交通事故のうち3割を占めるといわれる駐車場事故。
駐車場は狭い空間であるうえに人や車の行き来が激しく、またその動きも不規則であることが大きな理由とされています。
実際に駐車場で事故を起こしてしまい、「過失割合はどうなるのか」「今後どのような対応が必要なのか」など、さまざまな不安や疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、駐車場事故の過失割合と修正要素について詳しく解説します。
判例や事故への対処方法などにも触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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【ケース別】駐車場事故の過失割合
駐車場で起きた事故の過失割合は、算定が難しいケースが多いといえます。
そのため、過失割合の算定のためには類似事故の判例が参考となります。
以下では、よくある駐車場事故における過失割合の基本的な考え方を9つ紹介しているので、参考にしてみてください。
1.交差部分での出会い頭事故|50:50
交差部分での出会い頭事故の過失割合は、原則として50:50となります。
ただし、自分のほうが明らかに狭い通路を走行していた場合や一時停止違反・通行方向表示違反をしていた場合は、60:40や70:30など過失割合が高くなることがあります。
なお、一般道路の交差点では左方優先の原則がありますが、駐車場内では適用されない点に注意してください。
2.通路を進行する車と入庫する車の事故|80:20
通路を進行する車と入庫する車が事故した場合の過失割合は、80:20が基本となります。
駐車場は駐車をすることが主目的のため、駐車をしようとしている自動車に注意して、進行車は進行すべきと考えられているためです。
ただし、入庫する車が急にスピードを上げた場合などは、過失割合が修正されることもあります。
3.通路を進行する車と出庫する車の事故|30:70
通路を進行する車と出庫する車の事故の過失割合は、30:70が原則となります。
進行する車と「出庫する車」では、進行する車のほうが優先されます。
進行する車と「入庫する車」との事故とは、過失割合の考え方が異なる点に注意しておきましょう。
ただし、進行する車が順路を無視していた場合などは、出庫する車の過失割合が下がることもあります。
4.入庫する車と停車している車の事故|100:0
入庫する車と停車している車の事故では、過失割合が100:0になります。
駐車区画に入庫し、何も動いていない状態の車に過失が生じる要素はありません。
ぶつけた側の車に100%の過失が認められます。
ただし、停車している車がクラクションを鳴らしたかどうかで過失割合が変わるという考え方もあるため、ケースバイケースの対応が必要です。
5.入庫する車同士または出庫する車同士の事故|50:50
入庫する車同士または出庫する車同士の事故の過失割合は、基本的に50:50です。
どちらも同じ条件化にあるなかでの事故なので、過失割合に差は生じません。
もちろん、どちらかに不注意があった場合などには、過失割合も変動します。
6.入庫する車と出庫する車の事故|30:70
入庫する車と出庫する車の事故の場合、過失割合は原則30:70です。
出庫する車は、もともと駐車区画内で停止しており、十分に安全を確認する余裕があったはずです。
そのため、出庫する車のほうが過失が大きいものとして扱われることになります。
7.T字路を直進する車と左折・右折する車の事故|50:50
T字路を直進する車と左折・右折する車の事故では、過失割合が50:50になるケースが一般的です。
ただし、左折・右折する車が一時停止していなかった場合は、過失割合が1割程度高くなるケースもあります。
8.車と歩行者の事故|90:10
車と歩行者の事故における過失割合は、自動車:歩行者=90:10とされるのが原則です。
歩行者が児童・高齢者・身体障害者などである場合は、歩行者の過失割合が-5%~-10%に修正されます。
そもそも交通弱者である歩行者の過失割合は、一般道路でも駐車場でも、車より低くなります。
また、駐車スペース内は、車の出入りだけでなく、人が車の乗り降りをする場所でもあります。
そのため運転者は、歩行者がいることに注意すべきです。
他方で歩行者においても、駐車場内を走行する自動車と衝突する可能性は常にあるわけなので、十分に注意を払っておく必要があります。
上記のような事情を考慮して、一般的な過失割合は90:10となっています。
なお、歩行者の飛び出しがあった場合は歩行者の過失割合が10%~20%程度高くなります。
また、歩行者通路表示があった場合の事故であれば、自動車側の過失割合がさらに高くなる可能性があります。
9.車とバイク・自転車の事故|バイク・自転車が有利になりやすい
車がバイク・自転車などの二輪車と事故した場合、過失割合に関してはバイク・自転車が有利になりやすいといえます。
とはいえ、停車中の事故でもない限り、バイクや自転車にも一定の過失割合が認められるケースがほとんどです。
また、バイクや自転車が片手運転をしていた場合など明らかな過失があるときは、車側が有利になることもあります。
駐車場事故における過失割合の修正要素
駐車場内の交通事故において、過失割合が10対0になるようなケースはほとんどありません。
基本的には被害者側にも少なからず過失はあるものなので、過失割合も修正されてしまいます。
過失割合の修正要素と修正割合の目安は、以下のとおりです。
- 交差点で相手よりも幅が狭い道を走行していた:+10%
