交通事故や自転車事故など、事故はいつ起きてしまうか分からないものです。弁護士費用を用意できず泣き寝入りとなってしまうケースも少なくありません。
ベンナビ弁護士保険は、弁護士依頼で発生する着手金を補償する保険です。
交通事故だけでなく、自転車事故、労働問題、離婚、相続トラブルなど幅広い法的トラブルで利用することができます。
弁護士保険で法律トラブルに備える
急に自身が交通事故の被害者となると、パニックになって冷静に判断することは難しいかもしれません。
しかし、「被害者なのだから、何もする必要はない」と考えていると、あらゆる面で大きく損をする恐れがあります。
被害者が適正な補償を受けるためには、自身に生じた損害の内容を明らかにしたうえで、その賠償を求めるなど、積極的かつ主体的な活動が必要です。
このような積極的で主体的な対応が、被害者が交通事故後に泣きを見ないようにする、一番の解決法なのです。
この記事では、交通事故の被害者となってしまった場合の解決までの流れ、そして被害者が損をしないための方法を解説します。
事故発生から解決までの流れを解説します。
おおかな流れは下図のとおりです。
※印の箇所は弁護士に相談すべきポイントです
事故が発生した場合に考えられる問題は以下のとおりです。
交通事故後、示談が成立するまでの期間は、怪我の状態や症状固定、等級認定などによって異なりますので、一概にどのくらいとは断言できません。
症状固定とは、投薬やリハビリで一時的に症状の回復がみられても時間経過とともにもとに戻ってしまうなど、治癒の経過が平行線となっている、これ以上治療を続けても今以上に改善が望めない状態のことです。
むちうちの場合、一般的には1~3か月で症状は改善するとされ、治癒の目安は最大で6か月程度ともいわれていますので、示談成立までは時間がかかることが考えられます。
交通事故の被害者となった場合、事故直後に対応すべきこと、早めに対応したいことがあります。
対応の有無によって慰謝料が大きく変わる場合がありますので、しっかり確認しておきましょう。
交通事故が発生したら、必ず警察を呼びましょう。
相手方と一緒に事故現場に残ることが大切です。
相手がその場から逃走した場合、それはひき逃げですので、車のナンバーを撮影するか、覚えるかしましょう。
交通事故の届出は義務づけられており、この届出を怠った場合、保険金を請求する際に必要な『交通事故証明書』の交付も受けられなくなります。
そうなると、最悪の場合、加害者側の保険会社から補償を受けられなくなったり、自身の契約保険会社から保険金の支払いを受けられないこともあり得ます。
保険金請求権を保全する意味でも、必ず警察には連絡しましょう。
警察は人身事故の場合には事故現場を検証し、事故状況について詳細な資料を作成します。
この資料は事故態様を明らかにする資料として証拠価値が高く、『過失割合』を決定する場合に重宝します。
過失割合とは、生じた事故の責任が事故当事者のどちらに、どの程度あるのかを示す割合であり、補償金額を算定する上で重要なものです。
人身事故で作成される実況見分調書は、被害者と加害者の双方に対して事情聴取をおこない、当事者が立会の下で作成されます。
この実況見分調書は、一度作成されれば、後から訂正を依頼したり、再作成を依頼したりすることはできません。
実況見分調書が事故態様や過失割合の認定の際に重要な証拠となり得ることを考慮し、立会の際は記憶に従って、できる限り正確な内容を伝えてください。
加害者側の言い分が、事実や自分の認識と異なると思った場合はすぐに訂正を求めましょう。
ここでは冷静さを欠かず、決して感情的にならないようにしてください。
感情的な対応をして面倒な加害者・被害者と思われてしまえば、警察の対応が悪くなる恐れもゼロではありません。
なお、このような実況見分は事故から数日後に実施されて、調書化されるのが通常ですが、もし大きな怪我をしていた場合にはすぐに病院で治療に専念してください。
その後、立会が可能になった状態で実況見分に立ち会うことになります。
警察に主張、申告すべきポイントはこちらです。
などが挙げられます。
また、事故当時は痛みがなくても後日痛みや不具合のある箇所が出てきた場合、その時点でまた病院に行き検査を受け、医師の診断を仰ぐようにしましょう。
