過去の裁判例を基に定められた基準で、3つの基準のなかで最も高額です。
弁護士基準による休業損害額は、以下の計算式で求められます。
休業損害=1日あたりの基礎収入額×休業日数 |
1日あたりの基礎収入とは、事故前3ヵ月間の1日あたりの平均収入のことで、以下のように求めます。
1日あたりの基礎収入額=事故前3ヵ月間の収入÷実稼働日数(実際に働いた日) |
上記の計算式のほか、事故前3ヵ月間の収入を、暦日数の90日で割る計算方法もあります。
しかし、基礎収入が不当に低くなってしまう可能性が高いため注意が必要です。
示談交渉の際、加害者側の保険会社は基礎収入額を「事故前3ヵ月の収入額÷90日」で計算して、休業損害額を提示してくることが多いです。
しかし、基礎収入額を90日で割って計算する方法では、土日祝日も休まず働くことが前提となっています。
これは、現実的な計算方法とはいえません。
また、90日で割ると基礎収入が安く計算されてしまう場合があります。
90日で割った場合と実稼働日数で割った場合で、金額にどのくらいの差が生じるのかを具体的な例で確認してみましょう。
(例) |
①実稼働日数で割った場合 |
②90日で割った場合 (150万円÷90日)×15日=250,000円 |
実稼働日数で割ったほうが、90日で割る場合に比べ約96,000円も高額であることがわかります。
弁護士基準を用いる際は、90日ではなく実稼働日数で割って計算したほうが利益になることがあります。
適切な額の休業損害を受け取るために、以下のポイントを押さえておきましょう。
それぞれ以下で詳しく解説します。
休業損害を計算する際は、治療のために仕事を休んだ日数をきちんと証明できるようにしておきましょう。
治療目的で休んだ日数がわからないと、休業損害を適切に受け取れない可能性があります。
給与所得者の場合は、勤務先に休業損害証明書の作成を依頼し、休業日数を明確に記載してもらいましょう。
個人事業主や専業主婦の場合は、休業損害証明書を作成できないので、医師の診断書などによって休業日数を立証する必要があります。
収入がない学生や失業者は、原則として休業損害が認められません。
ただし、以下の条件を満たす場合は認められる可能性があります。
たとえば、パート・アルバイトなどで継続的な収入を得ていた場合や、求職活動中だった場合などが該当します。
交通事故が原因で内定先への就職時期が遅れた場合は、以下の額を休業損害として請求できます。
休業損害=就職内定先での1日あたりの給与額×休業日数 |
内定先が決まっていたことを証明できるよう、内定通知書や内定証明書を用意しておきましょう。
まだ内定をもらっていない場合は、就職活動中の企業とのやりとりや応募状況がわかる資料などを用意し、就職活動をしていたことを証明する必要があります。
過去の勤務先との雇用契約書や、事故前までの職務経歴書などを用意して、事故当時に無職だった合理的な理由を説明できるようにしておくことも大切です。
弁護士に依頼すれば、適正な額の休業損害や慰謝料を受け取れる可能性が高くなります。
弁護士は、3つの算定基準のなかで最も高額な弁護士基準を用いて計算するため、休業損害や慰謝料の増額が期待できます。
また、加害者側の保険会社との交渉を代わりに対応してもらえるので、話し合いがスムーズかつ有利に進む可能性も高くなるでしょう。
少しでも多くの休業損害・慰謝料を受け取りたい場合は、一人で悩まず弁護士に相談・依頼することが大切です。
ここからは、休業損害の日数を計算する際によくある質問をまとめています。
気になることがあれば、ぜひ参考にしてください。
有給休暇を取得した日も休業日数に含まれます。
休業損害は、交通事故によるけがが原因で発生した減収分に対する補償なので、有給休暇を取得した場合は休業損害が認められないと思う方もいるでしょう。
しかし、有給休暇は本来、労働者が使い道を自由に決めて利用できるもので、交通事故がなければその有給休暇を利用することはなかったといえます。
また、給料が発生するものでもあるため、労働者にとっては財産的価値があるものともいえます。
交通事故が原因で有給休暇の取得を余儀なくされた場合、財産的な損害を被ったと考えられるので、休業日数に含めることができるのです。
半休・早退・遅刻をした場合、治療のために働けなかった時間分を休業日数に含めることが可能です。
たとえば、1日の所定労働時間が8時間で、半休により4時間働けなかった場合は、4時間÷8時間=0.5日分が休業日数に含まれます。
医師の指示で自宅療養した場合は、休業日数に含めることが可能です。
その日に通院していなくても、医師に「この日は自宅療養が必要な状況だった」ということを証明してもらえば、休業損害の対象となります。
一方、自己判断で自宅療養した場合は休業損害として認められない可能性があるので注意しましょう。
「通院日ではないけれど、けがが痛くて仕事に行けない」という場合は、医師に自宅療養の必要性を判断してもらってから休むようにしてください。
物損事故の場合、原則として休業損害は認められません。
物損事故とは、けがや死亡などの人的損害がなく、物だけが損害を受けた事故を指します。
治療が必要なほどのけがを負っていないため、休業損害は発生しないと考えられるのです。
しかし、物損事故によって仕事に必要な車や店舗が壊れてしまい、仕事を休まざるを得なかった場合は、休業損害(いわゆる休車損害)が認められる可能性があります。
休業損害の計算方法は以下のとおりです。
休業損害=(1日あたりの平均売上−1日あたりの必要経費)×休業日数 |
ただし、物損事故で休業損害が認められるのはかなり難しいといえます。
物損事故として届け出たあとにけがが発覚した場合は、休業損害を適切に受け取れるよう、速やかに人身事故に切り替えましょう。
休業損害の対象となるのは、治療のために仕事や家事を休んだ日です。
ただし、あくまで医師が「仕事を休む必要がある」と判断した日のみが対象なので、仕事を休んだ日が全て休業日数に含まれるとは限りません。
適切な額の休業損害を受け取るために、自己判断で仕事を休むことは避け、必ず医師の指示を仰ぎましょう。
少しでも多くの休業損害を請求するには、弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士に依頼すれば、弁護士基準を使って計算できるため、休業損害の増額が見込めます。
また、示談交渉がスムーズかつ有利に進み、納得できる結果につながる可能性も高くなるでしょう。
休業損害について少しでも不安があれば、ぜひ一度弁護士に相談してみてください。
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