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逸失利益とは?職業別・収入別の計算方法や計算例を解説

監修記事
逸失利益とは?職業別・収入別の計算方法や計算例を解説

逸失利益(いっしつりえき)とは、交通事故の加害者に請求できる損害項目(消極損害)のひとつです。

交通事故のあとに後遺障害が残って労働能力が低下したり、被害者が死亡して将来の就労が不可能になったりした場合に、本来獲得できたはずの収入分について請求できます。

逸失利益は、被害者の年齢・職業・収入額などの事案によって金額が大きく異なります

適正な金額がいくらになるのかあらかじめ知っておけば、相手方との示談交渉をスムーズに進められるでしょう。

本記事では、交通事故における逸失利益の概要や計算方法、逸失利益を増額させるためのポイントなどを解説します。

逸失利益について深く知りたい方は、参考にしてください。

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この記事に記載の情報は2024年11月25日時点のものです

交通事故における逸失利益とは

逸失利益とは、交通事故にあわなければ将来得られるはずだった収入の減少分に対する補償です。

事故で重大なけがや障害を負ってしまうと、これまでどおり働くことは難しくなります。

そのため、健康であれば働き続けて受け取れるはずの将来の収入が減ってしまうことになります。

そこで、その収入に対する減少分について一定の計算式にあてはめて計算し、損害として請求することが認められています。

この損害請求が、逸失利益です。

なお、逸失利益を請求できる方には、後遺障害を負った被害者本人のほか、一家の大黒柱を失ってしまった遺族、就職活動中の学生や子どもなども含まれます。

逸失利益の種類

逸失利益には、「後遺障害逸失利益」「死亡逸失利益」の2種類があります。

それぞれの種類についての詳細は、以下のとおりです。

後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益とは、事故により負傷し、通院・入院しても完治せずに一定の後遺障害が残り、労働能力の全部または一部が失われた場合に請求できる損害のことです。

ただし、請求するためには、適切な後遺障害等級の認定を受ける必要があります。

後遺障害等級は1級〜14級まであり、どの等級に認定されるかによって逸失利益の金額が変わります。

死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、死亡事故により家族を失って、生存していれば将来得られたであろう収入を得られなくなった場合に請求できる損害のことです。

残された遺族は、家族が亡くなることで将来得られるはずの収入を一切もらえなくなります。

そのため、収入の減少分を補償するために、亡くなった被害者の遺族が加害者に対して死亡逸失利益を請求します。

逸失利益は損害賠償金に含まれる項目のひとつ

交通事故では、さまざまな損害賠償が発生します。

あくまでも、逸失利益は損害賠償金に含まれる項目のひとつです。

たとえば、逸失利益以外にも損害賠償金の項目として、以下のようなものがあります。

  • 休業損害
  • 慰謝料
  • 治療関係費
  • 修理費
  • 介護費用
  • 葬儀費用 など

ここでは、特にわかりにくい逸失利益と休業損害や慰謝料との違いについて見ていきましょう。

逸失利益と休業損害の違い

逸失利益と休業損害はどちらも収入の減少に対する補償ですが、補償に対する考え方が異なります。

というのも、逸失利益が将来の収入の減少分に対する補償であるのに対して、休業損害は現在の収入の減少分に対する補償とされているからです。

このため、事故の直後から症状固定と診断されるまでの間に受け取れる補償が休業損害であり、症状固定以降に受け取る補償が逸失利益となっています。

逸失利益と慰謝料の違い

逸失利益と似たものとして慰謝料があります。

慰謝料とは、精神的な苦痛を負ったことに対する補償であり、被害者が負った強い不安やストレスを賠償金として表現したものになります。

両者は別の損害であるため、後遺障害等級が認定されたり、死亡事故で家族が亡くなったりした場合には、逸失利益と慰謝料をともに請求することができます。

逸失利益と休業損害は、それぞれ補償の目的が全く異なる損害賠償金なのです。

後遺障害逸失利益の計算方法

後遺障害逸失利益は、以下の計算式で算出することができます。

  • 基礎収入×後遺障害による労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

では、この計算方法における基礎収入や労働能力喪失率、労働能力喪失期間とはそれぞれどのようなものであるのか、詳細について解説します。

なお、2020年4月1日に改正民法(民法の一部を改正する法律の概要|法務省)が施行されたことにより、法定利率が年5%から年3%へと変更されました(この3%という数値も2023年4月1日以降に若干増減がされる可能性があります)。

