過失割合9対1の人身事故で点数加算はある?免許停止・取消のリスクも解説

- 「交通事故の被害者になってしまったけど、自分が免停になるリスクはある?」
- 「過失割合が9:1のとき、自分にも違反点数はつくの?」
交通事故に遭い、このような悩みを抱えている方も多いでしょう。
実は、過失割合が9対1で、自分に少しでも過失がある場合は、違反点数が付いて免許停止や取消になるリスクがあります。
本記事では、違反点数が加算される仕組み、違反点数が加算されるとどうなるのか、免許停止や取消処分に納得できない場合の対処法について解説します。
過失割合9対1の人身事故で、被害者に違反点数が加算されることはある?
過失割合9対1の人身事故では、被害者側にも違反点数が加算される可能性があります。
まずは、交通事故の際に違反点数が加算される仕組みについて見ていきましょう。
過失割合は違反点数と直接的に関係するものではない
前提として、過失割合は行政処分に関わる免許の違反点数とは直接的には関係がありません。
過失割合とは、交通事故を起こした当事者それぞれにどれくらい責任があるのかを割合で示したものです。
「加害者対被害者」の過失割合を「9対1」「7対3」などと表します。
たとえば、法定速度を守らずにカーブで減速しないまま脇見運転をしていた対向車と接触した場合、スピードを出して曲がったほうが7割、脇見運転で曲がってくる自動車を避けられなかったほうが3割の過失割合になります。
過失割合は民事事件として損害賠償請求をする際に、賠償金額を判断するための指標です。
一方、刑事処分や行政処分においては、過失割合とは別でどれほど責任があるのかを判断されます。
被害者でも過失割合があれば、違反点数が加算される可能性はある
交通事故を起こしたら、過失割合が1でもあればたとえ被害者であっても違反点数が加算される可能性があります。
過失割合が1でもあるということは、被害者にも過失、つまり責任があるということです。
そのため、被害者も違反をしていたということになり、違反点数が加算される可能性があるのです。
一方、過失割合が0の場合であれば、被害者は違反をしていないということなので、違反点数はつきません。
人身事故では、基礎点数+不可点数の合計が違反点数に加算される
人身事故を起こした場合、違反点数は基礎点数と付加点数の合計値で決まります。
たとえば、基礎点数が2点で付加点数6点であった場合は、合計8点が違反点数です。
では、基礎点数と付加点数のそれぞれの基準について、以下で詳しく見ていきましょう。
基礎点数|交通事故の種別によって決まる点数
基礎点数は、交通事故の種別ごとに決まる点数で、どんな交通違反をしたかによって基準が設けられています。
いくつかの違反内容を例に、それぞれの違反点数を見てみましょう。
違反行為の内容 | 違反点数 |
---|---|
0.25mg以上の酒気帯び運転 | 25 |
50km以上の速度違反 | 12 |
無保険運行 | 6 |
信号無視 | 2 |
付加点数|責任の程度によって決まる点数
付加点数は、被害や責任の程度によって付け加えられる点数です。
以下では、事故の程度や責任の所在ごとの違反点数について、いくつかの例を見ていきましょう。
被害や責任の程度 | 違反点数 |
---|---|
被害者が死亡し、もっぱら加害者に責任がある | 20 |
被害者に後遺障害が残る重傷事故を起こし、 もっぱら加害者に責任がある | 13 |
被害者に後遺障害が残る重傷事故を起こし、 被害者側にも責任がある | 9 |
被害者の治療期間が15日以上30日未満で 被害者側にも責任がある | 4 |
過失割合が「1」でも、最低4点の違反点数が加算される可能性がある
たとえ被害者の過失割合が加害者よりも低い場合であっても、過失があるのであれば被害者側にも違反点数がつきます。
人身事故を起こしたときは、最低でも基礎点数2点と付加点数2点がそれぞれ加算されるため、違反点数は4点です。
過失割合9対1の人身事故で違反点数が加算されるとどうなる?
