


交通事故には決まった治療期間はありません。『治療の効果がなくなるまで』が補償の対象となる治療期間です。
相手の保険会社が、「治療期間は〇ヶ月とし、それ以降の治療費は負担しない」などと言ってきたとしても、必ずしも治療そのものをやめなければならないわけではありません(その理由は本文内で説明します)。そのような通告後の治療行為も、補償の対象となり得ることは実務上よくあります。
この記事では、『怪我ごとの治療期間の目安』、『治療費の支払いを打ち切られたらどうすればいいか』、『通院期間ごとの慰謝料の金額』、『困ったときに弁護士に相談するメリット』などをご紹介します。
治療費を負担する立場である任意保険会社が、治療期間の目安としている『DMK136』という法則があります。
それは一体どんなものなのでしょうか?
打撲の治療期間は1ヶ月を目安にしているようです。
一口に打撲といっても、治療がほぼ必要ないような軽傷から、患部が青くなり、ひどく腫れ上がるようなものまでさまざまです。
そのような打撲はせいぜい1ヶ月程度の治療で軽快すると考えられているようです。
むちうち(捻挫)の治療期間は、一応3ヶ月程度が目安にはなります。
むちうちは他覚症状(画像診断などで見てわかる症状)がないことが多く、治療の必要性について判断が難しいところがあります。
1ヶ月で完治することもあれば、半年通っても軽快しないということもあり得ます。
もっとも、大体のむちうち(捻挫)は、3ヶ月程度の治療期間で軽快すると考えられているようです。
骨折の治療期間は6ヶ月を目安にしているようです。
ただ、骨折の部位や程度、被害者の年齢によって治療に要する期間は変動し得るため、これはあくまで目安に過ぎないと思われます。
相手の保険会社は、『DMK136』に沿った治療期間を目安に、治療費の支払い打ち切りを打診してくる可能性があります(もちろん、すべての保険会社が治療費を打ち切ってくるわけではありません)。
相手の保険会社は、なぜ治療費の支払いを打ち切ろうとするのでしょうか?
1つ目の理由は、『支払う治療費を安くしたいから』です。
任意保険会社は、国が運営しているものでもなければ、ボランティア活動をしているわけでもありません。ごく普通の営利企業です。
出費をできる限り少なくしようとするのは、経営の観点から当然のことです。
2つ目の理由は『支払う慰謝料を安くしたいから』です。
後述しますが、加害者から被害者への『慰謝料』は、治療期間や治療回数に基づいて算定されるのが通常です。
被害者の治療が長引くと、慰謝料も高くなってしまうので、『通院の必要がない程度であれば、治療をやめてもらいたい』というのが任意保険会社の本音でしょう。
怪我の回復に時間がかかっているにもかかわらず、一方的に治療費の支払いを打ち切られてしまったときはどうしたらいいのでしょうか?
ここでは、取るべき行動を具体的に説明していきます。
治療費支払いの打ち切り方には、大きく分けて2種類あります。
①保険会社が直接病院に支払っていたが、それをやめてしまった
②まずは被害者自身が治療費を支払い、後から保険会社に請求していたが、「今後の治療費は負担できない」と言われた
どちらのパターンでも対処法は同じです。治療の効果がなくなるまで、まずは自腹で治療を続けるという方法があり得ます。
治療を受けたら必ず領収書を保管しておきましょう。そして、示談のタイミングでまとめて請求しましょう。
示談は、治療がすべて終わり、事故によって被害者が受けた損害が確定してから行われるものです。このとき、保険会社が治療費の支払いに応じようとしない場合は、弁護士に相談した方がいいかもしれません。
交通事故に対する慰謝料というのは、主に通院期間によって決まります。参考までに、いくらぐらいになるのか確認しましょう。
自賠責基準(週2回、月8回の通院) |
20万6,400円 |
弁護士基準(他覚症状のないむちうちの場合) |
53万円 |
弁護士基準 |
73万円 |
上記が、3ヶ月通院した場合の『通院慰謝料』の具体的な金額基準になります。
慰謝料の金額は治療期間以外の要素で変動することもあるので、目安としてお考えください。
「自賠責基準と弁護士基準ってなに? 随分金額が違うけど…」と感じたあなたは、下記の記事を読んでみてください。
自賠責基準(週2回、月8回の通院) |
41万2,800円 |
弁護士基準(他覚症状のないむちうちの場合) |
89万円 |
弁護士基準 |
116万円 |
上記の表が通院6ヶ月の場合のものになります。こちらも、金額は目安としてお考えください。
適正な補償を受けるためには『一定の頻度できちんと通院』することが重要です。
ただ、骨折の場合、骨が接合するまでは積極的な治療はされないことが多いため、通院回数は少なくなる(月1回程度など)のはやむを得ないでしょう。
他方、むちうちなどは、ある程度経過を見ながら治療をしていくのが通常であるため、週1~2回程度は病院または整骨院で治療をする方が無難です。例えば、むちうちを負った被害者がいくら「痛い」と言っていても、他覚所見がなく、かつ通院もあまりしていないようであれば、客観的に治療が必要とはいえない、と評価されてもやむを得ないかもしれません。
保険会社に治療費の支払いを打ち切られてしまったときは、弁護士に相談した方がいいのでしょうか? また、弁護士に相談するとどんなメリットがあるのでしょうか?
相手の保険会社は独自の判断で治療費の支払いを打ち切ることがあります。
それに対し、こちらが治療を続け、打ち切り後の治療費を請求した場合、トラブルになる可能性が高いでしょう。
「保険会社の人にそんなこと言いにくい」「治療の必要性についてどのように主張立証すればよいかわからない」という人は、弁護士に相談した方がいいでしょう。
あなたと保険会社の間で起こり得るトラブルは、弁護士が解決へと導いてくれます。
弁護士に依頼をしてしまえば、面倒な手続きなどは基本的には弁護士に任せることができます。
例えば、仕事中でも相手の保険会社から電話が来れば、その対応に追われるかもしれません。これは、被害者にとっては大きなストレスになります。
もし弁護士に依頼すれば、『自分が依頼した弁護士 対 相手の保険会社』でやりとりをすることになるので、余計なストレスを溜めずに済むはずです。
弁護士に示談交渉を依頼すると、慰謝料が増額する可能性があります。
前述の、『治療期間によって慰謝料の金額が変わる!』の部分で出てきた、『自賠責基準』と『弁護士基準』の金額差がまさにこれにあたります。
弁護士に依頼することで、弁護士基準で請求してもらうことが期待できます。
この記事の中で重要なポイントをまとめました。
交通事故において、加害者、もしくは加害者が加入している任意保険会社との間でトラブルになりそうな場合は、まずは弁護士に相談してみましょう。被害者の方にとって、決して損はないはずです。
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