お酒を飲んで自転車運転は違法!罰則と2024年の法改正で厳しくなる規制とは?

- 「お酒を飲んでしまったけど、ついつい自転車で帰りたくなった」
- 「泥酔していないから、自転車に乗って帰っても問題ないだろう」
- 「お酒を飲んだけど、車に乗るわけじゃないから自転車くらいなら大丈夫だろう」
日ごろから自転車に乗る習慣がある人なら、一度はこんなことを考えたことがあるのではないでしょうか?
しかし、実はお酒を飲んだあとに自転車を運転すると、懲役・罰金などが課される場合があります。
自動車の飲酒運転が違法というのは浸透していますが、自転車の飲酒運転に関するルールについては、詳しく知らない方が多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、自転車の飲酒運転に関するルールや罰則について、わかりやすく説明します。
自転車の飲酒運転は「知らなかった」では済まされないので、本記事を読んで、ルールをしっかりと確認しておきましょう。
お酒を飲んで自転車に乗るのは違法
結論から言うと、自転車の飲酒運転は道路交通法に違反します。
違反する根拠について、以下で丁寧に説明します。
車両の酒気帯び運転は禁止
大前提として道路交通法第65条は、飲酒運転を禁じています。
(酒気帯び運転等の禁止)
第六十五条 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
引用元:道路交通法|e-Gov 法令検索
自転車は、車の免許をもっていない人でも乗ることができますが、自転車に乗る際は道路交通法をよく確認しておくとよいでしょう。
自転車は軽車両として規制の対象となる
道路交通法第2条のうち、第17号、第8号、第11号と順に確認すると、「車両等」には自転車が含まれることになっています。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
八 車両 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。
十一 軽車両 次に掲げるもの(中略)をいう。
イ 自転車、(中略)
十七 (中略)車両又は路面電車(以下「車両等」という。)(中略)
つまり、自動車だけでなく自転車も車両として扱われるため、飲酒運転は禁じられているのです。
自転車の飲酒運転をした場合の罰則
自転車の飲酒運転をした場合の罰則は、自動車の飲酒運転の場合とは異なります。
以下では、飲酒運転の種類とあわせて、自転車の飲酒運転の罰則について確認しておきましょう。
これまでは「酒酔い運転」のみが対象だった
道路交通法では、飲酒運転は「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」の2種類に分類されており、それぞれ飲酒の程度と罰則が異なります。
違反の種類 |
飲酒の程度 |
罰則 |
酒酔い運転 |
アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態(道路交通法第117条の2第1号) |
5年以下の懲役又は100万円以下の罰金(道路交通法第117条の2第1号) |
酒気帯び運転 |
呼気中アルコール濃度が1リットルあたり0.15mg以上、又は血液1ml中0.3mg以上含まれる状態(道路交通法117条の2の2第3号、道路交通法施行令第44条の3) |
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金(道路交通法第117条の2の2第3号) |
2024年10月時点の道路交通法の規定では、酒酔い運転の罰則対象は「車両等」と規定されていますが、酒気帯び運転の罰則対象は「車両等(軽車両を除く)」と規定されています。
そのため、自転車は酒酔い運転の罰則対象となりますが、酒気帯び運転の罰則対象とはなっていませんでした。
2024年11月より「酒気帯び運転」でも対象に
近年の自転車の酒気帯び運転による死亡重傷事故率の高まりなどの影響をきっかけに、2024年11月1日より、改正道路交通法が施行されることとなりました。
改正道路交通法では、酒気帯び運転の罰則を規定する第117条の2の2第3号の文言が、以下のとおり変更されることになります。
変更前 |
第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの |
⇩
変更後 |
第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等(自転車以外の軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの |
改正後は、酒気帯び運転の罰則対象から自転車が除外されないことから、自転車も酒気帯び運転の対象となりました。
今後は、お酒を飲んだ量や泥酔の程度にかかわらず、罰則の対象となることを覚えておきましょう。
