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公開日:2020.7.28  更新日:2020.9.11

タクシー事故の対処法|慰謝料の相場や示談の注意点について

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事

タクシーが相手の事故は、一般車が相手の事故よりも損害賠償(慰謝料)請求に手間取ってしまうといわれています。タクシーが任意(自動車)保険ではなくタクシー共済という独自の保険に加入していることで、示談交渉の勝手が変わってしまうからです。

タクシー共済は、一般車が加入する任意保険よりも保険金支払いの条件が厳しく、示談交渉が難航しやすいです。交通事故の知識がない個人では、一人で対応していくのは難しい場面も出てくるでしょう…。

この記事では、タクシー事故の対応が難しいといわれる理由や、事故後の対処法についてご紹介します。もしタクシーとの事故に遭われてしまった場合に、参考にしてみてください。

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タクシーと事故を起こすと大変だといわれている理由

タクシー事故が大変だと言われている理由

一般車と事故を起こした場合は、相手が加入する任意(自動車)保険会社を相手に示談交渉をするのが通常です。しかし、事故の相手がタクシーの場合だと、タクシー会社を守る目的で作られた保険、タクシー共済を相手に示談交渉をする必要があります。

タクシー共済は一般車が加入している任意保険とは異なり、金融庁に保険事業として監督をされていません。つまり、タクシー共済は外部からの指導を恐れる必要がないのです。そのため、通常の保険会社よりも、示談交渉で高圧的な対応をされる傾向が強いといわれています。

ご自身に責任のない事故でも、こちらの責任を追及されるケースもあるかもしれません。そのような納得のいかない主張をされた場合、決して示談には応じず、弁護士などの専門家に相談をして対処していく必要があるでしょう。

タクシー事故の被害に遭った際の対処法

交通事故発生直後の初期対応リスト

タクシー事故に限らず、上図の流れでの対処が交通事故の基本です。なお、示談交渉をするタイミングは、病院で完治または症状固定(これ以上の回復は見込めない状態)の診断を受け、治療費などの損害賠償が確定した後になります。

以下の2点には、特に注意してください。

事故現場での示談はNG

タクシーの運転者から事故現場で示談を持ちかけられても、決してその場で応じてはいけません。事故が起きた直後では、車の修理費用や怪我の治療代など、事故が原因で発生する損害を正確に判断することは不可能だからです。

一度示談が成立したら、その内容(請求する損害賠償の額)を後から変更することはできません。まだご自身の損害を把握できていない状態で示談をしても、適切な額の損害賠償をもらい損ねてしまう可能性が非常に高いでしょう…。ですから、示談は怪我の治療が終了してから行うようにしてください。

怪我がある場合は人身事故として処理する

事故発生後の病院の検査で負傷が発覚した場合は、人身事故として申請手続きを行いましょう。物損事故の処理のままでは、事故状況の詳細を記録する書類が作成されません。損害賠償請求のときに証拠不十分で、相手から受け取れる補償額に影響する場合があります。

病院の診断書を警察署に提出すれば、物損事故から人身事故への切り替えが可能です。事故後はすぐ病院で検査を受けて、怪我が発覚した場合には、早急に人身事故の申請手続きを行いましょう。

タクシー事故で請求できる慰謝料の相場

タクシー事故で加害者側が提示してくる慰謝料は、タクシー共済が独自に定めた基準(自賠責基準と同等か少し多いくらいであるといわれている)で算出されています。一方、弁護士を雇えば、過去の裁判結果を参考にした弁護士基準での請求を期待できます。

ここでは、それぞれの基準の慰謝料相場をご紹介します。

通院慰謝料の相場

通院慰謝料とは、通院が必要になる怪我を負わされた精神的苦痛に対して請求できる慰謝料です。通院日数・期間を基に算出されます。

<通院慰謝料の相場>

通院期間

自賠責基準※1

弁護士基準※2

1ヶ月間

8万4,000円

28(19)万円

2ヶ月間

16万8,000円

52(36)万円

3ヶ月間

25万2,000円

73(53)万円

4ヶ月間

33万6,000円

90(67)万円

5ヶ月間

42万円

105(79)万円

6ヶ月間

50万4,000円

116(89)万円

※1自賠責基準は月の通院日数を10日間で計算

※2()内はむちうち等の他覚症状がない負傷の慰謝料

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料とは、後遺症を負わされた精神的苦痛に対して請求できる慰謝料です。後遺障害の等級(症状の種類・度合い)によって、慰謝料の相場が決定されています。

