非接触事故の過失割合の決め方|よくあるケースの基本過失割合や揉めた場合の対処法も
非接触事故とは、ドライバーとして運転中、相手の車やバイクと接触していないのに、思わぬ被害を受けてしまう事故のことです。
たとえば、前方の車が急に進路を変えたために急ブレーキを踏み、転倒してけがを負った場合などが該当します。
しかし、こうした非接触事故では「ぶつかっていないのだから自分に責任はないのでは?」と考える方も多く、過失割合の判断でトラブルになるケースが少なくありません。
本記事では、非接触事故における過失割合の考え方、ケース別の目安となる過失割合、判断・交渉の流れ、そしてもめた際の対処法について詳しく解説します。
事故の相手と過失割合でもめている方や、適切な対応方法を知りたい方は、ぜひ最後まで参考にしてください。
非接触事故かどうかは過失割合には影響しない
交通事故の過失割合は、「接触したかどうか」ではなく、「事故の原因をどちらがどの程度つくったか」という観点から判断されます。
つまり、物理的な衝突がなかったとしても、一方の行為が他方の被害を誘発した場合には、加害者側に過失が認められる可能性があるということです。
たとえば、急な進路変更や割り込み、信号無視などが原因で、相手が転倒・衝突した場合は、加害行為との因果関係が認められやすくなります。
反対に、被害者側が過度に急な回避行動をとったなど、通常想定されない行動をとっていた場合は、その分過失が修正されることもあります。
このように、非接触事故の過失割合は「危険を生じさせた原因行為」と「結果」との関係を重視して判断される点を理解しておきましょう。
よくある非接触事故のパターンとその過失割合の目安
非接触事故と一口にいっても、発生する状況や関係する車両の種類によって、過失割合の判断基準は異なります。
ここでは代表的な3つのパターンについて、基本的な過失割合の目安と考え方を紹介します。
1.車対人|路地で急に飛び出してきた車を避けて被害者が転倒した場合
歩行者が道路を歩行中、路地から急に車が飛び出してきたために転倒してけがをした場合、過失割合は車100:歩行者0となるケースが多いです。
特に歩行者が横断歩道上にいたり、信号を守っていたりした場合は、ドライバー側に前方不注意・安全運転義務違反が認められるため、車両側の責任が重くなります。
一方で、歩行者が信号のない場所を横断していた、もしくは周囲をよく確認せずに飛び出した場合には、車80:歩行者20程度に修正される可能性があります。
2.車対車|出会いがしらの車とぶつかりそうになり回避してけがをした場合
交差点や見通しの悪い場所で出会い頭にほかの車と衝突しそうになり、一方が急ハンドルを切るなどしてほかの物に衝突した場合、過失割合の目安は直進車20:右折車80とされています。
ただし、直進車が制限速度を超えていたり、わき見運転をしていた場合には、過失割合が直進車30:右折車70に修正されることもあります。
3.車対バイク|車線変更してきた車を避けるために急ブレーキをかけてけがをした場合
自動車がウインカーを出さずに車線変更をしたため、後方を走行していたバイクが急ブレーキをかけて転倒したようなケースでは、基本的に自動車80:バイク20の過失割合が想定されます。
ただし、バイクが過度にスピードを出していた、または車間距離を詰めすぎていた場合には、自動車70:バイク30とされることもあります。
非接触事故の過失割合を決める際の基本的な流れ|4ステップ
非接触事故の過失割合を決める際は、接触事故と同様に以下のようなステップを踏みます。
- 事故様態などを整理する
- 基本過失割合を決定する
- 修正要素を踏まえて調整する
- 双方で話し合い過失割合を確定させる
ここでは、それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。
1.事故様態などを整理する
最初のステップは、事故の状況を正確に整理することです。
過失割合を決めるには、どちらがどのような行動を取ったのか、事故がどのような流れで発生したのかを明確にする必要があります。
特に、非接触事故では「加害者の行為と被害との間に因果関係があるか」が重要です。
たとえば、加害者が急な進路変更や無理な右折をおこない、それを避けようとして被害者が転倒・衝突した場合は、加害者の行為が直接の原因と認められる可能性があります。
このような因果関係を確認するには、ドライブレコーダー映像や警察の実況見分調書、目撃者の証言などの証拠が欠かせません。
2.基本過失割合を決定する
事故態様が整理できたら、次に「基本過失割合」を決定します。
基本過失割合とは、過去の判例などに掲載されている基準をもとに、典型的な事故パターンから算出される割合のことです。
そして、非接触事故であっても基本過失割合は接触事故と同じ基準を用いて判断されます。
たとえば、「信号のない交差点での出会い頭事故」では、過失割合は左方車40:右方車60となるのが基本ですが、仮に接触をしていなくても同様の状況であれば、この基本割合をもとに検討されることになります。
