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公開日:2018.10.17

損害賠償とは|種類・請求方法とよくあるQ&Aまとめ

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事

損害賠償請求とは、契約違反や不法行為により生じた損害の補填を請求することです。例えば、「貸したお金が返済期限を過ぎても返ってこない」場合は、契約違反を理由として遅延利息の請求が可能ですし、「歩道で後ろから自転車に追突された」場合は不法行為として加害者に損害賠償請求が可能です。

 

ただ、一口に損害賠償と言っても、賠償金の種類は多岐に渡ります。損害賠償の適正な額を判断するために、何が損害賠償として請求できるかの知識は欠かせないでしょう。

 

この記事では、損害賠償の種類や請求方法などを解説します。また、その他にQ &Aもありますので、損害賠償の概要を確認したい方は、参考にしてみてください。

 

損害賠償は2種類に分類される

損害賠償を大きく分類すると、『債務不履行による損害賠償』『不法行為による損害賠償』の2種類に分けられます。まずは、両者の特徴を確認していきましょう。

 

債務不履行による損害賠償

債務不履行による損害賠償とは、契約違反によって生じた損害に対する補償です。例えば、売買契約や業務委託契約で契約通りの義務が果たされなかった場合がこれに該当します。

 

債務不履行に該当すること

履行遅延

債務の履行が遅れること(例:納品や返金が期限より遅れた)

履行不能

債務の履行ができなくなること(例:譲渡する約束をしていたものが壊れて引き渡せなくなった)

不完全履行

債務を履行したが内容が不完全でないこと(例:商品を納品したが中身が間違っていた)

 

上記の違反により損害が生じた場合には、債務者は債権者に対してその賠償金を請求することができます。なお、お金の返済が遅延した場合は、所定の利率に従って計算される遅延利息が発生します。そのため、貸金について返済をしない限り、賠償金(遅延利息)は発生し続けることになります。

 

不法行為による損害賠償

不法行為による損害賠償とは、故意または過失によって被害者の権利・利益を侵害した場合に生じた損害に対する賠償です。例えば、交通事故で被害者に発生した治療代や不倫した配偶者から受け取る慰謝料などがこれに該当します。

 

不法行為の例

  • 暴行
  • 誹謗中傷
  • 窃盗
  • 交通事故
  • 詐欺
  • 労災

 

なお、不法行為による損害賠償の請求には、加害者による違法な権利侵害行為が必要です。そのため、加害者に故意・過失があったとしても、違法な行為がなければ賠償請求はできません。

 

例えば、スポーツ中にルールに則った行動で相手を怪我させたとしても、これは正当行為であって違法な行為ではないため、加害者は不法行為者として損害賠償義務を負わないのが通常です。

 

損害賠償として請求できるもの

損害賠償として請求できるものは、大きく分類すると以下の3種類に分けられます。

 

損害賠償として請求できるもの

積極損害

実際に発生した損害に対して請求できる賠償金

消極損害

将来得られていたはずの収入に対して請求できる賠償金

精神的損害

精神的苦痛に対して請求できる賠償金

 

積極損害

積極損害とは、病院の治療代・交通費や壊れた物の修理代など、実際に発生した損害です。何かのトラブルによる被害が原因で被害者側で費用が発生した場合には、積極損害として請求することになります。

 

消極損害

消極損害とは、不法行為による被害に遭わなければ、本来は得られていたはずの利益です。怪我が原因で休業したり、後遺症で働けなくなったりした状況などで請求ができます。

 

消極損害の種類

休業損害

休業中に得られていたはずの収入に対する賠償金

逸失利益

後遺症を負ったまたは死亡した場合に、その被害がなければ将来得られていたはずの収入に対する賠償金

 

消極損害の金額は、被害者の属性(性別・年齢・収入等)を踏まえ、これに被害の程度を考慮して算出されるのが通常です。計算方法については以下の記事で解説していますので、詳細を確認したい方はそちらも併せてご覧ください。

 

消極損害の詳細記事

休業損害

交通事故の休業損害の計算手順|請求の条件と請求額を増やす唯一の方法

逸失利益

逸失利益を計算する方法と適正な慰謝料を獲得する為の手順

 

精神的損害

精神的損害とは、不法行為により生じた精神的苦痛のことです。積極損害や消極損害のように具体的に計算できるものではないですが、被害の内容によって大体の相場が定められています。適切な額を確認した場合は、弁護士の法律相談を利用してアドバイスをもらいましょう。