加害者によっては『人身事故』ではなく『物損事故』として処理させてほしいと申し出ることもあります。
しかし、あなたが少しでも怪我を負ったのであれば『人身事故』として警察に届け出るべきです。
事故直後は混乱しているため、痛みを感じにくいこともあります。
人身事故ではなく、物損事故として処理されてしまうと、上記で説明した実況見分調書が作成されなくなってしまいます。
そのため、仮に事故態様でもめたような場合に、事故態様を証明するための証拠がないということにもなりかねません。
事故態様や過失割合に一切争いがないような事故で、負傷の程度も大したことがないというのであれば物損事故で処理することもありますが、それ以外の場合には人身事故として処理した方が無難です。
当初物損事故として処理されていても、事故発生日から相当期間(おおむね1週間程度)内に医師の診断を受けて、負傷がある旨の診断を受けていれば、これを提出することで物損事故から人身事故に切り替えてもらうことが可能です。
仮に事故後速やかに医師の診断を受けていない場合、その後、症状が出たとしても「事故との関連性が明確でない」として人身事故の切り替えに警察が応じない可能性があります。
そうなると、のちに後遺症が生じて、後遺障害等級認定を受けたい際も、事故との関連性が明確でない場合、認められないことが考えられるということです。
なお、事故が物損事故で処理されていたとしても、事故後速やかに受診した医師から負傷の診断を受けていれば、加害者側保険会社に人身事故として補償してもらうことは可能です。
加害者の情報を確保しておくことも重要です。
これらは警察が到着した場合に、警察が相手から聴き取りますので、後日取得する交通事故証明書でも確認可能です。
そのため、必須というわけではありません。
なお、交通事故の損害賠償は、人身事故の場合であれば運転手だけではなく車両の所有者にも請求することができます。
相手が勤務中であった場合は、雇用主に請求することも可能です。
交通事故証明書は所有者の情報や雇用主の情報は記載されませんので、余裕があればこの点は確認しておいてもよいかもしれません。
なお、あまりないケースではありますが、相手が警察到着前に逃走してしまうことも考えられます(要するにひき逃げ・当て逃げ)。
その場合、相手の情報が何もないと、請求相手が不明という状態になってしまいます。
そのため、相手と会話ができた段階で、相手の挙動に不審な点があれば名刺をもらうなどして連絡先を押さえておいたり、車両ナンバーを撮影して控えておいたりという対応は有用でしょう。
また、のちにトラブルが起きれば、解決まで時間がかかり訴訟に発展してしまうこともあります。
この段階では相手を責めないように冷静に対応しましょう。
大小問わずどのような事故であっても、警察とは別に、自分でも事故の当事者として現場の状況を『記憶』し、写真などで証拠となるものを『記録』、相手との事故当時の会話の『録音』を残しておくことは大切です。
特に人身事故として処理されない場合は、事故態様について実況見分がおこなわれませんので、自分で事故発生直後の様子を記録化しておくことが極めて有用です。
相手方に損害賠償を請求するため、あるいは相手方との円滑な解決をおこなうためにも事故直後の情報は正確に把握しておくべきです。
特に事故直後の現場写真や当事者の車両の状況などの写真は、事故の客観的状況を把握するうえで有用な証拠となり得ます。
スマートフォンで簡単に写真が取れますので、できる限り事故直後の情報を記録して可視化しておきましょう。
具体的には、次のようなことをおこなっておくとよいでしょう。
※運転者と自動車の持ち主が違う場合もあるので、車検証と相手の免許証を両方確認するのが望ましい
警察は、当事者双方から話を聞きますが、その供述内容の記録は開示されることはほぼありません。
そのため、当事者の会話として記録すべきものがあれば、自分で録音などしておくことものちのち有用となることがあります。
例えば、事故の相手が、事故直後は「居眠りをしていた」「前を見ていなかった」などと思わず本当のことを言ってしまうこともよくあります。
そのような発言は、のちのちの交渉では「そんなことは言ってない」「そんな事実はない」と否定され、水掛け論になってしまいます。
そうなってしまうと、せっかくこちらに有利な事情でも立証できず、使えないということになってしまいます。
