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追突事故で示談するときの注意点|よくある4つのトラブルと解決方法

監修記事
追突事故で示談するときの注意点|よくある4つのトラブルと解決方法
  • 「追突事故に遭ったが、加害者側から示されている慰謝料の金額に納得できない」
  • 「お金を払ってでも、弁護士に依頼するべきかどうか悩んでいる」

追突事故では、示談交渉や後遺症等級認定がスムーズに進まず、問題が長期化・複雑化することも少なくありません。

実際、交通事故トラブルはさまざまな法律が関係しており、過去の事例なども重要になってくるため、自力で円満解決を目指すのは困難です。

できる限り早い段階で弁護士に相談することが、問題解決の近道といえるでしょう。

本記事では、追突事故を弁護士に相談するメリットを解説します。

実際に弁護士に依頼したことで賠償金を増額できた事例なども紹介するので、ぜひ最後まで目を通してみてください。

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目次

追突事故に遭ったときに弁護士へ相談する3つのメリット

まずは、追突事故に遭ったときに弁護士へ相談する3つのメリットを解説します。

1.相手方との交渉をすべて任せられる

追突事故に遭った際に弁護士へ相談するメリットのひとつは、相手方との交渉をすべて任せられる点です。

相手方の保険会社と直接交渉しようとすると、相場より低い示談金を提示されることがあります。

反論しても、それらしい理由をつけて、受け入れてもらえない可能性もあるでしょう。

その点、弁護士に依頼すれば、交通事故に関する法律の知識や過去の事例などをもとに、依頼者にとって最も有利な内容で示談を成立できるように尽力してくれます。

また、交渉のストレスから解放されれば、治療に専念できるようになるでしょう。

一度成立した示談内容をあとからくつがえすのは難しいので、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが大切です。

2.適切な額の賠償金を請求できる

追突事故に遭った際に弁護士へ相談すれば、適切な額の賠償金を請求することが可能です。

たとえば、交通事故の慰謝料の算定基準には、自賠責基準・任意保険基準・裁判基準の3種類があり、弁護士が用いる裁判基準が最も高額になるとされています。

弁護士に依頼することで、数十万円~数百万円単位で増額するケースも少なくありません。

加害者の任意保険会社から提示された慰謝料額に納得できない場合には、一度相談してみることをおすすめします。

3.後遺障害等級認定を受けやすい

後遺障害等級認定を受けやすい点も、追突事故を弁護士に依頼するメリットといえるでしょう。

後遺障害等級認定とは、交通事故によるけがで後遺症が残っていることを認めてもらう手続きです。

障害の程度に応じて第1級から第14級まで分類されており、認定されると後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求できるようになるので、被害者が受け取れる賠償金額が大きく変わります。

