交通事故や自転車事故など、事故はいつ起きてしまうか分からないものです。弁護士費用を用意できず泣き寝入りとなってしまうケースも少なくありません。
ベンナビ弁護士保険は、弁護士依頼で発生する着手金を補償する保険です。
交通事故だけでなく、自転車事故、労働問題、離婚、相続トラブルなど幅広い法的トラブルで利用することができます。
弁護士保険で法律トラブルに備える
仕事中または通勤中に、交通事故に遭ってけがをした労働者は、労災認定を申請して労災保険給付を受給できます。
労災保険給付は、労災の認定要件を満たしている限り、交通事故の被害者・加害者のいずれの立場でも受給可能です。
弁護士のアドバイスを受けながら、交通事故による損害について適正な補償を受けつつ、トラブルの早期解決を目指しましょう。
本記事では交通事故によるけがについて労災認定を受けるための要件、交通事故加害者による労災保険給付の受給の可否、労災保険と任意保険(自動車保険)の併用などについて解説します。
仕事中や通勤中に交通事故を起こしてしまった方は、本記事を参考にしてください。
業務上の原因により、または通勤中にけがをした労働者は、労災保険の給付金(=労災保険給付)を受給できます。
仕事中または通勤中に発生した交通事故によるけがも、労災保険給付の対象です。
交通事故の加害者も、原則として被害者と同様に、労災保険給付を受給することができます。
治療費・休業損害・後遺症による逸失利益などの補償を受けられるので、該当する労災保険給付を漏れなく請求しましょう。
ただし、故意に交通事故を起こした加害者は、労災保険給付を受給できません(労働者災害補償保険法12条の2の2第1項)。
また、交通事故を発生させたことについて加害者に重大な過失がある場合や、正当な理由なく治療を受けなかった場合などにも、加害者は労災保険給付を受給できないことがあるので注意が必要です(同条2項)。
交通事故について労災保険の適用を受けるための条件は、被害者・加害者どちらの立場でも同じです。
「業務災害」または「通勤災害」の要件を満たしていれば、労災保険給付(労災認定)の対象となります。
運送業ドライバー(トラック・タクシーなど)による運転業務や、緊急用務のため休日に呼出しを受けて緊急出動する際の運転など、業務としての性質を有する運転の最中に発生した交通事故については、「業務災害」として労災保険給付を受給できる可能性があります。
けがの原因となった交通事故について、以下の要件をすべて満たす場合は業務災害に該当し、被災労働者は労災保険給付を受給できます。
基本的には、運転業務が会社の指示によるものである場合には、その運転中に発生した交通事故について労災保険給付を受給できる可能性が高いと考えられます。
通勤のための運転の最中に発生した交通事故については、「通勤災害」として労災保険給付を受給できる可能性があります。
けがの原因となった交通事故について、以下の要件をすべて満たす場合は通勤災害に該当し、被災労働者は労災保険給付を受給できます。
仕事中または通勤中の交通事故によって生じたけがについては、労災保険給付とともに、事故の相手方が加入している自賠責保険および任意保険(自動車保険)からも保険金を受け取ることができます。
漏れのないように補償を受けるため、労災保険と自賠責保険・任意保険を併用する際には、以下の各点に留意しておきましょう。
交通事故によって受けた精神的損害を補填する慰謝料は、労災保険によっては一切カバーされません。
これに対して、自賠責保険および任意保険では慰謝料も補償されます。
自賠責保険には支給限度額が設けられていますが、任意保険では客観的な精神的損害に相当する慰謝料全額が補償されます。
慰謝料について補償を受けるためには、労災保険給付だけでなく、自賠責保険および任意保険の保険金も請求しましょう。
労災保険給付では、慰謝料以外にも補償されない損害があります。
たとえば、休業損害については60%相当額(+特別支給金として20%相当額)しか補償されません。
