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ベンナビ交通事故 > 交通事故コラム > 後遺障害等級・申請方法 > 後遺障害認定は厳しい?非該当になる理由や認定されなかった場合の対処法などを解説
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後遺障害認定は厳しい?非該当になる理由や認定されなかった場合の対処法などを解説

後遺障害認定は厳しい?非該当になる理由や認定されなかった場合の対処法などを解説

交通事故の後遺障害認定は審査が非常に厳しく、多くの被害者が「非該当」という結果に直面しています。

認定されるかどうかで、受け取れる賠償金に数百万円単位の差が生じるケースもあるため、正しい知識と準備が不可欠です。

本記事では、後遺障害認定が厳しい理由と認定率の実態、認定されない5つの原因を解説。

基準をクリアするための申請対策、非該当となった場合の対処法もわかりやすく解説します。

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この記事の監修者

浅尾 耕平 (第一東京弁護士会)

LINE完結システムで、来所不要・電話不要の相談を実現。保険会社出身スタッフ約7割・専任20名体制で、担当弁護士とチーム一丸となって戦略立案を行います。
目次

後遺障害認定は厳しい?認定率はどのくらい?|支払い件数全体に対して約4%

後遺障害等級の認定をおこなう損害保険料率算出機構が公表している「自動車保険の概況」によると、2024年度における自賠責保険の支払い件数は86万6,495件で、そのうち後遺障害に関する支払いがなされたのは3万1,672件でした(※)。

割合にすると、後遺障害等級の認定がなされたのは、支払い件数全体の4%程度にとどまっています。

多くの被害者が後遺症を抱えていても、審査では非該当と判定されているのが現実です。

審査は、提出された書面(診断書や画像データなど)のみによっておこなわれます。

担当者が被害者の身体を直接診るわけではなく、書類から読み取れる客観的な証拠だけで判断されるため、基準は必然的に厳格になります。

不正受給を防ぎ、誰に対しても公平な審査を担保するための仕組みである以上、この厳格さは制度上避けられません。

交通事故で多いむちうちの認定(12級・14級)は特に厳しい

交通事故で最も多く発生する「むちうち(頸椎捻挫・腰椎捻挫)」は、審査が特に厳しいとされています。

むちうちは骨折と異なり、レントゲンやMRI画像に明らかな異常が写りにくいのが特徴です。

神経の損傷を客観的なデータで証明するのが難しいため、「症状が本当に残っているか判断できない」として不認定になるケースが多いでしょう。

むちうちでは、後遺障害12級13号や14級9号の認定を目指します。

各等級の認定要件は以下のとおりです。

等級 症状の定義 認定に必要な要件
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの 画像検査(MRIなど)による神経根圧迫などの他覚的証明が必須
14級9号 局部に神経症状を残すもの 医学的に説明可能な一貫した自覚症状+6ヵ月以上・一定以上の通院頻度による治療実績