 

なお、『慰謝料=損害賠償』と誤解されがちですが、慰謝料はあくまで損害賠償の一部です。間違われやすいので、念のためご注意ください。

 

【詳細記事】損害賠償と慰謝料の違い|損害賠償請求の知識

 

損害賠償の請求方法

被害者の損害(賠償金の額)が確定したら、加害者に損害賠償の請求を行います。加害者が請求内容を確認して、納得すれば、法的な手続きを履践しなくても賠償金の支払いを受けることできます。

 

しかし、加害者が損害の有無や金額について争うのであれば、慎重な協議・譲歩が必要となりますし、それでも妥結しない場合は訴訟や民事調停などの法的手続を履践することになるでしょう。

 

損害賠償請求の例

  1. 手続き外(話合い)での請求
  2. 調停(裁判所での話し合い)での請求
  3. 裁判での請求

 

①手続外(話し合い)での請求

被害者が加害者に対して損害賠償を請求する場合、一次的には被害額を算定して、これを加害者に任意で支払うよう求めるのが通常です(このような任意の協議を行うにあたり、加害者に対して内容証明郵便(※)で損害賠償請求の通知を行うこともあります)。

 

※内容証明郵便

内容証明とは、郵便の配達形式の1つです。内容証明で差し出した書類は、相手に配送された日にちが記録に残ります。そのため、損害賠償請求をしたという事実を残すことができます。損害賠償請求の資料は相手に確実に届ける必要があるので、内容証明の郵便を利用するのが基本とされています。

 

 

内容証明郵便それ自体には、特段法的な強制力はありません。内容証明郵便は、もっぱら、被害者から加害者に請求した事実を明確にする目的で使用される事が多いです。

 

より穏便にことを済ませたい場合や、加害者とことさら敵対する意思がない場合は、内容証明郵便ではなく普通郵便で通知することも往々にしてあります。

 

この方法は、あくまで加害者による任意で支払いを促すものに過ぎません。通知を受けた加害者と協議した結果、妥結に至れば早期解決が期待できます。しかし、加害者が任意の支払いに応じないことも十分あり得ます。

 

そのような場合は、いくら協議を進めても支払は期待できませんので、これ以外の手段による解決を試みることになります。

 

②調停(裁判所での話し合い)での請求

調停とは、簡易裁判所または家庭裁判所で調停委員の仲介を受けながら、民事トラブルの解決を図る手続きです。中立的な立場の第三者を介して話し合いができるので、トラブルの当事者同士でやり取りをするよりも、解決可能性が高いといえるかもしれません。

 

ただし、民事調停もあくまで当事者間の話合いによる解決を目指す手続きであり、当事者は調停手続に応じる義務はありませんし、また何らかの合意を強制されることもありません。

 

そのため、どちらかが話し合いに応じる気がない場合には、民事調停を行っても解決には至りません。このような場合は、更に別の方法による解決を試みることになります。

 

調停の詳細記事

交通事故の民事調停

交通事故の民事調停を開く手順と流れを徹底解説

離婚調停

離婚調停にかかる費用と弁護士に依頼した際のメリットまとめ

 

③裁判での請求

損害賠償請求の最終手段です。訴訟では、原告が自身の請求を基礎づける事実を主張・立証し、裁判所は証拠に基づいて事実を認定し、原告・被告間の権利・法律関係を裁定します。被告となった相手方は、任意での支払いを拒んでいたとしても、裁判所が判決で損害賠償の支払いを命じた場合、これに従わなければいけません。

 

このように、裁判官に自身の主張を認めてもらうためには、的確な主張立証が必要となります。そのため、訴訟手続を履践する場合には、弁護士などによる専門家のサポートが必要な場合が多いと思われます。したがって、弁護士への相談を強くおすすめします。

 

なお、訴訟手続で判決を取得して、これが確定したとしても、被告がこれに従わないことはあり得ます。日本の司法制度上、判決に従うか従わないかは個人の自由であり、従わないことだけで何か罰を受けるということはありません。

 

そのため、このような場合は、判決に基づいて強制執行手続を履践する必要があります。強制執行手続は、法律に基づいて被告の財産を差し押さえ、そこから請求について満足を受ける手続です。このような強制執行手続についても、専門家によるサポートがなければ難しいことは多々あります。

 

この観点からも、訴訟手続を履践する場合には、弁護士などの専門家による適切なサポートを受けることが強く推奨されます。

 