後遺障害等級認定の方法は、加害者の任意保険会社に任せる「事前認定」と自身で加害者の自賠責保険会社に申請する「被害者請求」の2種類です。

認定率を少しでも上げたいのであれば、追加書類を添付できる被害者請求が望ましいといえるでしょう。

被害者請求は書類の収集や申請手続きに手間と時間がかかりますが、弁護士に依頼すれば全て一任できます。

審査結果に納得できない場合には、異議申し立てのサポートもおこなってくれるので、適切な後遺障害等級認定を受けられる可能性が高くなります。

追突事故に遭ったときに弁護士へ相談する2つのデメリット

続いて、追突事故に遭ったときに弁護士へ相談する2つのデメリットを解説します。

メリットだけでなくデメリットにも目を向けたうえで、実際に依頼するかどうかを検討するようにしましょう。

1.問題解決が長引くこともある

追突事故に遭った際に弁護士へ相談するデメリットのひとつとして、問題解決が長引きやすい点が挙げられます。

弁護士は依頼者にとって少しでも有利な結果が得られるように、証拠収集や交渉を粘り強くおこなうためです。

たとえば、加害者の保険会社から提示された示談金をそのまま受け取れば、金銭的に損する可能性は高いものの、トラブル自体はすぐに解決できるでしょう。

しかし、弁護士に依頼している場合は金額を引き上げるために再交渉したり、ときには訴訟を起こしたりすることもあります。

そのため、弁護士に依頼する際には、どのくらいの期間で解決したいのかをあらかじめ伝え、リミットがきたときの落としどころを話し合っておくことが大切です。

2.費用がかかる

弁護士に相談・依頼する場合は、弁護士費用がかかってしまいます。

詳しくは後述しますが、少なくとも数十万円以上の支払いが必要になるケースがほとんどです。

そのため、そもそも弁護士に頼るべき案件なのかどうかは、慎重に見極めなければなりません。

ただし、交通事故に関しては、相談料や着手金が無料で、完全報酬制をとっている法律事務所も少なくありません。

加害者から損害賠償を獲得できれば、実質的に費用負担なしで弁護士に依頼できる可能性もあるので、まずは一度、費用面を含めて相談してみることが大切です。

追突事故の問題解決を弁護士に相談・依頼した場合の費用相場

追突事故の問題解決を弁護士に相談・依頼した場合の費用相場は、以下の表のとおりです。

ただし、料金体系は法律事務所によって大きく異なるため、あくまでも目安のひとつにしてください。

項目

金額

相談料

5,000円~1万円/30分

着手金

経済的利益の額が

 ・300万円以下:経済的利益の8%

 ・300万円を超え3,000万円以下:5%+9万円

 ・3,000万円を超え3億円以下:3%+69万円

 ・3億円を超える:2%+369万円

報酬金

経済的利益の額が

 ・300万円以下:経済的利益の16%

 ・300万円を超え3,000万円以下:10%+18万円

 ・3,000万円を超え3億円以下:6%+138万円

 ・3億円を超える:4%+738万円

実費

取り扱う事件の内容によって異なる

日当

3万円~5万円/半日、5万円~10万円/1日

交通事故のトラブルに関しては、相談料を無料にしている法律事務所も多く見られます。

また、着手金なしの完全成功報酬型で請け負っている法律事務所もあり、その場合は、最低料金10万円~20万円を設定しているケースが一般的です。

とはいえ、依頼内容によっても弁護士費用は変動するので、まずは相談してみて、見積もりをもらうようにしてください。

そのうえで、複数の法律事務所を比較し、どこに依頼するかを判断するようにしましょう。

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弁護士にサポートを依頼するべきタイミング

弁護士にサポートを依頼するタイミングとしては、初診後すぐがベストといえるでしょう。

早い段階で弁護士を味方につけていれば、問題をスムーズに解決できる可能性が高くなります。

その後は、以下のような状況に置かれた場合に、弁護士への依頼を検討してみてください。

  • 治療が終了し、示談金を算出するとき
  • 保険会社から示された慰謝料に納得できないとき
  • 後遺症が残り、後遺障害等級認定の申請をおこなうとき
  • 保険会社から治療費の打ち切りを打診されたとき

一方で、すでに示談が成立している場合や損害賠償請求の時効を迎えている場合などは、弁護士に依頼しても手遅れになっている可能性が高いといえます。

追突事故の被害者になった場合に受け取れる損害賠償の主な種類

追突事故の被害者になった場合には、損害賠償を受け取ることができます。

ここでは、加害者側に請求できる可能性がある損害賠償の種類を詳しくみていきましょう。

入通院慰謝料|入通院を強いられたことによる精神的苦痛への補償

入通院慰謝料とは、交通事故でけがを負い、入通院を強いられたことによる精神的苦痛への補償です。

基本的には治療開始から症状固定までの期間に応じて、適正な金額が算定されます。

たとえば、通院期間が1ヵ月~6ヵ月だった場合、入通院慰謝料の相場は以下のとおりです。

通院期間

自賠責基準

任意保険基準

(推定)