過失割合9対1の人身事故で違反点数が加算されると、過去の交通違反の有無などによって免停・免許取消などの行政処分が下されます。
前歴と違反点数ごとの具体的な行政処分の内容は以下のとおりです。
なお、前歴については、過去3年間の累計で判断されます。
前歴(免停・取消) | 免許停止 | 免許取消 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
30日 | 50日 | 90日 | 120日 | 150日 | 180日 | 1年 | 2年 | 3年 | |
0 | 6点~8点 | 9点~11点 | 12点~14点 | 免許取り消し | 15点~24点 | 25点~34点 | 35点~39点 | ||
1回 | 4点~5点 | 6点~7点 | 8点~9点 | 免許取り消し | 10点~19点 | 20点~29点 | 30点~34点 | ||
2回 | 2点 | 3点 | 4点 | 免許取り消し | 5点~14点 | 15点~24点 | 25点~29点 | ||
3回 | 2点 | 3点 | 免許取り消し | 4点~9点 | 10点~19点 | 20点~24点 |
たとえば今回の事故によって最低点数の4点が加算された場合でも、前歴や過去の違反がなければ免許停止などの処分はありません。
しかし、前歴が1回でもあれば、4点の違反点数が付くことによって免許が一時的に停止されることになります。
前歴が1回ある状態で4点の違反点数が付いた場合は60日間の免許停止です。
前歴が2回あった場合は150日間の免許停止となります。
点数加算による免許停止・取消処分に納得できない場合の対処法
違反点数が加算され、免許停止処分や取消処分になった場合、納得できないときは意見を伝えたり、不服申立てをおこなったりする方法があります。
ここでは、処分に納得できないときの対処法を紹介します。
意見聴取の際に言い分を主張する
免許停止や取消が90日以上になる場合は、処分前に意見の聴取の機会が与えられます。
指定日時に場所に出向くことで、公安委員会に意見を主張したり、自分とって有利な証拠を提出したりすることが可能です。
ここで的確な主張をおこなうためには、事前準備が大切です。
弁護士のサポートを受け、なるべく処分を回避したり軽くしたりできるよう準備をしましょう。
弁護士に依頼して意見の聴取に同行してもらい、意見を述べてもらうことも可能です。
不服申立てをおこなう
免許停止や免許取消などの処分によって不利益が生じたときは、不服申立てをおこなうことができます。
不服申立てで言い分が認められると、処分は取り消されます。
不服申立ての期限は、処分があったことを知った日の翌日から3ヵ月以内です。
処分の取消訴訟を提起する
行政処分によって不利益が生じた際には、裁判所に対して判断を求める処分の取消訴訟を提起することが可能です。
意見の聴取や不服申立てで意見が認められなかったとしても、裁判で認められ処分が取り消されることもあります。
ただし、取消訴訟を提起するには、受けた処分が不当である法的な根拠が必要です。
違反点数が加算されただけで、不利益がない場合は取消訴訟を提起することができません。
また、取消訴訟は、処分があったことを知った日から6ヵ月以内または処分の日から1年以内に提起する必要があります。
交通事故問題が得意な弁護士に相談する
免許停止や取消処分に納得できないときは、交通事故問題が得意な弁護士に相談するのが一番です。
意見の聴取の際には事前準備が大切です。弁護士のサポートを受けることで、処分を回避したり軽くしたりできる可能性が高まるでしょう。
また、不服申立てや取消訴訟の提起をする際は、法的に正当な主張をしなければ主張を認めてもらうことができません。
そのため、法律の専門家である弁護士からアドバイスをもらったり、代理人として手続きをしてもらったりすることが大切です。
過失割合9対1の人身事故における違反点数に関してよくある質問
ここからは、過失割合9対1の人身事故の違反点数について、よくある質問に回答します。
違反点数はいつリセットされる?
違反点数は、直近の違反から1年間、違反や事故をしなければリセットされ点数が0点に戻ります。
また、1~3点の違反に限り、過去2年間無事故・無違反であった場合は、3ヵ月を経過した時点で点数はリセットされます。
自動的に点数はリセットされるため、申請などは必要ありません。
現在の違反点数を確認する方法は?
自分の違反点数を確認するには、自動車安全運転センターで書類を取得する必要があります。
書面で申請し、累積点数等証明書を取り寄せましょう。
申込用紙は、各地の自動車安全運転センター事務所または警察署や交番でも取得可能です。
なお、累積点数等証明書の取得には手数料として670円がかかります。
自動車安全運転センターで直接取得する場合は、支払いをすれば交付可能です。
郵送の場合はゆうちょ銀行で交付手数料を振り込めば、2週間程度で累積点数等証明書が届きます。
違反点数が加算されると通知が届く?
違反点数が加算されたときは、自動車安全運転センターから自宅に累積点数通知書が届きます。
交通違反や交通事故から1ヵ月以内で届くことが多いですが、なかには1年以上かかるケースもあります。
また、90日以上の免許停止処分となる場合や免許取消となる場合は、意見の聴取がおこなわれるため通知書が届きます。
さいごに|人身事故の過失割合や違反点数に関する悩みは弁護士に相談を
人身事故を起こせば、過失割合が1であっても違反点数が加算され、前歴によっては免許停止や取消の処分を受ける可能性があります。
過失割合や違反点数に納得できないときや、免許停止や取消になるのではないかと不安があるときは、弁護士に相談してください。
なお、適切な対応を望む場合は、交通事故問題を得意とする弁護士に相談しましょう。
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