3.修正要素を踏まえて調整する
次に、事故の状況に応じて「修正要素」を加味します。
最終的な過失割合は、夜間や悪天候など見通しが悪い状況、相手の著しい速度超過、被害者が子どもや高齢者だった場合など、個別の修正要素を考慮したうえで決定されるからです。
たとえば、相手が急な進路変更やウインカーなしでの車線変更をした場合、通常より相手側の過失が重くなります。
逆に、こちらがスピード超過や前方不注意だった場合は、自分側の過失が増える可能性があります。
また、非接触事故においては「被害者の回避行動の妥当性」も修正要素のひとつです。
被害者が冷静に回避行動を取っていたなら過失は小さくなりますが、必要以上に急ブレーキを踏むなど不自然な対応だった場合には、過失が増えることもあります。
このように、事故時の具体的な状況や双方の注意義務違反の度合いを考慮して、基本割合を調整するのです。
4.双方で話し合い過失割合を確定させる
最終的な過失割合は、保険会社や当事者同士の話し合いで確定します。
保険会社は過去のデータをもとに基準を提示しますが、双方が納得しなければ交渉が長引くこともあります。
非接触事故の場合、「本当に加害者の行為が原因だったのか」という因果関係そのものが争点になるケースが多く、交渉が難航することも少なくありません。
話し合いで折り合いがつかない場合は、交通事故紛争処理センターや弁護士への相談を検討しましょう。
非接触事故の因果関係や過失割合で揉めた際に検討すべき3つの対処法
非接触事故は、接触がない分「本当に相手の行為が原因だったのか」が争点になりやすく、示談交渉が長引くケースも少なくありません。
ここでは、過失割合や因果関係で揉めたときに検討すべき3つの対処法を紹介します。
1.証拠と集めて加害者や保険会社と交渉する
まず重要なのは、事故の状況を客観的に示す証拠をできる限り多く集めることです。
非接触事故の場合、接触による損傷がないため、被害者の主張が通りにくくなることがあります。
そのため、ドライブレコーダー映像、現場の防犯カメラ、目撃者の証言、警察の実況見分調書など、事故当時の状況を裏付ける証拠を確保しておくことが大切です。
証拠があれば、「加害者の急な進路変更が原因だった」「被害者の回避行動はやむを得なかった」といった主張を具体的に示すことができ、交渉を有利に進められます。
また、保険会社との交渉では感情的にならず、冷静に事実をもとに話し合うことが重要です。
特に「接触がなければ加害者の責任はない」といった主張をされた場合には、事故との因果関係を裏付ける証拠を提示し、法的根拠をもとに反論しましょう。
2.交通事故が得意な弁護士に相談・依頼をする
過失割合をめぐるトラブルは、専門的な判断が求められるケースが多いため、早い段階で交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は、過去の判例や保険会社との交渉経験を踏まえて、適正な過失割合の主張や損害賠償請求の手続きをサポート可能です。
また、弁護士が代理人として交渉をおこなえば、保険会社とのやり取りの負担を軽減できるだけでなく、提示された過失割合や示談金額が妥当かどうかを判断してもらえます。
非接触事故では、被害者本人だけでの交渉が不利になることも多いため、専門家の力を借りて法的に正しい主張をおこなうことが重要です。
3.交通事故紛争処理センターなどに仲裁を依頼する
加害者や保険会社との交渉で合意に至らない場合は、裁判を起こす前に交通事故紛争処理センターなどの仲裁機関を利用する方法があります。
交通事故紛争処理センターは、交通事故トラブルについて弁護士が中立的な立場で和解のあっせんをおこなう公的な機関です。
また、日弁連交通事故相談センターなどでも、弁護士による無料相談を受けられます。
このような第三者の専門的な判断を入れることで、過失割合の妥当性を客観的に検証し、円滑な解決を図ることが可能です。
さいごに|非接触事故の過失割合は揉めることが多いため注意しよう
非接触事故は、接触がない分だけ事故原因の証明が難しく、過失割合でもめることが多い傾向にあります。
特に「接触していない=責任がない」と考える加害者も少なくないため、被害者が正当な賠償を受けるためには、早い段階で適切な証拠収集と専門家への相談が欠かせません。
また、過失割合に納得できない場合や交渉が長引く場合には、交通事故に詳しい弁護士に相談することが最も確実な対応策です。
弁護士に依頼すれば、保険会社との交渉や紛争処理センターでの手続きも任せられ、適正な補償を受けやすくなります。
非接触事故のトラブルは、放置すると解決までに時間がかかるだけでなく、損害賠償額が減るリスクもあります。
少しでも疑問や不安がある場合は、早めに専門家へ相談し、納得できる形で問題を解決しましょう。
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