それにともなって、2020年4月1日以降に発生した逸失利益については、算定に用いるライプニッツ係数が従前とは異なりますので、その点もあわせて説明します。

基礎収入

基礎収入は、原則として被害者が事故に遭う前の収入を基準としています。

基本的には前年度の年収額をベースとしますが、専業主婦(主夫)や学生などの未就労者の場合は、賃金センサスにおける平均年収により算定するのが通常です。

以下でそれぞれ解説します。

給与取得者の場合

給与所得者の場合は、原則として「事故に遭う前の前年度の給与年額(賞与含む)」が基準となります。

事業所得者の場合

いわゆる自営業者の場合は、「事故に遭う前の前年度の申告所得及び固定費」が基準となります。

専業主婦の場合

専業主婦は就労していませんが、無職という扱いではなく、家事労働者として通常の労働者と同様に逸失利益を請求できます。

この場合、厚生労働省が公表する賃金センサス上の「女性全年齢の平均賃金額」が基準となります。

学生・生徒・幼児等の場合

学生や幼児などの未就労者についても、将来的に就労可能で収入を得られることが見込まれる場合、賃金センサスなど統計的な数値を参考に、基礎収入を算定します。

労働能力喪失率

労働能力喪失率とは、後遺障害逸失利益の際に考慮する必要がある数値です。

後遺障害の等級ごとに労働能力の喪失率が設定されており、基本的には以下の方式にしたがって算定します。

なお、労働能力喪失率は第1級に近づくにつれて高く、第14級に近づくにつれて低くなります。

具体的な数値は、下表のとおりです。

後遺障害等級

労働能力喪失率

後遺障害等級

労働能力喪失率

第1級

100/100

第8級

45/100

第2級

100/100

第9級

35/100

第3級

100/100

第10級

27/100

第4級

92/100

第11級

20/100

第5級

79/100

第12級

14/100

第6級

67/100

第13級

9/100

第7級

56/100

第14級

5/100

ライプニッツ係数

逸失利益の算定にあたっては、将来得られる金銭を現在価値に引き直して計算しますので、将来的に発生する見込みのある中間利息を控除する必要があります(お金というものは時間の経過により一定の割合で増加していくものと考えられているためです)。

その際に用いられる数値が、ライプニッツ係数です。

民法改正前であれば、中間利息は年5%で発生するものと想定してライプニッツ係数を決定していました。

しかし、法改正で利息が年3%と変更されたことにともなって、適用されるライプニッツ係数も大きく変更されることになりました。

詳しくは、以下のとおりです。

2020年3月31日までに発生した逸失利益

労働能力喪失期間(年)

ライプニッツ係数

労働能力喪失期間(年)

ライプニッツ係数

1

0.9524

18

11.6896

2

1.8594

19

12.0853

3

2.7232

20

12.4622

4

3.546

21

12.8212

5

4.3295

22

13.163

6

5.0757

23

13.4886

7

5.7864

24

13.7986

8

6.4632

25

14.0939

9

7.1078

26

14.3752

10

7.7217

27

14.643

11

8.3064

28

14.8981

12

8.8633

29

15.1411

13

9.3936

30

15.3725

14

9.8986

31

15.5928

15

10.3797

32

15.8027

16

10.8378

33

16.0025

17

11.2741

34

16.1929

労働能力喪失期間(年)

ライプニッツ係数

労働能力喪失期間(年)

ライプニッツ係数

35

16.3742

52

18.4181

36

16.5469

53

18.4934

37

16.7113

54

18.5651

38

16.8679

55

18.6335

39

17.017

56

18.6985

40

17.1591

57

18.7605

41

17.2944

58

18.8195

42

17.4232

59

18.8758

43

17.5459

60

18.9293

44

17.6628

61

18.9803

45

17.7741

62

19.0288

46

17.8801

63

19.0751

47

17.981

64

19.1191

48

18.0772

65

19.1611

49

18.1687

66

19.201

50

18.2559

67

19.2391

51

18.339

 

 

2020年4月1日以降に発生した逸失利益

労働能力喪失期間(年)

ライプニッツ係数

労働能力喪失期間(年)

ライプニッツ係数

1

0.971

18

13.754

2

1.913

19

14.324

3

2.829

20

14.877

4

3.717

21

15.415

5

4.580

22

15.937

6

5.417

23

16.444

7

6.230

24

16.936

8

7.020

25

17.413

9

7.786

26

17.877

10

8.530

27

18.327

11

9.253

28

18.764

12

9.954

29

19.188

13

10.635

30

19.600

14

11.296

31

20.000

15

11.938

32

20.389

16

12.561

33

20.766

17

13.166

34

21.132

労働能力喪失期間(年)

ライプニッツ係数

労働能力喪失期間(年)

