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当て逃げにあったらすぐ被害届を!賠償を受けるためにすべきことや手続きを解説

佐々木 幸駿
監修記事
当て逃げにあったらすぐ被害届を!賠償を受けるためにすべきことや手続きを解説
  • 「当て逃げに遭ったらどうしたらいい?」
  • 「当て逃げされてしまったけど、被害届は出すべき?」

当て逃げに遭った際、対処法や被害届を出すべきかがわからず悩んでいる方も多いでしょう。

結論からお伝えすると、当て逃げをされた場合はたとえ事故から数日が経過していたとしても、被害届を提出すべきです。

本記事では、被害者の視点から当て逃げの被害届を出す理由・放置したときのリスク・やるべき手続き・加害者に対する損害賠償請求について、詳しく解説します。

当て逃げで泣き寝入りすることがないよう、ぜひ本記事を参考にして対処してください。

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目次

当て逃げをされたら被害届を出すべき理由

当て逃げをされたら、警察に事故を届け出なければなりません

たとえ小さな傷ができただけだという場合であっても、必ず被害届を出しましょう

被害届とは、何らかの犯罪被害にあったときにどのような被害にあったかを警察に申告する書類です。

ここからは、被害届を出すべき理由について解説します。

警察に通報し被害届を出すことで、警察が捜査を始めるきっかけとなる

被害届を出すことは、警察が捜査をはじめるきっかけになります。

交通安全を守ることは警察の重要な使命のひとつです。

たとえ自分の被害が最小限だった場合でも、加害者はほかでも当て逃げを繰り返しているかもしれません。

被害が小さかったとしても、被害届を出すことで警察の捜査への協力になります。

警察への捜査協力は義務ではありませんが、交通事故を減らすためにも被害届を出すべきだといえるでしょう。

ただし、被害届を提出したからといって必ず捜査がスタートされるわけではありません

悪質性や繰り返し当て逃げをしている加害者であるかどうかなどを加味して、捜査されるかどうかは決まるでしょう。

また、捜査がなされたとしても、必ずしも加害者が逮捕されたり、起訴されたりするわけでもありません。

警察に届け出ないと、道路交通違反で処罰の対象となってしまう

捜査協力に関しては義務ではありませんが、交通事故が発生したら警察に事故発生を届け出ることは義務化されています。

道路交通法第72条では、交通事故があったときは当該車両等の運転者が警察官へ事故の報告をしなければならないと定めています。

現場にいるときは、その警察官に伝えましょう。

警察官が現場にいないときは最寄りの警察署の警察官に直ちに報告しなければなりません。

規定されている届出項目は次のとおりです。

  • 事故が起こった日時
  • 事故が起こった場所
  • 当該交通事故における死傷者や負傷者の数
  • 負傷や損壊した物の損壊の程度
  • 交通事故について講じた措置 など

届出を怠ると、道路交通法違反となります。

報告義務違反をすると、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金に処されます。(道交法119条1項17号)

当て逃げをした加害者が戻ってくるなどして、事故を警察に届け出ないよう説得されるようなことがあっても断りましょう。

自分自身の保険に保険金を請求する際に必要となることがある

交通事故を警察に届け出ると、現場確認がおこなわれます。

現場確認で得た情報は、自動車安全運転センターという機関に提供されます

自動車安全運転センターは、警察庁交通局によって運営され、交通事故防止をはじめとする道路の交通に起因する障害を防いだり、運転免許を持っている方々の利便性を増進したりすることを目的に設置されている機関です。

自動車安全運転センターに情報提供がなされると、交通事故証明書が作成されます。

交通事故証明書は、交通事故があった事実を証明する書類です。

交通事故証明書は、交通事故の当事者が適正な補償を受けるための重要な証拠となります。

交通事故証明書を提出することによって、相手側の任意保険会社に保険金を請求することができるようになります。

また、自分自身が加入している保険に保険金を請求する際も必要となることがあるため、必ず交通事故証明書の交付を受けましょう。

もしも交通事故証明書の交付が受けられなかった場合は、「人身事故証明書入手不能理由書」があれば保険金を請求できることもあります。

しかし、交通事故証明書がある場合よりも請求に手間がかかるので注意が必要です。

加害者へ損害賠償請求をおこなうことになった場合に支障がでる可能性がある

加害者に対して損害賠償請求をおこないたい場合にも、交通事故証明書は必要です。

なお、事故を警察に届け出たとしても、人身事故としての被害届を出さずに物損事故として処理されてしまうと、当て逃げによるけがはなかったということになります。

そのため、当て逃げによって通院や治療が必要になったとしても、加害者側から「けがはしていないのだから保険金は支払わない」といわれてしまいかねません。

加害者側の任意保険会社が当て逃げによるけがを認めれば、物損事故として届け出ていた場合であってもけがに対する賠償金は支払われますが、認めてもらうためにけがをしたことを証明する手間がかかります。

