交通事故の弁護士特約とは?メリットや使うべきケース・使い方を解説
交通事故の弁護士特約(弁護士費用特約)とは、事故の被害者に代わって保険会社が弁護士費用を負担してくれる制度です。
「弁護士に頼みたいけれど費用が心配」という方でも、特約があれば自己負担ゼロで弁護士に依頼できる可能性があります。
本記事では、弁護士特約の補償内容・対象者・使い方の流れをわかりやすく解説。
デメリットや注意点、特約がない場合の費用を抑える方法までも網羅的に解説します。
この記事の監修者
浅尾 耕平 (第一東京弁護士会)
交通事故の弁護士特約の基本概要
自動車保険には多くのオプション特約がありますが、交通事故の被害者にとって特に重要なのが弁護士特約(弁護士費用特約)です。
日本弁護士連合会が公表したデータによると、2024年における弁護士費用保険の販売件数は約2,660万件。
20年前と比べて約60倍以上の数字で、年々伸びています※。
弁護士特約の補償内容・対象者・保険料の目安など、まず押さえておくべき基礎知識を解説します。
弁護士特約は、弁護士費用を保険会社が負担する制度
弁護士特約は、交通事故の解決のために支払う弁護士費用を、一定金額まで保険会社が負担してくれる制度です。
弁護士特約なく個人で弁護士に依頼すると着手金や成功報酬で数十万円〜数百万円の費用がかかりますが、弁護士特約があれば一定金額まで自己負担なく弁護士を代理人に立てられます。
手元にまとまった資金がなくても、事故直後から不利益を被ることなく、正当な補償を求めて交渉を進められます。
弁護士特約の対象となる費用の内訳と上限金額
| 弁護士費用 | 1回の事故につき、被保険者1名あたり300万円限度 |
|---|---|
| 法律相談料 | 1回の事故につき、被保険者1名あたり10万円限度 |
弁護士特約でカバーされる費用には、法律相談料・着手金・成功報酬・実費(訴訟費用など)が含まれます。
上限金額は保険会社によって異なりますが、上限300万円が一般的です。
また、法律相談料として別途10万円の枠を設けている保険会社もあります。
なお、弁護士費用の算定方法や支払方法は、保険会社の約款や運用、弁護士との委任契約によって異なります。
保険会社から弁護士へ直接支払われる運用が多いものの、事前に保険会社や弁護士へ確認しておくと安心です。
弁護士特約が使える場面
弁護士特約は、交通事故の被害者として加害者側に対して損害賠償を請求する全ての場面で利用できます。
けがを伴う人身事故だけでなく、車やバイクなどの物損被害のみ(物損事故)の解決交渉でも対象です。
- 治療費の支払いや通院慰謝料をめぐる示談交渉
- 後遺障害等級の申請
- 過失割合の修正交渉 など
特に有効なのが、自分に過失がない「もらい事故・無過失事故」のケースです。
法律上の制約により、被害者の方に過失がない事故では自身の保険会社は示談交渉を代行できず、被害者が一人で加害者側と交渉しなければなりません。
弁護士特約を使えば、最初から弁護士を代理人に立てて対等以上に交渉を進められます。
弁護士特約の補償タイプは主に2種類
弁護士特約には、補償が及ぶ対象範囲に応じて主に「自動車事故型」と「日常生活型(日常事故型)」の2種類に分かれます。
| 自動車事故 | 日常生活での事故 | |
|---|---|---|
| 自動車事故型 | 〇 | ✕ |
| 日常生活型 | 〇 | 〇 |
自動車事故型は、自動車・バイク・歩行中の自動車との衝突など、道路交通上の自動車事故に特化した最も一般的なタイプです。
一方、日常生活型は、自転車同士の衝突や飼い犬が他人にけがをさせたケースなど、自動車事故以外の日常生活上の法的トラブルに対応できます。
保険会社によってプランの形態はさまざまなので、詳細は保険会社のホームページなどで確認してください。
弁護士費用特約の対象者
弁護士特約の対象者は、保険契約者本人だけでなく、家族や同乗していた人まで幅広く含まれます。
- 保険契約者
- 保険契約者の配偶者
