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事故にあったらどうする?交通事故直後の対応6ステップと示談成立までの流れ

かがりび綜合法律事務所
代表弁護士 野条 健人
監修記事
事故にあったらどうする?交通事故直後の対応6ステップと示談成立までの流れ
  • 「交通事故にあったら、まず何をすればいい?」
  • 「交通事故の相手方との示談交渉は、どのように進めればいい?」

交通事故にあうと、誰でも頭が真っ白になりますが、まずは落ち着いて行動しましょう。

事故直後の対応が、示談交渉の結果を左右することもあります。

本記事では、交通事故にあったらとるべき6つの初期対応と現場でやってはいけないNG行動を解説します。

事故後に医療機関を受診すべき重要性や示談交渉の流れ、弁護士に相談するメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

交通事故にあったら?|直後の対応6つのステップ

交通事故にあったら、慌てずに以下の順序で適切な対応をとりましょう。

交通事故にあったら?|直後の対応6つのステップ

①運転の停止・けが人の救護・道路上の危険防止を実施する

①運転の停止・けが人の救護・道路上の危険防止を実施する

事故を起こしたら、まずは以下の3つの緊急措置を講じましょう。

1.車両などの運転停止 直ちに安全な場所に車両などを停車し、以下の状況を確認する。
・死傷者の有無
・破損した車両や物の有無
・道路上の危険の有無
2.負傷者の救護活動 負傷者がいる場合は、直ちに以下のような救護活動をおこなう。
・救急車を呼ぶ
・病院に運ぶ
・事故現場において止血など可能な応急手当をする
3.危険防止の措置 二次災害を防止するために、以下のような危険防止措置を講じる。
・発炎筒や停止表示器材を置いて事故の発生を知らせる
・後続車を誘導する
・道路に散らばった事故車両の破片などを取り除く
・事故車両を安全な場所に移動する

上記3つの措置は、道路交通法で定められた義務です。

交通事故が発生した場合、加害者・被害者の区別なく、車両などの運転者や乗務員は直ちに上記措置をとらなければいけません。

上記義務を怠った場合の罰則は、以下のとおりです。

義務を怠った人物 罰則
自己の運転に起因して人を死傷させた運転者(ひき逃げなど) 10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
自己の運転が原因ではないが人の死傷があった事故に関与した運転者 5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
乗務員 1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金

②警察へ連絡する(110番通報)

②警察へ連絡する(110番通報)

交通事故が発生したら、110番通報などで必ず警察に報告してください。

警察への報告は、道路交通法上の義務です。

加害者・被害者の区別なく、車両などの運転者や乗務員は、交通事故の発生を警察に報告する義務を負っています。

警察に報告すべき事項は、以下の5つです。

  • 事故が発生した日時・場所
  • 死傷者の数・負傷者の負傷の程度
  • 損壊したもの・損壊した程度
  • 事故車両の積載物
  • 当該事故について講じた措置

警察への報告を怠った場合は、3ヵ月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金が科せられます。

③相手方の情報や事故の状況を確認・記録する

③相手方の情報や事故の状況を確認・記録する

相手方の情報や事故の状況を確認・記録しましょう。

交通事故の相手方とは、今後、損害賠償などについて話し合いをします。

後日、交通事故証明書を取り寄せれば確認できますが、念のため事故現場で以下の情報を確認・交換しておきましょう。

確認事項 詳細
相手方の情報 氏名・住所・電話番号
相手方が加入する保険会社の情報 保険会社の名称・証明書番号
相手方が運転する車両の情報 車両番号(ナンバープレートの番号)
相手方の勤務先情報
(※相手方の業務上・通勤上の事故の場合)
勤務先の名称・所在地・電話番号

メモ・ペンがない場合は、名刺を受け取るか、相手方の許可を得てスマートフォンで免許証などを撮影させてもらう方法でも構いません。

次に、記憶が鮮明なうちに、事故の状況をメモ・写真・動画などで記録しましょう。

事故の記録は、過失割合の判断や損害賠償請求の重要な根拠となります。

  • 事故が発生した日時・事故現場
  • 事故が発生した経緯
  • 車両の損傷箇所
  • 事故が起きた状況(天候・道路状況・信号の有無など)