加害者側の任意保険会社が事故によるけがであると認めてくれないケースもあるので、やはり人身事故としての被害届を出すに越したことはありません。

加害者に刑罰を科すためにも被害届の提出が必要

当て逃げは器物損壊罪に該当します。

器物損壊罪の量刑は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料です。

器物損壊罪は、刑法によって親告罪であると規定されています。

親告罪とは、被害者本人やその法定代理人などが捜査機関に対して加害者を処罰してほしいと言わなければならない罪のことです。

親告罪では、被害者などからの処罰してほしいという告訴がなければ検察官が起訴をすることができません。

つまり、当て逃げの加害者に罪を償わせることができないのです。

刑事告訴によって刑罰を課すことを視野に入れるのであれば、まずは被害届を提出しましょう

当て逃げをされたらすぐやること

当て逃げをされたら、何からすればよいのでしょうか。

ここからは、当て逃げされたあとにすぐにやるべきことについて紹介します。

ドライブレコーダーなどの証拠を収集・保全する

当て逃げの場合は加害者がそのまま走り去ってしまっているため、まずは加害者を特定する必要があります

加害者を特定するために、ドライブレコーダーの記録映像や現場付近の防犯カメラ映像などから情報を集めましょう。

スマートフォンのカメラで逃げ去る車を撮った写真も証拠になるので、保存しておいてください。

また、被害車両の損傷部分は、加害車両の塗料片などが付着している場合があり、重要な証拠になる可能性があります。

被害車両はすぐに修理に出してしまわず、警察に持ち込むのがよいでしょう。

また、目撃証言が証拠となるケースもあります

当て逃げされているのを見かけた周囲の人物が車のナンバーを覚えていることもあるので、周りに誰かがいた場合は声をかけましょう。

警察へ通報する

当て逃げは犯罪行為です。

当て逃げをされたら、必ず警察に通報しましょう

加害者が特定される可能性が低い場合であっても、通報しなければなりません

ただし、私有地の駐車場は道路交通法の適用対象外であるため、個人の駐車場や月極駐車場で当て逃げをされたときは、通報義務はありません。

しかし、保険金を受け取るために交通事故証明書などの書類が必要です。

証明書などを受け取るには、警察には通報する必要があるので、どこで被害に遭ったかに関わらず被害届は提出しましょう。

少しでもけがをしているようなら、人身事故として届け出る

当て逃げ事故は物損事故です。

しかし、被害者がけがをしている場合は人身事故になります

少しでもけがをしたのであれば、人身事故として警察に報告しましょう。

人身事故なら請求できる損害賠償も、物損事故では請求できない可能性があるので注意してください。

念のため病院の受診をした場合でも、人身事故として届けるとよいでしょう。

知らずに物損事故として届けてしまった場合でも、あとから人身事故に切り替えることも可能です。

自分が加入している保険会社へ連絡する

当て逃げの被害にあったら、自身が加入している車両保険の保険会社に連絡しましょう

加害者がすぐ判明しない場合は、修理費などを自分で負担しなければなりません。

しかし、保険の内容によっては保険会社に支払いを依頼することができます

ただし、修理費などを立て替えてもらうと翌年の保険料が上がってしまうケースも少なくありません。

まずは保険会社に連絡をして、損害額や保険料への影響を確認しましょう

翌年に増額する保険料の金額によっては、自分で修理費を負担したほうがよいこともあります。

当て逃げにすぐ気づけなかった場合はどうする?

当て逃げにすぐに気づけず、あとから発覚したときはどうすればよいのでしょうか。

原則としては、やるべきことは変わりません

以下の流れに沿って、冷静に対処しましょう。

  1. なるべく早く被害届を提出する
  2. 駐車場や施設の管理者に連絡し、カメラの映像を提供してもらう

なお、被害届を出しても警察はすぐに操作を開始するわけではありません。

監視カメラの映像や情報収集などを個人でおこなうのには限界があるので、弁護士に頼ることも検討しましょう。

当て逃げの検挙率は?