特に、刑事法が改正されてすぐのタイミングは、世の中へ周知するためにも捜査機関も頑張って検挙することが多い印象です。
実際ニュースサイトでも検挙が全国で何人目というのがニュースになっています。立法事実があってせっかく改正したのですからそのような運用があることもやむを得ない面があります。
とつぜん検挙されて報道されてしまった人は気の毒ですが、日頃から法改正のニュースはよく読んでおくとよいと思います。
自転車を貸した人、酒類を提供した人も罰則の対象
法改正により、自転車の酒気帯び運転を幇助した人にも罰則が適用されることになったので、注意が必要です。
自転車を貸した人と、酒類を提供したひとそれぞれに課せられる罰則は、以下のとおりです。
- 酒気帯び運転者に対して自転車を提供した人
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 - 酒気帯び運転者に対して酒類を提供した、又は酒気を帯びている自転車に同乗した人
2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
飲酒運転など違反行為を繰り返すと講習制度の対象に
改正道路交通法は、飲酒運転に関する罰則のほかにも、いくつか新たなルールを設けています。
新たなルールの一つとして、自動車運転講習の義務付けに関する規定が新設されました。
具体的には、自転車の酒気帯び運転を含む15種類の危険行為を3年以内に2回以上した人は、自転車運転者講習の受講が義務付けられることとなっています。
自転車運転者講習の受講を怠ると、5万円以下の罰金に処されるので注意が必要です。
自転車の飲酒運転で自動車の運転免許が取り消しとなる可能性も
自動車の運転免許を取らなくても自転車を運転できるので、自転車で飲酒運転をおこなっても自動車運転免許の違反加点事由とはなりません。
ただし、自転車の飲酒運転が悪質な場合、公安委員会の判断によって自動車運転の免許停止又は免許取消の処分になる可能性があります。
(免許の取消し、停止等)
第百三条 免許(仮免許を除く。以下第百六条までにおいて同じ。)を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その者が当該各号のいずれかに該当することとなつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。(中略)
一~七 (省略)
八 (中略)、免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき。
とくに自動車の運転免許証を有している人は、普段から交通マナーを遵守するよう心がけましょう。
自転車の違反行為については反則金制度も導入予定
2026年5月23日までに施行される改正道路交通法により、自転車などの軽車両に対する反則金制度が新設される予定です。
反則金制度とは、運転者がおこなった比較的軽微かつ、現認、明白、定型的な一定の道路交通法違反について、反則者が警察本部長の通告を受けて反則金を納付した場合は、公訴が提起されない制度をいいます。
該当の運転者に交付される反則金仮納付書は青色なので、通称「青切符」と呼ばれています。
青切符での取締りが適用されるのは、16歳以上の自転車運転者です。
反則金制度の対象となる違反行為は約110種類となる見込みですが、飲酒運転や無免許運転などのとくに悪質な行為は対象外となる点に注意しましょう。
自転車の飲酒運転についてよくある質問
以下では、自転車の飲酒運転についてよくある質問をまとめました。
似たような疑問を持っている方は、ぜひここで疑問を解消してください。
自転車の飲酒運転で罰金が発生するのはいつから?罰金はいくら?
2024年11月施行の改正道路交通法が適用される前か後かで、自転車の飲酒運転の罰則の内容は異なります。
改正法の適用時期と罰則の関係性について、下記の表で整理したので、参考にしてみてください。
酒酔い運転 (5年以下の懲役又は100万円以下の罰金) |
酒気帯び運転 (3年以下の懲役又は50万円以下の罰金) |
自転車の提供者・酒類提供者・同乗者など (3年以下の懲役又は50万円以下の罰金・2年以下の懲役又は30万円以下の罰金) |
|
2024年10月以前 |
◯(罰則あり) |
ー(罰則なし) |
ー(罰則なし) |
2024年11月以降 |
◯(罰則あり) |
◯(罰則あり) |
◯(罰則あり) |
自転車の手押しでも、飲酒運転の処罰対象になるの?
飲酒後であっても、自転車に乗らずに手押しで歩いていれば、車両を運転しているとはみなされず、歩行者として扱われるので、道路交通法違反とはなりません。
ただし、自転車を押して歩いている途中で交通事故に遭った場合、飲酒の影響が疑われれば過失割合が認められ、加害者へ請求できる損害賠償請求額が少なくなってしまう場合があります。
自転車を手押しする際も、細心の注意を払いましょう。
さいごに|自転車でも飲酒運転は絶対にしない!