弁護士基準

1ヵ月間

8万6,000円

12万6,000円

28万円

2ヵ月間

17万2,000円

25万2,000円

52万円

3ヵ月間

25万8,000円

37万8,000円

73万円

4ヵ月間

34万4,000円

47万8,000円

90万円

5ヵ月間

43万円

56万8,000円

105万円

6ヵ月間

51万6,000円

64万2,000円

116万円

後遺障害慰謝料|後遺症が残ったことによる精神的苦痛への補償

後遺障害慰謝料とは、交通事故が原因で後遺症が残ったことによる精神的苦痛への補償です。

基本的には、後遺障害等級認定を受けた被害者に対して、等級に応じた金額が支払われます。

各等級の相場は、以下のとおりです。

等級

自賠責基準

任意保険基準

(推定)

弁護士基準

第1級

1,150万円

1,600万円

2,800万円

第2級

998万円

1,300万円

2,370万円

第3級

861万円

1,100万円

1,990万円

第4級

737万円

900万円

1,670万円

第5級

618万円

750万円

1,400万円

第6級

512万円

600万円

1,180万円

第7級

419万円

500万円

1,000万円

第8級

331万円

400万円

830万円

第9級

249万円

300万円

690万円

第10級

190万円

200万円

550万円

第11級

136万円

150万円

420万円

第12級

94万円

100万円

290万円

第13級

57万円

60万円

180万円

第14級

32万円

40万円

110万円

休業損害|事故が原因で仕事を休んだ場合の補償

休業損害とは、事故が原因で治療が必要になり、仕事を休んだことによって生じた損害のことです。

基本的には過去の収入をもとに「休業日数×日額」で賠償額を算定します。

なお、専業主婦(主夫)など収入がない方も、賃金センサスに基づく平均的な収入額を基準として賠償を受けられる場合があります 。

逸失利益|事故を原因とした将来的な減収に対する補償

逸失利益とは、事故を原因とした将来的な減収分のことを指します。

たとえば、交通事故で後遺症が残った場合、これまでと同じ仕事を続けられなくなり、本来得られるはずだった収入がなくなってしまうこともあるでしょう。

そのため、失われた収入分に関しては、加害者側から金銭的な補償を受けられます

逸失利益は、過去の収入をもとに適正額を算出するケースが一般的です。

休業損害と同様、専業主婦(主夫)であっても、賃金センサスの平均賃金などをもとにした補償を受けることができます。

治療費|入通院に要した費用の補償

治療費とは、入通院に要した費用のことです。

たとえば、診察料・処方箋料・投薬費用などを加害者側に請求することができます。

ただし、ヨガやヒーリングなど、民間療法に要した費用は補償外となるケースが多いので注意してください。

また、治療期間が長引くと、保険会社から治療費の打ち切りを打診されることがあります。

不当に治療を続けるのは避けるべきですが、正当な理由があるのであれば、弁護士に相談したうえで適切な対応をとることが大切です。

追突事故でよくあるトラブル事例

追突事故では、加害者との示談がこじれるケースが多々あります。

ここからは、追突事故でよくあるトラブル事例を4つ紹介します。

1.むちうちの後遺症を証明できない

追突事故でよくあるトラブル事例のひとつは、むちうちの後遺症を証明できないことです。

追突事故で後ろから急激に強い力で首の骨を圧迫されると、末梢神経が損傷してしまいます。

その結果、肩こりや背中のこり、しびれなどの症状が出るのがむちうち症です。

むちうち症になった場合、MRIなどの画像撮影をしても他覚的所見が得られないことが多く、患者の自覚症状でしか確認できません。

そのため、保険会社から症状を疑われたり、交通事故との因果関係を否定されたりして、示談交渉でもめてしまうことがあります。

しかし、むちうちの症状を自覚しているのであれば、治療を続け、しっかりと補償を受け取るべきです。

仮に治療費の打ち切りを打診された場合などは、速やかに弁護士へ相談してください。

2.過失割合が10対0の場合は自分で示談交渉をしなければならない

追突事故の場合、過失割合が加害者と被害者とで10対0になるケースも少なくありません。

この場合、被害者の対人対物賠償責任保険が適用されず、保険会社に示談代行サービスを利用できないので、被害者本人が示談を進めなければなりません。