当て逃げの検挙率は、統計として数値が出されていません。

しかし、ひき逃げについては検挙率のデータが公開されています

ひき逃げとは、人がけがを追ったり亡くなったりすることを伴う交通事故を起こしたにも関わらず、加害者が救護措置を取らず走り去った事件をいいます。

ひき逃げの2020年の検挙率は70.2%でした。

けがを除いて死亡事故に限ると検挙率は90%以上です。

2022年では、ひき逃げ全体の検挙率は69.3%、重傷事故においては検挙率79.4%、死亡事故の場合は検挙率101.0%と、非常に高い検挙率となっています。

なお、前年以前に認知された事件を翌年または数年後に検挙することがあるため、検挙率は100%を超える場合があります。

当て逃げの検挙率が統計として数値が出されていない理由は、物損事故の統計的なデータは警察では扱っていないからです。

車に傷がついているからといって、それが当て逃げによるものであると確定させるのは容易なことではありません。

車に傷がつくことは珍しいことではなく、全てを事件として調べていたらきりがありません

このような理由から、当て逃げの検挙率についてのデータは収集していないのだと考えられます。

当て逃げの正確な検挙率はわからないとしても、証拠がまったくない場合は検挙率は低いでしょう。

しかし、ドライブレコーダーや周囲の防犯カメラが当て逃げの現場をとらえていた場合は検挙される確率が高いです。

近年のドライブレコーダーや防犯カメラ映像は性能が非常に高く、加害者が映っていれば特定も難しくありません。

警察も捜査をしてくれるかどうかはケースバイケースですが、確かな証拠があれば捜査される可能性は極めて高くなるでしょう。

当て逃げされた場合における被害届の出し方は?

当て逃げされたら、どのように警察へ被害届を出せばよいのでしょうか

被害届の出し方については犯罪捜査規範第61条に規定されており、提出方法には以下4つのパターンがあります。

  • 自分で被害届を作成し警察署に出向いて提出する
  • まず警察署に出向き、警察官に報告した後自分で被害届に記入する
  • 警察官が被害者から事情を聞きながら、被害届に代書する
  • 警察官が被害者の供述調書を作成し、被害届の作成を省略する

ここでは、最も多い「警察官が被害者から事情を聞きながら、被害届に代書する」を想定して被害届の出し方や注意点について解説します。

事故があった場所を管轄する警察署へ行って提出する

被害届の提出先は、当て逃げされた現場を管轄する警察署です。

事件が起こった場所以外で提出しようとしても、基本的に受理してもらえません。

事件の大きさによっては交番では対応してくれないため、警察署に行きましょう。

警察署の場所がわからず近くに交番がある場合は、まずは交番に立ち寄り警察署を案内してもらってください。

被害届に決まった書き方があるわけではありません。

被疑者の特徴や被害に遭った日・時間帯・場所、被害の内容や程度、どのように被害に遭ったのかなどを詳しく記載してあれば被害届といえます。

被害届は自分で作成して持って行くこともできます。

しかし、警察署には被害届の書式が準備されています

また、実務上は警察官が被害者の話を聞き、警察官が代わりに被害届を書くことがほとんどです。

そのため、自分で準備して行く必要はありません。

警察に出向く際は、運転免許証やマイナンバーカードなど身分を証明できる物と印鑑を持って行きましょう。

当て逃げ被害の事実はできる限り正確に申告する

被害届には決まった書き方がありません

しかし、インターネットで検索すると、保険会社などがダウンロードできる書式を準備しています。

もしも自分で被害届を書いて持って行きたい場合は、ダウンロードできる書式を利用するのがよいでしょう。

警察官に代わりに被害届を書いてもらう場合であっても、きちんと捜査してもらい、加害者を見つけて処罰してもらうためには、被害事実を正確に申告しなければなりません

事故当時の状況を正確に伝えましょう。

被害の事実を証明できる証拠があるとよい

ドライブレコーダーや近隣にあった防犯カメラ映像や目撃証言など、被害にあったという事実を証明できる証拠があれば、被害届と一緒に警察に持参するとよいでしょう。

当て逃げをされたら原則として速やかに警察へ報告して被害届を出す

交通事故が発生したら警察に届け出ることは、車を運転する方の義務です。

原則として速やかに警察へ報告し、被害届を出しましょう。

当て逃げをされた後日でも被害届を提出する

当て逃げをされたことにすぐに気づかなかった場合や、重要な用事があるなどどうしてもすぐに警察に報告できなかった場合は、後日になってもよいのでやはり警察に報告して被害届をすべきです。

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当て逃げの被害届が受理されない場合は?

