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交通事故後は必ず病院へ!通院後の手続きと治療費の支払い

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
交通事故後は必ず病院へ!通院後の手続きと治療費の支払い
この記事のまとめ
  • 事故直後は症状が出ない・気づきにくいことがある。
  • 事故日(受傷日)から時間が経つと事故とけがの因果関係の証明が困難。
  • 交通事故でけがを負ったら整形外科を受診しよう!
  • 治療費は一般的に加害者の任意保険会社が支払う。
  • 医師に完治、または、症状固定と診断されるまで通院しよう!

交通事故に遭ったら、まずは病院で検査を受けるのが先決です。

けがを負ったのに通院を怠ってしまった場合、のちの損害賠償請求でトラブルが生じる恐れがあります。

適切な補償を受けるためには、事故後の通院は絶対に欠かせません。

ただ、事故被害者の大半は、交通事故で病院に通うのは初めてのことと思います。

病院の選び方や治療費の支払い方法など、わからないことが多く不安を感じる人もいるでしょう。

この記事では、交通事故に遭った後に病院に行くべき理由と、その後の手続きについてご紹介します。

交通事故で被害者の立場になってしまった方は、参考にしてみてください。

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交通事故後にすぐ病院に行くべき2つの理由

まず、交通事故に遭った後はすぐに病院に行くべき理由を2つご紹介します。

事故直後はけがに気がつきにくい

交通事故では事故の直後に外傷などの自覚症状がなくても、実は身体に大きなダメージを負っていたために、後から容態が悪化するケースもあります。

たとえば、むちうちは、神経の損傷による症状が多いことから、症状が出るまでに時間がかかる場合があります。

このような場合、病院で検査を受けなければ自分で気がつくのはほぼ不可能といえるでしょう。

事故に遭ったら、必ずその日のうちに病院へ行って、精密検査を受けるようにしてください。

時間が経つと損害賠償の請求が難しくなる

交通事故発生から病院に行くまで時間が空きすぎてしまうと、「そのけがは本当に事故が原因で負ったものなの?」と保険会社に疑われ、損害賠償の支払いが拒否されてしまう場合もあります。

治療に関する損害賠償を請求するためには、病院の診断書が欠かせません。

しかし、その診断書の作成が遅くなればなるほど、事故とけがの因果関係を証明するのが難しくなってしまうのです。

病院での検査は事故当日に受けるのが理想的ですが、もし後日になった場合は、遅くとも1週間以内には通院をするようにしましょう。

交通事故発生から通院後の流れ

事故発生から病院に通った後の流れをご紹介します。

交通事故発生から通院後の流れ

まずは病院で整形外科を受診しよう

重傷で緊急搬送されたという状況を除けば、整形外科の受診がベストです。

なるべく治療設備が整った大きな総合病院を選択するとよいでしょう。

交通事故の治療専門という整骨院も存在しますが、まずは病院での検査を優先してください。

交通事故の損害賠償請求に必要な診断書は病院でしか発行できません。

事故によって負傷しているのかどうかは、医師でしか判断できないということです。

事故後に負傷していることが医師の診断で明確となれば、その後の治療を病院メインにするか、整骨院メインにするかは被害者側で判断する事柄です。

ただ、病院にまったく通わないと治療の必要性を判断できませんので、整骨院をメインにする場合でも、定期的な医師の診断は受けましょう。

診断書をもらったら人身事故の申請を

事故後に被害者が負傷していることが明らかな状態でない場合は、物損事故として処理されるケースが多いです。

しかし、病院の診断書を警察署に提出することで、物損事故から人身事故へ切り替えてもらうことができます。

人身事故と物損事故の違い

物損事故

被害者が無傷で損害は物損だけの事故

人身事故

被害者の中に死傷者がいる事故

なお、物損事故扱いのままでも、治療費の請求ができなくなるわけではありません。

ただ、物損事故のままでは事故の詳細を記録した書類(実況見分調書)が作成されないので、あとから被害状況で揉め事になった際、損害賠償額についてトラブルに発展する恐れがあります。