- 急に飛び出した:+10%
- 徐行を怠った:+10%
- 前方不注意があった:+10%
- 交通表示を無視していた:+15%~20%
- 運転中に居眠りしていた:+20%
- 飲酒していた:+10%
また、事故に巻き込まれた歩行者が子ども・高齢者・身体障害者だった場合は、車側の過失が5%~10%程度加算されることになります。
とはいえ、適切な過失割合を判断することは簡単ではありません。
少しでも疑問に思うことがあれば、交通事故トラブルが得意な弁護士に相談しましょう。
駐車場事故における過去の判例
次に、駐車場事故における過去の判例を2つ紹介します。
通路をバックする車と駐車スペースから出てきた車が衝突した事例
A車がマンション地下駐車場の中央通路で後方確認をしながらバックしていたところ、いったん駐車スペースに入ってから、駐車し直すために通路に出てきたBと衝突しました。
この事故に対して、東京高裁は過失割合をA:B=30:70としました。
まず、Bは一度駐車スペースに入っているため、再度外に出るのであれば、十分な注意を払わなければなりませんでした。
そのため、基本的にはBの過失が大きいものと判断されたのです。
しかし、駐車スペースには仕切り板があり、見通しが悪かったため、AもBの車庫入れが完全に終了しているかを入念に確認する必要がありました。
そこで、Aにも30%の過失が認められたわけです。
入庫する車が駐車している車に接触して過失割合100:0になった事例
駐車しようとしたAが、隣に駐車していたBの車に接触しました。
停車中の車に衝突した場合、基本的には、ぶつけた側の過失が100%になります。
しかし、停車していたBの車が駐車スペースからはみ出ていたことを理由に、AがBの過失を主張したのです。
そのうえで裁判所は、物理的に駐車できない状態だったのであれば、駐車はあきらめるべきだったとし、Aの主張を退けました。
駐車場事故で適切な過失割合を認めてもらうためのポイント
ここからは、駐車場事故で適切な過失割合を認めてもらうためのポイントを3つ紹介します。
実態に即した損害賠償を受け取るためにも、一つひとつのポイントをしっかりと押さえておきましょう。
1.防犯カメラ・ドライブレコーダーの映像を確認する
駐車場事故が多発するため、駐車場に監視カメラを設置している場合があります。
実際に事故を起こしたときは、カメラの映像を見せてもらえるように駐車場の管理者に問い合わせてみましょう。
事故前後の様子が映像で残っていれば、重要な証拠のひとつになります。
管理者には「駐車場でぶつけられたから」といえば、協力してもらえるはずです。
それでも見せてもらえない場合には、警察に相談し、警察経由で確認できないかも検討してみてください。
2.事故現場の様子を撮影・メモしておく
事故現場の様子を自ら撮影・メモしておけば、過失割合を争う際に役立つことがあります。
相手方と過失割合について話し合う際に、実際の状況とは異なることを主張されるケースも少なくありません。
その際に、当時の状況を示すものが何もなければ、相手の発言が嘘だということも指摘しにくくなります。
そのため、事故の時間・場所、お互いの位置関係、周囲の状況、事故直後に話し合った内容などは、形に残るものとして保存しておくことが大切です。
3.弁護士に相談する
駐車場事故を起こした場合は、できるだけ早く弁護士に相談することが大切です。
弁護士に相談・依頼すれば、事故の状況をもとに適切な過失割合を算出してもらえます。
相手方との交渉を任せられるのも、弁護士を頼るメリットのひとつです。
自身に有利な過失割合になる可能性が高まるうえ、精神的な負担も大幅に抑えられるでしょう。
また、事故が原因で入通院が必要になったり、後遺障害が残ったりした場合には、弁護士に依頼することで、高額な慰謝料を獲得できるようになります。
駐車場事故を起こしてしまったときの対処方法
最後に、駐車場内で事故を起こしてしまった場合の対処方法を3つ解説します。
1.けが人を救護する
まずは、けが人を救護することが最優先です。
周囲の力も借りながら安全な場所へ移動させ、必要であれば救急車を呼んでください。
運転手や同乗者には、救護義務があります。
そのまま放置した場合には、当て逃げやひき逃げなどに該当し、刑事罰を受けるおそれがあることも覚えておきましょう。
2.警察に連絡する
けが人を救護したあとは、すぐに警察へ通報しましょう。
当事者間で解決しようとすると、トラブルに発展する可能性が高くなります。
また、警察を呼ばなかった場合は交通事故証明書が発行されず、実況見分調書も作成されません。
あとの手続きに支障が生じるおそれがあるので、些細な事故であっても、必ず警察に連絡するようにしましょう。
3.保険会社に連絡する
駐車場内で事故を起こした場合、任意保険に加入していれば任意保険会社から相手への補償がおこなわれます。
また、相手方との交渉も代わりに進めてもらうことが可能です。
そのため、早急に保険会社に連絡をしましょう。
まとめ
駐車場では事故が起きやすい一方で、一般道路とは取り扱いが異なる部分もあります。
また、過失割合には過去の事例に基づく目安があるものの、自身が起こした事故にそのまま適用できるとは限りません。
そのため、駐車場事故を起こしたときには、すみやかに弁護士へ相談してください。
交通事故が得意な弁護士であれば、個々の状況に合わせた最善の解決策を提案してくれるはずです。
駐車場で交通事故に遭ってお困りの方へ
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