事故の記録にはドライブレコーダーの映像を残しておくことも有効です。

帰宅後で構いませんので、データが上書きされないよう、SDカードを抜いて保管しましょう。

④自身の保険会社へ連絡する

④自身の保険会社へ連絡する

事故の初期対応が終わったら直ちに保険会社へ連絡し、以下の情報を通知しましょう。

  • 事故発生の日時
  • 事故発生の場所
  • 事故の概要

保険会社によって事故対応窓口は異なるので、万が一の事故に備えて電話帳に保険会社の連絡先を登録しておくとスムーズです。

保険会社への通知は、電話(口頭)での連絡のほか、以下の5つの事項を遅滞なく書面でおこなう必要があります。

  • 事故の状況
  • 事故の相手方の住所・氏名または名称
  • 事故の状況について証人がいるときは、証人の住所・氏名または名称
  • 被保険自動車が自動運行装置を備えているときは、当該装置の作動状況
  • 損害賠償の請求を受けたときは請求内容

書面は電話(口頭)連絡のあと、保険会社から送られてくるので、必要事項を記入して返送しましょう。

⑤医療機関を受診する

⑤医療機関を受診する

交通事故にあったら、すぐに医療機関を受診しましょう。

事故直後は、突然受けた衝撃で興奮状態にあり、痛みや痺れなどの症状を感じない場合があります。

しかし、事故から数日後に症状が現れるケースも多いため、外傷や痛みがなくても医師の診察を受けるべきです。

治療費など賠償をスムーズに受けるためにも、事故当日から翌日中に医師の診察を受けるのが理想です。

初診時には、医師に事故の状況や身体の症状を全て伝えてください。

併せて、警察署に提出する診断書の作成を依頼しましょう。

診断書には、以下の事項を記載してもらってください。

  • 受診日
  • 受診した経緯(交通事故による受傷)
  • 傷病名(むちうち、打撲、骨折など)
  • 全治までの日数(通院または入院加療を要する期間)

警察提出用の診断書は、交通事故による受傷状況を証明し、人身事故として処理してもらうために必要です。

⑥交通事故証明書の交付を受ける

⑥交通事故証明書の交付を受ける

事故発生から1週間〜10日程度経過したころに、交通事故証明書の交付を申請しましょう。

交通事故証明書とは、交通事故が発生した事実を証明する書面です。

警察から提供された証明資料に基づき、自動車安全運転センターが交通事故証明書を作成します。

交通事故証明書には、主に以下の内容が記載されます。

  • 事故の発生日時
  • 事故の発生場所
  • 事故の当事者の住所・氏名・運転車両の車両番号
  • 自賠責保険加入の有無・加入保険会社の名称・証明書番号
  • 事故時の状態(運転・同乗・歩行・その他の別)
  • 事故類型(車両相互・車両単独・踏切・不明・調査中の別)
  • 照会記録簿の種別(人身事故・物損事故の別)

交通事故証明書は、事故の相手方に対して損害賠償を請求したり、各種保険の補償を受けたりする場合に必要です。

申請方法は、以下のとおりです。

申請方法 詳細 交付手数料
自動車安全運転センター事務所での窓口申請 自動車安全運転センター事務所に備え付けられた用紙に必要事項を記入して申請する方法 1通につき1,000円(消費税非課税)
ゆうちょ銀行・郵便局での払込みによる申請 センター事務所・警察署・交番・駐在所に備え付けられた交通事故証明書申込用紙(払込取扱票及び振替払込請求書兼受領証)に必要事項を記入し、ゆうちょ銀行・郵便局で手数料を添えて申請する方法 1通につき1,000円(消費税非課税)+ゆうちょ銀行・郵便局の払込料金
インターネットでの申込 自動車安全運転センターの公式ウェブサイトから申請する方法 1通につき1,000円(消費税非課税)+払込手数料143円