- 保険契約者と同居の親族
- 保険契約者の別居の未婚の子
- 契約車両に同乗していた人
「別居の未婚の子」は、大学進学などで一人暮らしをしている未婚の子ども等を指し、子が歩行中に遭った事故でも親の特約が使える可能性があります。
補償対象となる人物は保険会社によって異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。
家族がそれぞれ別々の車で自動車保険に加入している場合、誰か一人が特約を付けていれば家族全員をカバーできるケースが多いです。
弁護士費用特約にかかる保険料
自動車保険に弁護士特約を付帯する場合の追加保険料は、保険会社によって異なりますが、自動車事故型で年間数千円程度が目安です。
万が一の事故時に数十万〜数百万円相当の弁護士費用が補償される点を考えると、費用対効果は非常に高いといえます。
複数の車を所有している場合、1台目の保険に特約を付帯しておけば、重複して支払う必要がない契約プランの保険会社もあります。
自動車保険を新規加入・更新するタイミングで、弁護士特約の付帯を必ず確認しておきましょう。
交通事故で弁護士特約を使うメリット4つ
交通事故の解決において弁護士特約を使用すると、経済的・精神的・手続き面でメリットが得られます。
被害者の立場を守り事故解決を有利に進めるための、4つの具体的なメリットを解説します。
弁護士費用の自己負担額を抑えられる
弁護士特約を使えば、本来発生する着手金や報酬金の自己負担額を抑え、費用面のハードルを下げられます。
通常、交通事故の示談を弁護士に依頼した場合の費用は100万円〜150万円程度です。
補償は上限300万円まで設定されていることが多いため、多くのケースにおいて実質0円で弁護士に依頼できます。
「弁護士に依頼したいが、今手元に現金がない」「示談金から弁護士費用を差し引かれると損をするのではないか」という不安を完全に解消できます。
特に、獲得できる賠償金が少額になりがちな軽微なけがや物損事故でも、費用倒れを気にせず依頼できる点が大きなメリットです。
弁護士基準が適用されて慰謝料が増額する
弁護士が介入すると、最も高額な賠償算定基準である弁護士基準が適用され、受け取れる慰謝料が大幅に増加する点もメリットです。
慰謝料の基準には自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準(裁判基準)の3種類があります。
| 種類 | 内容 | 基準 |
|---|---|---|
| 自賠責基準 | 法律で定められた最低限度の補償基準 | 最も低額(傷害で支払われるの上限額は120万円) |
| 任意保険基準 | 各保険会社が独自に定めた内部基準 | 自賠責基準より少し高額 |
| 弁護士基準(裁判基準) | 過去の判例に基づく最も高い基準で、弁護士が交渉に用いる基準 | 最も高額 |
保険会社は、一般的に自賠責基準もしくは任意保険基準で算出した低額の賠償金額を提示します。
被害者本人がどれだけ交渉しても、保険会社は弁護士基準での支払いを拒否する可能性が高いです。
しかし、弁護士が介入した段階で、弁護士基準を前提とした交渉がしやすくなります。
結果として、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料が当初の提示額から2〜3倍以上に増額するケースも少なくありません。
たとえば、むちうちで3ヵ月通院(実通院日数30日)した場合の慰謝料相場は、自賠責基準で25万8,000円、弁護士基準だと53万円と2倍以上の差が生じます。
示談交渉や手続きを弁護士に一任できる
弁護士特約を使うと、相手方保険会社との日々の電話交渉・郵便物の処理・複雑な申請実務を弁護士に一任できます。
事故後にけがの治療や仕事に専念すべき大切な時期に、保険会社の担当者と話し続けるのは多大なストレスです。
弁護士が正式に代理人となれば、通常、相手方保険会社との連絡窓口は弁護士に一本化され、被害者本人が直接やり取りする負担を減らせます。
