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日ごろから自転車に乗る習慣がある人なら、一度はこんなことを考えたことがあるのではないでしょうか?
しかし、実はお酒を飲んだあとに自転車を運転すると、懲役・罰金などが課される場合があります。
自動車の飲酒運転が違法というのは浸透していますが、自転車の飲酒運転に関するルールについては、詳しく知らない方が多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、自転車の飲酒運転に関するルールや罰則について、わかりやすく説明します。
自転車の飲酒運転は「知らなかった」では済まされないので、本記事を読んで、ルールをしっかりと確認しておきましょう。
結論から言うと、自転車の飲酒運転は道路交通法に違反します。
違反する根拠について、以下で丁寧に説明します。
大前提として道路交通法第65条は、飲酒運転を禁じています。
(酒気帯び運転等の禁止)
第六十五条 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
引用元:道路交通法|e-Gov 法令検索
自転車は、車の免許をもっていない人でも乗ることができますが、自転車に乗る際は道路交通法をよく確認しておくとよいでしょう。
道路交通法第2条のうち、第17号、第8号、第11号と順に確認すると、「車両等」には自転車が含まれることになっています。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
八 車両 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。
十一 軽車両 次に掲げるもの(中略)をいう。
イ 自転車、(中略)
十七 (中略)車両又は路面電車(以下「車両等」という。)(中略)
つまり、自動車だけでなく自転車も車両として扱われるため、飲酒運転は禁じられているのです。
自転車の飲酒運転をした場合の罰則は、自動車の飲酒運転の場合とは異なります。
以下では、飲酒運転の種類とあわせて、自転車の飲酒運転の罰則について確認しておきましょう。
道路交通法では、飲酒運転は「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」の2種類に分類されており、それぞれ飲酒の程度と罰則が異なります。
違反の種類 |
飲酒の程度 |
罰則 |
酒酔い運転 |
アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態(道路交通法第117条の2第1号) |
5年以下の懲役又は100万円以下の罰金(道路交通法第117条の2第1号) |
酒気帯び運転 |
呼気中アルコール濃度が1リットルあたり0.15mg以上、又は血液1ml中0.3mg以上含まれる状態(道路交通法117条の2の2第3号、道路交通法施行令第44条の3) |
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金(道路交通法第117条の2の2第3号) |
2024年10月時点の道路交通法の規定では、酒酔い運転の罰則対象は「車両等」と規定されていますが、酒気帯び運転の罰則対象は「車両等(軽車両を除く)」と規定されています。
そのため、自転車は酒酔い運転の罰則対象となりますが、酒気帯び運転の罰則対象とはなっていませんでした。
近年の自転車の酒気帯び運転による死亡重傷事故率の高まりなどの影響をきっかけに、2024年11月1日より、改正道路交通法が施行されることとなりました。
改正道路交通法では、酒気帯び運転の罰則を規定する第117条の2の2第3号の文言が、以下のとおり変更されることになります。
変更前 |
第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの |
⇩
変更後 |
第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等(自転車以外の軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの |
改正後は、酒気帯び運転の罰則対象から自転車が除外されないことから、自転車も酒気帯び運転の対象となりました。
今後は、お酒を飲んだ量や泥酔の程度にかかわらず、罰則の対象となることを覚えておきましょう。
特に、刑事法が改正されてすぐのタイミングは、世の中へ周知するためにも捜査機関も頑張って検挙することが多い印象です。
実際ニュースサイトでも検挙が全国で何人目というのがニュースになっています。立法事実があってせっかく改正したのですからそのような運用があることもやむを得ない面があります。