後遺症による逸失利益についても、必ずしも全額が補償されるわけではありません。
また、車の修理費などの物損については、労災保険給付の対象外です。
労災保険給付によっては補償されない損害も、自賠責保険および任意保険では補償される場合があります。
特に任意保険では、対人・対物ともに無制限の補償がおこなわれるのが一般的です。
保険会社との交渉などの結果によりますが、休業侵害・後遺障害逸失利益・物損なども含めて、労災保険給付よりも幅広い補償を受けられる可能性があることを知っておきましょう。
交通事故が労災に該当する場合でも、労災保険と自動車保険(自賠責保険・任意保険)の保険金を二重取りすることはできません。
損害賠償に対応する給付については、労災保険と自動車保険の間で支給調整がおこなわれるためです。
具体的には、以下の労災保険給付と損害賠償項目が支給調整の対象となります。
支給調整の対象となる労災保険給付 | 保険金による損害賠償の項目 |
---|---|
療養(補償)給付 | 療養費(治療費など) |
休業(補償)給付 傷病(補償)年金 障害(補償)給付 遺族(補償)給付 |
逸失利益 |
葬祭料(葬祭給付) | 葬祭費用 |
先に自賠責保険または任意保険から保険金の支払いを受けた場合は、後に受給できる労災保険給付が減額されます。
反対に、先に労災保険給付を受給した場合は、後に請求できる自賠責保険・任意保険の保険金が減額されます。
この場合、被災労働者は労災保険給付を請求する際に、労働基準監督署に対して「第三者行為災害届」などを提出しなければなりません。
政府は交通事故の相手方(または保険会社)に対して、控除すべき労災保険給付に相当する金額を求償することになります。
交通事故が労災保険給付の対象となる場合、被災労働者は損害賠償に対応する給付に加えて「特別支給金」を受給できることがあります。
特別支給金の種類および内容は、下表のとおりです。
労災保険給付の種類 | 特別支給金の種類 | 特別支給金の内容 |
---|---|---|
休業(補償)給付 | 休業特別支給金 | 休業4日目以降、給付基礎日額の20%相当額 |
傷病(補償)年金 | 傷病特別支給金 |
傷病等級に応じて、以下の額の一時金 第1級:114万円 第2級:107万円 第3級:100万円 |
傷病特別年金 |
傷病等級に応じて、以下の額の年金 第1級:算定基礎日額の313日分 第2級:算定基礎日額の277日分 第3級:算定基礎日額の245日分 |
|
障害(補償)給付 | 障害特別支給金 | 障害等級に応じて、342万円(第1級)~8万円(第14級)の一時金 |
障害特別年金 |
障害等級に応じて、算定基礎日額の313日分(第1級)~131日分(第7級)の年金 ※障害等級第1級~第7級の場合 |
|
障害特別一時金 |
障害等級に応じて、算定基礎日額の503日分(第8級)~56日分(第14級)の一時金 ※障害等級第8級~第14級の場合 |
|
遺族(補償)給付 | 遺族特別支給金 | 300万円(一時金) |
遺族特別年金 |
遺族の人数などに応じて、算定基礎日額の153日分~245日分の年金 ※死亡した被災労働者と生計を同じくする、一定の要件を満たす遺族のみ受給可能 |
|
遺族特別一時金 |
算定基礎日額の1,000日分の一時金 ※遺族(補償)年金を受けることができる遺族がいない場合などに限って受給可能 |
特別支給金については、自賠責保険または任意保険との間で支給調整がおこなわれません。
したがって、自賠責保険または任意保険によって受けられる補償に加えて、特別支給金を上乗せ的に受給できます。
特別支給金を受給するため、自賠責保険・任意保険だけでなく、労災保険給付も併せて請求しましょう。
任意保険の保険金は、保険会社との示談交渉や訴訟などが終わってからでなければ、治療費などを除いて支払われません。
これに対して労災保険給付は、保険会社との示談交渉などが終わっていなくても、労働基準監督署などへの請求によって受給できます。