また、過失割合の精査や後遺障害認定手続など、法律知識が必要な実務も弁護士のサポートを受けながら進められます。
弁護士特約を使っても保険の等級は下がらない
弁護士費用特約のみを使用する場合、一般的にはノーカウント事故として扱われ、自動車保険の割引等級(ノンフリート等級)は下がらず、翌年以降の保険料が上がることも通常ありません。
一般的なルールでは、車両保険や対人賠償・対物賠償を使用すると3等級ダウンとなり翌年の保険料が数万円高くなります。
しかし、弁護士費用特約のみの単独使用であればノーカウント事故として扱われ、等級は現在のまま維持されます。
交通事故で弁護士特約を使うデメリットはほぼない
弁護士特約の使用によるデメリットは、基本的に存在しないといえます。
使用しても等級が下がることも、示談交渉で不利になることもありません。
デメリットを強いてあげるとすれば、特約の利用開始時に保険会社へ連絡し、承認を得る手続きが必要な点です。
しかし、数十万〜数百万円に及ぶ弁護士費用が保険金からまかなわれることを考えれば、大きなデメリットではないでしょう。
補償上限額を超えるほどの死亡事故など超高額賠償を除き、通常の交通事故では自己負担なく弁護士を利用できます。
むちうちや軽傷のケースでは300万円を超すケースはほぼなく、費用面での心配は実質的に不要です。
弁護士特約が付帯しているかどうかは、保険証券やマイページで確認できます。
加入済みであれば、交通事故の損害賠償請求を弁護士に依頼する際に迷わず活用しましょう。
交通事故で弁護士特約を使った方がいいケース5つ
交通事故の被害に遭った場合、特に交渉が難航しやすいケースでは、弁護士特約を使うべきです。
どのようなトラブル状況において弁護士特約が効果を発揮するのか、5つのケースを実務視点で解説します。
自分に過失がないもらい事故の被害に遭った場合
信号待ちで追突されたなど、被害者の「過失割合が0」のもらい事故こそ、弁護士特約を使うべきケースです。
自分に過失がない場合、示談交渉を代理して行うことは、弁護士法72条により原則として弁護士にしか認められていません。
保険会社が示談交渉を代行できるのは、自社に保険金の支払義務がある範囲内で、いわば自己の権利義務として交渉しているためです。
しかし、被害者に過失がない『もらい事故』の場合、自身の保険会社には支払義務が生じないため、この示談代行の前提を欠き、保険会社が交渉を代行することができません。
そのため、被害者に過失がない『もらい事故』では、被害者は加害者側のプロの交渉担当者と一人でやり取りしなければならず、極めて不利な示談を迫られます。
特約を使って最初から弁護士を代理人に立てれば、不利な状況を打破し、対等以上に示談を進められるでしょう。
相手の保険会社が提示する示談金に納得できない場合
相手方の保険会社から送られてきた示談書の提示金額に不満がある場合や、妥当かどうか判断できない場合は特約を使いましょう。
相手方保険会社は、自社の支払い額を低く抑えるために自社規定の損害計算書を提示してきます。
法的知識が少ない人はそのままサインしがちですが、弁護士がチェックすれば弁護士基準との何十万円もの乖離が明らかになります。
特約を使えば、費用を1円も払うことなく、即座に適正額への引き上げ交渉を弁護士に委ねることが可能です。
事故によるむちうち等で後遺障害が残った場合
追突事故などでむちうち(頸椎捻挫など)になり、治療を続けても首の痛みやしびれなどの後遺症が残った場合、弁護士の介入が必要です。
むちうち症はレントゲンなどで他覚所見が出にくいため、保険会社から後遺障害ではないと否定されるケースが多くあります。
後遺障害と認められなければ、後遺障害に対する慰謝料は支払ってもらえません。
特約を使って弁護士に依頼すれば、医師の診断書の書き方へのアドバイスや客観的資料の作成などをサポートしてもらえ、高額な後遺障害慰謝料の獲得を目指せます。