自転車は多くの人にとって気軽に利用しやすい移動手段です。
つい気が緩んで「少し酔ったくらいなら大丈夫だろう」と油断してしまいがちですが、一歩間違えれば重大な事故を引き起こすおそれもあります。
事故を起こしてしまってからでは遅いです。
もしお酒を飲んだなら、安全には十分に気をつけたうえで、自転車を手押しで帰るようにしましょう。
自転車を置いたままにして、家族や知人に迎えに来てもらったり、タクシーや公共交通機関を利用したりするのもよいでしょう。
あらかじめ飲み会が予定されている場合、会場へは自転車で向かわないのも一案です。
繰り返しになりますが、自転車の飲酒運転は道路交通法に違反します。
「自転車でも飲酒運転は絶対にしない!」と強く心に留めておきましょう。
弁護士に相談するかお悩みの方へ
下のボタンからあなた当てはまるものを選んで悩みを解消しましょう。
弁護士費用特約があれば 実質0円で依頼できます!

多くの保険会社では、被害者1名につき最大300万円までの弁護士費用を負担してくれます。特約があるか分からない方でも、お気軽にご相談ください。弁護士と一緒にご確認した上で依頼の有無を決めて頂けます。
特約を利用して弁護士に相談する交通事故問題を依頼する弁護士の選び方にはポイントがあります。
- 過去の解決事例を確認する
- 料金体系が明確である弁護士を選ぶ
- 交通事故問題が得意な弁護士から選ぶ
等です。
詳しくは以下の記事を読んで、正しい弁護士の選び方を理解した上で弁護士に相談しましょう。
弁護士の選び方について詳しくみる
【初回相談・着手金無料/弁護士特約で実質負担ゼロ/完全成功報酬制】年間100件以上の解決実績/死亡事故・高次脳機能障害・労災などの複雑案件にも対応!平日・休日を問わず、朝10時~夜22時まで直通対応【直通TEL】
事務所詳細を見る
【相談料/着手金0円+電話相談◎】賠償額が妥当か判断してほしい/交渉で解決したい方はご相談を!早期解決と依頼者様の負担軽減に努めております|来所不要!電話でご依頼できます◆弁護士費用特約に対応◆土日祝
事務所詳細を見る
何度でも相談料0円/着手金0円!完全成功報酬※保険会社との交渉に自信!まずはご面談ください●累計相談2000件以上/賠償金約300万円増額実績あり《詳細は写真をクリック》あなたの持つ権利をお守りします
事務所詳細を見る当サイトでは、有料登録弁護士を優先的に表示しています。また、以下の条件も加味して並び順を決定しています。
・検索時に指定された都道府県に所在するかや事件対応を行っている事務所かどうか
・当サイト経由の問合せ量の多寡


交通事故後の対応に関する新着コラム
-
交通事故トラブルを抱えるなかで、弁護士だけでなく行政書士にも対応してもらえることを知り、主に費用面が気になっている方も多いのではないでしょうか。本記事では、行政...
-
本記事では、レンタカーを運転していて交通事故に遭った場合、相手が100%悪くてもレンタカー会社へお金を支払わなければならない理由やレンタカー会社からお金を請求さ...
-
本記事では、交通事故の被害に遭った方に向けて、被害者が利用できる保険(自賠責保険・任意保険)の種類、加害者の自賠責保険と被害者の任意保険を使用する順番、加害者側...
-
交通事故によるけがで仕事を休む場合、いつ頃復帰するのが適切なのでしょうか?本記事では、交通事故が原因で仕事を休む場合の一般的な休業期間や、休業した場合にもらえる...
-
交通事故に遭った場合、会社から診断書の提出を求められることがあります。しかし、費用の問題などからためらっている方も多いのではないでしょうか。本記事では、交通事故...
-
本記事ではもらい事故でできる限り得したいと考えている方に向けて、もらい事故で得する(損しない)ための3つの基礎知識、もらい事故で得したい人が弁護士に依頼するメリ...
-
本記事では、交通事故の被害者の方に向けて、交通事故の示談が成立した場合、どのくらいに示談金が振り込まれるか説明しています。また、振り込みが遅れる場合のパターン、...
-
本記事では、過失割合10対0の交通事故で自車両が全損したときの買い替え費用の計算方法、買い替えか修理かを判断するポイントなどについてわかりやすく解説します。
-
交通事故当事者本人同士が直接連絡を取り合うべきかは、状況によって異なります。本記事では、交通事故の相手方から直接電話がかかってきたときの対処法や、相手方と直接や...