任意一括対応を受けるケースでは、相手方の保険会社から交通事故証明書のコピーの交付を受けられる場合もあります。

交通事故にあったときの現場でのNG行動3つ

交通事故にあった際、事故現場で避けるべき行動があります。

事故直後の対応を誤ると、示談交渉や賠償請求で不利な立場に置かれる可能性があるため、あらかじめ以下で確認しておきましょう。

1.事故現場で示談・賠償金の話をする

事故現場で示談や賠償金の話をするのは控えましょう。

示談は口頭でも成立するため、特別な事情がない限り、あとから取消し・撤回ができないためです。

予想以上に治療費がかかったり、休業期間が長引いたりしても、示談成立後は原則として追加請求できません。

事故による損害が確定するのは、けがの治療が終わり、後遺障害の有無が判明したときです。

事故直後に示談を成立させると、本来請求できたはずの賠償金を請求できず、十分な補償を受けられないリスクがあります。

相手から「お金を払うので警察を呼ばないでほしい」と言われても、応じてはいけません

軽い接触事故で目立ったけがや痛みがない場合でも、事故現場での示談は避けるべきです。

2.自分の非を認める発言をする

自分の非を認める発言は避けましょう。

示談交渉の際、事故直後の発言を蒸し返される可能性があります。

交通事故の損害賠償金は、発生した交通事故に対する当事者双方の責任割合(過失割合)に応じて相殺されます。

事故直後は気が動転し、「私が悪い」「自分にも不注意があった」と安易に述べてしまうケースは少なくありません。

また、アドレナリンの影響で痛みを感じにくいため、身体に衝撃を受けたにもかかわらず「けがは無いです」と述べてしまうこともあるでしょう。

上記のような発言が、直ちに過失割合の認定で不利になるわけではありません。

しかし、示談交渉や訴訟の場で相手方や保険会社に、不利な証拠として使われるおそれがあります。

無用な紛争を避けるためにも、相手や警察には事実を淡々と伝えることを心がけましょう。

3.けがをしたのに物損事故として処理することに同意する

「軽いけがだから」「相手が気の毒だから」という理由で、物損事故として処理することに同意してはいけません。

物損事故として処理されると、実況見分調書が作成されないため、事故状況に関する客観的資料が乏しくなります。

客観的証拠が少ないと、適正な過失割合の判断が困難になる可能性があります。

相手方の保険会社から、交通事故とけがの因果関係を否定される可能性も否定できません。

当初は「人身事故の場合と同等の補償をする」と述べていても、治療費の打ち切りを迫られるケースが多々あります。

物損事故として処理されると自賠責保険への請求もできません

人身損害に対する補償を十分に受けられなくなるおそれがあるため、軽症でも医療機関を受診して、人身事故として届け出をしましょう。

交通事故後に病院を受診すべき理由

交通事故で身体に衝撃を受けたら、必ず病院(医療機関)で医師の診察を受けてください。

事故直後は痛みがなくても、次第に悪化する場合があります。

整形外科などの医療機関を受診すれば、医学的根拠に基づいた適切な治療を受けられます。

事故直後は痛みがなくても次第に悪化する場合がある

事故直後は痛みがなくても、次第に痛みや症状が悪化する場合があります。

突然の事故に遭うと、身体は強い緊張や興奮状態になり、アドレナリンが分泌されます。

アドレナリンには鎮痛作用があるため、事故直後は痛みを感じにくくなっているのです。

時間が経過し、アドレナリン分泌による興奮作用がおさまると、身体は本来の痛みを感じるようになります。

軽症だからといって放置すると、慢性的な痛みに移行したり、後遺症が残ったりする可能性もあります。

症状がひどくなる前に適切な処置を受けるのが大切です。