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損害賠償の請求には時効がある

損害賠償の請求には時効があります。現時点の消滅時効は下表の現行法に基づいて判断すれば大丈夫です。しかし、債権の消滅時効は2017年6月に改正され、2020年4月以降に施行される予定です。

 

そのため、債権の種類や権利の発生時点によっては、現行法ではなく改正民法で消滅時効を判断する必要があります。債権の時効が完成しているのかどうかは非常に重要な問題であるため、詳細は弁護士等の専門家にご相談ください。

 

損害発生の原因

現行民法

改正民法

債務不履行

権利を行使することができるときから10年間

  • 権利を行使することができることを知ったときから5年間
  • 権利を行使することができるときから10年間

不法行為

  • 被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから3年間
  • 不法行為時から20年間
  • 被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから3年間(ただし、生命身体の侵害に基づく不法行為の場合には、損害及び加害者を知ったときから5年)
  • 不法行為時から20年間

 

 

なお、損害賠償請求権の時効は絶対的なものではなく、裁判を起こすことや一部でも支払いを受けることでリセットされます(時効が3年なら再び3年の時効期間が開始されます)

 

万が一、時効が迫っている場合には、弁護士に相談をして早めに対応した方がよいでしょう。時効が過ぎると損害賠償の請求は一切認められなくなるので注意してください。

 

損害賠償に関してよくあるQ&A

損害賠償の請求をやり直すことはできる?

両者が納得して損害賠償の額に合意したような場合は、合意した後で、「やっぱり少ないから増やしてほしい」という主張は原則として認められません

 

民事事件では上記の合意は、和解契約の成立の意味であり、当事者は合意内容に法的に拘束されます。したがって、一度損害賠償額等について明確に合意が成立すると、原則として後から一方的にその内容の変更はできないので注意してください。

 

加害者に損害賠償を支払う能力がない場合はどうなる?

日本の法制度上、いかに権利があっても、財産を持たざるものから無理やり回収することはできません。そのため、加害者が経済的に損害賠償金を用意できない場合、被害者であったとしても一括で満足を受けることはできません。

 

この場合は、分割での弁済をしてもらうなど支払期日、支払額、支払回数などを調整しながら、加害者が経済的に可能な範囲で回収する方法を検討する必要も出てくるかと思われます(もちろん、加害者に対して強制執行手続を履践することもありえますが、そもそも相手に財産がない場合、強制執行手続を履践しても意味がありません)。

 

このような場合は、弁護士に相談をして自身の状況に合った適切な対処法を確認しておきましょう。

 

加害者が未成年だった場合の請求先は?

未成年が事件を起こした場合であっても、一次的な責任はその未成年者にあります。相手が未成年であるからといって、親に当然に補償義務が生じるわけではありません。

 

しかし、その未成年者が幼年で責任能力がないような場合は、親に監督者責任として法的な賠償義務が生じることがあります。また、このような場合でなくても、親に必要な監督義務違反がある場合には、その親に固有の不法行為責任が生じることもあります。

 

専業主婦でも休業損害は請求できる?

専業主婦が何らかの事故に巻き込まれた場合、現実の収入がなくても家事労働者として休業損害の請求が可能なことがあります。このような場合は、1日あたりの休業損害額は賃金統計に基づく平均賃金で請求するのが通常です。計算方法の詳細は、上記の『消極損害』で紹介した関連リンクをご覧ください。

 

弁護士費用は損害賠償として請求できる?

弁護士費用は通常は依頼者個人が負担すべきものであり、当然には損害には含まれませんもっとも、不法行為に基づく損害賠償等について裁判を行い、裁判所が請求の全部または一部を認めた場合、弁護士費用相当額として認容された金額の1割前後を負担するよう命じることがあります。

 

弁護士費用の全額が相手に請求できるわけではありませんので、注意しましょう。

 

まとめ

損害賠償請求とは、契約違反や違法行為で生じた損害に対する補填を求めることです。物の修理代や怪我の治療費、休業中の補償や慰謝料など、その種類は多岐にわたります。

 

そして、損害賠償を請求するには『発生した損害』を明確に立証する必要があります。何か揉め事があった場合には、この記事をお役立ていただければ幸いです。また、個人だけでの解決が難しい場合には、弁護士に相談されることを強くおすすめします。

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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編集部

本記事は交通事故弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※交通事故弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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