もし、そのようなやり取りについて録音をしておけば、水掛け論となることを回避できます。
怪我などをしている場合はそれどころではないかもしれませんが、加害者側とのやり取りや、警察が来るまでの内容、警察に話した内容など、事故に関する内容はすべて録音しておくとよいでしょう。
スマートフォンが破損していないのであれば、ボイスレコーダーを使用して録音しましょう。
もし目撃者が見つかった場合、その人の住所、氏名、連絡先を聞いておくのがベストです。
その場での事情聴取のときに証言してもらえる可能性もありますし、後日第三者として有益な証言をしてくれるかもしれません。
その点、警察が録取した目撃者証言は、厳格な要件を満たさなければ外部に開示されることはありません。
この点は、加害者の供述や被害者の供述も同じです。
警察の作成する供述調書は、公開法廷での刑事裁判が開かれない限り、基本的に見ることはできないと思ってください。
交通事故で被害者となった場合、相手の任意保険には相手から、自分の任意保険会社には自分から連絡するのが通常です。
自分の保険会社に連絡する際には以下のような事項を漏れなく伝えるようにしましょう。
上記以外にも、怪我人の有無、警察署名や搬送先病院名などを聞かれることもあります。
保険会社のオペレーターから聞かれる内容に、落ち着いて答えていけば問題ないでしょう。
なお、保険会社によっては事故発生直後の報告内容を記録化しているところもあります。
このような初期資料はのちのち有益な証拠として利用可能な場合もありますので、保険会社に対しては事故直後の状況や相手とのやり取りの内容をできる限り具体的かつ詳細に伝えるようにしましょう。
保険会社への連絡は、事故当日が望ましいですが、現実的に難しい場合もあるでしょう。
しかし、上記で記載のとおり、事故直後の報告内容はのちのち有益な証拠となることもありますので、警察を呼んで待っている間や、警察の事故処理が終わった段階で、できる限り早く連絡してください。
事故に遭った場合、必ず病院へ行ってください。
事故直後は動揺から痛みに気づかないことが考えられますし、大したことはないと思っても、内臓や脳に深刻なダメージを負っていることもあります。
また、事故後に病院へ行かなかったことで、後から生じた痛みと事故の因果関係が認められないこともあります。
自己判断せずに病院で受診しましょう。
事故当日は特に痛みがでなくても、むちうちなどの症状は1~2日経過後に現れることもあります。
このとき「大したことないからよいだろう」と安直に考えて、1~2週間経過。
治らないからとようやく病院に行ったら怪我をしていたということもあるかもしれません。
しかし、事故後速やかに病院で受診していないと、仮に後日何らかの負傷の診断をされても、事故と負傷との因果関係が否定され、加害者側から補償を受けられなくなるということもあります。
したがって、事故直後はなんともなくても念のため病院で受診すべきですし、1~2日経って症状が現れた場合にはその時点ですぐに病院に行くべきです。
なお、このように事故後速やかに病院に言って負傷の診断書を取得していれば、当初『物損事故』として処理されていた事故でも、『人身事故』に切り替えて処理してもらうことが可能です。
病院で取得した診断書を警察書に持参して、事故を『人身事故』に切り替えてほしいと求めるだけで済みます。
怪我をして病院への入院、通院などをおこなった場合や、車などの物損で修理費がかかった場合などは、その際にかかった費用の領収書を必ずもらうようにしてください。
もっとも、加害者側の保険会社が介入している場合、このような費用に関する情報は相手保険会社が押さえていますので、あまり気にする必要はありません。
相手保険会社の介入前にかかった費用があれば、それは領収書を保管しておきましょう。
保険金を請求する際に必要なのが『交通事故証明書』です。
最寄りの自動車安全運転センターの窓口、ホームページ、郵送でも申請可能です。
ここでは、交通事故の被害者となった場合の注意点を解説します。
事故に遭った場合、事故直後の段階で、加害者と一対一で交渉することは推奨されません。
極めて軽微な物損事故であり、あえて保険会社を介入させるまでもないという特別な場合はともかく、そうでない場合は被害者からしても加害者からしてもトラブルの元となります。