ライプニッツ係数

35

21.487

52

26.166

36

21.832

53

26.375

37

22.167

54

26.578

38

22.492

55

26.774

39

22.808

56

26.965

40

23.115

57

27.151

41

23.412

58

27.331

42

23.701

59

27.506

43

23.982

60

27.676

44

24.254

61

27.840

45

24.519

62

28.000

46

24.775

63

28.156

47

25.025

64

28.306

48

25.267

65

28.453

49

25.502

66

28.595

50

25.730

67

28.733

51

25.951

 

 

労働能力喪失期間の算出方法

労働能力喪失期間については、労働可能年数(67歳)から実年齢(実年齢が18歳未満であれば18歳)をマイナスして算出するのが、一般的です。

たとえば「事故時45歳で片足切断の後遺障害が残った」という場合、労働能力喪失期間は22年(67歳−45歳)ということになり、上記の表に当てはめると2020年3月31日以前のものであれば、13.163が適用されると考えられます。

もっとも、後遺障害の等級が低い場合、労働能力喪失期間が一定限度に制限されることもあります。

たとえば、後遺障害等級14級のむち打ち症については、将来的に軽快する可能性も考慮して労働能力喪失期間が5年とされることも珍しくありません

また、後遺障害等級12級の神経症状も同様で、10年程度に限定されることが多いです。

なお、被害者が67歳を超えている場合には、労働能力喪失期間は平均余命を利用して算出するのが一般的です。

このあたりは、事例毎・年齢別にそれぞれ判断する必要があります。

以下に労働能力喪失期間について特殊な事例を簡単に紹介します。

18歳未満の場合

被害者が18歳未満の場合には、(67歳―実年齢)に対応するライプニッツ係数から(18歳―実年齢)に対応するライプニッツ係数を引いた数値が適用されます。

たとえば、被害者が15歳の場合、以下のように計算します。

  • 52年(67歳-15歳)に対応するライプニッツ係数:18.4181
  • 3年(18歳-15歳)に対応するライプニッツ係数:2.7232 ⇒18.4181-2.7232=15.6949

※2020年3月31日以前の事故を想定。

67歳以上の高齢者の場合

被害者が67歳以上の場合には、平均余命年数の半分のライプニッツ係数を適用することが多いようです。

たとえば、被害者が73歳の男性という場合、以下のように算出します。

  • (81歳-73歳)÷2=4年⇒4年に対応するライプニッツ係数:3.546

※2020年3月31日以前の事故を想定。
※2020年に公表された平均寿命(男性81歳)に基づき算出。

後遺障害はあるが減収しなかった場合はどうなる?

被害者本人の状況によっては、交通事故によって後遺障害が残ったものの、収入には影響がなかったというケースもあり得ます。

この場合について、裁判所では「後遺障害がなければ得られたであろう収入から、後遺障害がある状態で実際に得られた収入を差し引いた金額が損害賠償の対象となる」としたうえで「減収が発生していない場合には、特段の事情が認められない限り、逸失利益を請求することはできない」としています。

このため、仮に交通事故の被害者が事故に起因する後遺症のために身体的機能の一部を喪失したこと自体が損害であると考えられるとしても、「被害者が従事する職業の性質からみて、現在または将来における収入の減少が認められない場合においては、特段の事情のない限り、労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害を認められない」とされています。

もっとも、後遺障害の影響は長期にわたるものであり、症状固定時に本人の努力や雇い主の工夫などによってたまたま収入減が起きていないだけというケースもあり得ますから、具体的な職業や勤め先、具体的な後遺障害の症状などを勘案して、ケースごとに考えていくほかないのが実情でもあります。