12級13号は他覚的証明が必須であるのに対し、14級9号は自覚症状と治療実績が中心です。

いずれも「症状があること」を客観的に裏付ける証拠が求められる点は共通しており、むちうちで上位等級を狙うほど認定のハードルは高くなります。

後遺障害の非該当が覆る確率は10%程度

一度「非該当」と判定された結果に異議申立てをおこない、等級が認められる確率は全体で約10%程度です(※)。

覆すのは不可能ではありませんが、非常に狭き門である点は理解しておく必要があります。

結果に不満であると主張するだけでは、審査は100%却下されます。

非該当とされた理由を徹底的に分析し、理由を論理的に打ち消せる客観的な新証拠(新たな画像検査や医師の意見書)を添えて申請しなければいけません。

厳しい再審査で結果を覆すためには、医学的見地から診断書や検査結果を精査できる弁護士のサポートが極めて有効です。

一人で挑むよりも、専門家と連携したうえで対策を立てることが、成功率を高める現実的な方法といえます。

後遺障害認定が厳しいと判断される理由5つ

後遺障害の認定が厳しい背景には、申請する側の準備不足や証拠の欠如といった、不認定になりやすい5つの明確な理由があります。

以下で解説する5つの理由を事前に把握し、一つひとつ排除していくことが大切です。

後遺障害診断書の記載内容が不十分である

医師が作成する後遺障害診断書の記載内容が簡素すぎたり、審査要件を満たしていなかったりすると、それだけで非該当となる可能性が高くなります。

医師は治療の専門家ですが、後遺障害認定審査の基準に必ずしも詳しいわけではありません。

結果として、認定に必要な自覚症状の詳細や今後の見通しが十分に書かれないケースがあります。

たとえば、自覚症状欄に「時々痛む」「天候によって痛む」といった表現があると、常に症状が存在しないと判断されて不認定になる可能性が高いです。

審査側は、常に同じ症状が継続している点を重視するためです。

また、可動域制限や神経症状に関する検査数値が省略されていたり、「症状は今後回復の見込みあり」と記載されていたりすると、後遺障害の要件を満たさないと判断される可能性が高いです。