医療機関を受診すれば、X線検査やCT・MRI検査で骨や神経の状態・損傷の度合いを詳細に確認し、適切な治療を受けられます。

通院記録が慰謝料・賠償金の算定根拠になる

事故直後に医療機関を受診して医師の診察や必要な検査を受けていれば、けがと事故との因果関係を立証しやすくなります。

交通事故によるけがの治療関係費は、必要かつ相当な範囲であれば、全額が損害として認められます。

医学的な合理性・必要性は、被害者側が個別具体的に立証しなければなりません。

医療機関を受診していれば、診断書や診療録から治療状況を確認できます。

治療の必要性・相当性に疑義が生じた場合も、主治医に意見を求められます。

交通事故によるけがの治療から示談成立までの流れ

本章では、交通事故によるけがの治療から示談成立までの流れを解説します。

①整形外科を受診する

交通事故でけがをしたときは、必ず医師による診断・治療を受けましょう。

事故後は必要な検査を受け、適切な治療方針を定めてもらう必要があります。

交通事故でけがを負ったときは、基本的に整形外科を受診します。

受傷状況によっては、歯科・脳神経外科など別の科を紹介されるケースもあるでしょう。

自覚症状を詳細に伝えたうえで、医師や病院の指示に従い、適切な科を受診してください。

自己判断で治療を止めず、医師の指示に従い、適切な頻度で必要な治療を受けましょう。

②症状固定に至ったら診断書の交付を受ける

治癒または症状固定(治療を継続しても症状の改善が見込めなくなった状態)の診断に至ったら、診断書の作成を依頼しましょう。

交通事故の治療終了後に取得する診断書には、主に以下の3種類があります。

診断書の種類 取得する目的
診断書 相手方または相手方の任意保険会社に損害賠償を請求する場合
自賠責診断書 相手方の自賠責保険会社に被害者請求をする場合
後遺障害診断書 後遺障害等級認定を申請する場合

任意一括対応・事前認定を受ける場合は、相手方の任意保険会社が診断書を取り寄せるため、被害者側からの提出は不要です。

③後遺症が残ったら後遺障害等級認定を申請する

事故によるけがが治癒(完治)せず、後遺症が残った場合は、後遺障害等級認定を申請します。

申請方法には、以下の2種類があります。

  • 事前認定:加害者側の保険会社に書類の収集・作成や申請手続きを任せる方法
  • 被害者請求:被害者自ら書類を収集・作成して直接申請する方法

それぞれのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

  事前認定 被害者請求
メリット ・書類の収集・申請書の作成・提出を相手方の保険会社がおこなってくれるため、手間や時間を省ける ・適正な等級認定を妨げる資料を提出される心配がない
・認定に有利な検査画像などの医学的所見や主治医の意見書を提出することで、適正な後遺障害等級の認定を受けられる可能性が高まる
デメリット ・相手方の保険会社が等級認定に有利となる資料を提出してくれるとは限らない
・保険会社が提出する意見書が審査に影響を及ぼし、本来あるべき等級よりも低い等級で認定されるおそれがある
・書類の収集や作成に手間がかかる

被害者請求をおこなう場合は、相手方の自賠責保険会社を介して、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所に提出します。

被害者請求に必要な書類は以下のとおりです。

  • 自動車損害賠償責任保険 保険金支払請求書兼支払指図書
  • 診断書
  • 後遺障害診断書
  • 交通事故証明書
  • 事故発生状況報告書
  • 診療報酬明細書
  • 通院交通費明細書
  • 付添看護自認書または看護料領収書
  • 休業損害証明書または確定申告書(控)
  • 請求者の印鑑証明書
  • 委任状および委任者の印鑑証明書(第三者に委任する場合)