当て逃げをされたにも関わらず被害届が受理されないケースもあります。

たとえば、どこで当て逃げ被害に遭ったかわからない場合です。

基本的に警察は被害届を受理する義務があります。

しかし、被害届の内容が合理性を欠くものであれば、受け付けられません。

捜査をしても管轄外で起こった事故であれば、証拠や犯人が見つかる可能性は非常に低くなります。

そのため被害届を受理しないことがあるのです。

では、当て逃げの被害届が受理されないときはどうすればよいのでしょうか。

対処法を紹介します。

当て逃げ被害を裏付ける客観的な証拠をできる限り確保する

被害届を受理してもらうためには、客観的な証拠をできる限り集めることが大切です。

いくら口頭で被害に遭ったと伝えても、被害の内容を裏付ける証拠がなければ犯罪の被害に遭ったことを立証できません。

警察からすると、被害が本当かどうかも判断できないでしょう。

そのため、被害内容を証明するために証拠を提出しましょう。

ドライブレコーダーの映像など客観的な証拠があれば、警察も被害届を受理するはずです。

映像が鮮明であったり、加害者の車のナンバーを覚えていたりと、相手を特定できるような情報があれば、被害届を受理してもらえる可能性は格段に高まります

被害の経緯をできる限り具体的に説明する

警察に被害届を出すときは、事故当時の状況をできる限り具体的に説明しましょう

被害に遭った経緯を順序立てて説明し、詳しく状況を伝えることが重要です。

具体的に説明することで、警察は刑事事件として立件できるかどうかを判断しやすくなり、被害届は受理されやすくなります

被疑者の特徴や被害に遭った日・時間帯・場所、被害の内容や程度、どのように被害に遭ったのかなどを詳しく話しましょう。

うまく説明できるか不安な場合には、事前にスマートフォンのメモ機能などを使ってまとめておくのがおすすめです。

どうしても警察が被害届を受理しない場合は弁護士へ相談する

証拠をできる限り確保して経緯を具体的に説明しても警察が被害届を受理してくれない場合は、弁護士に相談してください。

弁護士とともに警察に出向くことで、被害届を受け取ってもらいやすくなります

また、弁護士は被害届だけでなく、法的に有効な告訴状を提出することができます。

被害届は、被害の事実を申告するための書面です。

被害届を受理したからといって警察が捜査を開始するかどうかは定かではありません。

一方で告訴状は、被害を申告したうえで加害者への処罰を求める意思表示です。

警察は告訴状を受理すると、速やかにその事件に関する書類や証拠を検察官に送付しなければなりません。

事実上、捜査が開始されるのです。

告訴状は被害届以上に受理されにくいものですが、刑事事件に注力している弁護士であれば受理されやすい告訴状を作成できます

当て逃げ犯が見つかった場合

当て逃げをした加害者が見つかったら、賠償金や慰謝料は請求できるのでしょうか

また、もしも当て逃げの事実を否定されたらどうすればよいのでしょうか。

以下では、当て逃げ犯が見つかった場合に気になることについて解説します。

賠償金や慰謝料は請求できる?

当て逃げをした加害者を特定できたら、相手に対して損害賠償を請求することができます

当て逃げの被害にあった場合に請求できるのは主に次のようなものです。

  • 車の修理費または時価額のいずれか低い方
  • 修理中の代車の使用料
  • レッカー代
  • 車に積んでいたものに対して生じた損害

壁や塀などにも損壊があった場合は修理費を請求可能です。

また、営業車の損壊によって営業できず仕事にならなかったような場合、本体は得られたはずの利益を休車費として請求できることがあります。

そのほか、ペットがけがをした場合は治療費なども請求できるでしょう。

ただし、車両の買い替え諸費用については、修理費用が買い替え費用よりも高額になるいわゆる「車両全損」と呼ばれる状態でなければ認められません。

なお、慰謝料は当て逃げでは請求できないケースも多いので注意が必要です。

慰謝料とは、人身被害によって生じた精神的苦痛に対する補償です。

当て逃げ事故が物損事故として処理されていれば基本的に認められません。

当て逃げの事実を否定されたらどうする?