速やかに補償を受けたい場合は、先に労災保険給付を請求するとよいでしょう。
なお自賠責保険の保険金については、被害者自ら請求すれば、保険会社との示談交渉などが終わっていなくても受給可能です(=被害者請求)。
労災保険給付の請求と併せて、自賠責保険の被害者請求も検討しましょう。
仕事中または通勤中に交通事故に遭ってしまった場合は、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
仕事中・通勤中の交通事故について、弁護士に相談・依頼するのがよい主な理由は、以下のとおりです。
弁護士に相談すれば、労災保険や自賠責保険・任意保険の仕組みに加えて、それぞれの保険の効果的な活用方法をアドバイスしてもらえます。
複雑な支給調整のルールについても教えてもらえるので、保険の活用に関して損をすることを避けられるでしょう。
また、各保険の請求手続きについても、弁護士に相談すればアドバイスを受けられます。
特に自賠責保険の被害者請求については、交通事故の当事者が自らおこなうのは多くの手間がかかります。
弁護士に依頼すれば、被害者請求の手続きを代行してもらえるので、労力を大幅に軽減できるでしょう。
交通事故の被害者や、任意保険に加入していなかった加害者は、損害賠償請求について相手方との示談交渉をおこなうことになります。
示談交渉がまとまらなければ、裁判所における訴訟に発展する可能性が高いです。
示談交渉や訴訟について、自ら対応するのは非常に大変です。
準備に多大な労力がかかりますし、専門的な検討や書類の作成などを含めて、すべての対応を適切におこなうのは困難でしょう。
弁護士には、交通事故に関する示談交渉や訴訟などの対応を依頼できます。
弁護士に対応を一任すれば労力を大幅に軽減できますし、適正な形で交通事故トラブルを解決できる可能性が高まります。
交通事故によるけがが完治せずに後遺症が残った場合は、相手方の自賠責保険の保険会社を通じて、後遺障害等級の認定を申請しましょう。
認定される後遺障害等級に応じて、慰謝料および逸失利益を請求できます。
適正な後遺障害等級の認定を受けるためには、認定要件を満たすことが分かる後遺障害診断書を提出するなど、事前の準備が大切になります。
弁護士に依頼すれば、後遺障害等級認定の申請に関するサポートを受けられます。
弁護士が主治医と連携して準備を整えれば、適正な後遺障害等級の認定を受けられる可能性が高まるでしょう。
交通事故の被害者が適正額の損害賠償を受けるためには、客観的な損害額につき、漏れなく適正な基準で積算して請求することが大切です。
弁護士に依頼すれば、主要なものから細かいものまで、交通事故に関する損害額を漏れなく見積もってもらえます。
また、過去の裁判例に基づいて策定された「弁護士基準(裁判所基準)」に基づき、被害者に生じた客観的な損害額を適切に計算してもらえます。
弁護士によるこれらの対応は、適正額による損害賠償の獲得に繋がるでしょう。
交通事故の時点において任意保険に加入していなかった加害者は、被害者との示談交渉や訴訟などにつき、自ら対応しなければなりません。
被害者側の請求が妥当であるかどうかは、被害者に生じた客観的な損害額の把握・計算や、過失相殺(民法722条2項)に関する検討をおこなった上で判断する必要があります。
弁護士に相談・依頼すれば、これらの対応・検討を適切におこなってもらえます。
その上で、被害者側の請求額が妥当であるかどうかを適切に判断し、適正額を超える部分については支払いを拒否することができます。
交通事故について、相手方から多額の損害賠償を請求された場合には、速やかに弁護士へ相談しましょう。
業務の一環として、または通勤のために運転をしている最中に交通事故に遭ったら、弁護士へ相談しましょう。
加害者・被害者いずれの立場でも、適正な形でトラブルを解決するためのアドバイスを受けることができます。
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