例えば、被害者側には本来受け取れるはずの適正な補償を受け取れなくなる可能性があるというリスクが考えられます。
事故直後は被害の実態は不透明であり、被害額を正確に把握することは不可能です。
そのため、事故直後に安直に示談に応じてしまうと、実際はもっと補償されるべきであったのに支払いを受けられないということは十分にありえます。
また、当事者間で勝手におこなった示談は保険会社から損害賠償金として認めてもらえず、保険が適用されないという可能性もあります。
したがって、事故直後に安直な示談をすることは被害者・加害者ともにやめましょう。
交通事故の被害者になった場合、相手の保険会社が補償してくれるからと、必要以上に治療費や交通費などを使わないようにしましょう。
例えば、独断で個室を利用する、公共交通機関が利用できるのにタクシーを利用するなどです。
このように独断で費やした費用は、のちのち加害者側から損害として否認される可能性があり、そうなると自己負担となる恐れもあります。常識的な範囲内で費用を支出しましょう。
なお、自賠責保険の場合、治療費や慰謝料で支払われる上限が120万円と最低限の補償しかされません。
そのため、自由診療で過剰な治療を受ければ、この枠組みはすぐに治療費で埋まってしまいます。
そうなると、治療費以外の補償(休業補償や慰謝料)が自賠責保険で補償されなくなり、任意保険会社の対応も渋くなる可能性があります。
また、自分にも過失のある事故の場合、治療費の何割かは自己負担です。自由診療で割高な治療費がかさんでしまうと、その分自己負担する治療費が増えてしまいます。
交通事故の場合でも、所定の手続きをおこなえば健康保険は問題なく使用可能です。
したがって、治療費の負担が大きくなりそうであれば、健康保険を使用して治療費負担額を減らすことも検討しましょう。
少し体調がよくなった、我慢できる範囲になったとして、自己判断で通院をやめないようにしてください。
もし、症状が残っているのに途中で通院をやめたり、通院期間が空きすぎてしまったりすると、後から症状がぶり返して治療を再開しても、再開した治療行為と交通事故との因果関係が否定され、十分な補償を受けられないというリスクがあります。
通院の要否はその時点の症状を担当主治医に明確に伝えて、その判断を仰ぎながら慎重に検討すべきです。
症状もないのに無意味な通院を続けることは控えるべきですが、症状があるのに無理して通院を終了する意味はありません。
担当主治医と十分なコミュニケーションを取りながら治療しましょう。
交通事故の被害者の多くは、保険会社の担当者に言われたとおりの金額で応じてしまうのが実情です。
たいていの被害者は、保険会社から金額の提示があれば、「そんなものか」と軽く考えて示談書に押印してしまいます。
その最も大きな理由は、提示された金額が『妥当かそうでないのか』の判断がつかないからです。
逆に保険会社から提示された損害賠償額の提示を確認して、その損害賠償金額の低さに戸惑っていたとしても、保険会社からの『筋の通っていそうな説明」を受け、納得させられている可能性があります。
「あなたにも過失があるから、保険金はこれくらいになります」
「過去の判例でもあるので、裁判をしても増額はされないと思います」
「一応働くことができるので、休業損害は出ません」
「怪我がないので物損事故で届け出てください」
このように保険会社の担当者に言われてしまうと、知識の浅い素人は対応に困ってしまいます。
だからこそ、保険会社のいいなりにならないためには、『交通事故被害による妥当な損害賠償額を知ること」が大切なのです。
そして、交通事故の交渉ごとを任せるのは、弁護士が一番です。
交通事故が当初物損事故で処理されていたとしても、後日、これを人身事故へ切り替えることは可能です。
交通事故で負傷したが物損事故のままであるという場合は、上記のリスクを踏まえながら、人身事故への切り替えを検討してみましょう。
保険会社が提示した示談金が妥当とは限りません。
特に自賠責保険基準で算定される補償額は、被害者への最低限の救済を趣旨とするものであるため、必ずしも適正な金額ではありません。
慰謝料には、自賠責よりも高額となる可能性の高い、任意保険基準や弁護士基準が存在しますので、可能であればご自身で計算してみてもよいでしょう。