④示談交渉を開始する

事故による損害が確定したら、相手方の保険会社との示談交渉を開始します。

通常は、相手方の保険会社が社内独自の基準に従って損害額を算定し、書面で提示してきます。

保険会社から提示された金額・内訳を確認し、内容が適切であるかどうかを確認しましょう。

必要に応じて、算定の根拠を問い合わせたり、対案を提示したりして交渉を進めます。

なお、相手方が任意保険に加入していない場合は、相手方本人と示談交渉をおこないます。

⑤示談が成立したら示談書または免責証書を交わす

示談金額に双方が合意すれば、示談が成立します。

示談成立後は、示談書を作成して取り交わします

相手方の保険会社が免責証書を作成し、記載事項を確認して被害者(または代理人)が記名押印する方法をとるのが一般的です。

交通事故にあったときに相談できる窓口

交通事故にあったときの主な相談窓口は、以下のとおりです。

相談窓口 内容 相談料 特徴
弁護士・法律事務所
(「ベンナビ交通事故」)
交通事故に関する法的なサポート全般
(法律相談・示談交渉の代理・訴訟の代理など)
30分5,500円程度
(初回無料の事務所もあり)
・専門的なアドバイスを受けられる
・費用がかかるため経済的な負担が大きい(ただし、加入している保険に弁護士費用特約が付いている場合は、弁護士費用を保険金で賄える)
法テラス 経済的に余裕がない方を対象に、無料の法律相談や弁護士費用の立て替え制度を提供 資力・収入要件を満たす場合は無料 ・経済的な負担が少ない
・利用には条件があり、すぐに利用できない場合がある
日弁連交通事故相談センター 弁護士による無料の電話相談や面談相談 無料 ・無料で相談できるため気軽に利用できる
・相談内容や日時が限られている場合がある
自治体の相談窓口 交通事故に関する一般的な相談 無料 ・交通事故の基本的な情報やアドバイスを得られる
・複雑な案件には対応できない場合がある
交通事故紛争処理センター 中立・公正な立場で、法律相談や和解あっせん、審査手続きなど 無料 ・中立的な立場で公正に解決を目指しているため、信頼性が高い
・対応に時間がかかる場合があり、和解に至らない可能性もある

無料で相談できる窓口もあるため、事故でけがをした・賠償に関して不安があるなどの場合はぜひ活用してみてください。

交通事故にあったら弁護士に相談すべき6つの理由

交通事故にあったら、弁護士への相談を強くおすすめします。

本章では、交通事故にあったときに弁護士に依頼すべき理由を6つのポイントに分けて解説します。

相手方や保険会社との交渉を任せられる

弁護士に依頼すれば、相手方や保険会社とのやり取りを一任できます。

相手方が任意保険に加入している場合は、交渉の当事者は保険会社となるのが一般的です。

けがの治療中も、書類のやり取りや電話連絡が必要になる場面も多く、ストレスを感じる方も少なくありません。

治療が不十分にもかかわらず、治療費の打ち切りを打診されるケースも多々あります。

保険会社の担当者は、一定の知識や交渉スキルを備えているため、自力で対応すると、不利な条件を受け入れてしまいかねません

弁護士であれば、保険会社の担当者を上回る豊富な知識や経験を活かし、粘り強く交渉できます。

面倒な手続きや保険会社とのやり取りから解放されるため、治療に専念できるでしょう。

治療費の打ち切りにも適切に対処してくれる

弁護士に依頼すれば、相手方の保険会社が治療費の打ち切りを打診してきた場合も、適切に対処してもらえます。

必要かつ相当な治療行為の費用は、原則として実際に支払った金額の全てが損害として認められます。

ただし、通院の頻度が高すぎたり低すぎたりすると、保険会社から治療の必要性や相当性について疑義を持たれることも少なくありません。

通院や治療については、保険会社に指摘されるような落ち度を作らないことが重要です。

弁護士に依頼すれば、主治医の意見を踏まえて、適切な頻度と相当な期間で必要な治療を受けるためのアドバイスが得られます。

保険会社から治療費の打ち切りを打診された場合も、具体的な治療計画・治療方針を説明して治療継続の必要性・支払いの延長を主張してもらえます。

慰謝料の増額が見込める

弁護士に示談交渉を依頼すれば、慰謝料を増額できる可能性があります。

弁護士であれば、裁判実務で用いられる基準を用いて慰謝料を算定・請求できるためです。

慰謝料の算定基準には、以下の3種類があります。

算定基準 内容
自賠責保険基準 自動車損害賠償保障法に規定された最低限の補償を目的とする基準
任意保険基準 各保険会社が独自に定めた社内基準(非公開)
弁護士(裁判)基準 過去の判例をもとに定められた基準

保険会社は、慰謝料の算定に社内独自の支払い基準(任意保険基準)を用います。

任意保険基準は、自賠責基準と同等か若干上乗せされる程度で、弁護士基準(裁判)基準より低額です。

弁護士は、3つの基準の中で最も水準の高い弁護士(裁判)基準を用いて慰謝料を算定・請求するため、慰謝料の増額が期待できます。

慰謝料以外の賠償金の請求漏れを防げる

弁護士に依頼すれば、慰謝料以外の費目も漏れなく請求してもらえます。

交通事故により被った損害に対して請求できるお金は、慰謝料だけではありません

慰謝料以外に請求できる賠償金の費目は、以下のとおりです。

人的損害 物的損害
積極損害 消極損害
・治療関係費
・付添看護費
・雑費
・通院交通費
・葬儀関係費
・弁護士費用 など
・休業損害
・後遺障害逸失利益
・死亡による逸失利益
・車両などの修理費
・買い換え差額
・評価損(格落ち損)
・代車費用
・休車損 など