診断書の記載一つひとつが審査結果を左右するため、内容の精査が欠かせません。

症状を裏付ける客観的な医学的証拠が不足している

レントゲン・MRI・CTなどの画像データや神経学的検査による他覚的所見(客観的な医学的証拠)が不足していると、後遺障害として認められないことが多いです。

審査は書面のみでおこなわれるため、「本人が痛がっている」という主観的な訴えは客観的証拠として不十分です。

医学的に異常を検出したデータが何より重視されます。

また、事故当初にレントゲンしか撮っておらず、時間が経過してからMRIを撮影した場合も注意が必要です。

事故との因果関係が不明確とみなされ、証拠として採用されにくくなるリスクがあります。

検査の有無と記録の内容を、治療の早い段階から意識しておくことが重要です。

必要な検査をおこなったか心配な方は、早めに弁護士や医師に相談しましょう。

通院期間や通院日数が認定基準に満たない

通院期間が極端に短い場合(原則として6ヵ月未満)や、毎月の通院日数が少なすぎる場合は、後遺症が残るほど重篤なけがではなかったと判断されることが多いです。

後遺障害は、十分な治療をおこなっても治らなかった症状です。

治療実績が乏しい段階で申請しても、まだ治癒の余地があるとみなされるため通りません。

たとえば、むちうちの場合、実務上の目安として通院期間6ヵ月以上が最低限必要とされています。

仕事などの理由で通院の間隔を空けすぎると、相手方保険会社から「治療の必要性がない(完治した)」とみなされるリスクがある点にも注意が必要です。

事故直後から症状の一貫性や連続性がない

事故直後から症状固定までの間、自覚症状の部位や内容が変わったり、一時的に途切れたりしている場合、一貫性・連続性がないとして却下されます。

たとえば、事故直後は首だけが痛いと訴えていたのに、数ヵ月後に肩や腰の痛みを新たに追加した場合、事故との因果関係を疑われます。

症状の範囲は最初から一貫している点が重要です。

通院を1ヵ月以上放置したあと痛みがぶり返して再開した場合も、連続性が切れたとみなされて不認定になるリスクがあります。

診察のたびに「常に同じ部位に同じ症状がある」と医師に正確に伝え、カルテに一貫して記録を残してもらうことが大切です。

事故の規模が小さく身体への衝撃が軽いと判断される

車両の破損状況が非常に軽微な場合、身体に加わった衝撃も小さかったとみなされ、重篤な後遺障害が残るはずがないと判断されやすくなります。

審査では、車の修理代金が数万円程度といった物損資料を重視します。

バンパーにすり傷がついた程度の低速衝突では、審査側がむちうちの後遺障害を非該当とする傾向が非常に強いです。

ただし、骨粗鬆症や既存の障害がある場合や、不意を突かれた衝突では、軽微な事故でも大きなけがになるケースがあります。

物損の程度が軽くても、医師による客観的な証拠で事故との因果関係を丁寧に主張・立証しましょう。

後遺障害認定の厳しい認定基準をクリアするための申請対策4つ

厳しい審査を乗り越えて適切な等級を獲得するためには、治療開始から申請手続の完了まで、被害者主導でおこなうべき4つの具体的対策があります。

治療初期から適切な検査を受ける

交通事故に遭ったら、早いうち(できれば当日~翌日)に症状に応じた精密検査を必ず受けるべきです。

事故から数週間が経過したあとに初めてMRIを撮影しても、「事故によるけがではなく、加齢に伴う変性や私生活でのけが等」とみなされる危険性が非常に高くなります。

また、レントゲンは骨の異常しか写りません。

椎間板の突出や神経根の圧迫状態を証明するためには、むちうちであっても治療初期の段階でMRI撮影を医師に求めるのが重要です。

医学的証拠(画像データ)の早期確保が、事故との因果関係を証明する最大の防衛策となります。

自覚症状・日常生活への影響を記録しておく

毎日の痛みやしびれの部位、それが仕事や家事などの日常生活にどのような支障をきたしているかを、具体的に日記やメモに記録しておきましょう。

書面審査では、日常生活への支障が具体的かつリアルに記録されていれば、症状の深刻さを裏付ける資料として活用できます。

記録は抽象的な表現を避け、次のように具体性を持たせることがポイントです。

  • 「常に首の奥に重い痛みがあり、寝返りを打つたびに目が覚める」
  • 「右手の握力が低下し、ペットボトルのキャップを開けられない」
  • 「通勤中の電車の振動でズキズキとした痛みが増す」

記録は、後遺障害診断書を作成時に医師へ正確な状態を伝える際にも重要です。

医師が作成した後遺障害診断書の記載内容を確認する

医師に後遺障害診断書の作成を依頼した際、自覚症状が全て正確に記載されているか、不利な表現がないかを必ず確認します。

出来上がった診断書のコピーをもらい、自覚症状の漏れがないか、他覚的所見欄や検査結果が適切に書き込まれているかを徹底的にチェックしましょう。

「症状に波がある」「時々痛む」といった常時性を否定する表現がある場合、「常に痛む」などの表現に修正を医師に相談・依頼してください。

医師は多忙なうえ診断書の書き方に慣れていない場合もあるため、弁護士を介して作成要領やチェックポイントを事前に提示するのが有効です。

被害者請求を活用して納得のいく証拠を自ら提出する

後遺障害等級の認定を申請する方法には、「事前認定」と「被害者請求」の2つがあります。

被害者にとって見えやすく、納得できる形で後遺障害等級の認定を申請するためには、被害者請求をおこないましょう。

項目 事前認定 被害者請求
申請主体 加害者側の任意保険会社 被害者本人
手続きの手間 少ない 多い
提出書類の管理 保険会社が主導 被害者自身が管理・精査
追加資料の提出 原則できない 意見書・陳述書などを追加添付できる
審査の透明性 手続きの進捗が把握しにくい 提出内容を自ら確認できる
認定率への影響 不認定リスクが高まりやすい 証拠を充実させることで認定率を高めやすい

被害者請求であれば、不備がないよう提出書類を自らの目でチェックでき、必要に応じて独自の医学的意見書や陳述書を追加添付できます。

手間と時間はかかるものの、不透明な審査を排除し、認定率を高めるためには最も効果的な手段です。

手続きが複雑で負担が大きいと感じる場合は、弁護士に代理人として依頼することも可能です。

書類の収集から提出まで一括して任せられるため、治療に専念しながら申請を進められます。

後遺障害認定されない場合はどうなる?慰謝料は受け取れない?