相手の保険会社から治療費の打ち切りを打診された場合
通院期間中に、相手方保険会社から「そろそろ治療費の支払いを終了します」と言われた際にも特約は有効です。
保険会社による治療費の打ち切り打診は、被害者の医学的な回復状況ではなく、社内の支払統計平均値に基づき機械的におこなわれることが多いです。
まだ痛みが残っている状態で通院を強制終了されるのは避けなければならず、弁護士が主治医の意見を伝えたうえで治療費の延長交渉をおこなうべきです。
適切な通院期間の確保が、けがの完治のみならず、正当な通院慰謝料を確保するための重要な手段といえます。
相手方が任意保険に未加入で交渉が進まない場合
事故の加害者が任意保険に入っていない状態で、当事者同士の話し合いが前に進まない場合は直ちに弁護士に委ねるべきです。
無保険の加害者と個人で示談交渉しても、支払いを拒否されたり音信不通になったりするリスクが非常に高いです。
弁護士を立てると、加害者本人の財産や給与の差し押さえ・自賠責保険への被害者請求・被害者自身の人身傷害補償保険の活用などを戦略的に進められます。
回収が困難な相手に対しても、特約があれば自己負担を気にせず強制執行等の強力な法的な回収手続を弁護士に委託できます。
交通事故の弁護士特約を使うベストなタイミング
弁護士特約を使う最も適したタイミングは、示談交渉がこじれてからではなく「事故が発生した直後(けがの治療を開始する前)」です。
初期から弁護士のアドバイスを受けておくと、保険会社との対応を一任でき、不用意な発言による過失割合の不利化も防げます。
「示談金の額が提示されてから特約を使おう」と後回しにすると、手続き上の初動ミスを誘発しかねません。
相談したからといってすぐに正式委任を強制されるわけではないため、事故が発生したらできるだけ早い段階でまず弁護士に相談してみてください。
交通事故の弁護士特約の使い方と具体的な流れ5ステップ

弁護士特約を利用する際の手続きは非常にシンプルで、以下の5つのステップを踏むだけでスムーズに委任が完了します。
利用開始から解決後の支払い完了までの流れを5つの時系列ステップで紹介します。
ステップ1:自身の保険の加入状況を確認する
事故に遭ったら、まずは自分の自動車保険の保険証券かマイページなどで弁護士特約が付帯されているかを確認します。
加入状況がよくわからない場合は、証券に記載されているカスタマーセンターへ電話し、「○日に事故に遭いました。弁護士特約は使えますか?」と直接確認するのが確実です。
自分が加入している保険だけでなく、同居する家族の自動車保険、火災保険やクレジットカード付帯の特約も同時に確認しましょう。
ステップ2:保険会社に弁護士特約の利用を連絡する
弁護士特約が付いているとわかったら、自身の保険会社の事故担当者へ「今回の事故で弁護士特約を利用して弁護士に依頼します」と連絡します。
被保険者からの連絡により、保険会社の中で特約利用の受付手続が開始されます。
担当者から「すでに相談先の弁護士は決まっていますか?」と聞かれますが、未定であれば「今から自分で探すので、決まり次第連絡します」と答えて問題ありません。
特約の利用に関する注意点や、提出が必要な書類(利用確認書など)が郵送で届くので受け取りましょう。
保険会社への事前連絡・承認なしで弁護士に委任した場合は特約が使えないので、必ず先に保険会社へ連絡しましょう。
ステップ3:依頼する弁護士を探して相談する
交通事故の解決実績が豊富な信頼できる弁護士を自発的に探し、初回無料の法律相談を予約して面談をおこないます。
弁護士との面談時に「自身の保険の弁護士特約を使用したい」と伝えると、弁護士側から保険会社提出用の見積書を作成してもらえます。
弁護士から委任状や費用見積書のコピーを受け取り、自分の保険会社の担当者に提出して承認を求めましょう。
弁護士の受任の意思を保険会社に知らせたら、ステップ4の正式契約へと進みます。
ステップ4:弁護士と委任契約を結んで交渉を開始する