請求できる費目・金額は個々の状況により異なりますが、自分で対応すると請求漏れや計算ミスが生じるおそれがあります。

弁護士に依頼すれば、被害状況に応じて請求できる費目・金額を精査してもらえるため、適正な賠償を受けられる可能性が高まります。

後遺障害等級認定申請を代行してもらえる

弁護士に依頼すれば、後遺障害等級認定申請も代行してもらえます。

治療しても完治できないけががあったり、痛みが残ったりする場合には、後遺障害等級認定の申請が必要です。

相手方の保険会社が資料の選定をおこなう事前認定では、被害者が提出書類を把握できないため、手続きの透明性を確保できません。

そのため、被害者請求をおこなうのが望ましいです。

ただし、被害者請求は手続きが煩雑で、資料集めの負担もかかります。

認定基準や要件を満たすための資料が不足していると等級非該当となったり、想定よりも低い等級で認定されたりするおそれもあります。

弁護士に依頼すれば、煩雑な手続きを一任でき、認定を受けやすくするために必要な検査などのアドバイスを受けられるでしょう。

弁護士特約を使えば実質無料で依頼できる可能性がある

自身が加入している自動車保険に弁護士費用特約がついていれば、実質無料で弁護士に依頼できる可能性があります。

弁護士費用特約とは、損害賠償請求にかかる弁護士費用や法律相談料を補償する特約です。

保険会社にもよりますが、一般的に300万円までの弁護士費用を保険金によって補償してもらえます。

重い後遺障害が残った場合や死亡事故を除き、弁護士費用が300万円を超えるケースは滅多にありません。

多くのケースでは、保険金で弁護士費用を賄えます。

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交通事故にあったら弁護士への依頼で賠償金を増額できた事例

本章では、「ベンナビ交通事故」を通じて依頼した弁護士のサポートにより、スムーズかつ有利な解決を実現できた事例を紹介します。

解決事例①示談交渉により990万円から3,210万円に損害賠償を増額

弁護士による示談交渉で、賠償金が990万円から3,210万円に増額できたケースです。

当初の賠償額 示談交渉後の賠償額 賠償額の増減
990万円 3,210万円 2,220万円の増額

歩道で停止中の歩行者(依頼者)に車両が衝突し、依頼者の顔には大きな傷跡が残りました。

しかし、後遺障害が外貌醜状のみの認定であったため、保険会社は逸失利益を完全否定し、当初990万円の賠償金を提示してきました。

依頼を受けた弁護士は、依頼者が接客業に従事しており、醜状は業務に大きく影響を及ぼす旨を主張立証。

結果的に保険会社が被害者側の主張を受け入れ、 3,210万円の賠償金を支払うことで示談が成立しました。

解決事例②後遺障害等級9級認定、慰謝料1500万から3000万に増額

弁護士のサポートにより、後遺障害認定の申請が認められ、当初の賠償額より1,500万円増額できたケースです。

当初の賠償額 示談交渉後の賠償額 賠償額の増減
1,500万円 3,000万円 1,500万円の増額

依頼者は、横断歩道を歩行中に車にひかれ、左足を複雑骨折しました。

事故によるけがの治療には3ヵ月の入院加療のあと、1年半の通院治療を要しました。

症状が重く、治療にも長期間を要したため、損害保険会社との交渉が難航するのではないかと不安に感じ、弁護士に依頼。

弁護士が後遺障害認定申請をおこない、後遺障害等級9級に認定された結果、賠償額は将来の治療費も含めて約3,000万円に増加しました。

交通事故にあったら覚えておきたい被害者救済制度

加害者が無保険の場合やひき逃げ事故で加害者が特定できない場合には、政府保証事業制度を利用できます。

交通事故で重度の後遺障害が残り、常時介護が必要な方は、NASVA(自動車事故対策機構)のサービスを受けられる可能性があります。

政府保障事業(国土交通省)