自賠責において後遺障害認定が非該当となった場合、原則として後遺障害を前提とする高額な賠償金は受け取れません。

ただし、例外的に救済されるケースも存在するので、詳しく解説します。

後遺障害関連の慰謝料や逸失利益を請求できない

非該当になると、「後遺障害慰謝料」と「後遺障害逸失利益」の2つは一切請求できません。

  • 後遺障害慰謝料:交通事故による後遺障害への精神的苦痛に対する補償
  • 後遺障害逸失利益:交通事故による後遺障害なければ得られたはずの、将来の収入に対する補償

たとえば年収400万円・30代の被害者がむちうち症状で14級に認定された場合、逸失利益だけで100万円を超えるケースも珍しくありません。

非該当の通知をそのまま受け入れて示談すると、被害者にとって最大の経済的損失になりえます。

なお、後遺障害認定が非該当となっても治療費や入通院慰謝料・休業損害は受け取れます。

ただし、後遺障害に関連する賠償項目は失われるため、最終的な示談金の総額に大きな差が生じる点を理解しておきましょう。

自賠で認定されなくても後遺障害の慰謝料がもらえる例外ケース

審査で非該当となった場合、自賠責保険上は後遺障害を前提とする慰謝料や逸失利益は支払われません。

また、示談交渉でも、非該当のまま後遺障害慰謝料を正面から認めてもらうことは容易ではありません。

もっとも、裁判所は自賠責保険の認定結果に当然に拘束されるわけではありません。

そのため、診断書、カルテ、画像資料、医師の意見書、症状固定後の生活・仕事への支障などを踏まえ、後遺障害の存在や労働能力への影響が認められれば、裁判上、後遺障害慰謝料や逸失利益が認められる余地があります。

また、後遺障害としてまでは認められない場合でも、症状が長期間残っていることや日常生活・仕事への支障があることを理由に、示談交渉や和解の中で、傷害慰謝料の増額や解決金として一定額が上乗せされるケースもあります。

ただし、非該当である以上、後遺障害等級が認定された場合と同様の金額が当然に認められるわけではありません。

非該当の通知を受けた場合は、まず非該当理由を分析し、追加資料の提出、異議申立て、紛争処理、訴訟など、どの手段を選ぶべきかを検討することが重要です。

こうした主張を行うには、医学的資料と法的主張を整理する必要があるため、交通事故に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。

後遺障害認定の非該当の通知が届いた後の対処法3つ

非該当の通知が届いても、諦める必要はありません。

結果を覆すための「異議申立て」「紛争処理」「裁判(訴訟)」という3つの手段が残っています。

3つの手段はそれぞれ性質や難易度が異なり、まずは異議申立てから順番に進めるのが一般的です。

1.損害保険料率算出機構に異議申立てをおこなう

決定を下した損害保険料率算出機構に対し、新たな追加証拠を添えて再審査を求める「異議申立て」が、最初に選択すべき対処法です。

まず前回の審査結果を徹底的に読み込み、なぜ不認定になったのか(検査不足か、一貫性不足かなど)の原因を特定しましょう。

単に不服を唱えるだけでは100%却下されます。

不認定の理由を科学的・論理的に打ち消す新たな医学的証拠(精密検査画像や医師の新規意見書)を添えた申請が必須です。

異議申立ては、費用がかからず何度でも申請可能な、最も手軽な手続きです。

異議申立ての具体的な流れと手続き

異議申立ては、以下の流れで進めます。

ステップ 内容
1.非該当理由の分析 理由書を読み込み、不認定原因を特定する
2.新規証拠の準備 追加検査・医師意見書・陳述書などを収集する
3.異議申立書の作成 不認定理由を論破する主張を記載する
4.申請窓口への提出 以下窓口へ新規証拠とともに異議申立書を提出する
被害者請求:自賠責保険会社へ
事前認定:任意保険会社へ
5.自賠責損害調査事務所による審査 提出した必要書類・資料をもとに自賠責損害審査会にて再審査がおこなわれる
6.結果の通知 2〜6ヵ月程度で審査結果が届く