そうなると、加害者の保険会社からいろいろなことを言われて被害者が納得できず、トラブルに発展するケースがあります。

とはいえ、保険会社は交渉のプロでもあるので、素人が対等に示談交渉を進めるのは困難です。

そのため、示談がスムーズに進まない場合には、一度弁護士に相談しアドバイスを受けるようにしましょう。

3.物損事故として届け出たあとに痛みがでてくる

追突事故では、一度物損事故として警察に届け出たものの、あとから痛みが出てくるケースも少なくありません。

この場合、人身事故への切り替えを求めることになります。

加害者側からすると物損事故と人身事故ではその後の処遇が大きく変わるため、反発されるおそれがあります。

しかし、人身事故に切り替えなければ、被害者として入手できる資料が不十分になるなどの理由から、十分な慰謝料や治療費などの損害賠償を受けられないおそれがあります。

交通事故が発生してから比較的短期(10日程度)であれば、人身事故への切り替えも認められるはずなので、実態に応じた対応をとることが大切です。

4.けがが治る前に治療費の支払いを打ち切られる

追突事故でよくあるトラブルのひとつが、けがが治る前に治療費の支払いを打ち切られるパターンです。

追突事故でむちうちになった場合、治療期間が長期化することは決して珍しくありません。

しかし、保険会社からすると治療費の支払いをできるだけ早く終わらせたいので、打ち切りを打診してくることがあります。

そして、治療を継続したい被害者と治療費を打ち切りたい保険会社との間で、トラブルになるケースがあるのです。

とはいえ、けがが完治するまでは治療を継続するべきです。

あとから交渉や民事訴訟で治療費を請求することもできるので、主治医から治療の継続をすすめられているのであれば、打ち切り後も治療は続けましょう。

弁護士介入による追突事故の賠償金増額事例

以下で、弁護士が示談交渉に介入したことによって追突事故の賠償金が増額した例を3つ紹介します。

事例1.後遺障害14級が認められ221万円増額

被害者は信号待ちをしていたところ、後ろから衝突され、むちうち症になりました。

保険会社は90万円での示談を提案してきましたが、弁護士に相談して後遺障害等級認定の申請をすると14級9号の認定を受けることができ、最終的に311万円の賠償金を獲得しました。

被害者は弁護士費用特約を利用したので弁護士費用を支払う必要がなく、311万円をそのまま受け取ることができました。

事例2.弁護士基準での請求により950万円増額

被害者は交差で追突され、半年以上通院しましたが後遺障害が残り、12級13号の認定を受けました。

保険会社は250万円の示談金の提示をしてきましたが、被害者は疑問を感じて弁護士に相談しました。

弁護士が改めて適正な金額を算出して再交渉したところ、既払金を差し引いて1,200万円の賠償金を支払ってもらえました。

事例3.死亡事故で賠償金6,000万円獲得

事故当時80歳であった被害者はバイクを運転中、自動車に追突されて転倒しました。

その結果、高次脳機能障害等の傷害を負い、後遺障害1級の認定を受けました。

そして、弁護士が保険会社と示談を進めている最中、被害者は病気によって死亡してしまったため、病気と交通事故の間の因果関係なども問題となりました。

最終的に弁護士が、因果関係のあるケースとないケースとでそれぞれ損害額を算定し、より高い金額を請求することで、治療費なども含め、6,000万円を超える賠償金を獲得できました。

まとめ

追突事故に遭ったとき、たとえ被害者の側に過失がなくても示談交渉でトラブルになることはあります。

困ったときにはすぐに弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けましょう。

弁護士に示談交渉を任せると、大幅に賠償金がアップするケースも多いです。

まずは一度増額の見込みや弁護士費用について、見積もりを出してもらうのが良いでしょう。

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この記事の監修者
井村 剛 (金沢弁護士会)
一度相手方との間で示談が成立してしまうと、後から和解内容を覆すことは極めて困難となってしまうため、交通事故の被害に遭われたら、できる限り早い段階で弁護士にご相談ください。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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