確実なのは、無料相談などで弁護士に直接相談してみることです。
当サイト『ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)』なら、あなたのお住まいの地域から、交通事故分野に実績のある弁護士を探すことができます。
無料相談を実施している事務所もありますので、あなたの示談金が適切かどうか、一度相談してみてはいかがでしょうか。
加害者側に100%の責任がある場合、あなたが加入している保険会社は、被害者に代わって示談交渉をおこなうことができません。
そのため、被害者は、独力で加害者側保険会社と交渉しなければならず、知識や経験の違いから、相手保険会社に言われたとおり示談に応じてしまうことがあります。
示談金の額などが納得できる金額であれば問題ありませんが、多くの場合はそうではありません。
このような場合には、弁護士に相談するのが、効率や損得の観点からみて最もよい選択です。
また、費用面での心配も、自分の契約する保険に『弁護士費用特約』が付されていれば解消されます。
弁護士費用特約とは、 簡単に言うと、交通事故が起きた場合に、弁護士に無料で相談、依頼ができる制度です。
このような場合に利用すると便利です。
保険に加入する際にオプションとして特約が付されているかどうか、一度確認してみるとよいでしょう。
交通事故の損害賠償や慰謝料を裁判などで争う前に、保険会社から示談金という形で解決させようと提案があるのが通常です。
示談金の額が妥当である場合には訴訟負担などを考慮してこれに応じ、早期解決を図るのも合理的です。
しかし、その提示金額が低額で、訴訟コストや敗訴リスクを考慮したとしても納得いかない場合には提案を拒否すべきでしょう。
この場合の示談金の判断も難しい場合がありますので、すでに担当弁護士がいればその弁護士に、いなければすぐに弁護士に依頼して、今後の処理について相談するとよいでしょう。
以下に当てはまる場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士へ依頼することで、的確なサポートが受けられるかもしれません。
なお、後遺障害はその認定の有無や認定される等級のレベルが変わるだけで、事故の補償額に大きく影響します。
後遺障害等級の申請処理は法的観点からのアプローチが必要な場合もありますので、申請前に一度弁護士に相談してください。
示談する際は示談書に注意しましょう。
示談は原則として一度きりであり、一方的な撤回や取消は難しいことが多いです。
示談成立後に何らかの損害が生じたり発覚したりということがあっても、そのような損害の補償は認めてもらえないこともあり得るでしょう。
もし、事故の後遺障害が生じることが危惧されるような事案であれば、示談書には、以下のように明記することをおすすめします。
4、後日、乙に本件事故が起因の後遺障害が発生した場合(もしくは、乙が甲1加入の自賠責保険に被害者請求の手続をとり、本件事故により後遺障害等級該当の後遺障害が発生したと認定された場合)は、その損害賠償については、甲1・甲2と乙において別途協議する。
引用:坂和 章平(2005)『いまさら人に聞けない「交通事故示談」かしこいやり方』株式会社セルバ出版
つまり、示談はあくまで傷害補償に関するものに限定され、後遺障害の補償はこれに含まれないことを明記するということです。
上記のとおり、後遺障害が認められた場合の損害に関しては別途協議する旨を明記しておけば、示談成立後に後遺障害ありとされた場合でも、補償を拒否されるということはありません。
また、示談書の作成であれば、弁護士や司法書士に依頼するとよいでしょう。参考にしてみてください。
ここでは、交通事故によってご家族が亡くなってしまった場合の流れと注意点を解説します。
まずは、ご家族の葬儀、死亡後の手続き、相続の手続き、生命保険の請求をおこないます。
法要などが落ち着く頃に、加害者側から損害賠償について連絡がきます。
ご家族が亡くなった場合、加害者には死亡慰謝料などを請求することができます。
加害者が賠償する損害に含まれるのはこちらです。
死亡慰謝料 |
亡くなった被害者への慰謝料 |
被害者の近親者への慰謝料 |
|
死亡事故による逸失利益 |
事故に遭わなければ将来的に得られたであろう収入・利益 |
休業損害 |