書類が受理されてから再審査結果が出るまでには、一般的に2〜6ヵ月程度の時間がかかります。

手続き自体に手数料はかかりませんが、追加の検査費用や医師の意見書作成費用(数万円程度)は自己負担になる場合があります。

異議申立ての必要書類

異議申立てには、必須となる異議申立書に加え、非該当結果を覆すための追加の医学的証拠を提出します。

主な提出書類は次のとおりです。

必要書類 異議申立書
委任状(弁護士に依頼した場合)
添付書類 新たなMRI画像などのCD-ROM
医師による追加意見書・検査報告書
被害者本人の自覚症状陳述書・日常生活報告書
実況見分調書、供述調書、鑑定書 など

異議申立書には、前回の非該当理由に対して医学的・論理的に反論する主張を具体的に記載する必要があります。

書類に不備や矛盾がないよう、提出前に慎重に精査しましょう。

異議申立ての時効

異議申立て自体に明確な回数制限はありませんが、自賠責保険に対する請求権には時効があります。

後遺障害部分の初回請求については、原則として症状固定日の翌日から3年で時効にかかるとされています。

もっとも、すでに後遺障害等級認定の申請を行い、非該当などの結果通知を受けている場合には、異議申立てについて、その通知日の翌日から3年が一つの目安となります。

時効が完成すると、自賠責保険への請求や異議申立てが認められなくなるおそれがあります。

時効が迫っている場合には、自賠責保険会社に対して時効更新の手続きを行うことを検討しましょう。

具体的な期限や手続きは事案によって異なる場合があるため、非該当の通知を受け取ったら、通知日と時効の残り期間を確認したうえで、早めに弁護士や自賠責保険会社に確認することが重要です。

2.自賠責保険・共済紛争処理機構の紛争処理を利用する

損害保険料率算出機構とは異なる第三者機関である「自賠責保険・共済紛争処理機構」に紛争処理を申請し、第三者機関による判断を求める方法があります。

これは、弁護士・医師・学識経験者などの専門家が紛争処理委員として中立的な立場から書面審査をおこない、調停結果を通知する制度です。

審査費用は原則無料で、異議申立てをしても結果が変わらない場合の次の手段として検討されることがあります。

ただし、同一事案について紛争処理を利用できるのは、原則として1回限りです。

紛争処理の結果は、裁判所の判決のように当事者全体を法的に拘束するものではありません。

そのため、申請者が結果に納得できない場合には、裁判所での解決を求めることも可能です。

もっとも、保険会社は約款等により、自賠責保険金等の支払いに関する範囲で紛争処理の結果を遵守するものとされています。

そのため、申請者の主張が認められた場合には、自賠責保険金等の支払いに反映されることになります。

紛争処理制度利用の具体的な流れ

紛争処理の利用は、以下の流れで進みます。

ステップ 内容
1.申請書の提出 紛争処理申請書と必要書類を機構に提出する
2.相手方への通知・答弁 機構から自賠責保険会社に通知され、答弁書が提出される
3.書面審理 紛争処理委員会(弁護士・医師・学識経験者)が書面をもとに審査する
4.調停結果の通知 調停結果が文書で申請者と保険会社に通知される

審査は原則として書面でおこなわれるため、申請者本人が審理の場に出席する必要はありません。

申請から調停結果が通知されるまでには、事案によって期間が異なりますが、一定の時間を要することがあります。

紛争処理の結果は、裁判所の判決のように申請者を法的に拘束するものではありません。

そのため、申請者が結果に納得できない場合には、裁判所での解決を求めることも可能です。

一方で、保険会社は約款等により、自賠責保険金等の支払いに関する範囲で、紛争処理の結果を遵守するものとされています。

そのため、申請者の主張が認められた場合には、自賠責保険金等の支払いに反映されることになります。

ただし、同一事案について紛争処理を利用できるのは、原則として1回限りです。

紛争処理制度利用の必要書類

紛争処理機構所定の紛争処理申請書に加え、これまでに発行された全ての決定書、および不認定を覆すための証拠資料をセットで提出します。

主な必要書類は次のとおりです。

必要書類 紛争処理申請書
委任状(弁護士に依頼した場合)
添付書類 交通事故証明書
これまでの不認定理由通知書
これまでの全治療費明細や診断書
新旧の検査データや医師意見書 など