加害者に当て逃げの事実を否定されることもあるでしょう。

そんなときは、証拠によって事実を立証しなければなりません。

とくに物損事故に対して賠償責任を追求した場合は、被害者が加害者に過失があったことを立証しなければなりません。

一方で、けがをしてしまい人身事故となった場合は、加害者が自分に過失がないことを立証する必要があります。

物損事故か人身事故かを決めるのは警察であり、けががわかりづらかったり、証拠がまったくなかったりすれば人身事故と認定してもらうのはむずかしいため、証拠の準備は必要でしょう。

映像がない場合、当て逃げをした車両の塗料が自分の車の傷付着していることで証拠となる可能性もあります。

すぐに修理せず、証拠を保全しておきましょう。

当て逃げの加害者になってしまったら

もしも自分が当て逃げをしてしまい、加害者になってしまったらどうすればよいのでしょうか

ここからは、加害者に生じる責任と、当て逃げをしてしまったことに気づいたらするべきことについて、説明します。

加害者に生じる責任

当て逃げの加害者は、刑事上・民事上・行政上の3つの責任に問われます。

それぞれ以下で詳しく見ていきましょう。

刑事上の責任

当て逃げによって問われる可能性のある刑事責任は、次のとおりです。

  • 危険防止措置義務違反…1年以下の懲役または10万円以下の罰金
  • 報告義務違反…3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金
  • 救護義務違反…5年以下の懲役または50万円以下の罰金
  • 過失運転致死傷罪…7年以下の懲役または100万円以下の罰金

当て逃げをしてしまったと思っていても、けが人や死亡者が出た場合にはひき逃げとなります

そのため、救護義務違反と過失運転致死傷罪の両方が問われる可能性があるでしょう。

民事上の責任

当て逃げによって発生する、主な損害賠償責任の内容は次のとおりです

  • 車両の修理費
  • 所持品の買替費用
  • 代車料

また、もし被害者にけがをさせてしまっていた場合は、通院費や治療費なども支払わなければなりません。

行政上の責任

行政上の責任とは、国や地方自治体から処分を受けることです。

当て逃げの場合は免許が取り消されたり、停止されたりします。

当て逃げの場合は、物損事故の場合の危険防止等措置義務違反として5点の違反点数と安全運転義務違反として2点の違反点数が付され、合計7点の違反点数になります。

これは30日間の免許停止処分となる点数です。

過去にも違反をしており免許停止を受けたことがある方や、それまでにも2回以上免許停止になっている方は免許取消になってしまいます。

当て逃げに気づいたときにすべきこと

ここからは、自分が当て逃げしてしまったことに気づいたときにすべきことを紹介します。

弁護士への相談

当て逃げをしてしまったら、警察に報告する前に弁護士に相談することをおすすめします

なぜなら、起こしてしまった被害の大きさによっては罰金だけで済まない可能性があり、加害者の状況によっては逮捕されてしまうおそれもあるからです。

また、刑事上の責任だけが問われるとは限りません

加害者から民事上の責任を問われる可能性も視野に入れて弁護士に相談しておくのが賢明です。

交通事故の事件を得意とする弁護士であれば、これからやるべきことや起こりそうなことについて教えてくれます。

警察に出頭する際の注意点についてもアドバイスをしてもらえるでしょう。

警察への出頭

当て逃げをしてしまったことに気づいたら警察に出頭しましょう

自首によって解決した場合、加害者に課される刑罰は、自首せずに警察に見つかる場合よりも軽くなる傾向にあります。

被害者が被害届を提出したことによって警察に検挙され、そこではじめて加害者が見つかったということは、加害者は逃亡していたのだと考えられても仕方ありません

そうなると、刑罰は重くなるでしょう。

被害者への謝罪と示談交渉

警察に報告したあとは、被害者への謝罪と示談交渉をおこなうのが通常です。

当て逃げの民事責任としては、弁償代相当の示談金の支払いをおこなうことになるでしょう

当て逃げについては、示談交渉によって和解することができ、被害届が取り消されることも少なくありません。

当て逃げをしてしまったことに気づいたら、早めに事前に弁護士に相談しておくことで、スムーズに手続きが進められるでしょう。

弁護士に示談交渉を代理してもらうことも可能です。

さいごに | 当て逃げ被害で困ったら弁護士へ相談を

当て逃げに遭ってしまったら、まずは警察に被害届を提出してください。

被害届を出すことは義務であり、警察の捜査に役立ちます。

また、加害者に対して損害賠償請求をおこなうためにも、被害届提出によって交通事故証明書を取得することが不可欠です。

被害届が受理されない、加害者側の任意保険会社が支払いに応じないなど、トラブルになりそうだと感じたら、すぐに弁護士に相談しましょう。

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この記事の監修者
佐々木 幸駿 (札幌弁護士会)
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編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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