政府保障事業とは、自賠責保険の対象とならない交通事故の被害者を救済するために、政府(国土交通省)が損害をてん補する制度です。

ひき逃げ事故で加害者が見つからない場合や、加害者が無保険の場合に利用できます。

てん補される損害の範囲や限度額は自賠責保険の基準と同様です。

具体的には、以下の範囲で補償がおこなわれます。

損害 上限額
傷害 120万円
後遺障害 75万円~4,000万円(障害等級によって異なる)
死亡 3,000万円

交通事故による損害が全額てん補されるわけではありませんが、必要最小限の救済が受けられます。

政府保障事業への請求の受付窓口は、損害保険会社(共済組合)です。

詳細については、各損害保険会社または共済組合にお問い合わせください。

NASVA(自動車事故対策機構)

自動車事故対策機構(NASVA)は、自動車事故の被害者に対し、保険制度では救済しきれない経済的・精神的な支援を提供しています。

主な支援内容は、以下のとおりです。

支援 内容
療護施設 ・自動車事故による脳損傷で重度の後遺障害が残り、治療や常時介護が必要な方のうち、入院要件を満たす方が入院できる療護センターを国内4か所(委託病床は国内8か所)に設置
・自動車事故による脳損傷で重度の後遺障害(遷延性意識障害など)を被った被害者に対し、手厚い治療や看護、リハビリテーションがおこなわれている。
介護料の支給 ・自動車事故が原因で、脳・脊髄または胸腹部臓器を損傷し、重度の後遺障害が残った方のうち、移動・食事及び排泄など日常生活動作について常時または随時の介護が必要な状態の方に、介護料を支給する制度
・自賠責保険の後遺障害等級1級または2級の認定を受け、在宅にて介護を受けている方や病院に入院中でも家族の介護を受けている方は、要件を満たせば介護料の支給を受けられる可能性がある
生活資金貸付 自動車事故による被害者に対し、以下のような貸付制度が用意されている。
①交通遺児等貸付:自動車事故により死亡した被害者や、重度の後遺障害が残った被害者の子に対する貸付
②不履行判決等貸付:自動車事故による被害者で、確定判決や和解などによっても、損害賠償を受けられない方に対する貸付
③後遺障害保険金一部立替貸付:自動車事故により後遺障害が残った被害者に対し、その後遺障害について自賠責保険金の請求から支払いがなされるまでの間に対する貸付
④保障金一部立替貸付:悪質な事故(ひき逃げや無保険車)の被害者で、政府の保障事業に保障金を請求してから支払いがなされるまでの間に対する貸付

※各貸付制度には、利用条件が定められております。

詳細は以下をご確認ください。

交通事故にあったら抱く7つの質問

本章では、交通事故にあった方がよく抱く疑問にQ&A形式で回答します。

Q.交通事故にあったあと弁護士に依頼するタイミングはいつ?

弁護士への依頼は、事故後、早ければ早いほどよいでしょう。

依頼すべきかどうかわからない段階でも、無料相談を活用してアドバイスを得るのがおすすめです。

早期に弁護士に相談すれば、示談に不利になるような行動を控えられます。

たとえば、自己判断で治療を途中でやめたり、逆に必要もないのに通院頻度を高くし過ぎたりすると、入通院慰謝料が低くなる可能性があります。

あらかじめ弁護士に助言を受けていれば、相手方保険会社に足をすくわれるような落ち度を作らずに済むでしょう。

できるだけ早期に弁護士に依頼すれば、先を見越した対策を早めに打っておけます。

たとえば、後遺症が残ることが見込まれる場合には、必要な検査を医師に依頼するなど、後に有利となる行動をとれるでしょう。

Q.軽い接触事故でも警察への報告は必要?

軽い接触事故でも、警察への報告義務があります

警察への報告義務は、事故の当事者がけがをした場合に限られません。

被害者がいない車を擦っただけの軽微な自損事故でも、事故である以上警察に報告しなければなりません。

報告を怠ると、3ヵ月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金が科される可能性があります。

交通事故が発生したら、必ず警察に報告してください。

Q.保険会社から示談を急かされたらどうすればいい?