事故に遭わなければ労働で得られたであろう収入・利益 (事故日から亡くなるまでの期間の収入が該当し、専業主婦でも請求可能) |
治療費など |
病院に搬送された場合の治療費、入院費、入院雑費、入院付添費、交通費など |
葬儀関係費 |
葬儀の費用 |
上記のものは、加害者が賠償する損害に含まれますので、領収書は必ず保管しておきましょう。
また、ご家族の職業や年齢によって逸失利益の金額が、死亡慰謝料は、3つの基準(自賠責・任意・弁護士基準)や過失割合によって金額が異なります。
死亡事故の場合、加害者の証言で判断された過失割合で、損害賠償額が算出されていることも考えられますので、提示された金額を確認し、なおかつ弁護士に適切な額か相談することをおすすめします。
交通事故の損害賠償や慰謝料の請求などには、『3つの基準』があるとされており、弁護士基準で算定すると、一番低い自賠責基準に比べて、ケースによっては3倍以上の増額になることもあります。
交通事故の被害者、加害者の立場から、今後もめる可能性が高いと思ったら、弁護士への依頼を検討することをおすすめします。
交通事故の被害者が保険会社から受けられる損賠賠償の保障などを一覧でご紹介します。
治療費 |
治療に際して必要になる実費。入院費・手術料・診察料などのすべてが対象。 |
入院雑費 |
入院した場合に請求できる費用。日額でいくらというような損害算定がされる。 詳しくは「入通院慰謝料の計算式」参照 |
付添看護 |
入院看護と通院看護に分けられる。詳しくは「付添看護費」参照 |
通院交通費 |
通院に要した実費。基本的には交通機関を利用した際の交通費であり、自家用車を利用した場合はガソリン代となる。 |
休業損害 |
事故のため就労ができず、収入を得ることができなかった場合に支払われる費用。 詳しくは『休業損害の計算方式』参照 |
慰謝料 |
事故による負傷や痛みなどの精神的苦痛に対する損害賠償。 詳しくは『交通事故の慰謝料ガイド|相場・請求例や増額方法まとめ』参照 |
死亡・ 後遺障害慰謝料 |
傷害の慰謝料に同じく、死亡や後遺障害に対する損害賠償。 詳しくは「後遺障害認定を受けるまでの流れや非該当となった場合の対処法を解説」参照 |
逸失利益 |
死亡事故や後遺障害が残った場合に、本来得ることができたであろう収入を計算して請求可能。 詳しくは「交通事故の後遺障害で覚えておくと便利な6つの豆知識」参照 |
将来の 介護料 |
後遺障害第1級、第2級、第3級で、四肢の不自由や精神神経に著しい支障を残してしまい、日常生活を独力でおこなうことができない場合に算定し請求可能。詳しくは「重度の後遺障害の場合は将来の介護料を請求できる」参照 |
葬儀費用 |
死亡事故対象。しかし、全額認定されるようなケースはほぼない。 詳しくは「人身事故で示談する時の注意点とケース別の示談金相場」参照 |
その他 |
装具の費用や旅行のキャンセル費用、通勤のための交通費などが対象。 |
修理費 |
自動車の修理費用。修理の可否を判断する、全損・分損という判断もこの段階でおこなう。 |
レッカー代 |
事故の現場で走行不能に陥った場合、最寄りの修理工場へ搬送するための実費。 |
レンタカー代 |
事故の修理に際して使用不能になった場合の損害を請求。実際にレンタカーを要した場合にはその実費。 |
格落ち損害 |
俗にいう査定落ちと呼ばれるもの。事故のため買い替えする際、その評価額が落ちた分を賠償請求するというもの。 |
交通事故の被害者になってしまった場合の対応方法について解説しました。
加害者への対応や、保険会社との交渉で困ったら、迷わず弁護士に相談してください。
また、『後から痛みが出てきて人身事故に切り替えたい』『後遺障害と認められないかもしれない』『痛みで手続きができない』といった方も、諦めずに弁護士に相談しましょう。
相手の言い分どおりに話を進めると、被害者であるあなたが大きく損してしまうかもしれません。
弁護士であれば、怪我をした場合、ご家族を亡くされた場合、いかなるつらい状況であってもあなたの味方となってくれます。
無料相談を受け付けている事務所も多くありますので、一度相談だけでもしてみてはいかがでしょうか。
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