これまでに提出した書類一式(コピー)が必要になるため、申請書類の手控えを保管しておくのが重要です。

書類の抜け漏れがあると審査が遅れるか却下されるため、念入りな準備が求められます。

なお、自賠責保険・共済紛争処理機構のFAQでは、調停申請時または申請後に新たな医証(診断書・画像等)を入手した場合、原則として自賠責保険会社・共済組合への異議申立てを案内するとされています。

もっとも、異議申立てを行わず、新しい資料を含めて自賠責としての最終判断を希望する場合には、機構が資料を受け付けて紛争処理を行う旨も示されています。

そのため、新たな診断書・画像資料・医師の意見書などがある場合には、まず異議申立てで提出するか、紛争処理申請で提出するかを慎重に検討しましょう。

3.損害賠償請求訴訟(裁判)を提起する

最後の手段として、裁判所に損害賠償請求訴訟を提起し、裁判官に対して後遺障害の存在を直接主張します。

時間と労力はかかるものの、妥協のない適正な後遺障害認定を得るための最終手段です。

裁判所は非該当認定に一切縛られず、独自の判断で後遺障害の有無を評価できます。

自賠責保険会社が認定しなかった「むちうち」であっても、裁判の過程で医師の証言や追加鑑定により後遺障害相当と認められる余地があるでしょう。

異議申立てや紛争処理機構では認められなかった場合でも、判決や和解によって適切な賠償を受けられる可能性がある点がメリットです。

損害賠償請求訴訟(裁判)の具体的な流れ

裁判は以下の流れで進行します。

ステップ 内容
1.訴え提起 裁判所に訴状と必要書類を提出する
2.口頭弁論等の手続き 約1ヵ月に1回のペースで期日が開かれ、互いの主張を書面で提出し合う
3.証拠調べ 医師の証言や鑑定などにより後遺障害の有無を立証する
4.和解勧告または判決 多くの場合、判決前に裁判官から和解案が提示され、合意によって早期決着することが多い

約1ヵ月に1回のペースで期日が開かれるため、解決までに時間がかかる点は理解しておく必要があります。

ただし、多くの場合は判決に至る手前の段階で裁判官から和解案が提示され、合意によって早期決着するケースが多いです。

損害賠償請求訴訟(裁判)の必要書類

裁判では書面審査よりも厳格な証拠能力が求められます。

後遺障害を認めてもらうための証拠・資料は漏れなく用意しましょう。

区分 書類
必要書類 1. 訴状
2. 証拠説明書
添付書類 ・ 交通事故証明書・実況見分調書・供述調書
・ 全ての診断書・カルテ・看護記録・検査画像データ
・ 医師の意見書・鑑定書 など