ですから、少しでもけがを負っている場合で、かつ、事故態様に争いがあるような場合は、必ず人身事故の申請をするようにしましょう。

治療が終了するまでは必ず通院を継続しよう

交通事故の慰謝料は、通院期間を基に算出されます。

そのため、治療が終了していないのに通院を怠ってしまうと、適正な慰謝料額を受け取ることが困難になることもあります。

そのため、担当医から症状固定(治療を続けてもこれ以上の回復が見込めない状態)の診断を受けるまでは、定期的な治療を継続しましょう。

病院に対する治療費の支払いについて

交通事故被害で通院をした際の、治療費の支払いについてご紹介します。

加害者側の保険会社が立て替えるケースが多い

症状固定となるまでの治療費は、加害者側の保険会社が直接負担するのが一般的です。

病院も交通事故案件の場合には、基本的に保険会社へ請求しています。

治療費の支払いに健康保険は使用可

 交通事故の治療費は加害者が負担してくれるので、治療費は高くても安くても同じだと思うかもしれません。

しかし、被害者にも事故の過失がある場合には、治療費の一部を自己負担しなければならない場合もあるでしょう。

健康保険を利用しないまま治療を続けた場合、加害者の過失割合が大きいと負担額が大きくなることも十分に考えられます。

そのため、上記のような場合はご自身の健康保険を利用しましょう。

なお、よく誤解されますが、交通事故の場合でも、所定の手続きを踏めば健康保険の適用は可能です。

病院から「使えません」と言われても諦めないでください。

治療費の支払いが打ち切られた時の対処法

治療が想定以上に長引くと「本当に治療が必要なのか?」との疑問が生じ、加害者の保険会社から治療費支払いの打ち切りを提案されるケースもあります。

ただ、治療が必要かどうかを判断するのは保険会社ではなく、担当医師です(医師法第17条)。

保険会社の治療打切りの判断が正しいという保証はありません。

しかし、保険会社に立て替え払いを継続する義務まではありません。

会社の決定として治療費の支払いを打ち切るという判断は可能ですし、実際にそのようなケースもあります。

したがって、支払いを打ち切られた場合、治療を継続したいのであれば治療費を自己負担して治療を続けることになるでしょう。

なお、このように自己負担した場合であっても、後日の示談交渉や訴訟手続きの中で、保険対応打ち切り後の治療にも必要性があったと認められれば、負担した治療費の請求ができます。

ですので、打ち切りの提案をされたからといってすぐに示談交渉に応じるのではなく、まずは担当の医師もしくは弁護士に相談するようにしましょう。

交通事故の通院慰謝料の相場と増額方法

交通事故の通院慰謝料は、病院に通った期間・日数と3種類の基準を組み合わせて算出されます。

通院慰謝料の相場

以下は通院期間が1〜6ヵ月間の通院慰謝料相場です。

<通院慰謝料の相場>

通院期間

自賠責基準※1

任意保険基準(推定)

弁護士基準※2

1ヵ月間

8万6,000円

(8万4,000円)

12万6,000円

28(19)万円

2ヵ月間

17万2,000円

(16万8,000円)

25万2,000円

52(36)万円

3ヵ月間

25万8,000円

(25万2,000円)

37万8,000円

73(53)万円

4ヵ月間

34万4,000円

(33万6,000円)

47万8,000円

90(67)万円

5ヵ月間

43万円

(42万円)

56万8,000円

105(79)万円

6ヵ月間

51万6,000円

(50万4,000円)

64万2,000円

116(89)万円

※1:初診から治療終了日を21日とし実際の通入院は10日間だったと仮定し、2020年3月31日までは4,200円、2020年4月1日より後に発生した事故に関しては4,300円で計算しています。

※2:()内はむちうちなどの他覚症状がない負傷の慰謝料

大半の事故では、任意保険会社が定める独自の基準である「任意保険基準」が適用されています(加害者が任意保険未加入の場合は「自賠責基準」)。

ただし、交通事故を弁護士に依頼した場合には、弁護士基準で慰謝料金額を算出して、請求していきますので、増額が見込めるでしょう。

弁護士に依頼すると慰謝料増額の可能性大

交通事故の慰謝料は、弁護士を雇うことで増額できる可能性が高いです。

増額分が大きければ、弁護士費用を差し引いても収支はプラスになる可能性があるので、ある程度、治療が落ち着いてきたら法律相談で弁護士から一度アドバイスを受けておくことをおすすめします。

まとめ

事故直後に外傷がなくても、後から容態が悪化する可能性は十分にあります。

また、事故と負傷の因果関係が認められるかどうかで補償内容も大きく変わります。

交通事故被害に遭ったら、最初に必ず病院に行くようにしてください。

交通事故後の対応には複雑な手続きが多いですが、この記事で全体の流れだけでも把握していただければ幸いです。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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