とつぜん検挙されて報道されてしまった人は気の毒ですが、日頃から法改正のニュースはよく読んでおくとよいと思います。
法改正により、自転車の酒気帯び運転を幇助した人にも罰則が適用されることになったので、注意が必要です。
自転車を貸した人と、酒類を提供したひとそれぞれに課せられる罰則は、以下のとおりです。
改正道路交通法は、飲酒運転に関する罰則のほかにも、いくつか新たなルールを設けています。
新たなルールの一つとして、自動車運転講習の義務付けに関する規定が新設されました。
具体的には、自転車の酒気帯び運転を含む15種類の危険行為を3年以内に2回以上した人は、自転車運転者講習の受講が義務付けられることとなっています。
自転車運転者講習の受講を怠ると、5万円以下の罰金に処されるので注意が必要です。
自動車の運転免許を取らなくても自転車を運転できるので、自転車で飲酒運転をおこなっても自動車運転免許の違反加点事由とはなりません。
ただし、自転車の飲酒運転が悪質な場合、公安委員会の判断によって自動車運転の免許停止又は免許取消の処分になる可能性があります。
(免許の取消し、停止等)
第百三条 免許(仮免許を除く。以下第百六条までにおいて同じ。)を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その者が当該各号のいずれかに該当することとなつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。(中略)
一~七 (省略)
八 (中略)、免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき。
とくに自動車の運転免許証を有している人は、普段から交通マナーを遵守するよう心がけましょう。
2026年5月23日までに施行される改正道路交通法により、自転車などの軽車両に対する反則金制度が新設される予定です。
反則金制度とは、運転者がおこなった比較的軽微かつ、現認、明白、定型的な一定の道路交通法違反について、反則者が警察本部長の通告を受けて反則金を納付した場合は、公訴が提起されない制度をいいます。
該当の運転者に交付される反則金仮納付書は青色なので、通称「青切符」と呼ばれています。
青切符での取締りが適用されるのは、16歳以上の自転車運転者です。
反則金制度の対象となる違反行為は約110種類となる見込みですが、飲酒運転や無免許運転などのとくに悪質な行為は対象外となる点に注意しましょう。
以下では、自転車の飲酒運転についてよくある質問をまとめました。
似たような疑問を持っている方は、ぜひここで疑問を解消してください。
2024年11月施行の改正道路交通法が適用される前か後かで、自転車の飲酒運転の罰則の内容は異なります。
改正法の適用時期と罰則の関係性について、下記の表で整理したので、参考にしてみてください。
酒酔い運転 (5年以下の懲役又は100万円以下の罰金) |
酒気帯び運転 (3年以下の懲役又は50万円以下の罰金) |
自転車の提供者・酒類提供者・同乗者など (3年以下の懲役又は50万円以下の罰金・2年以下の懲役又は30万円以下の罰金) |
|
2024年10月以前 |
◯(罰則あり) |
ー(罰則なし) |
ー(罰則なし) |
2024年11月以降 |
◯(罰則あり) |
◯(罰則あり) |
◯(罰則あり) |
飲酒後であっても、自転車に乗らずに手押しで歩いていれば、車両を運転しているとはみなされず、歩行者として扱われるので、道路交通法違反とはなりません。
ただし、自転車を押して歩いている途中で交通事故に遭った場合、飲酒の影響が疑われれば過失割合が認められ、加害者へ請求できる損害賠償請求額が少なくなってしまう場合があります。
自転車を手押しする際も、細心の注意を払いましょう。
自転車は多くの人にとって気軽に利用しやすい移動手段です。
つい気が緩んで「少し酔ったくらいなら大丈夫だろう」と油断してしまいがちですが、一歩間違えれば重大な事故を引き起こすおそれもあります。
事故を起こしてしまってからでは遅いです。
もしお酒を飲んだなら、安全には十分に気をつけたうえで、自転車を手押しで帰るようにしましょう。
自転車を置いたままにして、家族や知人に迎えに来てもらったり、タクシーや公共交通機関を利用したりするのもよいでしょう。
あらかじめ飲み会が予定されている場合、会場へは自転車で向かわないのも一案です。
繰り返しになりますが、自転車の飲酒運転は道路交通法に違反します。
「自転車でも飲酒運転は絶対にしない!」と強く心に留めておきましょう。
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