膨大な資料を整然と整理して提出することが、裁判官に後遺障害を認めさせるための唯一の方法といえます。

訴状や証拠説明書の作成には高度な法的文書作成能力が不可欠であり、弁護士への依頼が現実的です。

後遺障害の申請を弁護士に相談すべきメリット3つ

後遺障害の認定が厳しいため、一人で申請に臨むと非該当を繰り返す可能性があります。

弁護士が入れば、専門知識に基づく効果的な戦略を立てられるでしょう。

弁護士に依頼する具体的なメリットを解説します。

診断書の加筆修正の交渉や医学的意見書の収集ができる

弁護士は、医師に対して医学的な観点から「どの箇所にどのような記載を追加すべきか」を助言します。

個人で医師に修正を依頼しても断られるケースが多いのが実情です。

しかし弁護士が自賠責保険の判定基準に則った要望書を添えて働きかけると、適切な診断書が得られやすくなります。

また必要に応じて、第三者の専門医にコンタクトを取り、認定を勝ち取るための医学的意見書や画像鑑定報告書を手配するノウハウももっています。

医学的な非該当理由を覆すために不可欠な、高度な証拠の調達力が弁護士の強みです。

被害者請求の手続きを適切に進められる

複雑で膨大な書類集めや作成が必要となる被害者請求の手続きを、弁護士が代理人として全て正確かつ迅速に代行します。

被害者請求は、交通事故証明書・診断書・診療報酬明細書など多種多様な書類を自分で揃えなければならず、一般の被害者にとって非常に大きな負担です。

弁護士に依頼すれば、速やかに書類を取り寄せて不備なく審査に提出できるため、申請漏れや書類の矛盾による不認定リスクを最小化できます。

被害者自身は治療や仕事への復帰に専念できるため、精神的なストレスも大幅に軽減される点も見逃せません。

弁護士基準が適用され示談金が大幅に増額する

弁護士の代理交渉により、示談金の計算に弁護士基準が適用され、受け取れる賠償額が大幅に増額する点も大きなメリットです。

交通事故の賠償金の計算基準には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準(裁判基準)の3つがあります。

自賠責基準が最も低く、弁護士基準が最も高い金額になります。

種類 内容 基準
自賠責基準 自賠責保険が定める最低限の補償基準 最も低額
任意保険基準 保険会社が独自に定める基準。示談交渉では保険会社が提示する金額の基準となっている 自賠責基準より少し上
弁護士基準(裁判基準) 過去の判例をもとに積み上げられた基準。3つの中で最も高額になる 最も高額

保険会社が提示する任意保険基準は、被害者が自分で交渉している限り覆りません。

しかし弁護士が介入した段階で、弁護士基準での交渉に移行します。

後遺障害慰謝料が任意保険基準から弁護士基準へ変わると、賠償金額が2~3倍以上に増額するケースは少なくありません。

後遺障害の認定で悩んだら「ベンナビ交通事故」

後遺障害の厳しい認定を突破するためには、交通事故問題と医療問題の両方に強い弁護士を効率よく探せる「ベンナビ交通事故」を活用してください。

弁護士であれば誰でも後遺障害認定に詳しいわけではありません。

医療的知見が必要なこの領域では、交通事故の解決実績が豊富であることが必須条件です。

ベンナビ交通事故は、地域別・相談内容別・「初回無料相談」「休日対応」などの条件で、交通事故に特化した弁護士を詳細に検索できるポータルサイト。

メールやLINEで24時間問い合わせ可能な事務所も多数掲載されています。

時効や申請期限が迫る中で、すぐに頼れる専門家を見つけるための最初の手段として、まずは気軽に無料相談を利用してみてください。

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後遺障害認定に関してよくある質問

後遺障害認定の手続きや通院期間などについて、多くの被害者が共通して抱く疑問に回答します。

整骨院への通院・手続きのタイムリミット・審査にかかる期間など、実務上でつまずきやすいポイントを厳選しました。

なお、具体的な状況(けがの程度や事故態様)に当てはめた最終判断は、個別の無料相談で弁護士に確認することをおすすめします。

整骨院への通院のみでも認定されますか?

整骨院・接骨院への通院のみでは、後遺障害診断書を作成できる医師による診療経過が残らないため、後遺障害認定を受けることは極めて困難です。

必ず整形外科などの医療機関にも定期的に通院することが重要です。

整骨院に通う場合は、事前に整形外科の担当医師へ相談し、必要に応じて医師の指示や同意を得たうえで並行して通うとよいでしょう。

医師に相談した内容や症状の経過がカルテに記録されていることも重要です。

異議申立ての手続きに期限や回数制限はありますか?