-
本記事では、治療費の打ち切りを打診されたり、実際に打ち切られたりしても、むちうちの治療を継続する方法や、MRIで異常がなくても後遺障害等級の認定を受けられる可能...
交通事故後の対応に関する人気コラム
-
当て逃げに遭ってしまった方へ、少しでも解決に近づけるための対処法をご紹介します。
-
物損事故とは、怪我人や死亡者がなく車両などに損害が出たにとどまる交通事故のことです。物損事故では相手方と示談交渉で揉めてしまう可能性もありますので、ポイントをお...
-
交通事故発生後は、警察に連絡・治療(人身事故の場合)・保険会社との交渉と進んでいきます。本記事では、各場面の詳しい対応や、いつ連絡が来るのかなどの期間についても...
-
交通事故が起きて被害者となった場合、「自分は被害者だから、待っているだけで何もする必要はない」と考えているなら、それは大きな間違いだと言えます。
-
交通事故が起きたら、物損事故・人身事故問わず警察へ届け出なければいけません。これは法律で義務付けられており、報告を怠ると法律違反として処罰を受ける可能性もありま...
-
交通事故のうち3割は駐車場で起こっているといわれています。駐車場は私有地になるため、事故が起こったあとの対処が一般道路とは異なる部分があります。本記事では、駐車...
-
交通事故に遭ったら「警察」に連絡し、加害者の身元、加入保険会社の情報、できれば目撃者の証言も確保しておきましょう。ただ、事故直後は動転し、忘れてしまう事もあるこ...
-
追突事故を起こした場合はなるべく早く被害者に謝罪すべきですが、謝罪をする際は、最低限のマナーを守り、相手に誠意を見せることが大切です。この記事では、謝罪の手順や...
-
接触事故とは、走行中の自動車が車両・物・人などに接触して、損害や傷害が生じた事故のことです。接触事故では「怪我の有無」で賠償金の内容が異なりますので、事故後の流...
-
ひき逃げは、交通事故で人を死亡又は負傷させたものの、警察に届ける事なくその場を立ち去る道路交通法第72条に違反する行為です。この記事ではひき逃げをされた被害者が...
交通事故後の対応の関連コラム
-
交通事故の相手が外国人でも、通常の交通事故と同様に損害賠償を請求することができます。しっかりと賠償金を受け取るためにも、事故時の対応方法について知っておきましょ...
-
自転車事故に遭った際は、必ず警察に報告しなければいけません。報告を怠ると、損害賠償請求で不利になる可能性があります。この記事では、自転車事故で警察を呼ばなかった...
-
本記事では、交通事故の被害に遭った方に向けて、交番では交通事故証明書をもらえないこと、交通事故証明書のもらい方・申請の流れ、インターネット上からの交通事故証明書...
-
追突事故に遭い、示談交渉がスムーズに進まずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。自力で解決しようとしても、問題の複雑化を招くおそれがあるので、まずは弁護士に...
-
本記事では、被害者の視点から当て逃げの被害届を出す理由・放置したときのリスク・やるべき手続き・加害者に対する損害賠償請求について、詳しく解説します。当て逃げで泣...
-
タクシーとの交通事故は、誰にとっても突然の出来事。しかし、事故直後の行動次第で、その後の示談や補償に大きな影響が出ます。 本記事では、タクシー事故時に取るべき...
-
無保険事故の被害者になった時によく発生する問題点や対処法について紹介します。
-
本記事では、ドライブレコーダーの録画で犯人が捕まる可能性があるかや、当て逃げの検挙率、駐車中の当て逃げによって相手に問える責任を解説します。また、当て逃げをされ...
-
本記事では、交通事故を理由に解雇されることがあるのかを解説します。解雇が認められるケースや解雇された場合の対処法なども紹介するので、交通事故のけがが原因で解雇さ...
-
交通事故(追突事故)にあったら警察に事故報告をした後に病院で検査を受ける必要がありますが、その時に受け取る診断書は損害賠償請求をするための重要な役割を担っていま...
-
本記事では、交通事故証明書の取得方法・取得場所を調べている方に向けて、交通事故証明書に関する基礎知識、交通事故証明書の4つの取得方法、交通事故証明書を取得できな...
-
自転車も「軽車両」に含まれるため、事故の際は警察を呼ばなければなりません。後日、トラブルが起きたり後悔したりしないよう、適切な対応をしましょう。 この記事では...
交通事故後の対応コラム一覧へ戻る