相手方の保険会社から示談を急かされても、焦って応じないようにしてください。

示談は一度成立すると、原則として、取消し・撤回が困難です。

損害が確定するまでは示談交渉を開始せず、必要に応じて弁護士に相談しましょう。

示談交渉を始める適切なタイミングは、以下のとおりです。

  • 後遺症が残らないけがをした場合:治療終了後
  • 後遺障害が残った場合:後遺障害等級認定の結果を受けた後

損害額が不明瞭な段階で示談交渉を持ちかけられても、応じないようにしてください。

Q.示談成立後に後遺障害が発覚したら追加請求できる?

示談成立後に後遺障害が発生したケースでは、追加請求できる場合があります

示談成立後に発覚した後遺障害が示談成立時に予測し得ない損害と認められる場合には、追加請求できるとした判例があります(最判昭和43年3月15日判決)。

ただし、示談後の後遺障害発生を理由とした追加請求は争いになる可能性が高いです。

原則として、示談後の追加請求は認められないため、保険会社がスムーズに受け入れるとは限りません。

示談後の後遺障害発生を理由とした追加請求では、以下の2点を証明する必要があります。

  • 後遺障害の発生が示談成立時には予測し得なかったこと
  • 事故と後遺障害に因果関係があること

立証は簡単ではないため、弁護士への依頼をおすすめします。

Q.事故で持病が悪化した場合は持病の治療費も請求できる?

交通事故と持病の悪化との相当因果関係について、医学的な裏付けがある場合は、治療費を請求できる可能性があります

ただし、事故前から持病で通院していた場合、相手方の保険会社が交通事故との相当因果関係を否定してくることも考えられます。

持病がある方が交通事故にあった場合、事故によるけがが持病の影響を受けて悪化したり、治療が長期化したりするケースがあるためです。

被害者の持病や性格(身体的・心理的素因)が事故によるけがの症状や治療に影響を与えたときは、賠償額が減額調整(素因減額)される場合があります。

素因減額は、被害者の持つ素因が疾患といえる程度である場合に限り適用されます。

単なる体質や軽微な持病では適用されませんが、判断は容易ではないため、不安な場合は弁護士への相談を検討してください。

Q.家族が事故にあったら連絡はくる?

家族が事故にあったら、通常、警察・病院・本人のいずれかから連絡がくるでしょう。

本人が意識不明または重傷で動けない場合は、現場に駆けつけた警察官が家族に連絡します。

家族が事故にあって緊急手術が必要な場合や、病院に搬送された場合などには、搬送先の病院から連絡が来ることがあります。

軽いけがで本人の意識があり、自分で動ける場合は、現場検証が終わって落ち着いてから連絡が来るケースが多いでしょう。

Q.交通事故にあったら会社に報告すべき?

業務上・通勤中に発生した事故は、業務災害や通勤災害に該当する可能性があるため、勤務先に報告する必要があるでしょう。

業務外・通勤外でも、社用車を使用していた場合は、勤務先への報告が求められます。

就業規則などで、事故報告を義務付けている企業も少なくありません。

一方、完全なプライベートで事故を起こした場合は、勤務先への報告は必須ではありません。

ただし、事故によるけがの治療などで休業・早退・遅刻する場合などには、報告しておいたほうがよいでしょう。

損害賠償請求の際、勤務先に休業損害証明書の発行などを依頼する可能性もあるため、事前に報告しておけばスムーズな対応が望めます。

まとめ

交通事故にあったら、運転を停止し、けが人の救護・危険防止措置を実施したうえで、警察に報告しましょう。

事故現場で示談に応じたり、自分の非を認める発言をしたりするのは避けてください

軽いけがでも、できる限り当日から翌日中に医療機関を受診しましょう。

医師の指示に従い、適切な頻度で、必要な治療を受けてください。

損害が確定したら、示談交渉を開始します。

相手方保険会社の提示額は適正額とは限らないため、弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。

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この記事の監修者
かがりび綜合法律事務所
代表弁護士 野条 健人 (大阪弁護士会)
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編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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