異議申立て自体に回数制限はないため、何度でもおこなうことができます。

ただし、自賠責保険に対する請求権には時効があります。

後遺障害部分の初回請求は、原則として症状固定日の翌日から3年で時効にかかるとされています。

一方、非該当などの結果通知後に異議申立てを行う場合は、その通知日の翌日から3年が期限の目安となります。

期限が迫っている場合には、時効更新の手続きを検討し、早めに弁護士や自賠責保険会社へ確認しましょう。

また、制度上は何度でも異議申し立てができますが、同じ証拠のまま出しても結果は変わりません。

実質的には1回目・2回目の異議申立てで新証拠を揃えて勝負すべきです。

後遺障害認定の審査にはどのくらいかかりますか?

一般的な申請(初回申請)の場合、書類が受理されてから認定結果が出るまでに1ヵ月〜3ヵ月程度かかります。

むちうちなど一般的な事例は比較的早く(1〜2ヵ月)結果が出ますが、高次脳機能障害や重篤な機能障害などの複雑なケースでは時間がかかります。

また、異議申立ての再審査は3ヵ月〜半年以上かかる場合があります。

書類に不備があって再提出を求められた場合は、その分だけ期間が延びます。

最初から弁護士に依頼して必要資料を整理したうえで提出することは、審査を円滑に進め、不備による不利益を避けるために有効です。

後遺障害認定にデメリットはありますか?

後遺障害として認定を受けても、日常生活や仕事の面で直接的なデメリットはありません。

就職や転職、保険加入などで不利益が生じる場面はなく、むしろ慰謝料や逸失利益を受け取れるメリットのほうが大きいといえます。

強いて挙げるなら、手続き面・費用面での負担です。

異議申立てや紛争処理を利用する場合、追加の検査費用や医師の意見書作成費用として数万円程度の自己負担が発生します。

まとめ|厳しい後遺障害認定は弁護士に相談すべき

交通事故における後遺障害の等級認定は、全体のわずか約4%しか認定されない厳しいハードルです。

診断書の記載不備、画像資料・診療録・神経学的検査結果などの医学的資料の不足、症状の一貫性のなさなどが、非該当につながることがあります。

医師が作成した後遺障害診断書についても、実際の症状や検査結果が正確に反映されているか確認しましょう。

記載漏れや誤りがある場合には、弁護士のアドバイスを受けたうえで、医師に相談することが重要です。

万が一、非該当の決定が下された場合でも、異議申立て・紛争処理・訴訟という3つの法的手段を通じて結果を覆せる可能性が残っています。

ただし、異議申立て等によって判断が変更される確率は高くないため、非該当理由を分析し、新たな医学的資料を揃えたうえで専門家と連携することが重要です。

医学と法律の高度な知識が求められるため、まずはベンナビ交通事故で経験豊富な弁護士に無料相談するのがおすすめです。

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多くの保険会社では、被害者1名につき最大300万円までの弁護士費用を負担してくれます。特約があるか分からない方でも、お気軽にご相談ください。弁護士と一緒にご確認した上で依頼の有無を決めて頂けます。

特約を利用して弁護士に相談する
弁護士の選び方が分からない方

交通事故問題を依頼する弁護士の選び方にはポイントがあります。

  • 過去の解決事例を確認する
  • 料金体系が明確である弁護士を選ぶ
  • 交通事故問題が得意な弁護士から選ぶ

等です。

詳しくは以下の記事を読んで、正しい弁護士の選び方を理解した上で弁護士に相談しましょう。

弁護士の選び方について詳しくみる
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この記事の監修者

浅尾 耕平 (第一東京弁護士会)

LINE完結システムで、来所不要・電話不要の相談を実現。保険会社出身スタッフ約7割・専任20名体制で、担当弁護士とチーム一丸となって戦略立案を行います。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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