まずは、経験ある弁護士へよく相談しましょう。

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後遺障害逸失利益の計算例

では実際に、後遺障害逸失利益がいくらになるのか、それぞれのケース別の計算例を見ていきましょう。

40歳会社員・年収600万円・後遺障害等級10級のケース

このケースにおける後遺障害逸失利益は、以下の金額となります。

2020年3月31日までに発生した事故の場合

600万円×27%(0.27)×27年(14.643)=2,372万1,660円

2020年4月1日以降に発生した事故の場合

600万円×27%(0.27)×27年(18.327)=2,968万9740円

25歳会社員・年収300万円・後遺障害等級14級のケース

このケースにおける後遺障害逸失利益は、以下の金額となります。

※なお、後遺障害等級14級のむち打ちの場合は、労働能力喪失期間が5年程度とされることが多いです。

2020年3月31日までに発生した事故の場合

300万円×5%(0.05)×42年(17.4232)=261万3480円

2020年4月1日以降に発生した事故の場合

300万円×5%(0.05)×42年(23.701)=355万5150

35歳専業主婦(短大卒)・後遺障害等級12級のケース

このケースにおける後遺障害逸失利益は、以下の金額となります。

※なお、後遺障害等級12級の神経症状の場合は、労働能力喪失期間が10年程度とされることが多いです。

2020年3月31日までに発生した事故の場合

388万100円(賃金サンセス)×14%(0.14)×32年(15.8027)=858万4,248円

2020年4月1日以降に発生した事故の場合

388万100円(賃金サンセス)×14%(0.14)×32年(20.389)=1,107万5,590円

死亡逸失利益の計算方法

死亡逸失利益は、以下の計算式で算出することができます。

基礎収入×(1−生活費控除率)×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

基本的な考え方は、後遺障害逸失利益と同じです。

しかし、死亡逸失利益では被害者がすでに亡くなっているため、将来の生活費については考慮しません。

そのため、逸失利益から将来にかかる生活費を損害から控除するかたちで求めます。

生活費控除率

生活費控除率は、損害額の調整としての意味合いが強く、被害者の家庭状況などに応じて、以下の数値を採用することが多いようです。

  • 一家の支柱が死亡した場合:30~40%
  • 女子(主婦、独身、幼児を含む)が死亡した場合:30~45%
  • 男子(独身、幼児を含む)が死亡した場合:50%

これらの数値を、逸失利益から差し引いて計算します。

死亡逸失利益の計算例

では実際に、死亡逸失利益がいくらになるのか、それぞれのケース別の計算例を見ていきましょう。

50歳会社員(男性)・年収900万円・既婚・子ども一人のケース

このケースにおける死亡逸失利益は、以下の金額となります。

2020年3月31日までに発生した事故の場合

900万円×(-0.3)×17年(11.2741)=7,102万6,830円

2020年4月1日以降に発生した事故の場合

900万円×(-0.3)×17年(13.166)=8,294万5,800円

30歳会社員(男性)・年収400万円・独身のケース

このケースにおける死亡逸失利益は、以下の金額となります。

2020年3月31日までに発生した事故の場合

400万円×(-0.5)×37年(16.7113)=3,342万2,600円

2020年4月1日以降に発生した事故の場合

400万円×(1-0.5)×37年(22.167)=4,433万4,000円

25歳OL・年収300万円・独身のケース

このケースにおける死亡逸失利益は、以下の金額となります。

2020年3月31日までに発生した事故の場合

300万円×(1-0.3)×42年(17.4232)=3,658万8,720円

2020年4月1日以降に発生した事故の場合

300万円×(1-0.3)×42年(23.701)=4,977万2,100円

逸失利益を受け取るまでの流れ

逸失利益を受け取るまでの具体的な流れについて見ていきましょう。

通常、逸失利益は損害賠償金のひとつであるため、以下の流れに沿ってそのほかの賠償金と一緒に請求することになります。

  1. 交通事故の発生
  2. 入通院による治療の継続
  3. 症状固定
  4. 後遺障害等級の認定
  5. 逸失利益の算定
  6. 損害賠償金の請求
  7. 示談交渉の開始
  8. 調停・裁判
  9. 逸失利益の受け取り

示談交渉が成立したら、そのまま逸失利益を受け取ります。

一方、示談交渉がまとまらなかった場合には、必要に応じて調停や裁判に移り、解決を図ります。

逸失利益はもらえない場合がある

逸失利益は、次のような場合にもらえない可能性があるため、注意しましょう。

  • 後遺障害等級に認定されない
  • 後遺障害による収入の減少がない
  • 労働能力の喪失が認められない

逸失利益を請求するには、まず後遺障害等級の認定を受ける必要があります。

そのため、申請しても認定を受けられない場合には、逸失利益を請求できません。

また、後遺障害が残ったとしても収入の減少が見られない場合、特段の事情(勤務先の特別な配慮によって減収を免れているなど)がない限り、逸失利益は認められない可能性があります。

さらに、労働能力の喪失が認められない場合も逸失利益が認められません。

ただし、外貌醜状(顔や身体に残る目立つ傷や変形)など、関節の可動域制限のような明らかな労働能力喪失がないように思われる症状であっても、一定の職業についておられる方など、将来の仕事への支障が否定できないケースについては逸失利益が認められることがあります。