保険会社から弁護士特約の利用について正式な承認が下りたら、弁護士と委任契約を締結し、交渉を開始します。
委任契約書を交わした瞬間から、弁護士が被害者の完全な法的代理人となり、相手方保険会社との交渉窓口を一本化して引き受けます。
以降、相手の担当者から被害者に直接電話がかかってくることは基本的にありません。
弁護士は診断書等の医療記録の分析や過失割合の精査を進め、最も高額な弁護士基準での適正な示談金交渉へと移行します。
ステップ5:保険会社から弁護士へ直接費用が支払われる
弁護士費用の支払時期や支払方法は、保険会社の運用や弁護士との契約内容によって異なります。
保険会社から弁護士へ直接支払われることが多いですが、事前に確認しておくと安心です。
被害者本人の口座には、加害者側から支払われる損害賠償金(示談金)が振り込まれることが多いです。
被害者自身が弁護士費用を立て替えずに済む運用もありますが、支払方法は事前に確認しましょう。
なお、死亡事故や重大な後遺障害が残るケースなど、弁護士費用が補償上限額を超えた場合は、超過分のみ自己負担となります。
重大事故では事前に弁護士費用の見積もりと自己負担の可能性を確認しておくことが重要です。
ただし、その場合も超過分は相手方から受け取った損害賠償金の中から支払うことが一般的なため、手出しが発生しないケースがほとんどです。
むちうち等の軽い怪我の場合であれば、上限を超える心配はほぼありません。
交通事故における弁護士特約の注意点4つ
弁護士特約を利用する際、確認しておくべき注意点があります。
事故後の想定外のトラブルや自己負担を避けるために、被害者が押さえておくべき4つの注意点を解説します。
弁護士特約を使えない場面・ケースがある
交通事故であっても、被害者側に重大な過失(飲酒・無免許・意図的な事故など)がある場合などでは特約は使えません。
- 被保険者の故意または重大な過失による事故
- 無免許運転・酒気帯び運転中の事故
- 薬物などの影響を受けている恐れがある状態での事故
- 自分の過失が100%で、相手方に損害賠償請求できない事故 など
飲酒運転やひき逃げなどの犯罪行為、または自作自演による保険金詐欺の疑いがある場合、保険会社は支払い義務を免除されます。
また、自然災害による被害や、保険会社への事前連絡なしで弁護士に依頼した場合も対象外となるのが一般的です。
どのような事故状況が適用除外に該当するのか、自身の加入約款を事前に確認しておきましょう。
弁護士費用がゼロになるとは限らない
弁護士費用特約には上限額(一般には300万円)が設けられており、必ずしも自己負担なしで済むとは限りません。
損害賠償請求額が数千万円〜数億円に上るような重大事故の場合、成功報酬(獲得金額の約10〜15%)だけで上限枠をオーバーするケースがあります。
むちうちなどの通常のけがでは上限額を超える心配はほぼありませんが、大事故の際は事前に弁護士に見積もりを確認しましょう。
補償が重複しないようにする
家族の中で複数の自動車保険に弁護士特約を付帯している場合、補償が重複する可能性があります。
重複していても受け取れる保険金が増えるわけではないため、保険料の無駄払いに注意しましょう。
自動車保険だけでなく、火災保険やクレジットカードに付帯している弁護士特約も対象です。
家族全員の保険契約を一度確認し、すでに誰かが特約を付帯していれば、ほかの契約では外すことを検討しましょう。
事故後に加入しても弁護士特約は使えない
すでに発生した交通事故の被害に対して、事故が起きた日の翌日以降に慌てて弁護士特約に加入しても、その事故には一切適用できません。
保険契約は「将来発生する可能性のある偶発的な事故」を補償対象とするため、確定した過去の事象に対して適用できません。
「事故に遭ったから慌てて特約を追加した」としても、事故証明書の事故日と特約追加日の前後ですぐに判明します。
トラブルがない平常時から、万が一に備えて自分の任意保険に弁護士特約が付帯しておくことが肝心です。
弁護士特約が使えない場合の弁護士費用を抑える方法2つ