等級

自賠責基準

裁判基準

第1級

1,100万円

2,800万円

第2級

958万円

2,370万円

第3級

829万円

1,990万円

第4級

712万円

1,670万円

第5級

599万円

1,400万円

第6級

498万円

1,180万円

第7級

409万円

1,000万円

第8級

324万円

830万円

第9級

245万円

690万円

第10級

187万円

550万円

第11級

135万円

420万円

第12級

93万円

290万円

第13級

57万円

180万円

第14級

32万円

110万円

死亡慰謝料の相場

死亡慰謝料とは、亡くなった被害者とその遺族の精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。被害者の年齢・収入や遺族の人数などによって金額が決定されます。

<自賠責基準の相場>

請求する要項

慰謝料額

死者本人に対する慰謝料

350万円

死亡者に扶養されていた場合(※)

200万円

慰謝料を請求する遺族が1人の場合

550万円

慰謝料を請求する遺族が2人の場合

650万円

慰謝料を請求する遺族が3人の場合

750万円

(※遺族が死亡した被害者本人に扶養されていた場合のみ200万円が加算されます。遺族が1人で扶養されている場合:350万円+200万円+550万円=1,100万円)

<弁護士基準の相場>

死亡者の立場

弁護士基準

一家の支柱

2,800万円

配偶者、母親

2,500万円

上記以外

2,000~2,500万円

(※本人に対する慰謝料と遺族に対する慰謝料を合算した額)

タクシー事故の示談交渉は弁護士に依頼した方がいい理由

タクシー事故の対処を弁護士に依頼すると、トラブルを解消できて、よりよい条件で示談できる可能性が高くなります。

ここでは、タクシー事故の手続きを弁護士に依頼するメリットを2つご紹介します。

弁護士基準による慰謝料の増額が見込める

交通事故で獲得できる示談金が弁護士費用を上回れば、弁護士に依頼するべき

『タクシー事故で請求できる慰謝料の相場』ご紹介した通り、タクシー共済に対して請求できる慰謝料は、弁護士を雇った方が高額になる可能性が高いです。弁護士の介入の有無によって、慰謝料の額が2倍近く変わるケースは珍しくありません。

弁護士を雇うには弁護士費用が必要ですが、慰謝料の増額分が弁護士費用よりも大きくなる可能性も十分にあります。その場合は、弁護士を雇った方が得になるので、弁護士を雇うべきだといえるでしょう。

法律相談を利用すれば、弁護士から増額できる慰謝料と費用の見積もりを出してもらえます。ですから、示談をする前に一度、依頼をするべきかアドバイスを受けておくことを強くおすすめします。

示談を有利な条件で進めることができる

示談交渉では、治療費の負担期間や過失割合(事故の責任の割合)など、慰謝料の額以外にもたくさんの交渉内容があります。弁護士に交渉を任せれば、それらもすべて適正な条件で主張することができるでしょう。

示談交渉で意見を主張するには、法的な根拠を提示する必要があります。ご自身や保険会社の示談代理サービスによる交渉では、それを用意するのが難しいかもしれません。

しかし、弁護士は法律の専門家です。タクシー共済側が不当な条件での示談を要求してきたとしても、弁護士ならそれに反論をして、依頼主に有利な条件を提示することが可能です。ご自身で示談に望むよりも、好条件で示談することを期待できるでしょう。

弁護士費用特約があれば弁護士費用の心配はいらない

弁護士費用特約があれば、弁護士費用を保険会社が負担してくれる

弁護士費用特約とは、任意(自動車)保険が提供する保険サービスの1つです。ご自身または同居している家族の保険にこの特約が付帯している場合は、保険会社から弁護士費用を負担してもらえます。つまり、弁護士費用特約が利用できるのなら、弁護士費用を気にする必要はありません。

せっかく弁護士費用特約の保険料を支払っているのであれば、これを使わない手はないでしょう。もし弁護士費用特約を契約している場合は、弁護士への依頼を積極的に検討してみてください。

なお、弁護士費用特約の対象となる事故は以下の通りです。

ただし、保険会社によって異なる場合があるため、参考程度に留めておきましょう。

弁護士費用特約の対象となる事故

まとめ

タクシー事故の示談交渉が難しいといわれる理由は、タクシー共済という独自の団体に対して損害賠償請求をする必要があるからです。通常の保険会社と違い金融庁に監督を受けていないため、保険金が支払われる条件が厳しいといわれています。

適切な損害賠償(慰謝料)を請求するには、法的な根拠を示しながら交渉しなければいけません。個人ではどうしても対処が難しい場面も出てきますので、その場合は法律相談を利用して、弁護士からアドバイスを受けて対処していきましょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事は交通事故弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※交通事故弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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