適切な逸失利益を受け取るためのポイント

交通事故の被害者には損害賠償請求権がありますが、相手方との対応次第で実際に賠償してもらえる金額は変動します。

不当な減額を防いで、適正な金額を受け取るためにも、以下のポイントをおさえておきましょう。

適切な後遺障害等級の認定を受ける

後遺障害逸失利益は、認定される後遺障害等級に応じて金額が大きく変わります。

この等級認定は、通常は加害者側の自賠責保険に申請しておこないます。

自賠責保険での審査は、書類審査のみであるため、後遺障害の存在を基礎づける必要かつ十分な資料を提出できるかどうかが、重要なポイントです。

また、申請方法にはほとんどの対応を相手保険会社に任せる事前認定と、全てを被害者自身が対応する被害者請求の2つの方法があります。

事前認定のほうが手間はかかりませんが、相手保険会社は必要最低限の資料しか提出しないため、等級認定に影響を与える可能性があります。

そのため、少しでも等級認定の確度を高めたい方は、被害者請求での申請を検討したほうが良いでしょう。

後遺障害と認定されれば別途慰謝料も請求可能

後遺症が後遺障害と認定されれば、後遺障害についての逸失利益だけでなく、慰謝料も別途請求できます。

この慰謝料についても、後遺障害逸失利益と同様に、等級に応じて金額が異なります。

等級

自賠責基準

任意保険基準(推定)

弁護士基準

第1級

1,100万円

1,600万円程度

2,800万円

第2級

958万円

1,300万円程度

2,370万円

第3級

829万円

1,100万円程度

1,990万円

第4級

712万円

900万円程度

1,670万円

第5級

599万円

750万円程度

1,400万円

第6級

498万円

600万円程度

1,180万円

第7級

409万円

500万円程度

1,000万円

第8級

324万円

400万円程度

830万円

第9級

245万円

300万円程度

690万円

第10級

187万円

200万円程度

550万円

第11級

135万円

150万円程度

420万円

第12級

93万円

100万円程度

290万円

第13級

57万円

60万円程度

180万円

第14級

32万円

40万円程度

110万円

このように、後遺障害に関する賠償金は後遺障害に認められるかどうか、また認められるとして、認定される等級が何級であるかによって、賠償額は変動します。

申請は慎重におこなうべきでしょう。

逸失利益の算定を適切におこなう

すでに述べたとおり、逸失利益はその種類に応じた計算式に基づいて算定します。

金額が正しく算出できないと、保険会社に提示された金額をそのまま鵜呑みにして、本来受け取れるはずの金額よりも大きく減額されてしまう場合があります。

そのため、示談交渉をする前に、自分が本来どの程度の金額を受け取れるのか知ることが、適正な逸失利益を受け取ることにつながります。

自身の状況に合わせて、逸失利益の金額を正確に算定するようにしましょう。

逸失利益の請求は交通事故に強い弁護士に相談する

弁護士は交通事故の被害者に対して、損害賠償請求のアドバイスやサポートをおこなってくれます。

そのため、何をすればよいかわからないことも多々あるかもしれませんが、まずは一度弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談・依頼する主なメリットには、以下のようなものがあります。

  • 相手方の提示額よりも損害賠償金が増額する可能性がある
  • 後遺障害認定の被害者請求を一任できる

なお、一括りに弁護士といっても、交通事故の事案を取り扱った経験がない弁護士もなかには存在します。

したがって、適切な後遺障害等級を取得するための対応方法や、示談交渉のノウハウなどを知らない場合があるのです。

当サイトベンナビ交通事故」では、交通事故に強い弁護士を多数掲載しています。

まずは一度利用してみて、逸失利益の請求について弁護士に相談してみましょう。

まとめ

逸失利益は、被害者の年齢・職業・後遺障害等級など、さまざまな要素をもとに金額が決められます。

後遺障害の内容・程度によっては、後遺障害と認められるかどうかによって数千万円を超える差額が生じることもあり得ます。

また、後遺障害が認められる場合でも、基礎収入をどう捉えるか、労働能力喪失期間をどう捉えるかで金額が大きく変わります。

そのため、事故で負傷して一定の後遺症が残った場合、後遺障害として認定を受けることを積極的に検討するべきですし、認定された場合の損害計算も慎重におこなうべきです。

また、後遺症が残るような事故は、被害者にとってはそれ自体が大きなストレスです。

弁護士に依頼すれば、必要な手続きは概ね全て弁護士が代行してくれますし、相手保険会社との交渉も任せることができます。

無料相談ができる法律事務所もありますので、まずは一度ご相談ください。

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  • 過去の解決事例を確認する
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詳しくは以下の記事を読んで、正しい弁護士の選び方を理解した上で弁護士に相談しましょう。

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この記事の監修者
鈴木 陽大 (青森県弁護士会)
八戸を拠点とし、地域の皆様が抱えている問題をよりよい形で解決することを目的に設立。医学的、専門的な知識を必要とする重度後遺障害の事案へ、多数の対応実績あり。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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