保険に弁護士特約が付帯していない、もしくは使えない状況であっても、適切な手段を選ぶと弁護士費用を大幅に引き下げることが可能です。
具体的な方法を2つ紹介します。
法テラスの弁護士費用立替制度を利用する
国が設立した「法テラス(日本司法支援センター)」の民事法律扶助を利用すると、収入・資産などの要件を満たす場合、同一問題につき3回まで無料法律相談を利用できることがあります。
法テラスの審査をクリアすれば、弁護士費用や実費の一部について立替えを受け、原則として分割で償還していくことになります。
また、法テラスの料金基準は一般の法律事務所より比較的低額に設定されているため、費用負担を抑えられる場合があります。
ただし、利用するためには「手取り収入や資産額が一定以下であること」などの経済的な審査基準を満たす必要があります。
相談料や着手金が無料の法律事務所を探す
交通事故案件を扱う法律事務所の中には、相談料を何度でも無料とし、かつ契約時の初期費用である着手金を0円に設定している事務所が数多くあります。
事故直後に高額な現金の用意ができなくても、直ちにプロの弁護士を代理人に立てて相手方への増額交渉を開始できるでしょう。
成功報酬は最終的に相手方から回収した示談金の中から、解決後に支払います。
万が一、慰謝料を請求できなかった場合には、成功報酬は発生しない契約もありますが、報酬体系は事務所によって異なります。
相談時に、着手金・報酬金・実費・日当・最低報酬の有無を確認しておきましょう。
弁護士特約を使う弁護士探しは「ベンナビ交通事故」
弁護士特約を利用して実力のある弁護士を探すなら、交通事故トラブルの解決に特化したポータルサイト「ベンナビ交通事故」の活用が有効です。
保険会社との交渉ノウハウが豊富な専門性の高い法律事務所が揃っています。
ベンナビ交通事故では、全国の交通事故に強い法律事務所を、住んでいる地域や相談内容、希望条件で絞り込んで検索・比較できます。
初回相談無料の事務所も多数掲載されており、費用面の不安がある方でも相談しやすいのが魅力です。
電話だけでなくメールやLINEで24時間問い合わせできる事務所も多く、平日日中に時間が取れない方でも相談の予約を入れやすいでしょう。
自分で探した弁護士でも特約は問題なく使えるため、「ベンナビ交通事故」を通じて自分と相性の良い弁護士を気軽に見つけてください。
交通事故の弁護士特約に関するよくある質問
交通事故における弁護士特約について、特によく寄せられる5つの疑問に回答します。
「本当に保険料は上がらないのか」「弁護士の途中変更は可能か」「自分で選んだら問題があるのか」など、気になる細部の疑問点を解消します。
保険約款の標準的なルールと弁護士実務に基づいた正確な回答を示します。
弁護士特約を使うと保険料は高くなりますか?
いいえ、弁護士特約だけを使っても翌年以降の保険等級(割引率)に影響はなく、保険料が高くなることはありません。
対人や対物の賠償金、または車両保険を併用しない限り、弁護士費用特約のみの使用はノーカウント事故として処理され、翌年も無事故と同様に扱われます。
「保険を使うと翌年の維持費が上がって損をするのでは」という不安は法的に不要です。
加入済みの場合は、迷わず特約を活用してください。
特約で依頼した弁護士を途中で変更できますか?
はい、交渉がうまくいかない場合や弁護士との信頼関係が破綻したと感じられる場合は、特約を適用したままでも途中で弁護士を変更することが可能です。
ただし、解任までに最初の弁護士が活動した分の相談料や着手金は、自分の保険会社から最初の弁護士へ支払われます。
最初の弁護士の活動分と二人目の弁護士の費用の合算が、特約上限の300万円の範囲内に収まる必要がある点には留意してください。
無駄なトラブルを防ぐため、解任前に「現在の進捗状況」と「費用発生状況」を確認し、新しい弁護士に事前に移行計画を相談することをおすすめします。
弁護士は保険会社に紹介された人にするべきですか?
いいえ、保険会社に紹介された弁護士に必ずしも依頼する必要はありません。
むしろ、自分で選んだ交通事故に強い弁護士に依頼することをおすすめします。
保険会社に紹介された弁護士が、必ずしも交通事故賠償に長けているというわけではないので、交通事故案件の経験、説明のわかりやすさ、相性などを踏まえて選ぶとよいでしょう。
自分で探した外部の弁護士に依頼しても、特約の使用を拒否されることは約款上ありませんので安心してください。
ただし、費用の支払いには保険会社の確認が必要となるため、事前に特約利用の意向を連絡しておくことをおすすめします。
弁護士特約を使うと、保険会社は嫌がりますか?
保険会社が弁護士特約の利用を嫌がることはありません。
弁護士特約は契約上の正当な権利です。
ただし、「担当者の対応が冷たくなった」「難色を示された気がした」と感じる利用者がいるのも事実です。
こうした印象が生まれる背景には、弁護士特約が使えないケースへの対応が関係していることが多いと考えられます。
自分の過失が100%の事故や、無免許・酒気帯び運転中の事故などでは弁護士特約を利用できません。
担当者がこれらの条件を説明する際に、利用者側が「断られた」「嫌がられた」と受け取ってしまうケースがあります。
特約の利用を申し出た際に担当者の反応が気になる場合は、約款で適用条件を確認したうえで、改めて利用の意思を伝えましょう。
条件を満たしている限り、保険会社が特約の利用を拒むことはありません。
日常生活での事故にも弁護士特約は使えますか?
自身の弁護士特約のプランが日常生活型(日常事故型)であれば、自動車事故以外の生活上の法的トラブルでも利用できます。
対象となる場面は幅広く、以下のようなケースが含まれます。
- 自転車同士の衝突事故
- 歩行中の予期せぬけが
- 飼い犬が他人にけがをさせたトラブル
- 子どもが他人の所有物を壊した損害賠償問題
自動車を所有していない家族の事故であっても、同乗者・別居の未婚の子などの範囲内であれば特約を活用できます。
自分の特約が「自動車事故限定」か「日常事故もカバー」のどちらのタイプになっているか、一度証券を確認しておきましょう。
交通事故の弁護士特約は何回使える?
弁護士特約は、基本的には利用回数に上限はないことが多いです。
ただし、利用回数や補償限度額の考え方は、保険会社や約款によって異なります。
補償の上限額は1回の事故・被害者1名あたり300万円が一般的です。
複数回利用した場合も、事故ごとに300万円の枠が適用されることが多いですが、具体的な取扱いは約款を確認しましょう。
利用回数に制限があるかどうかは保険会社や約款によって異なります。
加入している保険の契約内容を確認するか、保険会社に直接問い合わせてみましょう。
まとめ
交通事故の弁護士特約は、弁護士費用を一定金額まで保険会社が負担してくれる保険商品です。
補償金額は上限300万円が一般的で、自己負担金を限りなくゼロに抑えて弁護士に依頼できます。
特約のみの単独使用では等級が下がらず保険料も上がりません。
保険会社とのやり取りや示談金に不満があるなら、使わないこと自体が大きな損失です。
もらい事故・むちうち・治療費の打ち切り打診・示談金への不満など、弁護士特約が効果を発揮するケースは多岐にわたります。
まずは自分や家族の自動車保険・火災保険などの証券を確認しましょう。
事故後はできるだけ早い段階で「ベンナビ交通事故」などを活用して、交通事故に強い弁護士へ相談するのをおすすめします。
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特約を利用して弁護士に相談する交通事故問題を依頼する弁護士の選び方にはポイントがあります。
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この記事の監修者
浅尾 耕平 (第一東京弁護士会)
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